ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

8月最後の日は野菜を食べ尽くせ

2010-08-31 20:55:22 | Weblog
 今日、8月最後の日である「8月31日」は、誰が決めたのか「831(ヤサイ)の日」だそうですが、事前に知っていた人はいるのですか?と問いただしたくなる今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 8月31日で「ヤサイの日」であるのは理解しましたが、「野菜に敬意を払う日」なのか「野菜をもっと食べようの日」なのかは不明であります。まぁ、普通に考えたら両方ですな。
 これが「7月31日」だったら「731部隊の日」になって大変な日になってしまうわけですが、その辺は割愛しておきましょう。
 当店の賄いでは私を含め働いている人間の平均年齢上昇に伴い、意識的に野菜を多く摂取するようにしておりますが、最後のダメ押しで、1日の野菜推奨摂取量350g摂れる「野菜ジュース」を飲んでおります。
 実物の野菜と野菜ジュースのダブル効果で健康になり130歳くらいまで生きられる勢いだけは摂取しておりますが、それ以上にアルコールを大量に摂取しておりますから総合的にはマイナスなのではないか、と勝手に判断し、毎晩刹那的に飲酒している次第です。(ウソ)
 野菜ジュースは簡単に飲めて健康的に思えますが、冷静に考えると主成分しか摂れませんから、どこかで野菜繊維質を摂らなければ帳尻が合わないはずなのです。
 ですから私は、野菜ジュースと根菜類、野菜ジュースとキノコ類、のように繊維質を組み合わせるようにしております。因みに、野菜ジュースとウォッカを合わせると「ブラッディー・メアリー(血塗られたメアリー)」ならぬ「ビューティー・ブラッディー・メアリー(サラサラしたきれいな血のメアリー)」となるのではないか、と勝手に連想してしまいました。
 しかし、野菜ジュースに合わせる根菜類とは何か、というのを真剣に考えるとなかなか興味深いものになってきます。
 トマト含有率が多いと考えられる野菜ジュースに根菜類が多く配してある「筑前煮」又は「ガメ煮」のような伝統系根菜煮物は違和感を覚えるでしょうし、里芋大量投入の山形名物「芋煮」も野菜ジュースとのマッチングは決して良いとは言えません。
 それを考えると醤油風味を排除し、バター又はオリーブオイルで構成する根菜料理にしてしまうとダブル野菜摂取計画を遂行できるのではないでしょうか。
 例えば「牛蒡(ごぼう)」。キンピラごぼう以外は牛蒡を食べません、と自慢げに吐露する方もいらっしゃると思しきこの野菜は、和物根菜の代表格になっておりますが、西洋では「サルシフィ」とお洒落なネーミングで活躍しております。
 もっとも、「サルシフィ」は日本牛蒡界の骨太野郎「堀川牛蒡」のように太めでありますが。
 まぁ、その辺は気にせず調理していきましょう。まず、牛蒡をたわしで洗い、ピーラーで薄く皮を剥いていきます。
 牛蒡の長さを人差し指の第二間接半くらいの長さにカットし太ければ縦に4等分にして全体の大きさを揃えます。
 牛蒡を鍋に入れ多めに水を注ぎ、振るった小麦粉、塩、ヴィネガーを加えて火にかけます。小麦粉を加えるのはアクを取るためですからほんの少量で構いません、加えすぎるとドロドロになってしまいます、気をつけたいものです。
 30分茹でてからザルにあけて冷ましておきます。フライパンにバターを落とし火にかけます。バターが溶けてきたら牛蒡を加えソテーし、みじん切りにしたエシャロットを加えます。(エシャロットがない場合、ニンニクと玉葱のみじん切りで代用。その際、ニンニクを入れすぎるとガーリッキーになりますから気をつけましょう。ニンニクが好きな人は大量に入れて構いません)
 エシャロットにも火が入ったら白ワインを入れ生クリームを入れます。塩コショウで味を調え、最後にレモン汁を少し投入し味全体を引き締めたらみじん切りにしたパセリを加え大きく混ぜます。
 皿に盛り付けて完成ですが、そこにソテーした豚肉などを一緒に盛り付けるとメインとしての一品に昇格して牛蒡はガルニチュール(付け合せ)という新たなポジションをゲットする事になるでしょう、それはそれでいいではないですか。
 前菜のサラダは千切りにした人参をヴィネグレット(ドレッシング)で揉むようにして和えた「人参のサラダ」、わざわざフランス語に訳すならば「キャロット・ラペ」でダブル根菜類をゲットできるでしょう。

 それならば野菜ジュースは違和感なく溶け込めるのではないでしょうか?

 えっ?!お前はいつもそんな賄いを食べているのかって?

 気持ち的にはそれくらいのものはありますが、現実的には・・・

 冷蔵庫にある野菜などを炒めてブイヨンを加えパスタのソースにして入るくらいですよ。

 それが一番簡単ですし、それに・・・

 痛んだ野菜もごまかせますからね。

 通称「ゴミ箱パスタ」ですよ。

 言葉は悪いんですけど、美味いんですよ、混沌としていて。








 
 
 
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「ご自由に」の意味を履き違えてはならない

2010-08-29 17:54:27 | Weblog
 「残暑」という言葉では括れない(くくれない)夏の暑さという名の亡霊に苦しめられているような今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 毎日ジリジリと照る日差しと熱気によどんだ空気が日中を支配しておりますが、このような気候が9月過ぎまで続きますと心配になる事はひとつ、「山形大芋煮会」であります。
 「山形大芋煮会」、いや、正式名称は「日本一の芋煮会フェスティバル」というこの催し物は、6メートルの大鍋で3tの里芋、約2tの牛肉、700リットルの醤油などを使って莫大な量の芋煮を完成させるギネスブック的な芋煮会であります。
 この量ですから「日本一」という名を冠しているのも頷けますが、冷静に考えると、他に芋煮会をする県が殆どありませんから、自動的に日本一になってしまうのではないでしょうか。
 そんなドデカイ鍋を火にかけて芋煮会をこの猛暑の中遂行してしまうと鍋の周りにいる方は皆、熱中症になってしまうのではないか、と心配しているのであります。
 しかも、その中のイベントとして「大鍋宣隊イモニレンジャー」ショーが執り行われるそうですから、イモニレンジャーの仮面とスーツを身に纏っている人は灼熱地獄と言うものでしょう、心中お察しいたします。
 因みに、「イモニレンジャー」とは、秋口になると河原で芋煮の鍋を囲む「芋煮会」の時期に出てきて河原をごみで汚す悪の組織「スダラガス」を玉砕するべく立ち上がった5人の勇者たちの物語であります。
 「なぜ悪の組織が河原をゴミで汚すのか?」「河原のゴミで迷惑しているなら市役所河川管理課に相談するべきではないのか。」などの大いなる疑問は残りますが、「スダラガス」の兵隊「ポイポイダー」をなぎ倒し、悪の怪人「アベズ」をやっつける「イモニレンジャー」、期待しております。余談ですが、悪の怪人「アベズ」のプロフィールには、「得意技、誘拐」と載っておりました、笑って良いのか悪いのか判断に困りますので是非ともご再考の程を。(「アベズ」とは、山形の方言で「一緒に行こうよ」とねちっこくねだる事を指します)

 さて、話は変わりますが、大分前に、とある方からお誘いを受けて某ホテルで開催されたビアパーティーに参加してまいりました。
 ビアパーティーという場なのにワインを所望して飲んでいた私たちは適度に盛り上がったのですが、ブッフェスタイルの料理を取り皿に乗せながら「食べ放題、という料理形式は難しいな。」と思った次第でした。
 料理の味が画一的になりがち、というのもあるのですが、食べ手が皿に盛りすぎて一皿の味がごちゃ混ぜになってしまう、という問題もあるからです。
 私の隣で料理を取っていた人は一皿に「酢豚」「シュウマイ」「ローストビーフ」「カルパッチョ」と冷製から温製までを詰め込み、皿の中がカオス状態になっておりました。
 蓋付きのプラスティック製食品容器(「タッパー」というと判りやすいかもしれませんが「タッパー」は「タッパー社」の食品容器を指します)を持ち込む人がいないだけでもモラルをキープしているな、と思いましたが、稀にそういった方がいらっしゃる、と聞きました、気をつけたいものです。
 「食べ放題」と聞いただけで「元を取ろう」と考える方が未だにいらっしゃるのかもしれませんが、人間、食べれる量は決まっております、急がずに食べましょうぜ。(稀に例外な方もいらっしゃるでしょうが、それは少数派、という事で)
 「ご自由にお取りください」と書かれてある言葉をそのまま鵜呑みにして好意で陳列してある物を大量に持ち帰る方もいらっしゃると聞きました、残念です。
 時々、同業者でスーパーのキッチンパック(ビニール袋)を大量に持ち帰り、店で使っている、という人も漏れ聞きました、そちらも残念です。
 「ご自由にお取りください」の「ご自由」の意味を履き違えてはいけません、「ご自由に・・・」の真意は「そちらのコーナーに従業員がおりませんのでお客様のご判断でお持ち帰らりになり、お試しいただき、お気に召しましたら幸いです。」なのではないでしょうか。
 
 私は何も、食べ放題で食べ散らかした事がない、持ち帰っていいとされるものを沢山持って来た事はない、などと言うつもりはありません、若い頃はしてきました。

 しかし、今は曲がりなりにも飲食店の経営者で料理人でもあります。

 料理人の前に一社会人でもあるわけですから気をつけなければならないとは思いませんか?

 同業者の皆さん。 










 
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夏の終わりを想いながら家庭で調理する男の話

2010-08-28 12:55:29 | Weblog
 暑かった夏が儚く終わろうとしている事に気付き、秋への扉を開くのに少し躊躇い(とまどい)すら感じてしまう、そんな普段使わないような文章が出てきてしまうような8月も終わりに差し掛かっている今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 もうすぐ9月ですが、秋の気配を全く感じさせないところが「ストップ!温暖化!」のCMに繋がっているのでしょうか?どこまでエコればいいのですか。
 今回のブログを書こうとしてネタを探している時に浮かんだのが、来月で当ブログを開設してから4年にもなるという事でした。
 そんなに長い期間何を書いていたのか当の本人が思い出せないくらいですが、開設当時は確か「写真を載せて軽く文章でも・・・」というものだったように思います。
 しかし、自宅と店の往復で大した写真が撮れない事が自分の中で判明してしまった瞬間、ベクトルは文章の方に移行していき、しかも、キーボードを打つのが苦にならなくなった、いや、楽しくなったというのも加味して現在の長文化ブログになっていったのだと思います、多分。
 4年の間に当ブログを読まれている方から直接「読んでいます。」というお言葉を頂いたりコメントから「楽しく拝見しております」といったお言葉を頂く一方、コメントで「どうせ料理本から書き写したのだろう」「自慢?」などの色んな意味で心躍るようなお言葉を頂いたりもしました。
 賛否両論おありでしょうがどちらのご意見の方も私にとっては大事な閲覧者様でありますから心して読ませていただいております。勿論、否定的なご意見を頂きますと、私も人間ですからショックを受けますが、これも世の中、しょうがないですな、と思えばそれはそれで現実として受け止める事ができます。意外と否定的な方が閲覧数を伸ばしてくださっているのかもしれませんしね、逆に感謝しなければならないのか?
 
 最近、どうしたのか、仕込みやその他で忙しく更新する機会が減ってしまいましたが、これからも当ブログを続ける所存ですのでこれからも何卒よろしくお願いいたします。

 さて、話は変わりますが、よくいただくご質問に「家でも料理はするのですか?」というのがあります。
 その話は何回か当ブログにも書きましたが、日ごろ自分の家庭に貢献していない事を懺悔して休みの日は私が料理をして家庭奉仕する、という自戒にも似た心で挑ませていただいております。
 家庭の話題に付いていけないので台所に逃げ込む、という考え方も否定できませんが、気が付くと何か作っていますよ、休みなのに。
 しかし、どうしても自分基準で作ってしまうため、夜に飲むアルコールの種類で料理内容が決定する、自分勝手な家長的思想がモロに出てしまったりしております。
 例えば暑い日、ビールは外せません、しかし、泡物を通して飲めるほどビーラー(ビール好きの人をこう呼びませんか?)ではありません、となると、流れは自然と「白葡萄系の冷たくしたら美味しいもの」となるではないですか。
 そうなると話は早い、すぐに酒屋さんへ。しかし、これからが本当の考えどころです。

「白ワインを1本取って、と。待てよ、赤ワインも飲みたくなった時、酒屋さんが閉店してるだろう、という事は、赤ワインを1本取って、と。いや、待てよ、今日の俺の体調、良くないか?足りない、などという事になった時、そのフラストレーションは計り知れないものですよ、そうなる前に予備として1本追加しておく必要があるな、どうせならもう1本、4本というのも半端な数だから全部で5本、おっ、いいね、片手の指の数だけワインがある、何かいい感じ!」

 そんな事を思いながら結局5本もワインを買ってしまう男はダメなヤツですよ。

 そうなると料理は洋物に決定されます。

「前菜に魚介系だな、烏賊が安いな、サッと炒めるか・・・確か冷蔵庫にオリーブの残りがあったな、それと野菜室にトマトの熟したヤツが取り残されてたぞ、という事は、烏賊とオリーブのフレッシュトマト炒め、いいね、白ワインに合いそう。メインの肉は何にするか、鶏の手羽元が安いな、煮込むか、いやいや、待てよ、手羽元は手で食べる事になるな、するといちいち手を拭いてワイングラスを持たなくてはならないではないか、よし、却下。だったらハンバーグにするか、ハンバーグならみんな納得するしな、よし、それにしよう、確か冷蔵庫に飲み残しの半端な赤ワインがあったな、それを煮詰めてソースのベースにするか、待てよ、だったら煮込みハンバーグにしてしまえばオーブンに入れる手間が省けるな、という事は、順番として、ハンバーグを仕込み成形しリソレ(強火で表面を焼く)して取り出し、フライパンを赤ワインでデグラッセ(フライパンにこびりついた肉の旨みをワインなどで洗い溶かす事)してから赤ワインと砂糖を足して煮詰め、デミグラスソース(缶詰)を加えてハンバーグを戻し、煮ている間に烏賊のソテーを作り、皿に盛りつつ、メインのガルニチュールの野菜をボイルしながら・・・」
 
 どうですか、こんな事をブツブツ言いながら買い物している男は。1回、気が付いたら警備員に後を付けられていた事がありましたよ。何もしていませんぜ、ただ買い物が特殊なだけですよ。

 このようにして休みの後半は過ぎていきます。

 ですから、先の質問にお答えいたしますと

「料理人が全員とは言いませんが、料理はします。特に私はします、いや、させていただいております。」

 となります。

 最後に、「ワイン5本買って、どうしたの?」という疑問を抱かれている方がいらっしゃるかもしれませんのでここに告白させていただきます。

 流石に5本を一人で飲める人はいないでしょう、それは飲みすぎです。

 私もそんなに飲めません。

 3本しか。







   
 
 
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ヴードゥーのような儀式、それは野生の法則か

2010-08-26 21:57:29 | Weblog
 2日ほど前、とある方から電話があり、「今から『ブツ』を持って行くのでよろしくね。」と一言だけ残し電話を切られてしまいました。
 勿論、「ブツ」と発言したのではなく、その物の名前を仰ったのですが、私にとっては「ブツ」と同じくらいの驚きを持ったのでここではそう表現しております。
 「えっ?!この時期に?」「なぜ故に?」「どうやって入手したのか?」色んな想いを巡らせている時にその方はその「ブツ」をクーラーボックスに詰めて持って来ました。
 その方のお知り合いの方が北海道に居りまして、大変な思いをしてゲットしてくれるその「ブツ」は、「蝦夷鹿」というものです。
 
「い、今・・・いいんですか・・・時期的に・・・」

 恐る恐る質問してみると

「2歳のオスだそうです。」

 と、全く噛み合っていない会話になってしまいましたが、それはそうと「大丈夫なのでしょうか?」という気持ちになってくるものです。
 よく聞いてみると色んな要素が絡み合った人間界と自然界のせめぎ合いと言いますか、山村ならではの問題、と言いますか、あるんですな、色々と。
 ザックリと説明しますと、
 
 あるところに、下山した熊がトウモロコシ畑に出没してトウモロコシを食べ荒らしていたそうな。村人はその熊を退治したいと願ったがそうもいかない事情があって手を焼いていたそうな。そこで増え続けている蝦夷鹿を生贄にしようと調整捕獲が始まったそうな。しかし、調整捕獲してみると多めにハントしたんじゃと。「おい、はっつぁん(仮名)、半分余ったんじゃが、お前んとこの知り合いにフランス料理屋がおったじゃろ、送ってやったらどうじゃ。」、「おお、そうじゃの、ほいじゃ、いっちょ、連絡するかの。」

 そんな経緯を経て、店にやって来たのですな、蝦夷鹿よ。(上記の話には一部、いや、結構、いや、大分フィクションが含まれています。個人、団体名、方言などは架空のものです、ご了承ください)

 この蝦夷鹿を撃った方とそれを持ってきてくれる方とは「手に入ったら店で使わせてください。」という契約に似た暗黙の了解がありますから、勿論、この蝦夷鹿は「頂いた」というものではなく、「購入した」ものです。
 部位としましては「もも肉」「ロース肉」の両方ありますが、流石に私は「ロース肉」をカルパッチョで出す、という冒険をしないチキン野郎でありますから、仮に「おい、刺身で出せ!」と凄まれてもお出しする事はないでしょう。
 肉の状態は物凄く良いのです、生で食べれなくはないでしょう、いや、ニンニクとオリーブオイルを利かせてカルパッチョ、などの生系で食すのも美味しいでしょう、しかし、完全ではないにしろ「野生」が入っているものですから私はお勧めいたしません。
 未だに暑さが残りますが「ロティ(ロースト)」したものも美味しいものです。ポルト酒、赤ワイン、コニャックを駆使したソースで食べていただきたい。
 その場合は、やはりボルドーの重めの赤ワインで口の中を洗い流し、その赤身の中に潜んでいる血の香りを堪能していただきたいものです、それは正に「野生の証明」。
 
 蝦夷鹿肉は入荷したばかりですからガンガンお出しできます。

 子牛とフォワグラのテリーヌを前菜に、メインを蝦夷鹿のロティに、〆のデセールは濃厚なチョコレートのムースとフランボワーズのソルベで、如何でしょうか?

 売切れ次第終了となります。

 と、煽ってみましたが、どうです?







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デザートという武器を手にし攻め入るのだ

2010-08-25 20:44:00 | Weblog
 当店では、ちょっとだけアルバイトさんを募集しているのですが、本当にちょっとだけなのでなかなか見つからないのが現実であります。(当然ですけどね)
 アルバイトを探してます的な人に声をかけても「フランス料理は緊張しますから・・・ちょっと・・・」と体良くお断りされるのがオチでありますが、フランス料理でなかったらOKなんでしょうか?軽く疑問です、というか、私に緊張しているのでしょうか?怖くないですよ、見た目ほど。
 それでも忙しい時に臨時でアルバイトを頼んで働いてくれる人がいるので助かっているのですが、稀に厨房の冷蔵庫に無数に張ってあるデセールのルセット(デザートのレシピ)を見て「書き写してもいいですか?」などと挑発的言動を発する人がいます、シブがき隊の歌だったら「挑発∞(無限大)」ですぜ。
 「書き写してもいいですか?」と軽く言ってくれるのも挑発的ですが、ルセットは全てフランス語で書かれているため書き写しながら「これってどういう意味ですか?」などといちいち聞いてくるのもなかなかのものであります。アルバイトでなかったらブチ切れものです。
 大抵、書き写したがるのは「ガトーショコラ」なのですが、ナメられたものですぜ、「ガトーショコラ」も。
 仕込んでいる姿を見ると簡単に見えるのでしょうが、一つ一つの作業をしっかりしなければなりませんし、確実にエマルジョン(乳化)させなければならないところは気が抜けません。ルセットにはその辺の事が書いておりませんから書き写したとしても忠実に再現する事は難しいのではないか、と思います。
 しかも、「ガトーショコラ」の場合、オーブンで焼かなければならず、家庭に装備されているであろう電子レンジ併用の「オーブンレンジ」では庫内のスペース上、尚更難しいのではないか、と心配すらしてしまうのです。
 私は、「ガトーショコラ」のルセットを書き写している姿を見、聞かれた事に答えながらも(ショコラ系のデセールならムースが簡単なのではないか・・・)と心の中で思っているのです、そうです、思うだけで教えません、だって聞かれてないもん。
 そんな、デセールをどうしても家庭で作りたい、作って彼氏にプレゼントしたい!又は、子供に食べさせたい!又は、旦那さんに作って昔のように甘い生活を取り戻せるなら取り戻したい!とお思いの方のために(それに限定されるわけではありません、他の理由でも可)事細かく説明しながら作り方を書いていきましょう。

 まず、普通の「チョコレートのムース」であれば、溶かしたチョコレートに温めた牛乳に水でふやかしたゼラチンを入れ、それをチョコレートに加え攪拌し、七分立てした生クリームを混ぜれば出来上がります。
 これはこれで突き詰めると難しいのですが、もうちょっとだけ複雑な方が家庭でやるには楽しいかな、と余計な事を考えてしまいました。
 で、今回は「ホワイトチョコレートのムース」がよろしいのではないか、と思ったのです。理由としましては、これから秋が来て、冬が来た時にクリスマスという愛しあっている人たち以外はイライラしてしまうイベントがあるではないですか、その時の飛び道具としての「ホワイトチョコレートのムース」、男の心を鷲掴みですぜ。

 「ホワイトチョコレートのムース」の材料です。

・Lait(牛乳) 120g

・Jaunne d’oefs(卵黄) 3個分

・Sucre semoule(グラニュー糖) 50g

・Chocolat blanc(ホワイトチョコレート) 360g

・Geratin(ゼラチン) 8g

・Fraiche cream(生クリーム) 400g

 以上です。

 作り方を説明します。
 
 考え方としては、卵黄、グラニュー糖、水で戻したゼラチンを溶かした牛乳でアングレーズソースのベースを作り、ホワイトチョコレート、七分立てした生クリームを加える、という作業工程です。
 何も難しい事はありません、4段階位に分けて考えてね、という事であります。では順を追って説明しましょう。

①卵黄にグラニュー糖を加えホイッパー(仏語「フェ」)で白くなるまで攪拌します。(この作業を仏語で「ブランシール」と言います)
[ポイント]・卵黄とグラニュー糖に空気を含ませてモッタリとした状態にしたいのでリズミカルにホイッパーを動かしホイップしていきます。この時、リズミカルになるような曲を頭の中に浮かべると上手く手が動かせます。因みに、私は、石原裕次郎の「ブランデーグラス」です。

②牛乳を60℃まで温め、水で戻したゼラチンを加え牛乳に溶かし、①に少しづつ加える。
[ポイント]・牛乳を沸騰させると風味が飛んでしまいます、気をつけましょう。板ゼラチンしか使用した事がありませんから粉ゼラチンの場合は箱などに書いてある説明書きを読んでください。この状態を「アングレーズのベース」と言います。これを85℃までに火にかけ裏漉したものを「ソース・アングレーズ」と言います。「アングレーズ」は、アングロサクソンを意味します。白人の方が好きなソース、という意味でしょうな。

③事前にホワイトチョコレートを湯煎に掛け溶かしておいたものを②に加え混ぜ、完全に混ざったら氷で冷やします。
[ポイント]・溶かしたホワイトチョコレートは躊躇せずに一気に加えてください。混ぜる時はゴムベラで優しく混ぜましょう。氷で冷やしているときもゴムベラで優しく、この優しさが味を左右します、と言うと嘘っぽいですか?

④生クリームを攪拌し七分立てにしておき、ゼラチンが固まり始めた③に加え、最初はホイッパーで、次にゴムベラでザックリと混ぜ合わせ、型に流し込み冷やし固めます。

 これで完成ですが、これにグランマニエ(オレンジ風味のリキュール)を染み込ませたジェノワーズ(スポンジ生地)とフルーツ(苺やラズベリーなどのベリー系)などを合わせますと、より完成度の高いデセール、いや、スイーツ(と呼んだ方がウケるのですか?)になるのではないか、と考えます。

 このムース自体はネットリとしていて濃厚な味ですから、最初にクリーム系の香り、後からホワイトチョコレートの余韻、というタイムラグで楽しめる一品であります。

 是非とも「こんな面倒くさいの家庭で再現できるわけないでしょ!」などと言わず、チャレンジして殿方の心をゲットしていただきたい、そのように思う所存です。

 男性の方がこれを作り女性に贈るとしたら・・・奥の手として取って置いてください。

 いずれ使う時が来るまで、ね。









 
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つぶらな瞳の子牛は手をかけて調理したい

2010-08-24 21:08:08 | Weblog
 残暑厳しい日が続き、涼しくなる時を指折り数えて待っている8月後半に差し掛かった今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 「いつになったら涼しくなるのだろうか?」と心の中で思いながらも、厨房最高温度が36度止まりになっているのを見ると「意外と涼しくなったのね。」と、妙な納得の仕方をしてしまう私ですが、やはり、一時期のような病的な汗のかき方はしなくなりました。
 私の立ち位置である厨房のレンジ周りの今年の最高温度は「38,5度」でしたから、「2,5度」下がっただけでも随分楽になったと言うものです。
 その暑さの中、先日、サマージャンボ宝くじの当選結果が出まして、購入していただいた方らと当選合わせをしたわけですが、結果から言わせていただきますと、1万円分購入して7200円分当たりました。
 原資の70%回収ですから私的には「よかったな」ですが、本音を言わせ頂ければせめて100万円、いや、1000万円はイって欲しかった、というものです。
 「取らぬ狸の皮算用」的に当たってもいない金額に思いを巡らせているうちは楽しいのですが、7200円では・・・ね、いやいや、それでも喜んでいるんですよ、ただ、家族にあげましたけど、当たった宝くじ券ごと。

 さて、話は変わりますが、先日、子牛を購入しました。私が手にした部位は「前足」という微妙な部位でありましたが、こういう使いづらそうなところほど調理する楽しみがある、というものです。
 調理する楽しみ、といってもいつものように「テリーヌ」にしたのですが、今まで通り全てをミンチにして練ってテリーヌ型に詰めて焼き上げる、というのではなく、子牛の食感も残すためそのままの子牛肉も詰めて「モザイク風」に仕上げてみました。
 子牛を使ったテリーヌを作る場合、まず考えなくてはならないのは、子牛の風味をどの程度残すか、であります。
 「子牛の風味を残したいから」という理由でコニャックなどでマリネしない、などという暴挙に出るほど「食材そのまんま主義」ではありませんから、当然、マデラ酒とコニャックでマリネはします、それくらいでなくなる風味ではありませんからね。
 となると、「パテ・ド・カンパーニュ」のようにレバー系を入れないほうが良い結果をもたらす、と考えました。
 しかし、それ系(この場合、レバーなど)を入れないと入れないでアッサリしすぎてコクというか、味全体のボディーが弱くなってしまうのも否めないものです。
 そうすると登場させなければならない食材はひとつ、「フォワグラ」でしょう。
 作り方の手順はこうです。

「子牛の前足から肉を外す→肉のスジを掃除→一口より若干小さめにカット→豚肩肉も同じようにカット(分量的には子牛4に対して豚肉1くらい)→大きめの角切りにしたフォワグラも加えマデラ酒とコニャックで3日マリネ→子牛肉と豚肉、フォワグラに分ける→子牛肉の半量を取っておく→残りの子牛肉と豚肉をフードプロセッサーに掛ける→塩コショウして味を決める→フードプロセッサーにかけた肉、先に取っておいた子牛肉、フォワグラをボールで混ぜる→マデラ酒とコニャックを足す→テリーヌ型の内側に薄くスライスした豚の背脂を張る→合わせた肉を空気を抜きながら型に詰める→湯煎にかけてオーブンで焼く→中心温度が68度になったら取りだし重石をして休ませる→自然に冷ます→冷蔵庫で冷やす→3日寝かせる→完成」

 となります。
 出来上がりは、子牛の食感も残り、風味もあり満足するものでした。どことなく「ウサギ」をテリーヌにした時の味に似ていた様な気がします、まぁ、同じ白身系の肉ですからね。

 子牛はローストしたり煮込んだり、様々な調理法があります。

 しかし、あまりオーダー頂けないのが現実であります。それは勿論、提供するこちら側の問題であり、積極的に取り組んでいけばいずれ理解される時が来るのではないか、と私は思っております。

 この子牛は鶴岡市の羽黒町で飼育している畜産農家の方から直接、仕入れているものです。
 畜産農家さんの都合上、1頭買いして欲しい、と懇願されるため、心ある料理店さんにお願いして共同購入している次第です。
 
 畜産農家さんはあまり買い手が付かず悩んでいます。

 そのお話を聞いてしまうと、採算度外視しても購入し、飼育を続けて欲しい、と思い、そして、購入に踏み切るのです。

 真の意味での「地産地消」とは、ただ漫然と山形で取れた農畜産物を使用する、というのではなく、農家さんの懐事情も考慮しながら一緒に伸びていく、というのが好ましいのではないか、と私は思っております。

 「地元の物が安くて安心だから「地産地消」だろ。」

 そのような意見もおありでしょう、いや、そうでしょうとも。

 しかし、そのご意見には「地元の物は安くて当然」という「買い叩き」にも似たニュアンスを感じます。

 俺は高く買う、とは言いませんが、対等な付き合いをしたいものですな。

 生産者さんとは。











 
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「男の料理教室」を考える

2010-08-14 20:56:08 | Weblog
 先日、某料理系雑誌を読んでおりましたところ、ちょっと目を引く記事がありました。
 別に「特集」というわけではなく、どちらかと言いますと読み過ごしてしまうような小さな記事でしたが私の目はそこでフリーズしてしまったのです。
 「ちょっと贅沢な 男の料理教室」というタイトルでありながら講師が女性であった事も気になったひとつではありましたが、それ以上にその女性が「ビューティーレシピスト」という聞いた事のないような肩書きを使用していたからでありました。
 「ビューティーレシピスト」。普通に考えると「美しくなるレシピを考案する人」とそのまんまに訳されるはずですが、もしかすると「レシピを考案するビューティーな私」という意味かもしれません。
 そのような方がなぜに「男の料理教室」で料理を教えているか不思議であり、若干、違和感すら感じてしまいましたが、参加している男性、いや、オヤジたち、しかも頭にバンダナを巻いてエプロン姿のオヤジたちはイキイキしているようにお見受けしました。
 「ビューティー」と冠しているだけあってその女性は痩身でお綺麗でしたが、オヤジ達に囲まれている姿は、サファリパークの中に猫を1匹置き去りにした、位のインパクトがあるように感じたのは私だけでしょうか。
 しかし、「ちょっと贅沢な 男の料理教室」で教える「ビューティーレシピスト」の女性の料理が「ローストビーフのサラダ」と「ラムチョップの夏野菜カレー」という肉メインである、という事が気になったのですが、よく記事を読んでみると「オージービーフ普及協会」の息がかかっている事が判明しました、だったら納得ですぜ。
 肉を使うのはよろしい、ちょっと贅沢になってみるのもよろしい、しかし、「男の料理教室」というのであれば、もっと「男」、いや、「漢(「おとこ」と読んでください。熱血漢の意味ですな)」を前面に出した「男の料理教室」であって欲しいものです。
 その為には講師は男性、いや、「漢(おとこ)」でなければいけないでしょう。しかも料理はフランス料理です。
 仮に、開始時間が次の日の「午前10時」であったら

「では、明日の10時に集合してください。」

 というのではなく

「貴様らの開始時間は、明朝10:00(イチマルマルマル時と読みます)からである!参加するものは一歩前へ!」

 という確認事項も含めた気合を入れていただきたいものです。
 その場合、教える人を「講師」は呼ばず「教官」と呼ばなくてはなりません。

「教官、すみません、包丁で指を切ってしまいました・・・」

 そんな事を言おうものなら、教官は自分用の包丁の柄の後ろのキャップを開け始めそこから針と糸を取り出すかもしれません。

「判った。これより止血作業に取り掛かる、他の者は動かないように手足を押さえていろ!」

「いや!教官!ちょっと指を切っただけですよ!」

「貴様ぁ!だったらそれくらいの事でいちいち報告するな!セロテープでも巻いておれ!」

 教官は熱いんです、やりすぎなくらい。

 
「教官、ラムチョップは塊で焼くと時間が掛かりますから、1本づつソテーした方がよろしいじゃないでしょうか?」

 状況を分かっていない人はそんな質問を教官にぶつけてしまうかもしれません。

「まず始めに、貴様に言っておかなければならない事が2点ある。ラムチョップではなくてキャレ・ダニョーと呼べ。フランス料理を作ろうとするならフランス語で考えるのだ。次に、時間短縮のために1本づつ焼くと火が入り過ぎる恐れがあるのを貴様は考えないのか?だったら考える時間を与えるから10キロ走り込みをして来い!今すぐだ!ライナウッ!(right now、今すぐ、という意味)」

「教官、英語ですけど、それ・・・」

「何ぃ!ビット、ビット、ビット!(フランス語で「急げ」という意味)」

 もうこうなったら教官を止める事は出来ません、まさに暴走列車。

「貴様ぁ!もっと集中してエキュメ(アク取り)しないか!」

「貴様ぁ!ソースを血でリエゾン(繋ぐ事)する場合はもっとフェ(ホイッパー)を早く動かすのだ!」

「貴様ぁ!皿が冷たい!温かいものを盛り付ける時は皿を熱くしろ!」

「貴様ぁ!洗い物はもっと効率よく、スピーディーにせんか!」

 そんな言葉が飛び交う「男の料理教室」。気が付いてみると、料理が上達しているかもしれません。

「教官!うちの妻に美味しいって褒められました!結婚してから初めてです!」

「そうか・・・そろそろ貴様も卒業だな・・・」

「き、教官!」

 受講生(オヤジ)の脳裏には、教官に叱られた事以上に教官の寂しそうな顔に隠された「褒め」を読み取る事ができ今までの事が去来するのです。
    
「教官はこれからもずっと自分の教官であります!」

「そうか、じゃあ、知り合いのレストランが人手不足でな、貴様、スタジニエ(*)として行ってくれるか。」

「えっー!?」

 そんな「男の料理教室」あったら・・・誰も来ませんよね。



(*)研修生の事。研修のために厨房入りするため基本的に給料は無い。











  

 

 
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夏の食欲不振時のメニューが思いつかない

2010-08-06 20:08:03 | Weblog
 「花笠祭り」という土着的なフェスティバルが記録的な暑さの中敢行されている今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 夕方、比較的涼しくなってからのパレード的お祭りですから盛り上がっていると思われますが、これが日中だったら大変な事どころか大問題に発展するであろう事は明白でありますな、まぁ、そんな危険な祭りを計画するところはないでしょうが。
 「花笠祭り」のパレードには地元企業、団体なども地域事業として参加しているそうですが、パレード前に決起集会と称してビールで喉を潤し、パレード後に直会(なおらい、神事の後、供物を飲食する宴会の事を言う。この場合、お祭りは神事に入ると仮定)と称して祭りで踊っていた社員を労って(ねぎらって)いた某地元大手企業が今年から経費削減の為、それらの飲食事を取り止めにした、という話を聞きました。
 花笠パレードは地元大手企業にとって地域事業貢献を行いながらの宣伝、という位置にあるはずですから、当然社員を派遣して(参加者を募っての派遣)PRするわけですが、その踊り子(この場合、社員を指す)に感謝の意を表する「宴」を経費削減と称してカットするのは如何なものか、と私は思うわけです。
 仕事以外の半仕事的な後に「宴」は必要である、と私は声を大にして言いたい!しかも、ビールという普段飲み的なものではなくこの場合、「シャンパン」などがいいのではないでしょうか?
 勢い余って「シャンパンがけ」してしまうのも悪くないでしょう、いや、こういう時代だからこそそれくらいの心がけが必要です。
 「シャンパンは高くつくだろう!」その通り!その時はある程度安価な「ヴァン・ムスー(フランスのスパークリングワイン)」がお薦めです。
 お祭りなんですから、スカッとシャンパン、いや、スパークリングワインでお願いしたいものです、そして、その2次会は、概ね(おおむね)予想が付いているでしょうが当店「マチルダベイ」で如何でしょう?
 
 という、回りくどい宣伝から入らせていただきましたが他意はございません、花笠祭りに関連した当店の宣伝ですのでご了承ください。

 さて、話は変わりますが、こう暑い日が続きますと「賄い(まかない)」で何を食べたら良いのか、又は、自分が何を食べたいのか、判らなくなる、というものです。
 涼しげに「そうめん」というのが思い起こされるところですが、流石に連荘(レンチャン)では辛いですし、糖度の高い炭水化物の摂取、というのばかりでは身体に負担がかかります。
 かといって「野菜炒め」で野菜摂取、というのも季節的にどうよ、と思ってしまうでしょう。
 山形名物「だし(茄子、胡瓜、オクラ、茗荷、大葉などをみじん切りにして醤油などで味付けをしたもの。ご飯や豆腐に乗せて食べる山形的夏の風物詩)」という案もありますが、意外に作るのがめんどくさい、というのと材料費がかかる為、賄い向きではありません、しかも、サラサラッと食べれるため消化不良も覚悟しなければなりません。
 「食欲があまりない」「喉が渇く」という2大夏の食欲不振解消のため、今良く見かける「一日必要な野菜350g摂取できる野菜ジュース」だけ、にしてみた時があるのですが、流石にマネージャーからのクレームが来まして、食事的な何かにした方がよろしいのかな、と思ってみました。
 よく考えると、前に当ブログで「暑い時には熱いもの」などと言っていたのにそれを忘れていたようですぜ、やはり熱いもの攻撃で行くべきか!

 でも、マネージャーが「冷たいものがいい」って言うんですよ、人のせいにするようですが。

 で、毎日頭を悩ませているのですな。

 明日は、久々に「スパゲッティ」にでもしてみますか!野菜も入れれば食事時の栄養バランスが良い方向へ向かうと言うものでしょう。

 という事で・・・そういう方向で・・・検討します。

 食欲ないんですよ、飲み欲はあるんですけどね。










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不均一さは人間的作業の賜物である

2010-08-04 20:47:33 | Weblog
 祭りや花火が似合う季節の到来なのにもかかわらず、黙々と仕込みをしている人が私の他にもいる事を願って止まない今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 汗が止まらない病気なのだろうか、と心配してしまうほど汗が滴り落ち、時折、厨房の空気を循環させるサーキュレーター(送風機)を抱えてしまう奇行を発してしまう私ですが、帰宅してから浴びるシャワーが心地良いので「この為に汗かいてるのだな。」と妙なところで納得している次第です。
 昔、水前寺清子さん、通称チーター(小さい民子、という役をした事からその名が付いた、と言われています)が歌っていた「365歩のマーチ」には「人生はワンツー・パンチ、汗かきベソかき歩こうよ・・・」という歌詞がありましたが、冷静に考えると「汗」どころか「ベソ」つまり「涙」までかいて歩こうとしたら前が見えなくて大変なのではないか、と心配になってしまった事がありました。
 それよりも「人生はワンツー・パンチ」という件(くだり)もいまいち不明です。何が「ワンツー・パンチ」なのか、どう「ワンツー・パンチ」なのか、なかなか考えると奥深いものです。
 水前寺清子さんの歌はどちらかと言いますと人生訓の利いた歌詞の歌が多かったように思いますので、歌謡界の「五木寛之、生きるヒント」状態と言えるのではないでしょうか。

 さて、話は変わりますが、先日、久々に仕込んだものがありました。
 以前、アミューズ・ブーシェ(先付けのような小さい最初の皿)でもお出しした事のある「豚肉のリエット」です。
 徹底的に煮込んだ豚肉をスパチュール(ヘラ)で潰しながらほぐし、脂と煮汁を足しながら乳化させていき、ペースト状にしたものがそれですが、時として「ツナですか?」などと言われてヘコんでしまう一品であります。
 意外と手間がかかり、脂を混ぜている時の体力消耗も結構なものですからその一言はなかなか厳しいものがありますが、私は好きなんです、リエット。
 作り方を手順を追って書いてみましょう。

「豚肉を2cm角に切る→玉葱をスライスする→多目の豚の背脂をスライスする→豚の背脂を鍋に入れ火にかけて溶かし玉葱を炒める→豚肉を入れ炒める→白ワインを入れ煮詰める→フォン・ド・ヴォライユを注ぎ入れる→ローリエとドライセージを入れる→アクを取りながら2時間煮込む→塩で味を調えて30分煮込む→豚肉だけを取り出しボールに入れる→ボールの底を氷で冷やしながらスパチュールで豚肉を潰していく→煮汁と浮いた脂を少しづつボールに入れ混ぜる→混ぜる手を止めると乳化しないので混ぜ続ける→煮汁と脂を入れる→混ぜる→混ぜる→混ぜる・・・・色が白くなって乳化したら完成」

 このような作り方になっております。

 時として煮上げた豚肉をフードプロセッサーにかけて煮汁を一気に入れササッと混ぜ冷蔵庫で冷やす人がいると聞きましたが、それはイカン!もう一度言いますが、それはイカンですよ!
 なぜひたすら混ぜ続け、煮汁と脂を少しづつ入れ更に混ぜ続けなければならないのか、それは煮汁と脂を乳化させながら凝固させ滑らかな口当たりにしなければならない、ただその為だけなのです。
 フードプロセッサーで時間短縮したい気持ちも判らなくはないですが、手でほぐす、人間の手を使ってほぐし潰す、という原始的な手法の方が不均一さを生み、その不均一さが滑らかさを助長する、そのように私は解釈しております。
 ペースト状とはいっても豚肉の繊維質が入っているのが確認できるペーストでありますし、そういう豚肉料理なのではないか、と思い作っている次第です。

 「ムース」という調理法ならばフードプロセッサーを使い徹底的に滑らかにし、裏漉しまで掛ける、という手順がありますが、「リエット」はもっと人間の力を感じる料理に仕上げたいのです。

 そんな料理に愛着を感じるのです。

 「でも、ツナ缶の料理っぽいよね!」

 ハイ・・・そうですね・・・

 それを言われたらそうしか答えようがありません。 











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