ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

芋煮はソウルフードに属すか

2007-08-31 00:37:05 | Weblog
 夏の暑さも過ぎ、夜の風も涼しくなってきた今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 8月も終わり、気候的に過ごしやすい9月に突入すると、山形ではあの一大イベントが待っております。
 「山形大芋煮大会」を幕開けとして行われるであろう「芋煮会」。県外の方が目にすると川原沿いで鍋を囲んでいる光景は奇異に写るそうですが、私からしてみれば「花見」と称して国花である桜の木の下でドンチャン騒ぎをしている方が、よっぽどどうかしているように思えます。
やはり、山形県人として「芋煮会」には誇りを持ちたいものです。
 しかし、この「芋煮」、地域によって作り方が若干どころか、かなり違ってきますから、この際、何が芋煮なのか、どう作れば更に美味しくなるのか考えてみたいと思います。
 「芋煮」とは、読んで字の如く「芋」を「煮る」鍋物という事でしょうから、「芋」が主役である事は間違いありません。
最近は勘違いして「米沢牛」のロース肉を使用する者まで出てきているということですから気をつけたいものです。そこまで肉に重心を置いてしまうと「里芋入り牛鍋」と名称を変更しなくてはならなくなるでしょう。
 私が知る限り、「芋煮」の材料の違いは大きく分けて4地方に分けられるのではないでしょうか。
 まずは「村山地方」、ここではシンプルに、里芋、牛肉、コンニャク、葱というのが基本材料で醤油味。最近、舞茸などを入れているパターンをよく聞きますが、それは村山地方芋煮の新興勢力と考えます。
第一、舞茸などを入れてしまっては汁が黒ずんでしまうではないですか、しかも、風味も舞茸に侵されてしまう恐れがあります。
 ですから、私は、基本材料の醤油味が好きです。「芋煮」は。
 次に、「置賜地方」、村山地方芋煮の基本材料に、大根、人参、牛蒡、キノコ、という具沢山バージョン。これも醤油味。
 そして、「最上地方」、ここから少し変わってきます。基本材料は里芋、豚肉、コンニャク、葱、キノコ、と牛から豚へ変わってしまいます。
 味は醤油味ということですから、「豚汁」とは一線を画しますが、牛肉の芋煮で育ってきた村山地区の人間には違和感を抱かせます。
 最後に、「庄内地方」、基本材料は、じゃが芋、豚肉、玉葱、コンニャクというラインナップに味噌味という他の3地方とは大きく変わるもの。
 冷静に考えなくても「豚汁」との違いを見出せません。庄内地方の芋煮は、芋煮界の「豚汁との境目のない遠近両用メガネ ホヤバリラックスⅡ」(当時、西武の広岡監督がCMをしていました)と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。
 しかし、想像するに、海辺でのその芋煮はいいかもしれません。潮風を受けながらの味噌味は、村山地方の芋煮しか知らない私にとって、何か思い出を作ってくれるかもしれません。(大げさ)

 このように、山形の芋煮は種類がありますからどれがいいとは言えませんが、一応、作り方を考えるなら村山地方の芋煮を考えてみたいと思います。
 まず、手順としては、

①里芋を水から煮ていく。
②沸騰したらアクを引く。この時点でコンニャク投入。
③牛肉を入れる。
④アクを引きつつ、酒、砂糖(味醂)、醤油で味を調える。
⑤斜(はす、と読みます。斜めという意味)に切った葱を入れ、蓋をして葱に火を通す。

となるのですが、私は①の時点で昆布を入れると更に美味しくなると考えます。
 「鰹だしの素」を入れる、という方もいらっしゃるようですが、やりすぎでしょう。ナチュラル素材でいきたいものです。
 拘るならば、①で昆布と煮干をガーゼで包んだものを入れ、コンニャクはフォークで味が染み易いように穴を開け、手でちぎり、牛肉を一枚づつほぐして入れていくぐらいの矜持を持ちたいもの。がんばりましょう。
 あとは、反則技として、牛スジ肉を昆布と共に煮ていき、途中、里芋を入れて「牛スジ芋煮」とするものもありますが、時間と労力を要するこの芋煮はマニアック過ぎます。

 山形から上京した若者が、出身地を隠して生活している、という話を多々聞きますが、そんな山形ユダ(反山形者)には、山形芋煮を食べさせて郷愁の想いを誘うよう仕向けなければなりません。 
 そして、話は変わりますが、芋煮にはビールよりも日本酒が合うと信じて疑わない私ではありますが、今年はシェリー酒、というスパニッシュな文化を芋煮にぶつけたいと思います。

 何年かサボっていましたが、今年はやります。当店主催の芋煮会。
 参加ご希望の方は希望理由(400字詰め原稿用紙四分の一程度)を添えて、当ブログのコメントまでお申し込みください。
 その際、まったく誰か判らない方の場合は棄権とみなします。ちょっとだけ判るようにしてくださいね。
 
 奮ってのご参加、お待ち申し上げます。

 って、誰もいないよね。
コメント (22)
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同じルセットでも作り手が違うと・・・

2007-08-28 19:03:17 | Weblog
 先日の土曜日、珍しく12時(深夜0時)でお客様が引けたものですから、次の日のランチに備え、閉店をし、掃除をし帰宅したところ1時過ぎでした。
 まだ普通にテレビ番組をしている時間帯でしたので、テレビを付け、ビールを飲んでいましたら「CDTV」(カウントダウンティービー)という番組が流れてきました。
 最新邦楽情報番組にカテゴライズされるであろうこの番組の音楽をBGMとして聴きながら新聞を読んでいたら、聞き覚えのある曲に思わず新聞を読む手を止めてしまいました。
 三木道山の「Lifetime Respect」を女性シンガー(名前は失念してしまいました)がカバーしたものでしたが、女の子バージョンみたいな感じで歌詞も少し変えていたのではないかと思われました。
 基本の「一生一緒にいてくれや・・・」路線は相変わらずでしたが、同じ曲でも歌い手が違うと違って聞こえるな、というのがその時聞いた印象でした。
 しかし、バージョン違いというのが許されるのであれば、老人介護バージョンで「一生面倒見てくれや・・・」や、童貞喪失バージョンで「俺を男にしてくれや・・・」などというのもアリなのか、などと思ってしまった次第でしたが、皆様はいかがお考えでしょうか?

 話は変わりますが、この「歌い手が違うと違って聞こえる」というのは、何も音楽業界だけの事ではありません。勿論、料理の世界にも存在するわけでして、同じルセット(レシピ)で複数の人に調理させても必ず出来上がったものは違うものになるはずです。
 私が思うに、ルセットには基本的に写真などという優しいオプションは付いておりませんから、作る人間のイメージというのがカギになってくるはずです。
 ですから、複数の人間に同じものを作らせても個々のイメージが違うでしょうから、出来上がりも違ってくる、というわけです。
 私が持っている本に、フランス語とそれを翻訳したルセット、というのがありますが、フランス語の勉強にもなりますし、古典的な料理しか載っておりませんから、クラシックな料理の勉強にもなります。
 フランス語のルセットとはどういうものなのか?とお考えのあなたの為に、簡単なキッシュロレーヌのルセットを載せてみたいと思います。(ほとんどの方は興味ないかもしれませんが我慢してください)

  La Quiche Lorraine

200g de pate brisee
125g de lard fume
1/2litre de creme frache
1dl de creme aigre(si possible)
4oeufs
Sel et poivre

・Preparer une pate brisse et fonser une toutiere.
・Piquer la pate de petits morceaux de lard coupes en des verser
dessus la preparation suivante:vous aurez battu les oeufs comme pour unu
omelette et vous y aurez ajoute'la creme et assaisonner.
・Mettre a four moyen et cuire pendant environ 40 minutes.

どうです?分かりませんよね、日本人なら。
敢えて訳しませんので興味のある方はご自分で訳してお作りになってみては如何でしょうか。物凄くフランス語の勉強になりますし、自宅でキッシュロレーヌが作れるという特典付きです。
 しかし、このルセットで気になるのは、グリュイエールチーズが入っていない事と、カッコ内のsi possible「可能ならば」という文字。
 「可能ならば、サワークリームを入れてください」のようにも取れるこの原文は、必ず入なければならないわけではないが入れると美味しいよ、という事なのでしょうか。軽く疑問です。

 実は今日、お昼にケータリング(出張料理)がありまして、朝から大変な思いをしたのですが、賄いは手抜きをして近くのラーメン屋さんで済ましました。
 たまに行くそのラーメン屋さんは、いつもの人が作るとおいしいのですが、いつもと違う人(そこの経営者さんなんですけどね)が作ると、何と言いますか、ケミカルな味が前面に出ると言いましょうか・・・いまひとつなんです。

 作り手が違うと違うんですよね、料理って。   
コメント (12)
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土曜日の食事の合間には

2007-08-25 16:47:58 | Weblog
 毎週土曜日は、マネージャー佐藤(もうひとつの顔はドンキー佐藤氏)が某日テレ系列の地元テレビ局のラジオ部門でメインパーソナリティーを努めているラジオ番組がある為(かなり回りくどい言い回しですみません、番組は11時20分からです。)、少し遅めに出勤してくる事になります。
 ですから、いつもは一緒に食べている賄いはそれぞれで食べる事になります。そのような行為を当店では「われまか」と呼んでいます。
「われまか」は、我(自分)で賄いを勝手に食べてください、の略です。因みに。
 マネージャーは、放送局の食堂で食べるそうですが、私は、仕込みの途中だったり、時間があまりない為、店の近くの蕎麦屋さんで済ませることがほとんどです。しかしその蕎麦屋さん、結構込んでまして、たまに待たされる場合があります。
 そんな時私は、そのお店に置いてあるマンガ本を読むのですが、置いてあるマンガ本に統一性がありません。
「美味しんぼ」「ミスター味っ子2(ミスター味っ子の続編です)」あたりまでは分かりますが、「ブラックジャックによろしく」「北斗の拳」「バカボンド」「殺し屋イチ」など血生臭いものは、蕎麦を待つまで食欲を無くしてしまうのではないのか?と勝手に心配してしまいます。
 私は主に「美味しんぼ」と「ミスター味っ子2」を何度となく読んでいますが、この2作品、読み込むと突っ込みどころ満載です。
 まず「ミスター味っ子2」。これは前作「ミスター味っ子」で子供ながら大人の料理人をも凌駕する天才子供料理人、味吉陽一が大人になり、しかもその息子が活躍するという2世代天才料理人という、どう考えてもありえない設定ですが、食育や経営などを絡めたであろう内容は前作とは異なります。
 カレーと堅めに炊いたご飯を、寸胴に入れ固め、蒸し上げてずん胴から出し、ケーキ型に固まったカレーご飯をカットして提供するものや、一見して「とろろ蕎麦」に見えるもののとろろは、鴨のレバーペーストを鴨の脂と共に撹拌し、エマルジョン(乳化)したものだったり、前作よりもちょっと現実的に感じさせる部分もありますが、私が思うには不可能でしょう。理論的には間違っていないでしょうが、無理です。
 続いて、あの「美味しんぼ」。私が中学生の後半あたりから連載されておりますから、「ゴルゴ13」「こち亀」に次ぐ長期連載型マンガと言えるのではないでしょうか。
 連載当初は憎々しかった「海原雄山」、しかし、世の中の事が分かってくると、どれだけ「山岡士郎」がダメな男か読んでいて分かってきます。今では海原雄山ファンになってしまった私ですが、連載初期の「味も分からぬブタ共が!」や、海原先生の車に接触しそうになった山岡士郎に対して動揺した運転手に「野良犬の1匹や2匹、轢き殺しても構わん!」などという過激な発言がなくなったのは非常に残念です。
しかも、海原雄山のモデルは「北大路魯山人」。設定上は海原雄山の尊敬する人物、なっておりますが、陶芸家で美食家の海原雄山は、北大路魯山人そのもの。
最近は、孫も出来たためか丸くなった感じもありますが、変な料理が出てくると大暴れする気概は持ち続けていただきたいものです。
 因みに、「魯山人」という思いっきりなネーミングの居酒屋さんがありますが、それは北大路魯山人先生に対してあんまりなのではないでしょうか。
せめて「魯山人先生」や、下の名前ではなく苗字で「北大路」くらいにして欲しかった。しかし、「北大路」だけだと分かりづらいですかね、俳優、北大路欣也の店と間違う人は、「仁義なき戦い」見すぎでしょう。 
 話は戻りますが、東西新聞社の中でも、あまり、というか、ほとんど仕事をしている様子の無い山岡士郎に惚れて結婚まで許してしまった「栗田さん」はお人好し過ぎます。
普通なら「団社長」でキマリですよ。しかも「近城さん」という将来有望なカメラマンにも告られていたのに。
 今は、双子の子供を持つ親になった山岡士郎と栗田さん。これからも頑張っていただきたいものです。

 私が考える「美味しんぼ」の最終回は、過労のため亡くなった栗田さんを山岡士郎のせいにする大人になった二人の子供。
家を出て父親を憎む子供を見た時、山岡士郎はこう思います。

「因果応報とはこの事か、ゴメン、海原雄山、いや、お父さん。」

こんなラストは辛いですか?
コメント (3)
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クラシック料理の絶対的な旨さ

2007-08-23 18:52:07 | Weblog
 2ヶ月ほど先の話になるのですが、他店舗のイベント(シャンソンリサイタルの前夜祭)に食のコラボレーションとして参加する事が決定しました。
 「モダンとクラシックの融合」と題されておりましたので、当然、私がクラシック担当ということになるのでしょう。
 しかし、改めて「クラシックな料理」というのを考えた時、難しくもあり、そして厳格な料理である事を思い知らされるのでした。
 フランス料理でいう「クラシックな料理」の代表選手は、オーギュスト エスコフィエ大先生という事になるわけですが、その大先生が19世紀にお出しになった本「ル ギッド キュリネール」をさりげなく読んでみると、「白ぶどう酒」や「赤ぶどう酒」「白色のルー」「褐色のルー」などの単語が出てきて、それだけでフランス料理の歴史を感じずに入られない気持ちになってしまいます。
 昨年の秋のランチに「ブランケット ド ヴォー(子牛のクリーム煮)」というのを載せたことがありましたが、この料理はかなりクラシック、かつフランスの国民的料理だと私は思っております。
 このときにお出しした「ブランケット ド ヴォー」は敢えて「白色のルー(ベシャメル)」は使用せず、「ブールマニエ(同量のバターと小麦粉を合わせた物)」で繋いで(繋ぐ事を仏語でリエと言います)作りました。(どちらを使用してもクラシックな感じなのですけど)作り方はこうです。

・子牛の肉を一口大にカットし、フォンドヴォライユ(鶏のだし汁)、クローブを刺した玉葱、人参、セロリ、ローリエで柔らかくなるまで煮ていきます。
因みに、カットした子牛をいきなり煮ていくのがエスコフィエ大先生流でした。

・煮汁を濾し、小玉葱、シャトーに剥いた人参(フットボール型に剥いた人参、これもクラシックな技術、駆け出しの人はちゃんとやれるよう練習しましょう)と共に煮詰め、子牛をこのだし汁の中に戻します。

・塩、コショウ、生クリームを加え、ブールマニエで繋ぎ、最後にレモン汁を加えます。

・バターライスと共に皿に盛り付けます。

とこのような工程なのですが、味的には、クリームのコク、味の濃厚さ、最後に来るレモンのさわやかな香り、という、「今夜は、今夜は、ハ○スシチュー」的なものとはまったく違う美味しさ。
今年の秋にもお出ししますので興味のある方は是非一度。

 この手のクラシックな料理は、絶対的な美味しさがあると私は思っております。しかし、それと引き換えに、重い、量を食べれない、太る、という負の部分も手に入れてしまうことも事実なのです。
 ですから、我々現代の料理人は、クラシックな料理というものを踏まえつつ、いかにして軽く食べさせるか、伝統を残しつつ、いかにして現代に蘇らせるか、という事を考えなければなりません。
 時代が変われば料理も変わるのは仕様がありませんが、昔からの仕事を覚えていて損はありませんから、もっと勉強しなければならないと思ってしまった次第です。
 因みに、日本料理には「紙塩」という技法がありました。
素材に直接、塩を振るのではなく、濡らした和紙を張りその上から塩を振る、というものですが、その方がゆっくり塩が回り、素材に負担を掛けないのだそうです。
それと、昔の塩は精製度が悪く、塩の雑味を濾過してくれる働きもあったそうです。
 抜群に精製度が上がった現代では、忘れ去られようとしている技法ですが、昔の先輩方の努力があったからこそ、今、私も料理のことを考えられるのだと思い、感謝するばかりです。

 そんなもっともらしい事を書きながらも、今日の賄いはカップラーメンでした。
チキンラーメンや普通のカップヌードルのようなクラシックなタイプではなく、
最近気になっていた「中華そば 黒旨」というものでした。すみません。いきなり庶民的な話になって。
 少し前にマネージャーと「カップラーメンって何が一番旨いのか?」という話になり、色々食べてみたのですが、「山頭火」と「GooTa(グータ)ワンタンメン」が上位を占めて譲りません。
今日の「黒旨」も悪くはありませんでしたが、上位入賞は見送りといったところでした。

 ん~、昔とは比べ物にならないほど進化したカップラーメン。
時代が変われば、カップラーメンも変わる、という事なのですね。
 どなたか、上位に入賞するようなカップラーメンをお知りの方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。
コメント (4)
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ブログ開始から11ヶ月という事実

2007-08-22 19:32:18 | Weblog
 夏の暑さもひと段落し、8月も後半に突入しようとしている今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 早いものでもうすぐ9月、このブログも開始してから1年が経とうとしております。
 ホームページ開設に伴い、ブログもはじめた方がよいのか?などという、誰から言われたわけでもない勝手な思いで始めたこのブログですが、皆様の励ましも頂きながら何とか続ける事ができました。
 途中、成りすましコメント様の増殖に伴い、ブログ一時休止、という強硬措置を取らせていただく事もありましたが、実はあの時、予約で忙しくてブログ打てる状態ではなかったのです。今よりもスムーズに打てませんでしたし。
 
 ブログを見てくださる方も最初の頃よりは増えましたが、やはり、長文というせいもあってか、なかなか伸びません。多いときで1日100人くらいでしょうか。
ねっ、少ないでしょ。
しかし、毎日、更新しなくてもチェックしてくださる方は40人強いらっしゃるのですが、クセになっているのでしょうか?とりあえず見てみることが。
ありがたい限りですが、マニアックです。

 それから、たまにいらっしゃるのが、詳しく聞いてくる方。

「レミーのおいしいレストラン、同伴者と見に行ったってブログに書いてあったけど、誰?どんな人?」

 そこまでオープンにしなければならないのでしょうか?
ご想像にお任せいたします、と言って話をはぐらかそうとするのですが、納得していないようです。
どうでもいいことではないですか。と私は思うのですが、どうでしょう?

 正直な話、このブログに対しても色んな声がありまして、賛否両論とまではいきませんが、「ブログ読んでます。」という応援の声から、「あんな内容のブログ、ふざけている!」とのご批判の声もあるわけです。
 私としましては、料理の事を絡めた小噺的な、堅苦しくない話、として載せているつもりですが、それが時として人の逆鱗に触れたりするのでしょうか。
「グチみたいで読んでいてムカツク。」面と向かって言われた事がありますが、その方はちゃんとお読みになられているのか疑問に思ってしまった次第です。
 確かに、「グチ」と言われてしまえばそれまでですが、文章をまとめるには、くだらない話というのも必要になってくるわけですよ。
その辺のところを了承して読んでいただけると、ご理解いただけるのではないでしょうか。というより、そんな事を考えるまでもない文章だと思うのですが、如何ですか?

 コメントも沢山頂いて感謝いたしております。
どう考えてもコメントの途中参加できない雰囲気を醸し出している感じですが、そんな事はありません、私は皆さんいい方だと思っております。ですよね?
ですから、読んで疑問に思われた方、料理の事で聞きたいことがある方などコメントをお待ちいたしておりますので、お気軽にどうぞ。

 料理の話から脱線しっぱなしの場合もございますが(今回もそうです)、こういう料理人のブログだと思って読んでいただければ幸いです。

ん~、今日はネタにキレが無かったかな。



コメント (1)
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野菜をもっと深く考え料理せよ

2007-08-19 19:15:36 | Weblog
 当店では、夏と秋の約半年だけ、とある農家の方から野菜を届けていただいて購入しているのですが、最近はトマト生産者の方とも面識を持つようになり、トマトはその方から購入する事となりました。
 野菜農家の方は気を使ってくださって、西洋野菜を多めに作ってくださるのですが、結構ランダムに持ってきてくださるので、時として「冬瓜」だったり「空心菜」だったり、思いっきりアジアンな野菜も含まれるときもあります。
 「空心菜」などは、友人でもあるベトナム料理「アロハナ」さんに買っていただくのですが、さすがに「冬瓜」はヤンワリと拒否られてしまいました。
ですから、この時期、必ず「冬瓜」の身の振り方で頭を悩ます事となるわけです。
 一昨年は、皮をむき一度、フォンドヴォライユで煮崩してからミキサーにかけ、濾し、スープとしていたのですが、何だか凡庸な味で、可もなく不可もなくといったところが嫌で、すぐ止めてしまいました。
 次の年は、「大胆に行こう」をテーマに掲げ、デザートとすることにしました。
まず、冬瓜を半割りにし、種を取り除きます。次に3cm×8cmの長方形にカットしていきます。
そして、堅い皮の部分を剥いていき(厚く剥き過ぎると煮崩れの原因となります)、細かく隠し庖丁を入れます。ここまでの作業は和食の「冬瓜煮含め」の過程とほぼ同じです。
 ここからが肝心、皮をむいた冬瓜を湯通しし、青臭さを抜いていきます。暖かいうちに別の鍋で作っていたエピス(スパイス)入りシロップ(水1ℓ、グラニュー糖1k、バニラ、シナモン、八角、クローブ、半割にしたレモン)に入れ一度沸騰させます。
 冷ましたら、クッキングペーパーで蓋をして再度沸騰させます。沸騰しては冷ましを5~6回繰り返し、一晩漬け込んで出来上がるのですが、これ単体でお出しするのはちょっとキビシイので、オレンジのソルベなどと一緒にお出しします。
 因みに、「ソルベ」というのは「シャーベット」の仏語です。オヤジギャグで行くなら「笑福亭 ソルベ」あたりが無難かと思われます。
 話が反れてしまいました。昨年お出しした、この「冬瓜のシロップ漬けエピス風味 オレンジのソルベと共に」は、アグレッシブでリスキーな、つま先立ちのデセールとして驚きを誘発しましたが、やはり「冬瓜」というキーワードでお客様は少し引いていたようにも見受けられました。今年は違うもので勝負した方が良いと判断しました。
 そんな事を考えていたら、一昨日、やってまいりました。今年初の冬瓜。どうしましょう、今年は。
本当は返却でもしようかと考えていたのですが、出来ませんでした。そんな事。青々として美味しそうでしたし。農家の方の笑顔を見てしまったら何でも商品にしなければ、と思ってしまうのですよね。
 しかし、「万願寺ししとう」や「加茂茄子」など京野菜が多いのはなぜなんでしょう?「万願寺ししとう」はただ焼いても美味しいのですが、ピュレにしてもイケるものです。「加茂茄子」はただ焼いた方が美味しいように感じていましたが、ニンニク、エシャロットと共にソテーしたほうが味の力を感じる、と言いましょうか、茄子の生臭さが飛び、いっそう茄子の存在感を見出せるように感じました。
 こういう発見があるから野菜料理は面白いのですよね。

 一方、トマト(フルーツトマトで本当は、明治屋さんに卸しているものなのだそうですが、形が不揃いだったりして規格外のものだそうです)の方は、別な生産者の方がコンテナ一杯に持ってきて頂いて、使っても使い切れない状態です。
 マリネ、ガスパチョ、ピュレ、ソース、とありとあらゆる物に形を変えお出ししているのですが、まだあります。ん~、デセールにするのを忘れていたようだな。

 この季節だからこそ味わえる野菜料理の生みの苦しみ、冬前まで続きそうですが、楽しまないといけないでしょう。

 かなりエキセントリックなものが出てきた場合には、迷走しているな、と一笑していただければ幸いです。
コメント (5)
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フレンチとイタリアンとダイエット

2007-08-18 16:36:46 | Weblog
 私が割と頻繁に買っている雑誌のひとつに「料理王国」という雑誌があります。
特集によって内容は変わりますが(当たり前か)、店舗紹介や料理業界の動向など分かりやすく書いているので私は事細かく読んでしまいますが、深く読まなくても写真が綺麗ですのでパラパラと流して見ているだけでも面白い雑誌と言えるでしょう。
 堅苦しい専門誌ではありませんが、料理に興味の無い方はまったくといっていいほど楽しめない雑誌です。
 その他に「専門料理」「グルメジャーナル」などの専門誌も買って読んでおりますが、こちらは完全に専門誌ですから、料理という職業に従事していなければ理解できない雑誌なのではないでしょうか。もし興味がおありでしたら一読される事をお勧めします。

 話が反れましたが、その「料理王国」の7月号、8月号の特集は「日本のフランス料理100年史」というものでした。
 内容はタイトルそのままで、日本のフランス料理の歴史を辿ってみる、というもので、後半はこれから日本のフランス料理界を背負って立つ若手の紹介だったりしたわけですが、読んでいて全体的に「日本のフレンチが復建の狼煙を上げた」という内容に感じたのは私だけでしょうか。
 しかし、そうでしょうか?私はまだ、イタリアンに負けているような気がしてなりません。例えるならば、「実力はあるのにイメージで損をして、大敗を喫した今回の参院選の自民党」といったところでしょうか。
 今回は、なぜ、フランス料理は「イタリアン」に負けてしまっているのか?フレンチではなくイタリアンで食事をしている人たちはちゃんと「イタリア料理」を理解しているのか?というのを考えたいと思います。

 まず、皆さんのイメージとして出来上がっているフランス料理はこんな感じでしょうか。

・高そう

・入りずらい(緊張する)

・マナーが分からない(失敗すると笑われてしまう)

 と、このように、某牛丼屋さんの掲げる「安い、早い、旨い(本当?)」という標語とは正反対のベクトルに向かって暴進しております。
 果たして、イタリアンは上記とはかけ離れたものなのか?いや、私は大差がないと考えます。
 イタリアンはカジュアルでリーズナブルとはいっても、ちゃんとしたコースを注文してしまえばそれなりの金額はいきますし、ウッディーな内装が落ち着く、といっても、フレンチではビストロもそんな感じです。
 当然、イタリアンにもマナーは存在するわけで、スタートラインはそんなに変わりないと思うのですが、やはり「パスタ」というものが大きいのでしょうか。

 よく、イタリアンで食事してきた、という人に、何を食べてきたの?と質問すると、大抵「スパゲティ」という返答が返ってきます。
 勿論、スパゲティもイタリア料理ですが、スパゲティだけ、という食事の仕方は正式ではありませんし、スパゲティだけ食べてきた、というのは、ラーメン食べてきた、というのと何ら変わりないのではないでしょうか。
ランチで時間が無い、というのなら仕方が無いにしても、ディナーで、スパゲティだけ、というのは「お里が知れる」というもの。金銭的な問題での事でしたら、私は「サイゼリア」をお勧めします。
 イタリア料理のコースの流れは、「アンティパスト」「プリモピアット」「セコンドピアット」「ドルチェ」となっていて、アンティパストは前菜という意味で、最初の皿の前の皿、という意味も含まれています。
つまり、最初の皿(第一の皿)はプリモピアット、という事になります。
 プリモピアットは、スープ又はパスタの位置づけであり、第二の皿に繋げる皿ですから、この一皿で食事を終わりにするということは考えられないのです。
 そして、セコンドピアット。セコンド(第二)とピアット(皿)という分かりやすいネーミング通り、この皿はメインです。
肉もありますが、魚もあります。チョイスするのは食べる本人ですから構いませんが、魚で通したい人は、前菜から魚がらみで、肉で通したい人は、前菜から肉がらみで通した方がワインを合わせやすいと考えるのは私だけではなく、イタリア人もそうだと聞きました。イタリア人も飲みニストなんじゃん。
 最後にドルチェ(デザート)エスプレッソ、と締めるわけですが、やはり、イタリアンを食べてきた、と言うのならばここまで食べ込まなくてはいけないのではないでしょうか。最後まで食べるとかなり腹パンです。
 ですから私は、もし融通が利くのならば、プリモピアットを抜いていただいて、セコンドピアットを魚、肉と出していただきたいのです。しかし、そうするとフレンチと何ら変わりなくなるわけですから、やっぱりフレンチがいいですな、私は。

 しかし、こんな食事をしていたら、いくらオリーブオイルが不飽和脂肪酸だといっても、大量摂取により太る事は確実でしょう。
 食生活の違いと言えるのでしょうが、美味しいものを食べるとき、ダイエットの話はなしでしょう。
 アメリカの有名なデリカテッセン(ユダヤ系コーシャー料理、恐ろしいほど肉料理があり、美味しそうなのだが肥満促進の料理ともいえそう、詳しくは今度ブログに載せます)に「カーネギーデリカテッセン」ということろがありますが、そこの店主がこう言っておられました。

「Don't come here.If you looking for diet foods.(ダイエットしたいならここに来ない方がいいよ)」

 ん~、男らしい。
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適正価格の設定基準

2007-08-17 17:38:18 | Weblog
 先日、実家に帰省した折、友人と2人で飲みに行ったのですが、お盆ということもあってか営業している飲食店がほとんどありませんでした。
唯一営業している居酒屋さんはあったのですが、ほぼ満席状態でカウンター2席ほどしか残っておらず、窮屈ながらもカウンターに座らせていただきました。
 すでに隣で飲んでいらした方に「すみません。」と会釈をして座ってみると、中学時代の先輩でした。
 その先輩と最後に会ったのが10年ほど前だったように記憶しておりましたので、挨拶の後、仕事の話などに移行していきました。すると、先輩は実家(青果市場の仕事)から独立して、青果の他に色々扱う商売をしているとのことでした。
 私も自分の仕事に関係ありますから話を聞いていくと、近隣の農家にホワイトアスパラガスや西洋野菜、ハーブなどを作らせているとの事、早速当店に回して欲しいとのアプローチをしてみました。
 しかし意地悪ではないにしろ「お前の店に食べに行ってからだ。」という、審査付き。まぁ、ごもっともといえばごもっともなのですが、昔のよしみでひとつよろしくお願いしますよ。先輩。
 その後も色んな話になったのですが、山形の鉄板焼き屋さん(お好み焼きなどでなく、高級和牛などを目の前で焼いてくれる鉄板懐石風の店)の話がとても印象的でした。
なんでも、その鉄板焼きの店「○か○」(私も前から知っていましたが、現在は閉店したと聞いております)のご亭主と知り合いだった先輩(以下S氏と略)は、奥さんを連れて食事に行ったそうで、おまかせで、と注文したところ、シャトーブリアン(牛フィレの中心部分で少量しか取れないため高価)だの何だの出されたそうです。その時点で高額を予測させますが、その他に、ワインもお任せで注文するという大胆な行動に出たそうです。
 私はこの話を聞いていて「一人、7~8万近く取られたのか?」と思っていたのですが、最後まで話を聞いてみると、最終的には38万円請求された、とのことでした。
 38万円?しかも山形で?全額払ったのか、大暴れしてプライスダウンしてもらったのかは定かではありませんが、内訳を聞いてみると、ワイン代が18万円だったそうで、料理代が一人10万円、となります。
 しかも、ワインは一本しか飲んでいなかったそうで、ワイン一本18万円になります。
そのワインは何だったのか、聞きだそうとしましたが、S氏はワインに詳しくないので分からなかったそうです。
 しかし、冷静になって考えてみると、「ロマネコンティ」ならその金額では出せませんから、ボルドーのグランヴァン(高級ワイン)という事になります、が、それでも一本約3万円程度。もし、オールドヴィンテージ(古酒)だとしても高くて10万円程、それに8万円も上乗せするのはいくらなんでもやり過ぎです。
 料理にしても、シャトーブリアンは高いかもしれませんが、そのほかの食材が分かりません。他に何を食べたか思い出せない、との事でしたが、思い出せない、ということは、大した食材を使っていないから思い出せないわけで、鉄板焼きに合うかどうかは別として、フォワグラ、トリュフ、オマールなどを使用していれば、記憶の片隅に残っているはず。
しかし、それらの食材を仮に使ったとしても、10万円は取りすぎでしょう。
 結論として、ボラれてしまった、という事になります。ここで考えなければならないのは、「高い」という事と「ボラれた」の違いは何か?ということでしょう。
 私が思う「高い」というのは、食材の価格に対する適正な値段設定をしたところ、お客様はそこまで望んでおらず、両者の思惑の違い、といったところなのではないでしょうか。
 それに対して「ボラれた」「ボる」は、語源の「暴利」からも分かるように、ただ単に適正な価格の範疇を超えた利益の上乗せであって、根拠があるものではないでしょう。

 その鉄板焼き屋さんの「ボリ疑惑」は前から噂を聞いておりましたが、あそこまでの金額請求を行うとは知りませんでした。今になってみれば閉店した、というのも頷けます。

 当店は適正な値付けをしていると自負しておりますが、もし、疑問に思われた方は遠慮なくお申し出ください。なるべく事細かにご説明したいと思います。

 しかし、最終的な疑問は、S氏がその金額を全額払ったのか?という事に尽きます。仮に全額払ったとしたら、払えるだけ羨ましいですよ。
 もし38万円あったら何に使おうかな、フランス旅行?時計?スーツでもオーダーするか?・・・いや、借金返します。
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カラメルが生む苦味という味

2007-08-09 23:54:43 | Weblog
 花笠も終わり、今度はお盆に突入しようとしている8月前半、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 お盆前に料理とはまったく関係ない、私が実体験した心霊話をブログに載せようとしたのですが、マネージャーと審議した結果、ボツとさせていただくことになりました。
 理由は3つ

・話の内容が物凄い為、ブログに言葉として残してはいけない、とマネージャーに言われてしまった。(マネージャーは霊感が強く、時として見えるのだそうです)

・真夜中に読む人のことを考えて

・場所が特定される恐れがある(有名な滝のところではありません)

 以上の理由からボツになったのですが、どうしても話を聞いてみたい、と思われた方は、直接、お店の方までいらしてください。調理の手が空く22時頃でしたらお話できる事と思います。
 実話ですので事細かくお話できますが、その後、「怖くて帰れなくなった」「トイレに行けなくなった」「金返せ」などの苦情は受け付けかねますのでご了承ください。

 さて、話は変わります。今日は結構仕込があったものですから、早めに出てきて黙々とこなしていたわけですが、デセール(デザートの意)を仕込み終えてから調子に乗って、最近サボっていた、メレンゲの焼き菓子などを作ってしまいました。
 この、メレンゲの焼き菓子は一口サイズですから、デセールの後のコーヒー(仏語キャフェ)に何気なく添える「プティフール(小菓子の意、ミニャルディーズとも言う、因みに本来ミニャルディーズは、可愛い物という意味ですが、それが転じて小菓子にも使われるようになった)」としてお出ししておりました。
 作り方はさほど難しくは無いのですが、うまく焼くのが難しい、憎いヤツなのです。
 材料は、卵白、グラニュー糖、粉糖、T.P.T(タンプータンの略、同量の意、アーモンドパウダーとグラニュー糖を同量混ぜたもの)と、圧倒的に糖分が多いルセット。焼かずにそのまま食べたら、糖尿病は確実です。
 卵白、粉糖を高速のミキサーにかけ、グラニュー糖、T.P.T(もう理解しましたよね)をサックリと混ぜ、生地とします。
 それを絞り袋に入れ、1つずつ絞っていきます。形的には、厚型のマカロンのよう。
 そして焼くわけですが、130℃のオーブンで70分という結構長い時間。オーブンに入れてからラーメン食べに行って、戻ってきても焼き上がっていないくらいの時間ですよ。庶民的な例えですが。
 なぜこんなに長時間なのか?その狙いは、メレンゲの中をカラメル化させるためなのです。
 あれだけ糖分の多い配合ですから、中をカラメル化させて、苦味という味をプラスしないとただ甘いだけで終わってしまいます。
 しかも食感が、カリッ、ではなく、クシャ、というもろい音。中がカラメルなので、飴状になっていてこそ出せる食感。
 ですから、時間をかけてジックリ焼き上げなくてはなりません。因みに、途中でオーブンを開けることもいけません、熱気が逃げてしまいますから。

 こうして作った、メレンゲの焼き菓子は、カウンターにディスプレーも兼ねて置いているのですが、稀にお客様に「これ、食べてもいいんですか?」などと言われてしまう事があります。それはまだかわいい、目を盗んで勝手に食っている人もいるくらいですから、世の中大変ですよ。
 盗み食いの途中、目が合ったりすると「一個ぐらいいいだろ、ケチケチすんな!」などと、逆ギレしてしまう方もおりますから困ったものです。しかも、一個は口の中、もう一個は手に、という状態で。

 誰も咎めませんから、せめて、一言だけでも言ってくださいね。
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チャコール(炭)を操る

2007-08-07 18:27:03 | Weblog
 突然雨が降り出したりする今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
山形市は花笠祭りが開催されて今日で3日目、最終日となります。そして、ワタクシを含む当店スタッフは、ブログでも告知したように、商店会の屋台の為、おととい、昨日と目まぐるしい2日間を体験したのでした。
 それは、土曜日の夜から始まりました。土曜のディナー営業が終わったのが深夜1時過ぎ、それから屋台で出す「牛スジ煮込み」を作り始めました。
 一度、湯通ししてアク抜きをし、生姜、ガーゼで包んだ煮干と共に煮ていきます。その量、約30キロ。夜中にこんなに汗をかくとは思いませんでしたよ。
 煮込んでいる間に焼き鳥の串打ち。その量、10キロ分の鶏肉(もも肉)、その串の数150本。朝でしたよ。終わって。
 串打ちの後、厨房の掃除をして、自宅に着いたのが朝の6時過ぎ、町内会の集まる時間が朝の8時。って、寝れないじゃないですか。私は。
30分だけ仮眠してシャワーを浴びて、また厨房に戻り、煮込みの仕上げをしたのですが、途中何回か、(何でこんなに大変なのだ?しかも、他の町内会の人間よりも。)という心の葛藤があり、大変でした。
 しかし、終わってみれば、焼き鳥2日間で230本完売、煮込みほぼ完売、フランフルト10本残って90本売り、という初めてにしては輝かしい成績、疲れたけど楽しかったかな、という思いで相殺されました。
 また来年も頑張れるよう、努力したいと思います。そして、わざわざ屋台まで足を運んでくださった皆様、ありがとうございました。
 自分でブログに書いておいて言うのもなんですが、「焼き鳥100本ください。(中には1000本、という方もいらっしゃいました)」なんていう人いるのか?と思っていたのですが、結構いらっしゃって、言われたこちらが恥ずかしくなってしまいました。
 忙しくてお構いも出来ませんでしたが、大変うれしく感じた次第です。これからもよろしくお願いいたします。

 さて、今書いたように、焼き鳥230本串打ちし、焼いたわけですが、この焼き鳥というもの、なかなか奥が深いもの、と今回実際やってみて思い知らされました。
 まず、串打ちから考えさせられます。焼き台の縦の幅は約9センチ、ということは、鶏肉のひとつのポーションの大きさを3センチにし、3個1串としなければなりません。
 しかし、全部3センチに切り揃えては、先読みの出来ない人間がする事。考えなければならないのは、熱源が炭である以上、どうしても端の方は火が入りにくいのではないか、という事です。つまり、手前(手元)と先の鶏肉を小さめにする必要があります。この方が均一に火が入る、と考えました。
因みに、2キロの鶏肉から30本取れましたので、1串あたりの重量は65グラム前後です。
 そして打ち方。皮を熱の緩衝材として考え、皮で身を包むような感じで打っていきます。この方がジューシーさが残り、パサつきを防げるのではないか、と考えました。
因みに、左右上下も平均に打たないとバランスが悪く、うまく返せません。気をつけて打ちたいものです。
 次に「焼き」。電気式、またはガス式のグリラーであれば簡単にいく火熾し(ひおこし)、これが炭火になると大変です。細かな炭からバーナーで火を熾す作業は、結構イライラします。が、一回火がついてしまうと消したくてもすぐには消えないという、まさしく扱いづらい物。ガス式グリラーなどが普及するのも頷けます。
 しかし、ガス式のグリラーと炭火では過熱の分類が違います。
ガス式のグリラーの場合、放熱がガス火の輻射熱(ふくしゃねつ)だけであり、それ以上のものはありません。これはこれでいいのですが、炭火の場合は赤外線加熱、というものに区分けされ、輻射熱とは一線を画します。一般的に赤外線加熱の方が火が入りやすく、水分を飛ばさないのでパサつきを抑えられる、と考えられております。
 我が厨房でもグリルパン(溝の付いたグリル用のフライパン)でグリルしていたのですが、加熱の理論を追っていったところ、炭火に行き着いてしまいました。
焼き台を購入し、実践はしたものの、先に書いたように扱いづらいため、長い事日の目を見ることはなかったのですが、まさか、焼き鳥で活躍するとは思わなかったでしょう。焼き台自身も。
 話を戻します。今回、炭は備長炭を使用しました。私の経験則から言いますと、他の炭では燃焼時間が短く、何度も炭を足さなければならなく、炭自体は安くても不経済的。備長炭の方が燃焼時間も長く、火力が安定していると感じました。
 後は焼き方ですが、これは、経験を積むしかないでしょう。ですから、今回の事は勉強になりました。一回で10本しか並ばない焼き台で、初日、150本も焼いたのですから、嫌でも焼けるようになりますよ。
 一連の作業をやっていながら思ったのですが、10代後半の頃、ある事情で鰻焼き職人の人に付いて仕事をしたことがありました。
 割き(鰻を捌く事)、打ち(串打ち)、焼き、と一通り教えていただきましたが、割きは別にしても、打ちと焼きの考え方は鰻も焼き鳥も一緒なのか、と妙に納得した次第です。あの頃教えていただいたのを思い出してしまったくらいですから。

 焼き鳥を買っていただいた方にはとても感謝しております。一生懸命やったつもりですが、反省点が無かったわけではありませんし、反省、改善していかなければならない事は沢山あると思います。それは、屋台だけの事ではなく、自分の店の事も含めて考えたいと思います。
 
 来年はもっとスピーディーに出せるよう努力いたしますので、温かく見守っていただければ幸いです。

 余談ですが、今回の焼き鳥はタレ、塩、の他に、カレー味、オマール海老風味の塩味、というトリッキーなものもお出ししたのですが、塩、オマール塩、カレー風味の順で人気があり、タレはあまり人気がありませんでした。
 残念です。あんなに苦労して作ったのに。しかも、美味しかったのですよ。タレ。
 来年まで寝かせようかな。
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