ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

想像力を働かせる仕事、テリーヌ

2009-07-30 14:27:48 | Weblog
 昨日、久々に中村嬢(「寿」な理由により改名されましたが、分かりやすいので旧姓で書かせていただきます)が店に顔を出し、仕事で東京に行った時のお土産を持ってきてくれました。
 泊りが六本木ヒルズ内にあります「グランドハイアット」だったらしく、その「グランドハイアット」内のパティスリー・ブティック「フィオレンティーナ」のお菓子でありました。
 私が頂いたのは(マネージャーは違うものらしい、物を見せてくれないのはなぜなのか不明であります)、「アマンディーヌ」というものでした。
 まだ食べてはいませんが、アーモンドに糖衣をコーティングしてさらにチョコレートをコーティング、そして、ココアパウダーをまぶしたお菓子、とお見受けいたしました。
 見た目的には、「プラリーヌ」に似ている、と感じましたから、早めに食べてみたいと思います。
 ありがとうございました、中村嬢(2回目ですが、苗字が変わりました)。私も「アマンディーヌ」に負けないようなデセールを作れるよう努力します。
 因みに、先日、実家に帰郷し、その勢いで来店した元バイト長「ノッチ君」のお土産は「ピエール・マルコリーニ」の「生姜風味のビスケット」でした。(パンデピスも入ってたな)ノッチさん、美味しかったですよ、ありがとうございました。
 また来店した時は臨時休業しますから、君の好きな熱燗でも飲みに行きましょう、勿論、記憶があるうちのお開きはしませんのであしからず。

 さて、話は変わりますが、昨日の続きで今回は「野菜と魚介のテリーヌ」のルセットであります。
 
 まず、作る前に考えなければならないのは、家庭で手軽に、という条件がある事であります。
 「野菜のテリーヌ」は、ブロッコリー、インゲン、人参、アスパラガス、ベビーコーン、ズッキーニ、など数種類の野菜をボイルし、型に並べてゼラチン入りのコンソメを流し作るのですが、家庭で作るには少しハードルが高いでしょう。
 「魚介のテリーヌ」は、手間もかかりますが、それ以上に原価もかかる為、決して気軽に作れるものではありません。
 そこで、ある程度手間も原価もかけるが、それほど難しくないものでありながら、ネーミングがグッと来るもの、しかも、野菜も魚介も使用したテリーヌにしようと考えました。
 今回、私が考えたのは「鰻と茄子のテリーヌ」であります。
 鰻だけでは原価がかかりすぎるし、脂っこいため、比較的安価な茄子を間に入れ、味的な面でもクッションとなるように考えました。
 まず先に考えなければならないのは「鰻」の問題です。
 流石に、鰻を「裂き」からやるのは厳しいですから、市販の「鰻の蒲焼」を使用しましょう。
 鰻の処理はこうであります。

・市販の鰻は勿論、タレが絡めてあるので、ぬるま湯で洗う。

・面倒でも一回蒸し器に15分ほどかけ、柔らかくしてから冷ます。(電子レンジでは尻尾の方が硬くなる可能性がありますし、色的に黒いものに反応しすぎて焦げる場合がありますので、是非、蒸し器でお願いします)

 この処理をするところから始めましょう。
 次に「茄子」でありますが、火を入れつつ皮を剥く、という作業は「焼き茄子」となるのですが、「焼き茄子」にしてしまうと焦げ臭さが若干残りますから、今回は、高温の油で揚げて下準備をします。

・茄子のヘタのところは切り落とす。

・縦に切り目を入れて皮を剥きやすくする。

・200度の油で揚げる。

・氷水にいれ急冷し、皮を剥く。

・冷蔵庫で冷やしておく。

 これで「鰻」と「茄子」の下準備は完了です。
 次に、一般のご家庭にテリーヌ型は無いでしょうから、100円ショップなどで販売している「パウンドケーキの型」を準備してください。
 一度洗ってから、中を軽く拭き、ラップを敷きます。
 鍋に、水、顆粒状のコンソメの素、を入れ沸騰させ味を見ます。あまり、コンソメの素が入りすぎると塩気が強くなりますので、「もうちょっと入れたほうがいいのか?」と思うくらいで大丈夫でしょう。
 それに今度は塩で味を決め、戻したゼラチンを入れます。ゼラチンを入れる量の目安は、液体に対してゼラチンが約3%ですから、100ccの液体(この場合はコンソメ)に対して3グラムのゼラチン(戻す前のもの)、となります。
 コンソメにゼラチンを入れたら少量を、ラップを敷いたパウンドケーキ型に流し、冷蔵庫で冷やします。(残りはまだ冷やさない)

 冷やし固まった少量のコンソメ(型から5ミリ程度の量)が入ったパウンドケーキ型に、茄子、鰻、茄子、鰻の順で敷き詰めて冷蔵庫に入れ、その間に先の残っているコンソメを氷で冷やします。
 やや固まってきたか、という時にパウンドケーキ型に流し、隙間が無い事をチェックします。
 上からラップを被せ、先に敷いたラップのはみ出し分と被せたラップを密着させ折り込みます。
 出来れば、パウンドケーキ型と同じ形のダンボールを切り、上から蓋をするようにし、輪ゴムで全体を締めると出来上がりが綺麗になります。
 それを冷蔵庫で完全に冷やし、出来上がりです。
 型から外してみると、逆さになりますから、最初に少量流したコンソメが茄子の上に浮いているように見えるはずです。
 ヴィネグレットのような酸味のあるソースでもいいでしょうが、市販のコーンスープをソース代わりにするのも面白いかもしれません。

 とこのように、難解な説明になってしまいましたが、一つ一つの作業をしっかりしていけば確実に出来るはずです。

 今週は、長文ウィークになってしまいました。

 毎回お読みになられている方は、大変辛い思いをしたのではないでしょうか。

 来週は、ブログ更新を少し控えさせていただこうか、と考えておりますので、もし、そのようになった場合、「書き疲れたのだな。」と思ってください。

 更新がまだ続いた場合・・・「ノり過ぎ!」と思ってください。

 ご清読ありがとうございました。






 
 
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白い食べ物、それは儚い

2009-07-29 13:45:23 | Weblog
 最近、自宅で猫を飼ったのですが、思いっきり黒猫で、深夜帰宅すると闇夜に眼だけ光っている様には恐怖すら覚えてしまいます。
 一瞬「ハッ!」となるのが、エアコンをつけなくても良い結果に繋がる、というのに気づきました。
 それで猫の名前を「エコ」にしようとしたのですが、もうすでに「クロ」で決定していました、私の意見は通らないのですな。
 しかし、「黒猫」だから「クロ」というのもそのまんまな名前でありまして、「白猫」だったら「シロ」という名前になっていたのでしょうか。
 ですから私は、「クロ」という名前は、略して「クロ」なのだ、という考えを持ち、「クロ、お前は今、クロと呼ばれているが、その名前は略して「クロ」なのだからな。」と言って聞かせました、勿論、その時「クロ」は、「何言ってんだ、お前?」という顔をしておりましたが・・・
 色々考えたのですが、「黒沢年男」で「クロ」では可哀想ですし、第一、クロはメスであります。
 「クロード」も男性名ですし、「クロエ」では「24」に出てくる女性になってしまいます。「クロッカン(仏語でカリカリした状態)」でも意味不明です。
 そこで出てきたのが「クローチェ・エ・デリツィア」という言葉でした。
 イタリア語で「苦悩と歓喜」を意味するこの言葉、まさに人生を表しているとは思えないでしょうか。(六本木にこの名前のイタリアンレストランがありました。一度行った事があったのでこの名前が出てきたのですが、現在は閉店したそうです、残念。)
 「クロ、お前の本名は「クローチェ・エ・デリツィア」なのだからな。」と言い聞かせておりますが、その名前では見向きもしません、一生懸命考えたのに!
 因みに、クロは4歳で、人間の年にすると「37歳」なのだそうです。微妙な年齢なのね、お前は。

 さて、話は変わりますが、いつも当ブログをお読みになっている方より

「カリフラワーのブランマンジェと、簡単に出来る野菜か魚介類のテリーヌの作り方を教えて欲しい。」

 とのコメントを頂きました。
 ですから、今日から2回に亘って(わたって)、「カリフラワーのブランマンジェ」「野菜と魚介のテリーヌ」の作り方を載せたいと思います。
 まず、今日は「カリフラワーのブランマンジェ」から。
 
 通常「ブランマンジェ」というとアーモンドを牛乳で煮出し、ゼラチンで固めたデセールを指すのですが、最近では料理にも応用される事が多くなりました。
 「ブランマンジェ」は仏語で、「ブラン(白い)」と「マンジェ(食事、食べ物)」という意味を持ちます。因みに、伊語では「ビアンコマンジャーレ」となります。
 私が作っていた「カリフラワーのブランマンジェ」の作り方はこうです。

「カリフラワーを掃除→牛乳で煮る→塩とカレー粉を加える→荒熱が取れたらミキサーに掛ける→ゼラチンを加える→生クリームを加える→冷やし固める。」

 このような工程です。
 ルセットはこのようになります。

・カリフラワー 1株

・牛乳 400cc

・塩 6グラム

・カレー粉 0,5グラム未満

・ゼラチン 10グラム

・生クリーム 150cc

  
 カリフラワーの掃除、というのは、1房づつに分けた時に房に下の方に付いている小さな葉のようなものを取り除く作業です。
 掃除したカリフラワーを水洗いした後、鍋に入れ、牛乳を注ぎ、火にかけます。沸騰しすぎると吹き零れますので注意してください。
 牛乳で煮ている時に塩とカレー粉を加えますが、カレー粉を加える理由は、カリフラワー独特の生臭さをカレー粉で消すためです。
 しかし、カレー粉を入れすぎるとカリフラワーの香りが損なわれますので、ホントに少量で結構です。カレー粉の香りがするな、となった時はもう遅いのです。
 カリフラワーがクタクタになるまで煮て、荒熱を取ってからミキサーに掛けますが、濾す必要がないくらいまでミキサーで回してください。濾してしまうと繊細な風味が無くなり、生クリームを加えた時、クリームの味しかしない可能性が出てきます。
 水で戻したゼラチンを鍋に入れ、弱火にかけ、溶かします。すぐに溶けますので、溶けたらピュレ状のカリフラワーに加えてください、すばやくです。
 ボールに入っているカリフラワーのピュレを氷で冷やしながらゴムヘラで固まってくるまで混ぜます。
 固まってきたら生クリームを加え、すばやく混ぜ合わせます。
 それをさらにすばやくプリンカップに入れ、冷蔵庫で冷やして完成です。

 ゼラチン物の場合、スピードと正確さが必要になりますので、材料を全て用意しておく、プリンカップを並べておく、などの先読み仕事がカギになってきます。

 そのまま食べても美味しいと思いますが、ボイルした海老や海胆(うに)などを添えると、より豪華さを演出できるでしょう。

 如何でしたでしょうか?なると様。

 明日は、家庭で出来る「野菜と魚介のテリーヌ」を載せたいと思います。

 う~ん、やはり白ワインでしょう、この2品には。









 
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新しいデセールを作るとき、ルセットも作らなければならない

2009-07-28 14:12:30 | Weblog
 トロ~ンとしたハワイアンの音楽と、ネットリとしたボーカルが耳に残る「チューブ」の音楽が何処からともなく流れているような気がし、慌てて周りを見渡してしまう、そんな季節の今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 昔、「チューブ」のギタリストが、サーフィンボードの形をしたギターを弾いておりました。気持ちは物凄く判るのですが、「そこまで夏ですか!」とツッコミを入れたくなる瞬間でありました。
 代表作「あー夏休み」に象徴されるように、日本の「ビーチボーイズ」と呼ばれている「チューブ」は「夏」がキーワードになっております。
 「夏に湘南で恋をする」のような展開が多々ある「チューブ」の曲ではありますが、その中で「恋してムーチョ」というのはワールドワイドな曲になるのでしょうか。
 「ムーチョ」というくらいですから南米を意識しているのは分かりますが、南米でしたら常に夏、「チューブ天国」と言えるでしょう。
 しかし、「ムーチョに恋をして」なら日本語としてある程度成立しますが、「恋してムーチョ」は、難解なタイトルであります。もしかして、「カラムーチョ」からインスパイアされた曲なのではないか、と変に勘ぐられてしまいますから気をつけたいものです。

 さて、話は変わりますが、先週の頭、製菓関係の業者さんから新商品の案内とその新商品の期間限定値下げのお話を頂きましたので、その製菓新商品を注文してみました。
 「新商品なのに、いきなり値下げ・・・何で?」という疑問が付きまといましたが、とりあえず。
 「ヤウート・シャンティイ」という商品名は「ヤウート(ヨーグルト)」を「シャンティイ(ホイップ)」出来る、というそのまんまのネーミング。(仏語です)
 「ヨーグルトをホイップする利点とは何か?」と一瞬、考えてしまいましたが、よく考えると、水っぽくなく、ストレートにヨーグルトの味を出せる、と取れます。
 では、これをどう、デセールに生かすか?というのが問題になるわけです。
 グラニュー糖を入れ、ホイップして、マリネしたフルーツに合わせるのもいいでしょう、クリームチーズと合わせてレアチーズケーキのようにするのも悪くありません。
 色々考えましたが、私は、この「ヤウート・シャンティイ」にイタリアン・メレンゲを混ぜ合わせ、「シブースト風」にするのがいいのではないか、と考えました。
 本来「シブースト」とは、「クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)」にイタリアン・メレンゲとゼラチンを合わせたクリームを言い、焼いたタルト生地にフルーツを乗せ、シブーストクリームを絞った「タルト・シブースト」が有名であります。(その他に「サン・トノレ」などのお菓子にもシブーストクリームは使われます)
 
 今回私は、「クレーム・パティシエール」の部分を「ヤウート・シャンティイ」に置き換え、「クレーム・パティシエール」の風味を「ソース・アングレーズ(卵とヴァニラ風味の甘いソース)」をかけて再現しようと試みました。
 まず、「ヤウート・シャンティイ」には、甘みがありませんから加糖しなくてはなりません。
 味を見ながら「これくらいか?」などと勘に頼るような仕事は、私の仕事ではありませんから、きっちり計算する必要があります。
 ケーキに使用するホイップクリーム(仏語クレーム・シャンティイ)は、生クリーム100%に対して10%の砂糖を加糖しています。これを叩き台にすると、ヤウート・シャンティイ(以下、「Y・S」と略)に10%のグラニュー糖、となるのですが、酸味のある「Y・S」は甘みの余韻が短くなります。
 しかし、この過程でグラニュー糖を入れすぎると、この後のイタリアン・メレンゲの、卵白100グラムに対してグラニュー糖200グラムという甘さと混ぜ合わせた時の味も考えなくてはなりません。
 という事は、15%の加糖くらいで様子を見たほうがいいでしょう。
 そうやってルセットが完成していきます。

・ヤウート・シャンティイ 400グラム(100%)

・グラニュー糖 60グラム(15%)

・レモン汁 1/2個分

 これをホイップしておきます。
 次に「イタリアン・メレンゲ」。
 これは、普通のメレンゲと違う点は、118~125℃に熱をつけたシロップをホイップした卵白、つまりメレンゲに加え、メレンゲ自体に火を入れ保存性を高め、且つ、しっかりした固さのメレンゲを作り、クリームなどと混ぜ合わせた時にメレンゲ独特のフワフワ感を持続させる、という普通のメレンゲとは一線を画す目的のあるメレンゲであります。

・卵白 100グラム

・グラニュー糖 200グラム

・水 70グラム

 まず、鍋に水とグラニュー糖を入れ火に掛け、同時に卵白をミキサーに掛けます。
 鍋のシロップが118~125℃になった頃、卵白も固く立って来ます。
 ミキサーの鍋肌からシロップを注ぎ、さらにミキシングし、荒熱を取ります。

 ゼラチン8グラムを戻し、鍋に入れ火を掛け溶かしたものを、ホイップした「Y・S」に入れ混ぜ、イタリアン・メレンゲを加えセルクル型に流します。
 冷やし固めたものに「ソース・アングレーズ(卵黄、グラニュー糖、牛乳、ヴァニラを混ぜ、82℃に加熱したものを冷ます)」をかけて完成。

 このようになります。
 只今、コースのデセールとしてお出しいたしておりますので、ご興味のある方は是非、ご賞味ください。

 前半「チューブ」の話などをしておりましたから、物凄い字数になってしまいました。
 
 今回の記事は、料理に興味のない方には辛い記事だったのではないでしょうか。

 心中、お察しします。

 でも、これが私のブログなんです。

 ご理解くださいね。






 
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土曜から日曜にかけての微妙な時間

2009-07-26 02:54:23 | Weblog
 晴れたり雨が降ったりの天候が続いておりますが、日曜日くらいは晴れてもらいたいものです。
 そんな願いも込めまして、日曜日のランチメニュー紹介、してみたいと思います。


     7月26日(日)ランチメニュー

     前菜

・ツブ貝と帆立のクリュ ガスパチョ仕立て

     又は

・ローストした豚ロース肉 ラヴィゴットソース


     本日のスープ

・白いんげん豆と玉葱のポタージュ


     メイン

・本日のお魚のポワレ 加茂茄子のマリネ レモン風味のソース

     又は

・仔羊ロース肉のソテー 万願寺ししとうのグリエ ジュ・ダニョー


     デセール

・ヨーグルト風味のシブースト ヴァニラのアイス添え


 以上になります。

 最近、長文連続投稿で食傷気味になられている方もいらっしゃるかもしれませんが、時間がある時、書き貯めしていた文にちょっと手を加えたものを放出しております。

 書き出し文章の季節感がずれている可能性もありますが、その辺はご了承ください。



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夏の諺、夏の出来事、架空の話

2009-07-25 22:05:43 | Weblog
 そろそろ梅雨明け宣言が出そうな勢いがある今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 海の日を過ぎてしまえば夏である、というのは昔の話なのでしょうか?ちょっと前まで西日本は大変な事になっておりましたから、これからが夏本番、というところなのでしょう。
 夏のことわざといえば、「飛んで火に入る夏の虫」というのがありますが、辞書には「自分から進んで、身を滅ぼすような物事に関係する事」と説明がありました。
 「飛んで火に入る夏の虫」がそんなにデカダンス(退廃的・耽美(たんび)的傾向)なものだとは思えませんが、「自分ひとりで敵地に乗り込む様」くらいなものだと私は思います。
 しかし、この「飛んで火に入る夏の虫」な状況は、生きているうちに何度もないどころか、ほとんどないでしょう。
 仮にあったとしたら、現実的にどんな事になっているのでしょうか?私なりの手法で考えてみたいと思います。(この物語はフィクションであります。団体、個人名などは架空のものですのでご了承ください)

 ・スーパー店長ヒロシの場合
 
 スーパー「みらい」の店長であるヒロシ(46)は、物腰が柔らかく責任感の強い人柄なため、オーナーや従業員から絶大な信頼を受けている。
 背も高く、容姿も年の割には爽やかで、スーパー「みらい」の「ヨン様」などと密かに言われていたくらいであった。
 そんなヒロシに、店長以上の想いをかねてから寄せていたパート従業員ヨシコ(57)は、今週末の「スーパーみらいビアパーティー」の手伝いでヒロシとさらに仲を深いものにしようと目論んでいた。
 上の息子が大学で上京、娘が今年就職で一人暮らし、と子供たちが次々に家を出て行ってしまい、夫との二人暮らしに息が詰まっていたヨシコは、パート時間を前より長くしてもらい、店長の傍に長く居られる事が「唯一の幸せ」と感じていた。
 ビアパーティー当日、地元密着型のスーパー「みらい」は駐車場を開放し、ビアパーティーのセットを組み、焼き鳥の屋台やスーパーのお惣菜をなどを並べ、お祭りの雰囲気を醸し出した。
 辺りが暗くなり、ハワイアンな音楽が流れた頃、地元の人たちが集まり話し声はざわめきとなる。
 午後9時にお開きとなると、そこから後片付けに入り、10時には「お疲れ会」と称して従業員同士の飲み会になる。
 店長ヒロシは、今日のみんなの働きぶりを労い(ねぎらい)、ひとりひとりにお酌して回った。

「どうもお疲れ様でした、どうぞ、どうぞ、飲んでくださいよ。」

「さぁ、さぁ、今日は疲れたでしょう。」

 みんなにビールを注ぎ、そして、ヨシコにもそれは回ってきた。

「ヨシコさん、今日は遅くまですみませんでした、ご主人心配なさってるんじゃないですか?」

「大丈夫ですよ、あの人は・・・私が遅くなろうと関係ないんですから。」

「そうですか・・・まぁ、どうぞビールでも飲んで疲れを癒してください。」

「はい、頂きます。店長も飲んでくださいよ。はい、ご返杯、さ、どうぞ。」

「あぁ、すみませんね、じゃあ、お言葉に甘えて・・・ゴクッ、ゴクッ、ア~、うまい!」

「あら、いい飲みっぷりですこと、もう一杯どうぞ。」

「いやいや、この辺にしておきますよ、これからが長そうですからね。じゃ、また後で。」

 そう言うとヒロシはまた次の人にビールを注ぎに回った。 
 それから、どれくらい時間が経ったのだろうか、一人抜け、二人抜けしていくうちに結局、ヒロシとヨシコを含む4人になった。
 
「じゃあ、明日もありますから、軽く片付けて帰りましょう。」

 ヒロシがそういうと、他の3人は酔いながらもグラスをまとめ、ごみをゴミ袋に詰め始めた。
 そんな中、ヨシコは目眩を起こし、事務所で少し休む事に。
 しばらくして、店長ヒロシが、

「ヨシコさん、大丈夫ですか?」

 そう声をかけると、

「みんなは、みんなは帰ったんですか?すみません片付け途中で・・・」

「みなさん帰りましたよ、ここに残っているのは僕たち二人だけですよ。」

「二人だけ・・・フフフ・・・」

「どうしたんですヨシコさん?」

「飛んで火に入る夏の虫、だな!」

「えっ!」

 非常に長くなってしまいましたが、こんなパターンが考えられます。
 「この後、ヒロシはどうなったのか?」などはご自分でお考えください。

 今年は冷夏だと言われておりますが、私の中だけは熱い夏を!、そのように思う所存です。

 「こんなブログ書いて、お前は妄想家か!」

 などのご意見もあるでしょう、その場合は、コメント欄にて受け付けております。

 そのコメントを頂いた時、私は心の中でこう思うのです。

「飛んで火に入る夏の虫・・・になるのか?」








 

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店舗オープンは出来る、問題は持続できるか

2009-07-24 20:01:08 | Weblog
 4年ほど前、知り合いの方から連絡があり、このような話を頂きました。

「レストランをオープンしたいので手伝って欲しい。」

 よく話を聞くと、数種類のパンを提供する大箱ダイニングバーを開店したい、ついては基本的なフレンチを現場で作って、メニューの叩き台を決めて欲しい、というものでした。
 知り合いの方が開店するのではなく、その方の仕事の繋がりの会社が運営するレストラン、という非常に怪しい図式ではありましたが、数日後、その会社の社長さんとお話をさせていただきまして、店は3日しか休めない、休んでいる間の営業を保障する事、などの提示を承諾していただきましたので、マネージャーと共にオープンを手伝う事になりました。
 しかし、そんな大箱のレストランを山形でなんて、ギャンブリングですなぁ、と思って場所を聞きましたら

「山形ではありませんよ。」

「じゃあ、どちらで・・・」

「あれ?言いませんでしたっけ?上海です。」

「シャンハイ?シャンハイって、上の海と書くシャンハイですか?」

「えぇ、中国の上海ですよ。」

 そうして、我々は中国、上海へ行く事となったのです。

 上海空港を降りて、タクシーで中心地へ。
 誰かに追われ、カーチェイスをしているかのような猛スピードで、クラクションを鳴らしながら前の車を追い抜いていくタクシーの運転手は、鼻をほじりながら余裕を見せていましたが、我々は死と隣り合わせの状況を突きつけられたようで、笑顔を見せれませんでした、頼むぜ!運ちゃん!
 ホテルにチェックインしたのが夕方の6時頃、それから現場へ赴き、厨房設備のチェックと店の状況を視察。
 その後、現地で流行っているレストランに連れて行かれ敵情視察を3店ほど。
 結果から言えば、凝った造りのダイニングバーで照明は暗く、料理は中華と洋食のコラボレーションのようなもの。
 料理の質も悪くなく、店内は空間を大事に造ってあり、男性4人で行った事を後悔させるようほどお洒落且つモダンな感じでありました。
 
「上海の芸能人も来るそうですよ、この店。」

と説明していただきましたが、残念ながら上海の芸能人を私は誰一人として知りません、

「あそこのカウンターで飲んでる男性、八百屋の配達の人に似てますよ、あ、勿論山形のね。」

 などといって、失笑を買ってしまうのが関の山でありました。
 今話題の、これが有名、などのものを食べさせていただき、3店回ってその日は解散、ホテルに戻り、ほんの少し休憩してから、マネージャーと夜の街に出かけました。
 オープニングチームのスタッフに事前に自分たちが泊まるホテルの近くの居酒屋風なお店を聞いておりましたので、そちらへ。
 漢字だらけで店名は未だに不明なのですが、「竹屋荘」の字が目立ったので、我々の中で「竹屋荘(たけやそう、そう読むのかも不明)」に決定。
 そのお店の良い所は、日本語は勿論、英語も殆ど通じないという現地人御用達系居酒屋。料理は勿論美味しいのですが、言葉がうまく伝わらなくて注文したものとまったく違うものが出て来るのが感動します、しかも物凄く安い。2人でチンタオビール6本と紹興酒ボトルで2本、料理取り分けで6品注文して日本円で約4000円、そして、何と!24時間営業!営業時間を聞いただけで毎日通う事を誓ってしまいました。(実際通ったのですがね、毎日2人で紹興酒をボトル2本空けるため、行くたびに苦笑されました)
 
 次の日、現場へ朝7時に到着、それからが苦悩の始まりでした。
 前日に厨房を確認しましたが、中華専用の厨房なのです(前が中華料理だった)、

「鍋は一杯あるから色々使ってね。」

 と気軽に言われましたが、中華鍋しかありません、ガス台は、中華用ハイカロリーバーナー搭載の3連ガス台でありました。これでフレンチを作らなければならないんですよ、テンション下がりまくりでしょう、これでは。
 しかし、そんな事は言ってられません、とりあえず買出しへ。
 フォン・ド・ヴォーは取る時間がありませんから、ジュ・ド・ブフ(牛のジュース、煮詰めてソースに使う)を取ろうと市場へ、牛肉が殆どありません。
 ジャンボピーマンが豊富にあるのでラタトゥイユでも作ろうとスーパーへ、ホールトマトとトマトピュレがありません。
 海老が大量にあるので海老のムースでも、と海老を買って帰ってくると、フードプロセッサーがありません。
 この、ないない尽くしの状況は時間の無い私にとってこの上ないプレッシャーを与えるのでした。
 しかも思いっきり中華の厨房。それに加えて隣の店のシェフが「お前、出来んのか?」と笑いながら仕事を見に来て大騒ぎ、いい感じで仕事を邪魔してくれますな~。
 しかし、この国のシステムに慣れれば何とかなるものです、牛肉は現地の人に言って何とかゲット、ホールトマトはありませんんが、スーパーをよく探せば漢字だらけのトマトペースト(中華用)を見つけました。
 フードプロセッサーが無いのはしようがありませんから、海老と帆立の貝柱を中華包丁で細かく叩き、卵白、生クリーム(これも1日かけて探した)と共に混ぜ合わせ、スプーンでフットボール型に整えてボイル、「海老と帆立のクネル」に。
 
 3日間、朝7時に出勤、夜11時過ぎまで料理を作り、その後、「竹屋荘」で紹興酒をテーブルにおっ立てながら3時過ぎまで反省会。(と言いながらただの飲み会)
 と充実した仕事をこなし、メニューの叩き台とまでは行きませんでしたが、オーナーからは感謝されましたのでそれなりの仕事をして帰国したのです。

 先日、その知り合いの方が来店なされて、今度、貿易関係の仕事になったのでよろしくね、と名刺を差し出しつつ、ワインを飲んでいったのですが、残念ながら、そのお店は閉店、オーナーの会社も閉鎖、となってしまったそうであります。
 
 私はそこしか接点がありませんでしたし、それから連絡が無かったものですからうまく行っているのか、と思っておりましたが、世の中そううまく行かないようです。
 
 知り合いの方は、「藤原さんたちはよくやったよ、あれからメニューを決めて、オープンしたけど、会社が店を持続できなくなったから仕方が無い事。私も今、貿易関係の仕事で中国と日本を行き来しているので忙しい。」
 との事でしたので、その当時の事は良い思い出にしております。

 最後に「また何かあったらお願いするかも。」と不吉な言葉を残していったので不安を感じましたが、今度はヨーロッパにしましょうよ。

 でも、営業補償費はあの当時より高くなりましたぜ。








 

 
 
 
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嗚呼、アンテナショップの悲劇

2009-07-23 13:17:11 | Weblog
 昨日は46年ぶりの皆既日食だったそうですが、私は見る事もなく終わってしまいました。
 皆既日食が最もよく見えると言われた鹿児島県の悪石島には、数日前から詰めていた人もいる、との事でしたが、その人たちは何の仕事しているんだろう、という事が頭を過ぎったのは私だけでありましょうか。
 皆既日食を見る、という理由で、数日間休んでもいい仕事とはどういう職種なのか?よほど余裕のある自営業か、結構な日数有給を取っても支障が出ない、又は、周りの目が気にならない仕事、その程度しか思い浮かびません。
 私はまったくと言っていいほど興味がありませんから、現地まで行って日食を見る、という行動は理解できませんが、その人たちにしてみれば、ギブソンのギターに20万円もつぎ込んだ私の気持ちはまったく理解できないでしょう、まぁ、個人的な想いなんて他人には判らないものですよね。
 
 話は変わりますが、今年の春にオープンした、東京は銀座にあります「山形県アンテナショップ」及び、地場イタリアンレストラン「山形サンダンデロ」は大盛況だ、という話を聞き、「それは良かった。」と思ったのですが、その後の話で、「それは・・・どうでしょう?」と思ってしまいました。
 それは、「山形サンダンデロ」へ、山形県から山形県人の観光客が行っている、との事でした。
 なぜに山形から東京へ行き、銀座へ向かい、山形の食材を食べようとするのか、その行動理由に疑問が付きまといます。
 山形に居ても食べられる食材を、わざわざ東京で食べる、という行動は、海外へ行ってまでも日本料理しか食べたがらない人と何ら変わりないはないでしょう。
 その事をとある人に話したら「何でそんな事を言うのだ。」「別にいいではないか。」「お前はそんなに偉いのか。」などと、本文とかけ離れたご意見を頂きました。(最後のお言葉はまったく的を射ておりません)
 この話で私が主張したいのはこの数点

・山形アンテナショップは、基本的に山形県以外の日本国民に広く山形県の物産を知ってもらうための店であるから山形県の人間がそこで買い物をしてしまったら意味がないのではないか。

・山形サンダンデロの良さを流布するために「山形サンダンデロ」に行っておくのだ、と主張するのならば、その旗艦店である「アルケッチャーノ」に行けば良いだけの話しではないか。

・フラッグシップ(旗艦店)である「アルケッチャーノ」が満席で入れないので「山形サンダンデロ」へ行く、というのは、何が食べたいのか自分でよく分かっていないのではないか。

・東京の店は緊張するから「山形人」がいる、「山形サンダンデロ」へ行く、というのであれば、東京で食事しなければよいのではないか。

・山形から予約をして団体で「山形サンダンデロ」へ来店した場合、東京在住の人が入れない事が予想されるが、それについてどう思うか。

 こんな挑戦的な事を書いてしまうと妙齢なご婦人方から抗議のコメントを頂く可能性もありそうですが、私は「絶対に行くな!」とは言っておりません。ただ、何も東京へ行ってまで山形に触れなくても、住んでいる所が山形なのだから地元でいいじゃないですか、という事を言いたいのです。

「だったら、どうすりゃいいの!」

 銀座へ行ったら7丁目の「銀座ライオン」辺りでビールでも飲んで涼んでいたらいいじゃないですか。

 結構リーズナブルですのでお勧めであります。






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男の料理、それは、不器用だけではいけない

2009-07-22 13:52:31 | Weblog
 衆議院も解散し、あと40日で投開票日を迎えようとしている今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 テレビのニュースで、「衆議院、解散!」という掛け声と共に万歳三唱が行われていましたが、何がそんなに万歳なのでしょうか?
 一説によると、解散し各選挙区に戻るというのは、戦地に赴く(おもむく)事と同じ事と考え、万歳三唱で送る、という説得力に欠けるような話を聞きましたが、再びこの地(国会議事堂)に戻って来る事を祈り、万歳三唱、の方がより自然のような気がします。
 勿論、その中には「バンザ~イ、なしよ。」の人も出てくる事になるわけですから、選挙というのは怖いものだと思って間違いないでしょう。
 8月30日が投票日、という事はお盆辺りも選挙活動に勤しむ(いそしむ)人が出てくるでしょう。そして、25日過ぎから「最後のお願いコール」が炸裂、28日に「最後の最後のお願いコール」が木魂(こだま)し、29日には枯れた声で「今度こそ最後の最後のお願いコール」に涙する事でしょう。
 しかし、その涙に騙されてはいけません、冷静に街頭演説などを聞き、冷静な判断の元、投票するようにしなければなりません。
 そして、事前に当落選を予想して、投開票日当日、それをネタに酒を飲む、などという行為は選挙を侮辱する事になりますから気をつけましょう。
 残念ながら、前回の衆議院選に私はそれをしてしまいましたので、過去の行為を反省するためにここに吐露し、「衆議院選当落予想ネタ飲み」をしない事を誓います、いや、しないよう努力します、いや、しないかもしれません・・・スミマセン!するかもしれません!(選挙侮辱者宣言)

 さて、話は変わりますが、以前、仲の良い某和食店の料理長に「市場でマトウダイ(的鯛と書く魚。ボディーに的(まと)のようなペイントがある)が入ったら買ってきて欲しい。」とお願いをしていたら、先日、大きなマトウダイ(仏語サン・ピエール)を2匹買ってきてくれました。
 それと一緒に「もし使えるんだったら・・・」と、冷凍してある魚のアラも頂いたのですが、見てみると天然真鯛のアラあり、平目のアラあり、金目鯛のアラありで高級魚の頭や中骨で溢れておりました。
 ヒュメ・ド・ポワソンは3日前に取ったばかりでしたから、

「これは・・・自前で保存している魚と一緒に高級魚のアラを使用したスープ・ド・ポワソンでも作るか。」
 
 と、一人意気込んでしまった次第でした。
 作り方は、それほど複雑ではありません。

「ミルポワ(香味野菜。玉葱、セロリ人参の事。以下略)をオリーブオイルで炒める→魚と魚のアラを炒める→白ワインを入れる→水を入れる→トマトやハーブ類を入れる→煮る→濾す→完成」

 となります。
 しかし、工程が複雑ではない料理というのは、一つ一つの作業の意味を見出し、考え、そして、仕事を重ねていく、という難しい側面を持っています。
 「上品な仕上がり」を目指すのと「魚の味を凝縮したような仕上がり」を目指すのでは、作業がまったく違ってくるからであります。
 私が「スープ・ド・ポワソン」を作る際には、後者のイメージを強く持ちますので、必然的に作業にも力強さが必要となってきます。
 魚を炒める時、私は30分以上掛け、魚の水分を完全に抜くような感じで炒めていきます。これは、魚の水分に生臭さが残っていますので極力排除するためです。
 そうして炒めた魚は原形をとどめず、骨と身に分かれ鍋底にこびりつく状態になっています。
 そこに、ぺルノー(アニス風味のリキュール)と白ワインを加え、徹底的に鍋底にこびりついた魚をこそげ落としながら煮詰めます。
 水、トマト、ホールトマト、トマトペースト、サフラン、フェンネルシード、ローリエ、スターアニス(八角)などを入れ、4時間煮込みます。
 骨まで柔らかくなったの確認してから、ムーランと呼ばれる手動式回転濾し器に掛けます。
 出来上がりは「サラッとして上品」というものではなく「ドロッとしていて野蛮」な感じであります。

 しかし、その濃厚さは他の追随を許さず、スープというよりは「液体系魚料理」と表現できるでしょう。

 この料理は作業も含めて男の料理であり、男の力強さと無骨で不器用な男のゴツゴツとした優しさを一皿に凝縮しなければなりません。

「ひとつ人より力持ち、ふたつふるさと後にして・・・」

 そんな歌詞が出るくらいでなければ、炒める手が辛くなってきます。

「みっつ未来の大物だい!」

 それを夢見て力強く濾します。

「むっつムシャクシャする時は・・・」

 ワインを飲む程度にしましょう。

 ドバーっと丸裸になったら公然わいせつ罪で捕まりますからね。







 
 
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名前を付ける時、その真意を考えなければならない

2009-07-21 20:04:14 | Weblog
 焼酎というのは、私の中では「ほとんど飲まないアルコール」という位置づけになっておりますが、それでも、人に勧められたり、お店の人、又は同業の友人に勧められたりすると飲む事があります。
 現在では手に入りにくい、とされているプレミアムな焼酎も何度か飲んだ事がありますし、その名前くらいは私も知っております。
 先日、とあるところで、珍しい焼酎を発見しました。その名も

「大魔王」

 幻の三大焼酎に挙げられるものとして「森伊蔵」「百年の孤独」、そして「魔王」がありますが、最後の「魔王」と、その「大魔王」は、何ら関係もありません。勿論、製造元も「白玉酒造」ではありませんでした。
 便乗的なネーミングに、不覚にもその場で大笑いしてしまった私でしたが、「大魔王」が許されるのならば、「魔王様」でもいいのではないか、と考えてしまい、もう一度その場で笑ってしまった次第でした。
  
 ネーミングというのは、非常に大事なものだと私は考えます。
 一度それに決めてしまったらもう後戻り出来ないから、というのが大きな理由でありますが、それ以前に、その意味を人に説明できるか、というのもあるでしょう。
 とある情報誌に、とあるお店の料理が載っており、その料理名に

「○○牛のステーキ ポワレ仕立て」

 という名前がつけられておりましたが、この名前を簡潔に説明出来る人はいるのでしょうか、疑問であります。
 「ポワレ」というのは、フランス料理の調理法のひとつでありますから、「ポワレに仕立てる」という言葉には違和感を持ってしまいます。
 そもそも「ポワレ」は、「poele(ポワール。日本語に訳すとフライパン)」から派生した言葉であり、その意味は「フライパンを用いて焼く調理法」とそのまんまであります。
 では、なぜ「フライパンを用いて焼く調理法」などと当たり前のような名前が付いているのか、それは料理の歴史に由来します。
 肉調理の歴史の中で、「ポワレ」以前は、圧倒的に「ロティール」が調理法の大半を占めていたと考えられます。
 「ロティール」つまり「ロースト」も現在ではフライパンを用いて行われる事が多くなりましたが、昔は肉を鉄の棒に刺し、火に近づけてあぶり焼きにしていたのが「ロティール」の原型であります。ブラジルの「シェラスコ」みたいなものですな。
 調理器具の発達に伴い、塊のままの調理法よりも、切り身をすばやく調理する事にその活路を見出したため、「ポワレ」「ロティール」と分けて考えるようになったと私は考えております。
 ですから、「ポワレ仕立て」というのは「フライパンで焼きました仕立て」になってしまいますからご再考なさる事をお勧めいたします。
 もっと深く考えれば、「ポワレ仕立て」の前にある「○○牛のステーキ(○○はブランド名でありますので、次から割愛いたします)」の「ステーキ」という言葉が、英語では「切り身」とも取れますので

「牛のステーキ(切り身) ポワレ仕立て」

 との考え方も出てはきますが、「牛のステーキ」の時点でどのような調理をするのか容易に想像できますので「ポワレ仕立て」をつけなくてもいいでしょう。
 実際、「牛のステーキ」はフランス語でも「ブフ・ステック(ブフはビーフと似ているように「牛」の意味。ステックはフランス訛りになったステーキとお考えください)」と表記し、それだけで「フライパンで焼いた牛肉の意味だな。」と理解しているはずですからそれ以上説明しなくてもいいのです。
 逆に「ステック・フリッツ(ステーキとフライドポテトの意味)」のように簡素化されているくらいです。
 
 焼酎「大魔王」の話から、最後は「牛肉のステーキ」の話になってしまいましたが、要は「名前は大事だ。」というのを書きたかったんですよ、分かってください。

 話は戻りますが、焼酎「大魔王」のボトルの形は普通の瓶でありました。

 出来る事なら、容器は陶磁の壷のようなもので色はピンク色、そして、その壷には大きなタレ目の顔が描いてあり、両取っ手が付いているものであって欲しかった。

 その壷を前にした時、「ここでクシャミをしてみると・・・もしかしたら・・・」

 などと、考えてしまうのは、私だけではないでしょう。










 
 
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夜明け前の紫の背景

2009-07-19 05:10:43 | Weblog
 すみません、掃除をして帰ってきたらこんな時間になっておりました。
 何度か、「ちょっと、メニューのアップはつらいな。」と思ったのですが、頑張って更新しようと思った次第です。
 しかし、明日のランチはご予約様で満席になっておりまして、カウンターしか残っておりません、本当に申し訳ありません。
 時間も時間ですので簡単に説明させていただきます。


     7月19日(日)ランチメニュー

     前菜

・甘海老、帆立、スモークサーモンのタルタル

     又は

・岩手ハーブ鶏の胸肉のロースト サラダ仕立て


     本日のスープ

・人参のポタージュ


     メイン

・本日のお魚のポワレ 丸ズッキーニのソテー ソース・ブールブラン

     又は

・平田牧場三元豚のソテー バター風味のレタス添え


     デセール

・ヴァニラのムース 


 と、このようになります。

 カウンター以外は席が全部埋まっておりますが(全部で20名近くの方で埋まっておりますのでご了承ください)「カウンターでも・・・」と考える方はウエルカムであります。

 今日、PCを開けたのが久し振り、という辛い状況ですので、休み明けこそはブログを更新したいと思います。

 因みに、日曜日のディナー、及び、月曜日はお休みを頂きますのでご了承ください。

 体を一旦リフレッシュして来週から仕事も、ブログも頑張りたいと思います。





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