ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

秋風の名残に吹かれて街を歩き、そして、何かを感じる  其の1

2014-11-27 21:51:29 | Weblog
 それは、急に決まった事でした。
 11月の初め、東京からいらっしゃるお客様とカウンターでお話させていただいている時、「たまにこっち(東京)に来て一緒に食事しないか」と仰っていただき、その流れで11月半ば、正確に言うなら、11月17日(月)と18日(火)の両日、東京へ行く事となったのです。
 久々の研修、という事になるのですが、よく考えてみると前回、東京で「研修」という名の「食べ歩き」をしたのは確か、震災前ですから3年以上行っていない事になります。
 上京前日の夜は「オヤジ料理教室」でありましたから、睡眠時間の確保が難しいのではないか、と思われましたが、大掃除を済ませて帰宅すると深夜3時半くらいでしたので、約3時間くらいは眠れる計算になります・・・残りの睡眠時間は新幹線の為に取っときましょ。
 午前8時過ぎの新幹線に乗り、東京に着いたのは午前11時ちょっと前・・・ホテルに荷物を置き、初日の昼食場所に歩いて行けば約12時、タイムスケジュールはタイトなものになっていたのです。
 初日の昼食は「寿司」であります。新橋駅すぐ脇のビル「ニュー新橋ビル」の2階に「新橋 鶴八」さんという寿司の名店があるのですが、そこから独立された方が同じフロアで「新橋 鶴八分店」を開店されたそうで、その日のお昼は「分店」さんにお邪魔する事となりました。



 余談ですが、元々「鶴八」さんは神保町が本店で、そこからのれん分けを許されたのが「新橋 鶴八」さんです。現在は神保町の親方が引退なされて、違うお弟子さんが継いでらっしゃるそうです。
 今回「分店」さんを開店されるにあたって大親方の許可をもらい「鶴八」の名の許しをもらったそうです。因みに、東京若手寿司屋さんの筆頭と呼ばれている「寿司 しみず」さんも「新橋 鶴八」で修行なされたそうですよ。
 更に因みに、ですが、数年前、「分店」さんではない「新橋 鶴八」さんにもお邪魔した事があったのですが、親方の眼光が鋭く物凄い威圧感に度肝を抜かれました。噂では、江戸前ではないタネ(ネタ。例えば、サーモンやネギトロなど)の寿司を注文すると「親方から習った事がない」と言ってガリを大盛りで出されると漏れ聞きました。お邪魔した時はガリ大盛り攻撃はありませんでしたが、最後は色々お話しさせていただいて大変勉強になった事を思い出します。
 
 余談はそれくらいにして・・・「分店」さんにお邪魔して私とマネージャー佐藤、そして、当店のお客様3人の5人でカウンターに座ったのですが、聞けばその日のお昼は5人で貸切にしてくださったそうです・・・ご配慮、ありがとうございます。
 その話から昼食の始まりです。まずはビールを。そして、つまみに「酒盗」を出してくれました。鯛の内臓を使った自家製の酒盗だそうです。



 分店親方(五十嵐さん)に恐る恐る撮影の許可を聞いてみたところ「店出したばっかりなので広めてください。」と温かいお言葉を頂きました。ありがとうございます。
 そんなやり取りがあり瓶ビールが1本空いたところでお好みで注文です。まずは「平目」。



 「平目」は若干、寝かせた感じもありますが、歯ごたえもあり鼻から抜ける香りに臭みを全く感じません。シャリは固めと言えば固めなのですが、口の中でほろりと崩れるような握りで咀嚼すると米自体の甘さを感じる事が出来ます。
 平目の繊細な旨さ、少し抑え目なシャリの酸、そして、咀嚼後に来る米の甘み、この3つが重なり合う事で成立する美味しさが「寿司」なのだと思わされます。
 続いて「小肌」



 マネージャーは「みる貝」に手を出しておりました。



 「煮蛤」



 「穴子」



 「鮪の中巻」これは、鮪の赤身、中トロ、大トロをカクテルにして巻いてあります。



 最後に頼んだ「胡瓜巻」



 勿論、上記の物だけではなく、〆鯖、車海老、細魚(さより)などなどいただきましたが、どれも素晴らしい握りでございました。

 そして勿論、お昼から燗酒も頂戴いたしました。

 ここから研修の火蓋が切って落とされたのです・・・

 今回は画像が多いので文章は短めだと思うのですが、どうでしょうかね・・・



  つづく


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11月の雨は冷たく寒い。しかしそれは、温かいものを囲め、という啓示なのかもしれない

2014-11-14 22:58:01 | Weblog
 11月に降る雨は雪や霙(みぞれ)にこそなれませんが、その冷たさは身体の芯を凍えさせるには十分すぎるほどで、身体ばかりか心の温もりさえも静かに奪っていきます。「November Rain(ノーヴェンバーレイン)」という曲の中でガンズアンドローゼスは「愛のローソクを灯し続けるのは難しいんだ、この冷たい11月の雨の中では・・・」と歌っておりましたが、これから年末に向けて、売り上げアップするのも難しいものですよ、とひとり呟いてしまう今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 昼は小雨で空がどんよりし、夕方は暗くなるのが早く、しかも「寒い」とくると気分的に滅入ってしまうものです。その気分的にダウンな作用は目、肩、腰、に来るため、何か明るく、そして温かくなるものを人は欲してしまいます。
 凍えた身体、暗くなった心を優しく解きほぐし、内部から温める北斗神拳的なもの、というと「食事」というキーワードになってしまいますが、その「食事」でも先の条件を満たす食事はどう考えても「鍋」しかありません。
 先日、山形のフリーペーパー系コミュニティー新聞の特集では「読者が選んだ鍋ランキング」というのがありましたが、その順位と鍋内容は「これはブログネタにするしかないな」と思わせる思わせるものでありました。
 まずはその順位と鍋内容を見てみましょう。(ランキングはベスト20までありました)

・1位「キムチ鍋」 ・2位「寄せ鍋」 ・3位「すきやき」 ・4位「豆乳鍋」 ・5位「もつ鍋」 ・6位「トマト鍋」 ・7位「水炊鍋・ちゃんこ鍋」 

・9位「豚しゃぶ・たらちり鍋」 ・11位「アンコウ鍋」 ・12位「鶏団子鍋・ミルフィーユ鍋・チゲ鍋・おでん・きりたんぽ鍋」 


・18位「芋煮鍋」 ・19位「湯豆腐」 ・20位「ワイン鍋」

(やまがたコミュニティ新聞 2014 11月14日号より引用)

 
 このような結果です。(山形の読者が選んだ、という事ですので全国的ではないと思いますが・・・)
 私がこの結果を見てまず驚いたのは、1位の「キムチ鍋」の得票数が「208票」に対して、2位の「寄せ鍋」は「38票」でぶっちぎりの票差だった事であります。
 日韓関係の冷え込みを鍋で温めて・・・などという思惑があるのかは不明でありますが、そんなに「キムチ鍋」なんですね、山形の人は。
 しかし、こうしてランキングを見てみると新興鍋の割合が多く、中にはネーミングで判らないものもあります。例えば「ミルフィーユ鍋」や「ワイン鍋」は一瞬戸惑いさえ覚えてしまいます。
 「ミルフィーユ鍋」はよく考えると、白菜と肉を重ねたものを鍋にしているのではないか、と推測されますが、なぜに「ミルフィーユ」なのか?別に「重ね鍋」でもいいと思いますし、もっと趣があるように命名するのであれば博多帯の模様から取って「豚肉と白菜の博多鍋」というのもいいのではないでしょうか。
 因みに、「ミルフィーユ鍋」と同じ順位の「チゲ鍋」の「チゲ」は韓国語で「鍋」を意味しますから「鍋の鍋」で主食材や内容が判りません。「フラダンス」や「サルサソース」も意味が被っている仲間です、気を付けたいものですな。
 そして、18位の「芋煮鍋」。これは普通に山形の「芋煮」でしょうから、今更「鍋」扱いするのもいかがかと思われますが、仮に芋煮を「鍋物」に昇華させるのであれば、作り方を厳密にしなければなりません。
 例えばこうです。まず、皮付きの里芋の天地(両端)を落とし、六方に皮を剥きます。(上から見ると六角形になるように剥く事)その里芋を米のとぎ汁で茹でこぼしザルに切って水で晒します。牛骨と昆布、葱の青い部分を弱火に掛けて3時間煮出し、最後に追い鰹して濾したものをだし汁とします。濾しただし汁を鍋に移し、淡口醤油、塩で味を調えます。そこに先ほどの里芋を入れて弱火に30分ほど掛け、その後、5センチほどに切った長葱、穴をあけて手でちぎり湯通ししたこんにゃく、も鍋に加えます。
 里芋、こんにゃく、長葱に火が入ったら、すきやき用にスライスされた牛肉(山形牛ロース肉)を鍋の中でたなびかせて火を通し過ぎないタイミングで食し、ほどなく里芋なども食べる、という「鍋」はどうでしょうか。
 パンチが欲しい方は新潟の唐辛子味噌「かんずり」を少しだけ加える、という手もあります。これなら「芋煮鍋」として提案できるのではないでしょうか。
 「そんな面倒な事出来ません!鍋だったら気軽な方がいいんです!」そのような事を言われてしまう恐れもございますが、鍋や焼き肉などの複数同席形式の食事、略して「複同形式」の食事の場合、その「気軽さ」が落とし穴になる場合が少なくありません。
 当ブログでは何度となくその話題を取り上げてきました。その度に「複同形式」食事の難しさと厳密さを訴えてきたのです。その結果、昔一緒に飲んだ女性に「藤原さんのブログ見ましたけど、一緒に焼肉とか行くとめんどくさそうですね(笑)」と言われてしまいました。
 確かに私は「複同形式」の食事の場合、仕切ってしまう傾向があります、いや、仕切ります、完全に。しかしそれは、鍋でも焼肉でもベストな状態で食べてほしい、という願いと共に、「複同形式」食事を軽んじてはならない、というメッセージであります。
 中途半端に煮込まれてしまった牛肉スライスが放置されている「すきやき」、ガチガチに火が入り過ぎて旨味が抜けきってしまった鶏団子が浮いている「鶏団子鍋」、鮭の身が崩れてしまい散乱している「寄せ鍋」、タレものの後に焼いてしまったため焦げたタレが付着している「塩タン」、網に乗せるだけ乗せて話に夢中になり焦げている「カルビ」、こんな場面、許されるのでしょうか?私は許せません。火の入り過ぎた野菜は許しましょう、それはそれで甘みが出るのでそこを問題とはしません。しかし、主素材に関しては厳密に対処したいものです。
 
 そんなめんどくさい私ではありますが、「複同形式」食事では女性や同席者には調理させたりサーブさせたりしません。つまり私が全て仕切りますから同伴者はめんどくさくないはずです。

 ただ、問題があるとすれば、自分の分を調理できない、という事くらいでしょうか。

 しかし、それはそれでいいんです。

 全て終わってから飲みに行けばいいんですから。

 そうなると・・・仕事ですな・・・

 確か、この終わり方、芋煮会の話の時もそうだった様な・・・

 ん~、複同形式の場合は仕方がないでしょうな。

 譲れないんですからね。





























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日仏の飲み物とBGMの違いは女性の気持ちの違いでもある

2014-11-13 23:13:08 | Weblog
 寒さが増し、気持ち的に初降雪の準備が出来てくると「秋」という言葉は完全に忘れ去ってしまい、気持ちも、そして、行動さえも「冬」になってしまいます。今まで冷たい飲み物を飲んでいた人は温かい飲み物を飲むようになり、食卓には鍋の登場頻度が高くなり、孤独に苛まれた人は熱燗を頼む・・・そんな今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 心の中からどこか上擦って(うわずって)いた「秋」が去ってしまい、代わりに寒さを携えた白き哀愁の「冬」がやって来ると頭の中でこんなフレーズが浮かんできます。

「あなた変わりはないですか。日ごと寒さがつのります・・・」

 そうなると、燗酒が欲しくなる、というものですが、なぜ、燗酒(熱燗)と演歌はワンセットになり、そして、それが揃い、そんな状況に身を置いてしまうと人は遠い目をしてしまうのでしょうか。(しない人もいますが、そういう人は相当酔っ払っている、という事で)
 そして、「燗酒」「演歌」にプラスして「煮込み」も登場してしまうと「アイキャントストップ・ザ・ロンリネス」な状況は一層増して、人は過去の話をしだしてしまうのです、危険ですな。
 それは決して「燗酒」のせいではなく、聴覚的サブリミナル効果と思われる「演歌」が原因ではないか、と常々思っていました。それは演歌の歌詞を読むと判る事です。
 では、先ほどの歌詞フレーズの続き、つまり、都はるみさんの「北の宿から」の歌詞を読み、そこから何が見えるか考えてみましょう。


       「北の宿から」


あなた変わりはないですか

日ごと寒さがつのります

着てはもらえぬセーターを

寒さこらえて編んでます

女ごころの 未練でしょう

あなた恋しい 北の宿

(歌ネットより引用)


 歌詞の1番だけでも悲哀が押し寄せてきますが、2番の歌い出しは「吹雪まじりに汽車の音、すすり泣くよに聞こえます」、3番の歌い出しは「あなた死んでもいいですか、胸がしんしん泣いてます」と段階的に上がってくるのが判ります・・・阿久悠先生!流石ですな!
 この歌詞から考えるに、「恋に破れた女性がまだ未練が残る彼の為に、贈る事の出来ないセーターを傷心旅行先である東北地方の旅館で編んで想いを馳せいている」となるはずです。
 そんな歌詞をAマイナーと思しきメロディーに乗せて歌われ、燗酒のお代わりを聞かれ、目の前に煮込み(この場合、モツやスジ肉などが好ましい。一味唐辛子も添えていただきたいものです)が置かれてしまうとハッピーな気持ちになれる人はいないでしょう。
 しかし、それが「ワイン」と「煮込み」、そして、「シャンソン」となると、摂取するものは似たようなものでも「悲哀」のようなものは感じられず、なんだか「あっけらかん」とした陽気さを感じ取る事が出来ます。
 仮にそれが同じ「冬」だとしても「ワイン」「煮込み」「シャンソン」の組み合わせは「アイキャントストップ・ザ・ロンリネス」な感情は湧き上がって来ません。
 それはやはり「シャンソン」に鍵があります。では、日本で最も知られているシャンソンと言っても過言ではない越路吹雪さんの「ろくでなし」の歌詞を読んでみましょう


      「ろくでなし」

古いこの酒場で たくさん飲んだから

古い思い出は ボヤケてきたらしい

私は恋人に捨てられてしまった

人がこの私をふだつきと云うから

ろくでなし ろくでなし なんてひどい アーウィ!

云いかた


(歌ネットより引用)

 何だかヤケになってますな。しかも酔っ払ってそうです、歌詞的に。
 この歌詞を読むと憎めない可愛い女性を連想する事が出来ますが、飲みすぎて問題を起こしてしまったために恋人に捨てられたのではないか、ということも考えられます。「北の宿から」とは全く対照的と言ってもいいでしょう。
 しかも、歌詞の3番では

コーヒーが湧いたら かげ口を聞かれて

それでもこの街が一番きれいだワ

とりあえず好きだけど お別れよサヨウナラ

鳥のさえずりに 送られて出てゆこう

(歌ネットより引用)

 と流浪癖まで披露しています。「この街にはいい男はもういない。次の街で見つけるか」という意気込みさえも感じられます。
 こんな歌詞の歌が流れ、それほど重くない赤ワインと煮込み(この場合、トリッパ、つまり、牛の第2胃であるハチノスの煮込みが好ましい。一緒にパンも頂きたい。白ワインでも可)を飲み食いしてしまうと、酔いに任せて踊ってしまうくらいの気持ちが出る、というものでしょう。

 「演歌的飲み」と「シャンソン的飲み」この対照的な状況の共通するところは、どちらも「男と別れた」という事柄が起点となっている、という事でしょう。
 どちらがいいか、は人それぞれだと思いますが、どうせなら「どちらの状況も選ぶ」というダブルチョイスでもいいのではないでしょうか。

 しんみり演歌で始まって、シャンソンでハジける、という「燗酒→ワイン」の暴挙的飲みコースも悪くありません。

「だったらこの主人公的立場である女性はどうしたらいいんですか!」

 そうですねぇ、とりあえず、涙こらえてセーターを編んでみて過去の男の事を思い出して大笑いし、そのセーターを切り刻んでからワイン飲みに出掛けてみてはどうでしょうか。

 因みに、只今、当店には「トリッパの煮込み」がございます。

 シャンソンは・・・マネージャーに、歌ってもらいましょうか。




















 
 
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「新たな始まり」を考えると、またいつもの話になる。

2014-11-11 21:12:28 | Weblog
 夜中、帰宅する時に吐く息は白く煙り、空に浮かぶ月に息を吹きかけると雲が掛かっているような様子になり、それを見ながら鼻から空気を吸い込むと鼻の奥がツンとし、鼻の頭が冷たくなるのです。それが「初冬」の合図ではないかと思える今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 今日は「11月11日」で「1並び」の日でありますが、ただ「1」が並んでいるだけで特別な日のように思えるのは、「13日の金曜日」に何か恐ろしい事が起こるような気がするのと同じであります。
 しかし、「1並び」の日は1年に1度しかありませんから「特別」だと思い込むのは致し方ないでしょう。いや、この際、「11月11日」を「特別な日」に認定し、そこから何か考えてみようではありませんか。(強引)
 「11月11日」は数字だけを表記すると「1111」で何かの始まりを示唆しているようでありますから、「新たな始まり」として考えてみましょうか。
 「新たな始まり」、と言われてもピンとくる人がいないのは判っています。なぜなら私も同じでありまして、これからどうやって話を引っぱっていこうか考えながらキーボードを叩いている状態なのであります。(行き当たりばったり)
 「新たな始まり、だったら新しい料理でも考えたらどうですか?」そのようにご提案くださる方も中にはいらっしゃるかも知れませんが、「新しい料理」、なかなか難しいものです。
 「新しい料理」の理想は、新たに作ろうと思って作った料理ではなく、主素材の的確な調理法を考え、それに付随する付け合せやソースなどのパーツを考え抜いて合わせたひと皿が「新しい料理」になった、というものではないでしょうか。
 「新しい料理」の為の斬新な組み合わせや「新しい料理」の為の奇抜な盛り付けなどは意味を成しません。「考え抜いて作ったらそうなってしまった」というのが自然で、且つ、理想的な「新しい料理」と言えるでしょう。
 しかも、その「新しい料理」は店の料理として定着し、お客様からも支持されなければなりません。「新しい料理」を1回作って満足し、それで終わり、などというのはただの思い付きでしかありません、気を付けたいものです。
 「そんな事どうでもいいから、新たな始まり、の話をしろ!」そのように急かされてしまうと、手を前で組み、そして、その組んだ手を上げて背伸びをしてほんのちょっとだけ気合いを入れてしまいますが、その通り、「新たな始まり」なんでしたな、考えるのは。
 「新たな始まり」はやはり「アルバイト募集」という「新たな始まり」なのではないでしょうかね。(またこのパターン)
 何気にアルバイトを募集しているのですが、広く募集していないからでしょうか、全くアルバイトをする人がいません。
 稀にですが、マネージャー佐藤が「ドンキー佐藤」氏としての仕事がある場合、店を休みにしなければならず、かといって、私がひとりで店を回す一人体制、話題の「ワンオペ」は厳しすぎます。
 そんなわけでゆるーくアルバイトを募集しているのですが、私が「新たな始まり」ではなく、アルバイトで入った人にとっての「新たな始まり」であります。
 では、ここでアルバイトをする人の為に当店で働いた場合のプラス面とマイナス面をまたまた考え(このネタは何回かしています)、当店でアルバイトするご提案をしたいと思います。

  ・プラス面

・料理やワインを覚える事が出来る。(これが仕事ですから覚えていただくしかありません。学生の方の場合、料理やワインを覚えておくと社会に出てからだいぶ役に立つかと思われます)

・まかないが食べれる。(当店には麺物以外認めない人が若干1名おりますが、新たに入った方のためにキチンとしたまかないを作りたいと思いますし、私もそういうまかないが食べたいのです、本当は)

・いろんな方と知り合いになれる。(フランス料理店にはいろんな方がご来店します。そんな方々とお知り合いになれるのは素晴らしい事だと思いませんか。稀に、遅い時間に来てカウンターで眠りこける人もおりますが、その場合、良い出会いありませんから記憶から消去してください)

・歓迎会をしてもらえる。(アルバイトでも歓迎会をします。しかも、何回も歓迎会をしますので逆にマイナス面かも知れません)

・料理やワインを味見できる。(希望すれば何でも味見できます。それも仕事のひとつですな)


 と、こんなところでしょうか。過去のアルバイトの方々は「フランス料理店ならではの緊張感」を口にしておりましたが、それは仕方のない事です。私だって微妙にプレッシャーを感じる事がありますから。
 では、マイナス面はどうでしょうか?あまり書きたくないところでありますが、全てをさらけ出した方が納得してアルバイトできるのではないでしょうか。


  ・マイナス面

・私とマネージャーの話について来れない。(時として、二人で話が盛り上がってしまい、置いてきぼりにする時があります。稀にお客様がいるカウンターでもそのような時がありますから反省しなければなりませんな)

・まかないが大盛りである。(マネージャーがかなり食べますのでそれに合わせて作ると大盛りになってしまいます。これはマイナス面でしょう)

・仕事が緊張する。(先ほども記しましたが、緊張感のある仕事です。その辺は諦めてください)

・オヤジギャグを聞かされる。(時としてマネージャーが炸裂させます。その場合、ウソでもいいから笑ってください。世渡り上手になるための訓練だと思えばプラス面ですよ)

・仕事で失敗した事を飲み会の時ネタにされてしまう。(これも仕方ないと思うのですが、失敗してなくても飲み会のネタにされてしまう可能性がありますから気を付けてください)

・賃金が安い。(最低賃金は守りますが、能力制になりますから期待しないでください)


 こんなところでしょうか。
 
 料理やワインの事は徐々に覚えれると思いますが、それよりも店に慣れる事の方が大事ではないでしょうかね。

 今回の募集はホールでのサービスの仕事を主としたものですが、厨房での仕事は・・・考えた方がいいですよ・・・

「それでも厨房の仕事がしたいです!」

 それくらいの意気込みがあるのであれば・・・前向きに検討します。

 ん~、そんな事を書いていたら、私もバイトしたくなってきました。

 いや、それをやったら死んでしまうな・・・でも、死を覚悟でバイトしてみる、っていうのも・・・

 やめときます。























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