植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

田黄石はやはり格別でありますな

2021年04月18日 | 篆刻
ヤフオクでの書道具・篆刻用印材の落札は、このところ休止状態にあります。
相当数印材が収集できたので、当座使うに困らないことと、少し目が肥えてきて価値の低そうなものに手を出さなくなったことが主な理由であります。「一巡した」とも言えます。また、目に留まった良品が予想以上に高値になり、とうてい入札競争に加われなくなった、というのもあります。

 先日は、朝鮮の白磁系の小さな「水滴」を見つけて、気に入ったので数千円で入札しましたが、わずか径が7センチほどの古い小品が47千円にまであがりました。その前に見つけた2点の金工細工の時代物の文鎮、ウサギの紋様が可愛かったのですが、これもそれぞれ3万円以上で落札されました。実用に徹し、骨董的価値が出ているものには手を出さない、1万円以上は目をつぶる、がワタシのルールなので、落札などは及びもつきません。

 何万円もするものに何万円もかけるのは、結局必要でもないのに時価で購入した、に等しく、お得感はありません。ましてやまがい物で高い買い物をして損する、失望するというリスクを回避する意味でも、高いものに手を出さない、としたもんです。無数にある出品物の中から埋もれた逸品を安値で入手する、というのが多くのヤフオク・骨董趣味の人たちの楽しみでありだいご味でもあります。

 そこで石の中の最高峰、中国三宝といわれる高級印材「田黄石」であります。飴色や琥珀に似たこの石は中国福建省、寿山郷、連江県の数キロ四方の場所にしかありません。田黄坂といわれる水田の中に丸い小さな石で見つかったそうです。寿山石というのは彫りやすく、大量に出回っているのですが、寿山石の一種であるこの田黄石は非常に人気が高く、そこだけにしか存在しないこと、巨岩や岩盤になっていないために、希少価値が極めて高いのです。一説によれば天然の田黄石はすでに掘りつくされているともいわれます。中国や日本ではかなり熱烈な愛好家・収集家がいて、100万円以上の高値で取引されることも珍しくないそうです。

 この田黄石の真贋の見分け方は、蘿蔔紋(大根の断片のような模様)・紅筋があるとか、表面に皮のような被膜があるなどいろいろあるようです。ワタシは田黄石でなくても、時代物、良品質で古く価値が高いものの共通点を見るようにしています。それは①天然の丸石の形が残されていること ②印面が、最大径の部分ではなく少し細まったところで、石の形そのままの小さな面になってること。③すでに彫られている場合側款がある ④石の側面を余すところなく、美しく丁寧に景色などの薄い彫「薄意、微刻 」が施されている。というようなところです。

 欲しかったので幾度か入札しましたが、それらは数万円から数十万円で落札されました。ネットで出回るのも真正の石は少なく、結局は人造石、新田黄石と言われるもの、似たような黄いろい石、ラオス石などの「もどき」も多いのです。ワタシは、そんな田黄石のような出品のうち、通算で4点落札しました。一個4千円だったのは完全な人工石でした。

もう一つは思い切って2万円くらい出したもの。これです。

 天然石なのは間違いないのですが、本当の田黄石かは判断できません。真正の田黄石は写真でしか見たことが無いからです。ひびが数か所入っていて、割れたものを接着しているので、傷物として安かったのかもしれません。多くの収集家が「本物である」ことを信じると同じく、程度は悪いが本物だろうと信じることにしています。

 次に落としたのはこれ。
これは、表面に透明感やつやが無く、明らかに寿山石・田黄石ではないのでラオス・パリン石かもしれません。しかし、少なくとも石の粉を溶剤で固めたような人造石にはこんなきちんとした彫細工はいたしません。紐が二羽の鳥というのが珍しく、彫りが丁寧でありました。新しいものではありますが、細工物としてコレクションするにしましょう。

 最近1200円で落札したのはこれでした。一応は「連江黄」という記述があり、もしかしたら田黄石かもしれません、程度の説明ですが。実物をつぶさに見てみるとなかなかの逸品でありました。掘り出し物だとピンときました。

中心部にえんじ色の層があり、純粋な田黄石とは異なるとはいえ、4センチ弱の丸みのある小石の隅を落として形を整えているように見えます。よく磨かれた周囲には「蝙蝠」二匹、に洞窟と雲らしき薄意が美しく、上部には紐を通す小さな穴が穿たれておりました。

「砥柱」と彫られております。「砥柱」は黄河の流れに磨かれた様な石柱がたっていて、激流にもびくともしない、 乱世に身を処するのに毅然としているような意味で使われているようです。側款もあり作者名が刻まれています。佶という文字に「仙」か「作」と彫られておりました。

 超高級・高額な田黄石などの印材に共通する特徴を持っているのです。なんにせよ、この1200円は「ラッキー」とてもお安い買い物であったと思います。この印は、中国のかなり昔(数百年前)で公文書や漢詩・書道に使われていた印で、それなりの身分の方が、高価な田黄に準じた印材を使ったものではなかろうか、と勝手に(笑)推測いたします。この趣のある印は「お宝」として大事にしようと思います。

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