植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

期待のジベレリン 頼みますよ

2023年05月26日 | 植物
4日前に懸案であった「ジベレリン処理第一回目」を実施しました。突発の旅行やアクシデントによって、この作業が出来ずいささか遅くなっていました。
手間がかかるブドウ栽培には欠かせない、最も重要な作業であります。

通常、果実に限らず開花した植物は受粉によって結実します。種子植物にとっては子孫を残すためには必須であります。ほとんどの植物はおしべとめしべが同じ花・個体に付くのですが、中には雄木と雌木別々のもの、あるいは雄花と雌花と分かれて咲く植物もあります。子房の先にある雌蕊に雄花(雄蕊)の花粉が付着することによって合体!ならぬ受粉をし、植物はそこではじめて栄養を送って大きく実を育てることになります。実を大きくするということは受粉によってできた「核」を育てて将来の種を形成するのです。

受粉できなければ当然子房は花ごと枯れ落ちてしまいます。そこに登場したのが「ジベレリン」であります。この薬剤は、植物に受粉した、と勘違いさせる効能があります。いわば想像妊娠でありますな。このジベレリンに浸された子房は、受粉したものとして植物は大きく育てるためにせっせと養分を送ります。しかし受粉しなければ核は生じない「無核化」になり、これが種なしの果実となるのです。

更に、ジベレリンはもう一つ大事な役目があります。それは栄養剤・ホルモン剤として果実の肥大化促進効果であります。人間で言うなら「ユンケル」をもっと強くしたようなものであります。これでお父さんは元気になる(かもしれません)が、ジベレリンを塗ったブドウは、通常より大きく育つ(果粒肥大化)のであります。勿論ジベレリンを人間が飲んではなりません笑。

道具はこれ
左の容器は大型のもので、人気のシャインマスカットなどには大きすぎます。粉末を25~50PPMに希釈して使います。だいたい一袋(小袋1.5g=ジベレリンは50㎎含有)ならば1Lくらいというところですが、難点は作り置きが出来ないこと。いったん水溶液にしたら半日ほどで分解して効能が無くなるようです。上のカップは300㎖入りなので、小袋3回に使えます。

ワタシのブドウ栽培のメインは「甲斐路」であります。豊産性で粒も大きく甘くなりますが、「雨に弱く」雨ざらしになると病気になり、ブドウ自体はすべて腐ってしまいます。ハウスや屋根付きの棚にしなければ収穫は見込めません。処理前はこんな状態で、これを先から10㎝ほど残して切り取ります。ワタシは基本ずぼら農法なので、ジベレリン水溶液に浸しながら房作りで元側の数本の蕾をカットしております(笑)

今朝の様子はこんな感じで、あきらかにぷっくり大きく膨らんできました。

これに、保険として育てているのが「藤稔」と「黄玉」であります。ワタシのブドウ栽培は、初代が「シャインマスカット」二代目が「ロザリオビアンコ」というマスカット系・欧州系のブドウでありました。しかし、粗末なビニール屋根では雨風が防ぎきれず病気になり、だんだん弱って実がつかなくなりました。

「甲斐路」も欧州系なので、雨は厳禁、今のところはなんとか直接雨が当たらないようにしているので毎年元気に育っておりますが、いつ具合が悪くなるかわからないので、もしもに備えて「黄玉」を大きな鉢で栽培し、雨には比較的強い(はず)の黒紫色雑種「藤稔」をシャインマスカットの後釜に、地植え露地栽培を始めているのです。

これが藤稔一房だけ花がついておりました
あと2週間もしたらもう一度ジベレリン処理をいたします。開花が遅くやりそこなったものの無核化と、肥粒促進のためであります。

そこで、ジベレリン処理が終わって、まだ7割がたの溶液が残るのです。前述のように明日には使えなくなるのです。そこでピンと来たのがフェイジョアです。フェイジョアは「自家受粉」出来る、異種を混植しなくていいとされていますが、もともと蜜を持たない花なので虫が花粉を運んでくれません。ミツバチ自体当地では滅多に見なくなりました。そこで「アポロ」「クーリッジ」と2種類を植え、今の時期は毎朝花をとっては別の木の花にこすりつける「人工授粉」をしてきたのです。今開花の盛りなので、これはいけるかもしれないと思いました。残ったカップの溶液をスプレーに入れ替え噴霧したのであります。

更に、勝手に地面から生えてきた棗(なつめ)の木、これはおそらく以前マイガーデンの隅に地植えしていたものの実がつかず、つくのは害虫ばかり、ということから伐採したなつめの末裔であろうと思います。これを鉢植えしたものに一杯花が咲いていました。

これにもジベレリン液をふりかけました。
これで受粉してくれたら、種なしナツメが出来るのではなかろうかと思うのです。
物は試し、なんでも挑戦であります。
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ワタシが石を集める訳 無条件に石印材は楽しい

2023年05月25日 | 篆刻
深夜2時頃に、ワタシのブログが何故か200件位のアクセス数をカウントしていました。これまでに幾度かそんな現象が起きていることがあって、少し怖いのです。何かの工作員や危険分子としてチェックされたか(笑)、あるいはワタシの個人情報をAIかなにかで分析したか・・・。
ワタシのブログの順位はだいたい5千位前後、それで十分、インフルエンサーとかお金を貰えるブロガーになりたいわけでもなく、アクセス数など増えなくていいのです。ですから、出来るだけ人のブログを見に行ったり、フォロー先を増やすなどの努力はいたしておりません。

さて、人間という動物は、自分が採取できるもの、自分でつかめるものを食べるのが自然であるという考え方があります。太古の昔、目も開かないような新生児は手探りで母親の乳房を探り乳を飲みます。子供たちは、木の実や果物を採って食べ、屈強な若者や大人になると野山にいる動物を狩り肉を食らう、力が弱ってくれば魚や貝を捕まえる、年取ったらまた菜っ葉などを植えて食する、といった按配であります。

収集品・趣味もまたしかり。若いころと、年取ってからでは興味の方向性が変わります。若いころは生き物・動物に興味を持ち飼おうとします、それが老いてくると、育てるのに楽で、動かない植物に興味が移ります。さらにそれが高じてほとんど成長しない「盆栽」を有難がるようになりまう。で、最終的にお迎えが近くなると、全く変化しない「石」を集めるようになるのだ、と昔読んだ本に書かれておりました。石は墓石に通じるものでもあり、何も手を加えることなく、せいぜい洗ったり磨いたりすることが楽しみなのです。

このワタシはもはや、その先が無い、お陀仏間近の石集めに夢中になっている最終段階の人間の一人ということになります(´;ω;`)ウゥゥ。

篆刻を始めて必然的に「彫るための石」が欠かせませんでした。練習用や自分の落款用の石印材を買ったり、ヤフオクで入手するうちに、そのアヤシイ魅力の虜になったのであります。

今、石印材を集める目的は第一義には彫るため、ではありますが、印材や篆刻印はそれ以外の愉しみがあることが分かったのです。まず手に取って愛玩する、手練れによる彫の素晴らしさを感じ刀法を学ぶ、紐や薄意を観賞する、といったところです。
更に、何十もの種類に分類される石のバリエーションに興味を持ち、多くの希少石を手元に置きたいという「蒐集欲」を満たしたいと思うようになりました。また、非常に珍しい石や宝石並みに扱われる高級種の石は持っている楽しみだけではなく、投資に値する骨董品、資産価値としても十分な対象であるのです。著名な中国や日本の印人の手による印(篆刻家の名前・側款あり)は時としてとんでもない値段がつき、ひいては書道芸術の重要な資料になることさえあります。

石印材を集めるもう一つの理由が、材質や石の種類の研究であります。印材に用いられている美しい石たちが、どこで産出されどんな経路を辿ったなんという石なのか、そこにロマンと知的好奇心が生まれるのであります(笑)

最近はさすがに練習用・駄石のヤフオク入札・購入は厳に慎むようにしています。その種の石は腐るほどあります。やはり主眼は「田黄石」を中心とした珍しく高価な石材の蒐集です。しかし、だれが見ても素晴らしい本物の田黄のような出品物はすぐに10万円くらいに入札額が高騰するので、ワタシらには手が出せません。
無数に出品されている石のうち、正体不明の怪しげな石や、数点まとめて出品される十ぱひとからげみたいなものの中から「きらりと光る逸材」や田黄みたいな石を発掘して、安く入手するという手段しかありません。

ワタシの乏しい軍資金からは、せいぜい1万円前後の入札しか出来ないのです。ごく例外的に2,3万円の落札もありますが、それは数十個まとめてなので、一個当たり換算では数百円という品物か、さもなければ田黄ないしはそれに類した小さく地味な石で、さほど注目されなかったモノであります。田黄でもピンキリなので、箱なしの10g前後ならば、時として比較的少額で落札できることがあるのです。

それがこれです(爆)
高さが3センチ足らずで18gの重さで落札価格13,500円でありました。こんな小さな石の全面に丁寧な細密の薄意(浅い浮彫)が施され、自然石ならではの色つやがあって「紅筋」が走っています。三人の入札しかありませんが、評価点が4千点くらいの方が13,000円を入れてきたのです。この石は「田黄」とみていい、値段も妥当である、と思います。本物の田黄を手にしている実感があって正直「とっても嬉しい」のであります。まぁこれがコレクター心理というものでしょうか。

ついでに、最近の落札物でちょっと楽しい石をお見せしましょう。

石自体は緑がかっていて白茶色の夾雑物がある「広東緑」でしょうが、その紐が珍しくかわいらしい「出目金」であります。

次は、白色系半透明の凍石二個であります。
左の石は、「高山凍」と見ます。非常に美しい材質で薄く琥珀色の層が流れていて「流紋」と呼ばれる滑らかな薄意が4面に施されています。棒状の田黄石にもよく見られる細工で、これは値打ちものに相違ないと落札、その額6千円でしたが、届いて「掘り出し物」であることをさらに確信したのです。
どうです、素敵でしょ!!
右の石は「4個まとめて」で4千円で落札したうちの一つです。古びたシールに老舗書道具店「墨運堂」と印刷され商品番号が捺されていました。これは同じく高山凍か「水晶凍」で小さな「引首印」用であります。紐も丁寧で恐らくは本場中国で仕立てられた一品ものの佳品であります。


下の石は、さして入手価格は高いものではないのですが、それなりに石の色や模様が面白いのでコレクションに加えております。
虎皮のような模様もなかなか見たことがありません。こんな2㎝角の石に、李白の漢詩がびっしり刻まれているのです。作款は解読できておりませんが、ひょっとするとなかなかのお宝かもしれないのです。
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薬はやらない方が身のため だが使わないわけにはまいりません

2023年05月24日 | 植物
歌舞伎の役者、市川猿之助さんが親御さんともども自殺を図ったのが盛んに報道されています。歌舞伎界では才能を評価され1,2を争うようなホープなんだそうです。せんだっては、やはり歌舞伎界の家系で俳優としても大変評価が高い香川照之 さんが「セクハラ報道」を機に、芸能界から一時締め出されていました。

先日は週刊誌で、目に余るようなパワハラ・セクハラを報道されたとたんに、猿之助さん方で、親御さんが亡くなり、本人も意識がはっきりしない「自殺未遂」のような姿で発見されたのです。どうやらお父さんは認知症などでだいぶ寝たきり生活、母親も介護疲れがあったのでしょうか、薬を大量に飲んで中毒死したそうです。その薬は大まかにいえば「向精神薬」、脳や精神に働きかけて何らかの作用をする薬の総称で、抗うつ・睡眠薬・精神安定剤などいろいろな種類があるそうです。

その共通点は、依存性・乱用性であり大量に服用すると死に至る可能性が高いというものです。テレビではその入手先はどうした、とか騒いでおりますが、簡単であります。ワタシだって「ちょっと眠れない、夜中に何度も目が覚める」と言ったらすぐに処方されました。たくさん飲んじゃダメよ、と医者に注意されひと月20錠貰いましたが、その後ちょっとしたトラブルに悩まされ「フラッシュバック」が出ていると言ったら、その時から3倍つまり60錠の薬が出ました。なので、そんなものを飲まないでとっておいたらすぐに数百錠溜まります。

それより、猿之助さんがなにか被害者みたいな論調になっているのが気になります。名門の名前に泥を塗れない、とか、せがれの将来を悲観して覚悟の心中を図ったのは元をただせば、猿之助さんの異常なセクハラが原因なのではなかろうか、そこはスルーなの?と感じております。もっと言えば、ジャニー喜多川さんの一件も、猿之助さんのおかげですっかりテレビで報道されておりません。マスコミというのも妙な世界ですね。

さて、薬の話であります。ワタシの服用薬はおいといて園芸で、薬なしでは満足いく結果は得られません。家内の口癖「無農薬有機栽培は消費者のエゴだ」と言うまでもなく、商売物として作る作物を農薬を使わないで、見た目に美しく大きくて美味しいものは不可能です。

ワタシは、自分及び身内・ご近所限定で食べ物(野菜と果実)を栽培しているので①滅多な薬(毒性の強い農薬など)は使わない ②結果虫食い出来損ないは甘受する ③有機栽培で安全、洗わずに食べられる といったことを原則にいささかずぼらな園芸にいそしんでおります。

それでも実は大量に多種の薬が欠かせません。
成長・生育を促進する薬剤、病気を防ぐための殺菌剤、即効性のスプレー式殺虫剤などであります。成長促進効果ならば肥料と重なります。有機化成肥料・化学肥料・マグアンプなどの置き肥も薬剤の一つですし、ハイポネックス・万田酵素・発根促進「メネデール」などの液体肥料も薬であります。

殺菌剤は、バラの病気(黒星病・うどん粉病など)・ブドウ(黒糖病など)・ネギ類(さび病など)の予防や治療に不可欠です。食べ物といえど病気にかかって生育不良・枯れ死するならば園芸をやる目的が達成できません。少なくとも葉っぱや茎が病気にかからないようにするため年間何回も消毒剤・殺菌薬を散布するので、4種類ほどを単用・混合で撒くことにしております。

次は「殺虫薬」であります。蚊が飛んでいればフマキラーの出番で、部分的についたアブラムシのコロニーにも有効です。野菜や果物に直接かからなければ大丈夫ですね。一般的に使われる「マラトン・スミチオン・オルトラン」などがほとんどの害虫に効くのですが、だいたいはその薬剤が直接虫にかかる、とか薬剤が付着した葉や茎を食べて死ぬ、というものであります。目視で見える大量発生した害虫駆除にはこうした溶剤を水で薄めて噴霧器で散布する、この作業は極力減らしております。少なくとも野菜には使わないように心がけております。そこが「無農薬」に準じた農法になりましょうか。

そのかわり、葉っぱをチェックしながら毎朝手で除去する(捻りつぶす)という面倒な手間を変えているのです。それでも実際はこんな状態であります。キャベツにモンシロチョウの幼虫(アオムシ)が集まって穴だらけになります。


加えて、日中見つからない害虫目に見えない虫がいます。代表は土中に潜み夜になってから葉っぱを食い荒らす「ヨトウムシ」と根っこを齧って植物を弱らせ枯らす「コガネムシの幼虫」であります。こればかりは土を掘って駆除するわけにはいきません。ヨトウムシは基本葉っぱに産み付けられた卵を処分すれば事足りるのですが、実際はそう簡単に解決しません。葉の裏にまとまって産み、ときには数個をとびとびに産んだりします。毎朝見てもどうしても見過ごすのです。孵化したら葉っぱが表皮だけを残して食害されるのが見つかります。そのうちに地面に潜るのです。こうなると株元に殺虫剤を幕しかありません。

コガネムシの被害も深刻で、鉢物に入れば、翌春には植えている植物をほぼ枯らしてしまいます。成虫になれば花やブドウの葉っぱなどを食い荒らし、その黒い糞は病気を引き起こします。徹底的に駆除すべき害虫なので、特効薬であるダイアジノン粒剤を大量に撒くことにしております。

で、本当のお題は「ジベレリン処理」でありますが、予定稿に達しましたのでまた明日といたします。


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田黄が欲しいが 大山黄なら大満足

2023年05月23日 | 篆刻
細々とヤフオクで「石印材」の入札・落札を続けております。もはや一級の印・印材は望むべくもない、というのが最近の明確な傾向で、銘品とみえる田黄石などは、すぐに10万円を超え大半が深夜にもつれ込んで時間切れ・出品取り下げというパターンが頻発しております。そもそも品物を手にするでもなく写真だけで、古い黄色い石ころが、数十万円の値段で取引されるなどといったことは異様だとしか思えません。

かくいうワタシも、いつの間にか田黄の虜になっておりますが、高額かつ偽物が多いために、すでに割り切って深入りせず、中途半端でほとんど見向きもされないような正体不明の石にちまちま入札し、せいぜい数千円から最大1万円程度で我慢することにしています。たとえて言うならポケットに1万円札だけを入れてパチンコ店に赴き、大当たりが来たらラッキー、1万円が無くなったらすごすごと帰宅する、といったところでしょうか。

今回紹介するのが、二日前にワタシだけの単独入札で落札した「中国古玩 田黄 山水賢人324g」というものであります。落札価格は15千円、断言しますが、この値段で本物の田黄石、またはこれに準じた高級印材は絶対に入手できません。つまり、ほかの専門家を含む多くの好事家蒐集家が、田黄でないと見てスルーし、ワタシはそれを前提で落札したのです。

田黄石のようなものの出品物の想定しうる現実を最悪から順番に並べると
①人造石・ガラス質または樹脂製→②石の粉を固めたもの→③安物の自然石の表面に着色してそれらしく似せたもの→④古来から田黄に近い石として流通する比較的値段の高いもの→⑤新田黄といわれる、田黄の母岩が産出される寿山山系の山塊・山坑から切り出された類似石→⑥田黄ながら傷・夾雑物が多い下等品→⑦本物 ということになります。

田黄の狭義の定義は「福建省寿山郷にある田黄坂周辺の畑や田んぼなどの土中から発見された自然石(丸石)、黄色みと透明度があるヨウロウ石で、 外側は土や太陽光などによって変質した「皮」に覆われ、蘿蔔紋(らふくもん) や紅筋が入ってる」というような要素で、これに合致するのは奇跡的なことなのであります。勿論ほとんど現在は掘り尽くされその出土は途絶えていて、かつてはゴールドラッシュさながらの活況を呈していたようです。

さて、ワタシがこの出品物を見て、④以上ならば見合う金額と見たのです。その根拠としては、写真で見る限り印面の部分が半透明であることや表面に施した浮彫「薄意」が本物ぽく、人工の型に流し込んでできたぼんやりとした模様には見えなかったことにあります。この現物が透明度が高く、白から黄土色・飴色の混色になっているので、駄石に色を塗ってるというのは考えにくいのです。

更に、また、通常人造石は印箱・ケースも無く、もしあっても一般用に売られている安い紙に切れを張り付けたものが関の山です。一定レベル以上の高価な印材・篆刻済み印の専用箱は、中蓋があり、石本体を収める穴と、飾り付けするときに用いる木の台(または美しい布地を張った台)を作り下部の別空間に収められています。ワタシの収蔵品でこんな感じです。↓

通常ヤフオクは10枚の写真が上限で、これを超える場合は別途商品説明・紹介する場所に飛びます。その箱が最後のほうの写真に写っていたのです。これだけの道具立てをして手間暇をかけたものが無価値同然の「人造石」ではなかろう、というのがワタシの読みでありました。従って上記の等級からしたら少なくとも③以上の代物で、15千円がパチンコでスルような羽目にはならないだろうと思ったのです。

現物はこれであります。

箱を開けるやいなや、迷わず印面(底部)をサンドペーパーで水磨ぎしてみました。もしそれでほとんど硬くて研げなかったら、微細の石の粉が出なかったらアウトですから。果たして、きちんと研ぐことが出来ました。また、磨いた後の色変わりもなく塗料などで着色されてはいない地の色でありました。これならば①~③まではクリアです。専用のセーム皮で磨くと驚くような艶が出ました。


この時点で関所は越えているので、15千円の支出は無駄にはならないということになります。印箱は表の布は茶色でかなり薄汚れております。底や角の部分は一部が擦り切れています。これはよほど保管状態が悪かった、相当古いものである、何人もの所有者が変わった、といったことが考えられます。留め具の上の部分は取れて無くなっています。中蓋もビロードぽくて上質ながら、どことなく汚くて、さほど貴重品として扱われたとは思えません。

肝心の石はケースの穴にぴったりと嵌り、台座になる木にあけられた穴にも寸分違わず収まるので、ちゃんとした箱の職人さんの手による、この石のために作られた印箱であることは間違いありません。全体的な状態から判断すれば、本場中国で50年前後の過去に箱入りの商品として世に出たのではなかろうか、と思えます。つまり骨董価値を高め、本物感を出すためにわざと古色感を出すよう捏造された最近の悪質な贋作ではないということであります。


さて肝心の石、これは新しいか古いかは関係ありません。もともと何十万年も前のものですから印材として世に出てからの年数などは大した問題ではありません。最大の関心事は「石の種類」であります。しつこいようですが、これは田黄石では無い、が大前提であります。本物の田黄ならば重量10gそこらで数万円といった値段がつきます。目方で価値判断される・取引されるとは限りませんが、こいつは323g(昨日磨いて削った分1g減った)です。もし本物ならば軽く100万円以上は致します。

石の特徴・外観を挙げてみます。
・形は一応自然石(丸石)である。
・その表面1割ほどには白い微透明の皮らしきものが残されて「薄意」の浮き出す部分に色の変化を与えている。
・皮の部分を除くと非常に透明度が高く「黄水晶凍」などのような風情がある。少なくとも凍石と呼ばれる石に分類される
・大部分は薄い暗色がかった飴色(琥珀色)で、その中に薄い黄白色の層が漂い、ごくわずかな茶・暗赤色の筋が走っている
・緻密で美しい艶が出ている、印刀で削ってみると、極めて均質で彫りやすい
・前面に薄意が施されているが、それほど細密とも言えず、上部は大半が余白になっている。

世の蒐集家が尊ぶ田黄を鑑定するとき「温・潤・細・結・凝・膩」という「六徳」 が備わっているかで決めるそうであります。温潤な趣があって、細密凝縮感のある緻密な石質、膩は脂質(あぶら)であります。ねっとりとした艶やかさを併せ持つのが田黄の田黄たる所以であります。ワタシの目の前のこの石が、田黄として認められない理由は、石自体大きい・色合いが暗い・半透明で混じりけが多い印象であることに由来するのだと思います。温潤さはちょっと疑問に感じます。

ワタシの資料・書籍で最も似通って見える石はこれでありました。原題「中国寿山石(方宗珪著)」にありました。福建省で寿山石研究の大家・誉の重鎮とうかがいました。色合いと言い透明度やツヤ感、そして白い表面の感じがそっくりでした。無断転載なので問題があったら消します。💦
「大山黄凍石」、ネットではググっても該当の情報は得られません。
大山黄についての記載は「近年ではほとんど産出されていない。100㎏ほどの原石が見つかり、そのうちいくつかの黄色い原石が20万元近くで取引された」とか、「2020年にはオークションで4万元で落札された。」のあてにならない記事があったのみです。中国元ならば1元約20円ですよ。

その価値はともかく、どうやら産出量が極めて少ない「幻の石」なので、ほとんどの人がその存在すら知らないのでしょう。ワタシの手持ちの文献にもその記述はないのです。

結論から言えばこの石の種類も価値もわかりません。上記の基準で言うなら、④か⑤に該当します。どうしても知りたかったら専門の鑑定家に依頼することになるでしょう。田黄でなくても、もし大山黄であれば、大変なお宝ということになります。
パチンコならば7が揃って確変突入したのかもしれません。
粗末に扱って汚したりしないで大事に保管することにいたしましょう。
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ハプニング・想定外の日々 体がもたない

2023年05月22日 | 雑感
  1. わが巨人軍が、怒涛の5連勝を飾りました。開幕当初からパッとせず、期待の新外国人も年俸の割にはさえないのが3人、じりじりと順位を下げて、中日やヤクルトと最下位争いをしていたのです。とりわけ、先発などに起用される外国人が打たれて二軍落ち、勝ちゲームで7,8回を凌いでほしい中継ぎ陣が総崩れで、どうにも投手の不甲斐なさが目立ちました。

下半身のゴシップで顔色がさえない主軸の坂本や丸、吉川にも本来のあたりが出ず、孤軍奮闘だった中田が肉離れで離脱など、気勢が上がらなかったのです。そこで、ようやく節目が変わったのが若手の台頭であります。内野手では高卒3年目の中山、昨年のドラ4門脇は、卓越した守備力を発揮しレギュラー扱いとなりました。高校生で入団した時から大注目されていた身長2Mの好打者秋広が、完全にレギュラーに定着しました。

一昨年まで中継ぎで最も信頼が厚かった中山が、けがから復帰しました。加えてヤクルトドラ1で、巨人の田口とトレードされてきて1軍に入れずにいた廣岡大志とオリックスの鈴木康平投手の交換トレードが成立し、鈴木はさっそく本来の力を発揮しています。

ようやく借金を返し終え、昨日現在で貯金1となりましたが、これを偶然起こった椿事、ハプニングとみるのか、選手層の厚い巨人がやっとその戦力がそろって実力を発揮し始めたのか、よくわかりません。

さて、昨日新潟からようやく平塚に戻ったのでありますが、なかなか滅多におきないような一日でありました。新幹線で東京駅に着いたらすぐに東海道線の普通電車が来たので、飛び乗りましたがあいにく大混雑、朝5時から新潟で大根の種まきなどをして4日間大奮闘したワタシは疲労困憊であったのです。

そこで、奮発してグリーン車に移りました。しばらくたって車内精算の車掌の若い女性が来て1000円ちょっと支払いました。ところが、それから30分ほどしてその車掌がワタシの前で立ち止まり「グリーン券」を見せろというのであります。頭上のランプが赤、自分が使った「SUICA」をかざしても緑色に変わっていませんでした。彼女は、ワタシの顔はおろか、車内精算したことやシートの権利を確認するためランプを緑色に変える操作すら失念していたのです。

ワタシが想像するに、グリーン車にのる人種は大半がハイソな方々で、ある意味社会的な地位が高くうるさ型の人も多いのです。車掌の不手際で支払い済みのグリーン料金を再度確認されるような場面に遭遇したら「けしからん!!!」と怒る人が少なくないと思いますね。ワタシはそれに比べるとただの平民で、乗り慣れていませんし、フェミニスト・争いを好まないので何も文句を言わずにその場を収めたのであります。

やがて平塚駅に到着、すでに連絡していたので家内がナンバー77の「ナナちゃん」とネーミングされた薄緑色の軽乗用車で迎えに来てくれました。このナンバーは、こちらからオーダーしたわけではなく偶然で納車されたのです。ワタシが乗る普通車は78なので、なんとも不思議な事でありました。
ワタシの姿を見かけたら、家内は両手を大きく振って出迎えてくれるのです。あぁ恥ずかしい。平塚駅の南口ロータリーなど、人も歩いておらず寂れて狭いエリアですから一瞥しただけでどこに何があるかが見渡せます。うちの車は遠くからでもわかりますよ(笑)

で、乗り込んで5分、ここでまたしても滅多にないことに遭遇したのです。市道を普通に走っているワタシたちの車をめがけた如く、わき道から白いワゴン車が飛び出してきたのです。家内はとっさにブレーキを踏みましたが、その白い車はこちらに気づきのが遅れたらしくそのまま市道を突っ切る形でこちらの車の最後部に接触してしまったのです。勿論優先道路を走行していたこちらには瑕疵や事故責任はありません。相手の方は高齢の男性、聞けば免許返納のテストを受けたばかりの80歳を過ぎた人で、弁当・仕出しの自営で配達の最中だった様です。お互いの車体にはわずかな傷が生じましたが、人身にはなんの影響もなし、バンパーも割れてはおりません。

極端な話は、そのままその場で話し合い・示談みたいにしても良かったのです。しかし、世の中何があるかわからない、こうした時は念のため警察に確認をしてもらうのが面倒でも最善であります。

こちらは朝4時半に朝ご飯を食べてから飲み物以外は口にしておりません。お昼寸前で1時間ほど余計な時間がかかるのにお腹はペコペコ。たまたまお土産に買っておいた新潟名物笹団子があったのを思い出して、空腹を抑えることが出来ました。

その後に別件が入っていたのです(これはずっと前から予定した会合です)。菩提寺の「世話人」の会合に呼ばれておりました。遅い昼ご飯を掻き込み、一休みする暇もなく自分の仕事場へ赴き、メダカの餌やり、イチゴなどの収穫・室内直物の水やり、手紙・メールのチェックをして家に戻ると今度は次男夫婦が交通事故を心配して駆けつけていました。ワタシは晩御飯の約束だけしてすぐさまお寺に向かいました。小一時間の会議を終えると、なんと別室に食事の用意がしてありますと若坊さんが言うではありませんか。えーーっつ。せがれと焼き肉に行くのにーーーー

もう次々に想定外、世の中の無職の高齢者の方々はこんなあわただしい日常なのでしょうか(笑)。

倅夫婦と焼き肉をいただいたら、ようやくハプニングだらけの一日の終わりとなりました。振り返るとここ数か月、ちゃんと一日マイペースで過ごすことが極端に減った気がします。今朝はキャベツの虫取りをしてきましたが、お昼前に韓国人の友人夫婦が来訪することを思い出しました。
そうだ、お昼を食べさせなければ、この収穫したばかりのキャベツを持たせよう。

こんな事が続いたら身体(お金も)も持ちません。もうこれで、当分何も起きないことを願うばかりであります。

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