松実ブログ

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ボクの漫画の主人公

2007年01月26日 18時19分23秒 | Weblog
「ボクの漫画の主人公」と言っても、実際のところボクはマンガを描いたこともないし、絵もさほどうまくはないので、「ボクの好きだったマンガの主人公」と言ったほうが正確だろう。今日はそんなボクが好きだったマンガについて書いてみようと思う。

記念すべき第一回目(続けるの???)は、ある意味でボクの教師としての原点とも言える作品「地獄先生ぬ~べ~」。

 この「地獄先生ぬ~べ~」は霊能力と鬼の力を封じ込めた左手をもつ小学校教師「ぬ~べ~」こと鵺野鳴介(ぬえのめいすけ)が妖怪や霊から教え子や市民を助けるという1話完結型のストーリー。
 妖怪や幽霊、UFO等オカルト的なものも多く登場するが、基本は教師であるぬ~べ~と生徒たちのふれあいや成長のお話。ドジ・スケベ・貧乏と3拍子そろったぬ~べ~だが、生徒や困っている人にとっては献身的で、いざというときは、鬼の左手で困難に立ち向かっていく姿は、「現実にはいない魅力的な先生」として映った。

 マンガのストーリーもメッセージ性、テーマ性を持った作品が多く、あらためて読み返してみれば、その裏側には教育論、道徳論、哲学論、社会論、人生論、環境問題、社会諷刺などを題材とした高度な内容が織り込まれているもの結構あった気がする。

 一番、印象に残っている話はぬ~べ~が山奥の洞窟に閉じ込められてしまう話

 遠足の下見のため、一人で山に出かけたぬ~べ~は、遭難者(実は失恋による自殺者)の人骨と共に、廃坑に閉じこめられてしまう。閉鎖された孤独な空間にたえきれないぬ~べ~は、死者を蘇らせる「反魂の術」を使い人骨をよみがえらせてしまう。
 よみがえった人骨は女の子の姿に戻ったが、生きていたときの記憶をなくしていた。その女の子はぬ~べ~と語り、遊びしていくうちに生きることのすばらしさを思い出し、早く外に出たいと願うようになる。

 食料も尽きはじめたころ、二人はふとしたキッカケで廃坑からの脱出口を見つけ地上に出るが、その途中で女の子は自分が生前に書いた遺書をみつけ読んでしまう(実はぬ~べ~が先に見つけ隠していた)。女の子は、その遺書を読んだとたん、自分が死者であることを思い出し、生きる気力をなくし骨に戻ってしまう。

 ぬ~べ~は、世の中の残酷さを叫び、自分の注意が足りなかったことを悔やみ、絶望するが、生徒たちの声で正気を取り戻し「俺は・・・生きるぞ」といい、山をおり、生徒の元に帰って行く・・・。


 当時のボクはこのわずか20数ページのマンガで「生きる意志」というものについてを考えさせられたが、なによりいつもは「頼れる先生」であるぬ~べ~が自分のミスを悔いて、絶望するが、生徒たちの声で「生きる」ことを誓う姿に不器用なかっこよさ、人間らしさを感じることができた。
 このほかにも様々な話があるが、読んでいくうちにどんどんと引き込まれ、生徒といっしょに考え悩む姿勢、ドジでマヌケだが生徒思いの姿、いざというときに頼れる存在、そして自分自身も完璧人間ではなく弱い部分が見え隠れする人間らしさ、に憧れ、いつの間にかボクの将来の中にぼんやりと「教師」という選択肢を生み出していった。

 実際にボクが教師になるに至るには、他にも多くの出会いや出来事が関係しているが、一番最初に「教師」を将来の選択肢に加えたのはこの「地獄先生ぬ~べ~」だということはまちがいない。
 もちろんボクには霊能力も鬼の左手もないが、せめて心意気だけはボクが憧れ惹かれた「現実にはいない魅力的な教師」に近づきたいと思っている。それはひどく困難なことかもしれないが、「かめはめ波」を撃つことよりはいくらか現実的だろうとも思っている。



♪あの頃のボクよ きみの目に
 今のボクはどんな風に映るのかな?
 憧れていたヒーローにはなれなかったけど
 信じた道をこうして歩いているよ


♪ ぼくの漫画の主人公/ゆず



 ☆ジロウ☆