植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

永遠に戦争は終わらない

2021年08月16日 | 時事
昨日は終戦記念日、または敗北記念日であります。世界ではこうした敗戦を記念する日より、独立記念日や勝利記念、建国記念日などが圧倒的に多いのでしょう。我が国の建国記念日2/11は、紀元前660年に初代、神武天皇の即位した日を現代の暦に引き直した日だそうです。それが正しければ、建国後2680年間、基本的に他国の属国となることもなく、一つの国家としてずっと続いているのですから世界でも例が少ないと思われます。

 ここ数日はテレビでは追悼・戦争記録・戦争映画ばかりを放送しておりました。もう長いこと、「日本のいちばん長い日、黒い雨、男たちの大和、火垂るの墓」などの悲惨な戦争映画は見ないことにしています。ワタシは戦争を知らない子供たちの世代ですから、太平洋戦争の末期に起きた無数の悲劇を直接知りません。戦争のみならず、沖縄市街戦で起きた市民の悲惨な末路、長崎・広島、北海道でのソ連の蛮行なども知識として知るだけです。

 ワタシの両親の兄弟は15人いて、戦争では、誰も戦死しませんでした。父の長兄は激戦の果てに見捨てられた、ブーゲンビル島からの生還者の一人でした。兄弟集まって酒を飲むと、いまもこめかみに銃弾の破片が残ってる、とか川に手りゅう弾を投げ込んで太ももほどの太さの大ウナギを捕ったなどの話は聞きましたが、戦闘についてはほとんど話さなかったように思います。

 戦争の初期、母方の祖母はまだ30歳代に小倉で防空壕掘りをしていて生き埋めになりました。国内では、初めての民間人の死亡で「孝女烈婦」として表彰されたそうです。父は、呉の軍港で士官学校にいた時、終戦を迎えましたが、広島に行く用事があったのに取りやめたため、原爆に遭わずに済んだと何度も言っておりました。母には一度だけ機銃掃射に遭遇した、と聞かされました。

 敗戦となった日から76年、日本は一度も戦争することなく国内は平和でありました。明治に入ってから、日清戦争・日露戦争・第一次大戦、日中戦争、太平洋戦争と、1894年の日清戦争以来半世紀50年ほどで5回も他国と大規模な戦争を行ったのです。

 そして建国後2680年の間に、一度だけ本土に爆弾が投下され無数の市民が亡くなり焦土と化した挙句、アメリカの占領を許したのでした。負けて良かった、多くの人がそう思う理由は、天皇制が存続したこと、奇跡的に戦後の復興を遂げた、軍隊を廃止し戦争放棄したために、今に至るまで他国との交戦が無い、ということであります。生まれた時が数年あるいは数十年違うだけで安穏とした人生を送れているワタシ達は、ただ幸運であったと思うしかありません。

 そこで、アフガニスタンであります。アメリカがソ連の力を排除するために応援したタリバンやアルカイダによって9.11が引き起こされ、タリバン掃討のために、米軍はじめ多くの多国籍軍が駆り出され、多くの兵士とアフガニスタン人が亡くなりました。何十兆円ともいわれる資金を投じ、とてつもない犠牲の上に勝ち取った20年間の平和と安定は、バイデン政権に代わって何か月も経たないうちに駐留米軍の全面退去が決まり、あっという間に崩れ去りました。

 タリバンは、ほとんどの州都を制圧し、大統領は海外へ逃亡したそうであります。あのイスラム国を見るまでもなく、戦争は暴力と収奪と殺戮であります。武力でしか国を統治できない国は、戦争という宿痾から逃れることは出来ません。その犠牲になるのが国民なのです。

 アメリカという国は、自国の利益と都合で世界各地にちょっかいを出し、戦争を仕掛け、自分たちの都合で撤退いたします。あのベトナム戦争もそうでした。アメリカの政権が変わるだけで、国際間のパワーバランスが崩れていくのは大層危険なことであります。

 アフガンだけではありません。ミヤンマーの軍事クーデター、シリアのアサド政権、ベラルーシ独裁国家、そして中国の少数民族・香港台湾問題など、よくみると世界のあちこちで国民が弾圧され、軍隊が発砲して殺害されているのですね。

 そこには、アメリカと中国・ロシアとの覇権争い、が根本的に横たわっていて代理戦争をするという構図が見え隠れします。米国務長官は 「長い間米軍が駐留するのは国益にならない」と発言しました。アフガニスタンの国益、国民の安全ではなく、アメリカの国益しか考えていない。それが、世界の国同士の何千年と繰り返される戦争の意味を端的に表していると思いますね。
 

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