ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

失敗を恐れてはいけない、そこには学ぶべきものがあるから

2009-07-04 12:49:01 | Weblog
 一昨日、最後のお客様が帰られたのが午前3時過ぎ、それから掃除をしている時、消防車が数台来ている音に気づきました。
 外に出て見ると、近くの居酒屋さんから煙が勢い良く出ており、周りはスモーキーな香りに包まれ、現場近くは騒然となっていたのですが、煙だけで火柱が見えないので「これは、それほどでもないのかな?」と思っているとすぐそばの交差点が封鎖。なかなかの緊張感を垣間見れたのでした。
 私とマネージャーは、途中で帰りましたが、帰ってすぐに鎮火したそうです、良かったですね。
 次の日の夕刊にバッチリ載っておりましたが、

「揚げ物の鍋を掛けっぱなしにしていたら、引火して火柱が上がっていた。」

 との証言から、揚げ物の鍋を掛けたままホールに出て、お客さんとの会話に夢中になっていた、と推測できます。
 夜中の3時ごろに揚げ物を注文するのもいかがかと思いますが、鍋の引火に気づかないほど会話に夢中になっていた、という事は、一緒に飲んでいたのでしょう、そりゃ~火柱も上がりますよ。
 次の日、店に向かう途中現場を確認したら散々な事になっておりました、隣の雑貨屋さん(マネージャーがここの店主と仲が良い)も被害をこうむっておりましたから結構なものだったのでしょう。
 「人の振り見て我が振り直せ」という言葉もあるくらいですから、昨日は、私も火の元には注意しなければ、と思った瞬間でありました。
 余談ですが、以前飲み会で「人の振り見て我がフリオ・イグレシャス」と発言して冷たい視線を浴びた事がありますから注意したいものです。(フリオ・イグレシャスは、スペインの大物歌手です。)

 さて、話は変わりますが、先日、本屋さんに行きましたらある本が目に飛び込んできました。
 「魚の捌き方全集」という雑誌に近い本で、手に取って見てみると、写真がふんだんに使われ、しかも、DVD付き、という至れり尽くせりの本でありました。
 魚の種類もかなりの数が載っており、鯵や烏賊、といった庶民派から、鰻や太刀魚、ミル貝、赤貝、などのマニアック、と言いますか、あまりにも専門的な魚まで登場しており、購買層を「主婦」から「プロ」まで広い範囲で捕らえようとしている本、という事が伝わってきたのであります。
 本の中で実践、指導をしている人が現役の寿司職人の方である事からも「私、飲食店で調理しているのですが、魚の卸し方がいまひとつ分からないんです・・・」といった人をターゲットにしているとしか思えません。
 しかし、私の経験則から言わせていただくと「魚は数捌いて身に付ける」というのが近道なのでありまして、本を見ただけでは分からない事が沢山あります。
 例えば、魚の「内臓」。「うわっ!汚な!」と思い捨ててしまってはそこから何も生まれないでしょう。
 内臓も良く観察してみると色んな事がわかるものです。
 まず、魚のエラを外す時、注意してみると食管と繋がっている事が分かります。つまり、魚の食べ物は、口から入りエラをスルーして食管を通り、胃袋に収まる事が分かります。
 「普通だろ。」そう思うでしょうが、胃袋に食べた魚がそのまんま残っている事から、あまり租借しないで飲み込んでしまう事が分かります。だったら、あの鋭い「歯」何なのか?という事になりますが、それは、まぁ、良しとしましょう。
 胃袋に納まった魚等を、溶かすのは、人間にもありますが「胆汁」です。それを溜めておく袋が「胆のう」で、和食の人たちは「苦玉(にがだま)」と呼んでいる物です。
 それを元に考えると、「胆のう」が小さい時には「胆汁」が出きっている状態なのですから「満腹状態」のうちに釣られた、と考えられます。(魚には満腹中枢がないため満腹でも餌を食べる傾向がある)
 逆に大きい時は、「空腹時」なのではないか、と考えられます。
 どちらの魚が美味しいのか、という質問をされてしまうと

「多分、満腹状態の方が幸せ感を持ったまま逝ったわけですから、そちらの方が美味しい、と考えてあげた方がよろしいかと存じます。合掌。」

 と、「メメント・モリ」チックな回答をするかもしれません。(「メメント・モリ」とはラテン語でして、日本語では「死を想え」と訳されております)

 そんな風に魚ひとつにしても観察してみると勉強になるものです。

 本で魚の捌き方を習おうとするならば、そういう事を念頭に置きながら勉強すると魚に愛着が湧き、身に付く早さが違う、と私は考えます。

 まずは実践して失敗し、そこから何を学ぶか、というのがスタートでしょう。

 すぐにはうまくいきません。なぜそんな事が言い切れるか。

 「女の口説き方」という本を読んでも、すぐに女性を落とす事は出来ないからですよ。

 女性にフラれて何を学ぶか、と一緒だとは思いませんか?










 

 
コメント (2)
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