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ロンドンから徒然に

それは俺の車だ

2010-07-02 | 日常
 楽器というものはもちろん音を出さなければ意味がないんですが、良い楽器というものは外見も必ず綺麗です。それは派手に装飾されているなんて意味ではなく、シンプルな作りでも良い音のするものは気品あるいは雰囲気があって、それは見た目からも分かるんです。
 だから僕は別に買う気がなくても、試奏しなくても、楽器店で楽器(特にギター)を眺めるのが好きです。

 ところがロンドンには、その意味で良いギターを置いているところが殆どありません。
 イギリスのミュージシャンの知名度を考えたら、もっと充実していてもよさそうなのに、日本やアメリカと比べたら物足りない気がします。

 もちろんアメリカは広すぎて実際に見る機会があるのはLAやNYなどの大都会に限られてしまいますが、たまにギター工場に近い地方都市の楽器店だとかに凄い掘り出し物があったりします。
 昔は輸入版の専門誌(あるいは専門紙)でそういった情報を集めた時期もありましたが、今はインターネットのおかげで、海外にいながらチェックもできます。

 これは掘り出しものだとメールで連絡を取ったりすると、既にホールドされているということがよくあります。詳しく聞いてみると、その顧客というのがけっこうイギリス人が多いんですよ。
 そう言えば、昔あるバイオリニストから、世界で一番良いバイオリンは全てイギリスに集まる、という話を聞いたことがあります。

 もしかして楽器店に並ぶレベルは通り越して、我々の知らない上の方で売買ルートが出来上がっているのかもしれません。
 こちらの金持ちはもう想像の域を超えてリッチですしね。何しろ何億円もするストラディバリウスを、自分の気に入った若手バイオリニストやチェリストに匿名で寄付してしまうくらいなんですから。

 そう言えば夕方散歩していても、あちこちに駐めている車は、車音痴の僕にしてから名前は知っているようなロールスロイス、アストン・マーチン、ポルシェ、フェラーリだったり、いかにもなクラシック・カーだったりします。




 写真を撮っていたら、隣の作業用トラックに乗っていたおじさんが大きな声で、「それは俺の車で、仕事が終わったらそっちに乗ってうちに帰るんだ」と。
 冗談言いたくなる気持ちも分かるな。新聞記事に、世界で一番貧富の差が激しい都市がロンドンだという調査結果が載っていました。