植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ここで篆刻の技量が少し上がったかもしらん

2021年12月10日 | 篆刻
毎度篆刻の話で恐縮であります。

 朝5時半、例によって早朝からの仕事をしました。その後ゴルフの予定が入っているので、わずかな朝の時間を活用してブログ更新と篆刻印の仕上げなどをいたします。働き者であります。

 落款用印(篆刻)をタダで彫ります、とチャットで告知してから11人の方にご依頼を頂いております。原則的には送料程度だけ頂ければ、彫り賃手間賃は頂きません。その送料すら500~600円程度なので貰わなくても構わない、というおおらかな気持ちです。わずかなお金でもめるのが一番嫌なのです。

 すでに彫ったの方は8名さんになりました。御一人3,4個を彫っています(大サービス)から、かれこれ30本近くなりましたが、その間3週間ほどかかっています。彫るだけなら、簡単なものは2~30分もあればざっと彫りますので、一日4本位は軽いのです。しかしその前に、適当な石をいくつか選び、印面を平らに磨って磨きます。その後、沢山の字典から集字しデザインを考え、印稿に落とし込み、逆さ文字で印面に転写するという作業が入ります。

 彫れた後も、何度も紙に印を捺しては、気に入るまで細かな修正を加え(補刻)、これで出来たよ、と印のほうでOKサインをくれる(ような瞬間がある)までわずか0.1ミリ前後の微調整を行うのです。更に、ここでもう一度印面を磨きます、表面の汚れや墨を取り除き、凸部にわずかな曲線を出すのです。すると浮き彫りにした箇所がツヤツヤでいかにも上手に彫れた体となるのです。

 更に、側面には、作った年月やワタシの名前(雅号)や彫った文字などを刻みます。これを側款といいますが、本職の篆刻家はこれで金を貰ってる(失礼)ようなものです。落款を入れない書画は、作者名が分からないタダの習作・書きつけの扱いになりますね。
 それが出来れば目の細かいサンドペーパーで印全体を奇麗に磨り、磨き上げます。これでようやく完成で、この作業が彫る以外に2,3時間かかるのです。

 ここのところ彫るほど赤字になる(笑)注文が増えてきてます。ちょっぴりお金を頂けるという話も舞い込んでいるので、ますます精進せねばというところであります。
 さて、それで昨日できたのがこれであります。
ワタシにしては上出来なのです。左の印が「独学書道」と彫りました。オープンチャットの書道仲間のHNがその名前で、なんと15歳の高校生!、聞けば彼のおばあさまとワタシが同い年( ノД`)…
 
 この印は、ワタシが試したちょっとした変種であります。字の部分を残して浮き彫りにするのを朱文(陽刻)といいます。その基本的な形は、四角い枠を作り中に字を彫る(写真右)ことにあります。朱文は印泥を使うと、もとの彫の太さより太めに捺されるので、出来るだけ細目にするというのが原則です。また、あまり細ければどうしてもフレームに近い部分に欠けが生じるので、それを防ぐように、枠を残すのです。その枠も、奇麗に彫れたものを最後にあちこち欠いて、態と古い印の風情にするというのが一つの技でもあります。

 今摸刻している名人の一人「 徐三庚 」はそうした陽刻では枠の部分を極力落としてほんのわずかにし、極細に彫るのを得意としていました。

 ワタシはこの枠を最初から作らず、文字で代用しようと考えたのです。そのため少し太めに字の線を残すようにしました。字画が壊れたら元も子もありません。そのため全体がぽってりした印象になりましたが、何かそれが生き物のような錯覚になって面白いとも感じました。あまりこうした印は見かけないので、邪道で好まれなかったのかもしれません。でもこれは存外おしゃれで、評判がいいのです。

 書も印も、「カッコいい」とか「奇麗」に見えるのが大事な要素なのだと思います。洒落た印を作ったら使う方でも気分が良かろうと思います。こうした自己流の作風をもう少し推し進めてみたいと思うのです。
コメント
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