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ロンドンから徒然に

ぴーかん

2010-07-22 | 映画・演劇
 何となく感覚的に納得はするんだけれど、突き詰めていくとどうしてそんな意味なのって言葉がけっこうないですか?
 『ぴーかん』(あるいは『ぴいかん』)もそのひとつ。雲ひとつない快晴のことを指すのはもちろん知っているんですが、いったいどういう由来なんでしょう?

 “ピー”はピンキリのピン、だとかパーフェクトのPだとか、“カン”はかんかん照りのカンだとか、あるいはタバコの“ピースの缶”だとか、色んな説が飛び交っているみたいです。
 いずれにしろ、もともと映画の世界で撮影時に晴れている状態のことを言っていたのは間違いないことみたいですが。 



 デジタル技術の発達した現在と違って、昔は撮影時の天気が大きく条件を左右したことでしょう。
 ハワード・ヒューズが『地獄の天使』の撮影の際に、理想の天候を求めて何ヶ月も撮影を延期させ、巨額の制作費に膨れあがった様子は、確か映画『アビエーター』で描かれていたと思います。

 もちろん大富豪のヒューズゆえ出来たことには違いありませんが、昔の映画監督のこういった逸話はよく聞きますね。
 随分昔に聞いた話なので記憶も曖昧ですが、黒澤監督は、出来上がったセットの位置が気に入らず、ほんの数センチ動かすために大変な時間と金を使ったとか、確か『天国と地獄』の時だったと思いますが、ほんの一瞬しか映らない遠景にもかかわらず、邪魔になった家の2階を取り壊させ平屋にさせたとか、今聞くと信じられないようなこだわり様を見せています。

 今だとこんなことはきっとデジタル技術で綺麗に処理できるんでしょう。
 でも、そのこだわりを捨てた分、どうにも映画がつまらなくなっているような気がしないでもありません。

 多分どこかで手段たるべきデジタル手法に“こだわり”過ぎて、本質のところがおろそかになっているのではないかという気がします。そのせいか、例えば(少数の例外を除き)あまり面白い3Dムービーに出会えていません。

 誰か昔の黒澤映画みたいなゴツゴツした感触の大作を作ることのできる若手監督が出てこないかな。

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