ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

クリスマスを題材にして文章を書くとこうなってしまう、という事。

2013-12-19 22:45:23 | Weblog
 12月も20日を過ぎてくると「ホワイト」や「メリー」という言葉に敏感になり、街中の電飾を見ただけで「うっとり」してしまう方もいらっしゃると漏れ聞きましたが、飲食店従事者はその辺りに「ぐったり」してしまう事が予想される今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 「クリスマスになったら書き入れ時なんじゃないですか?」とよく言われたりしますが、前にも書きましたが、確かにこの時期は忙しいですが当店は「クリスマスディナー」という括りで特別なイベントを開催いたしませんので、普通の日と変わらず皆様に喜んでいただけますように粛々と仕事をするだけであります。
 「クリスマス特別ディナーはしない」と同業の方に言うと「なぜ?ですか?」と怪訝そうな顔で聞き返されたりするのですが、「クリスマスだから特別な料理」という考えで食材から逆算してしまうとコース当たり10,000円から12,000円になってしまいます。
 一昨年までは「クリスマス・ディナー・コース 8,000円」と銘打って開催しておりましたが、通常でも8,000円のコースは出しており、その差を埋めるには「さらに上の食材を使用する→そうなるとコースの単価も上がる→コースの単価が上がると客単価も上がる→クリスマスは書き入れ時」というスパイラルに嫌気が差してしまったのです。
 なぜに、「店側主導の元、単価の高いコースを押し付けられなければならないのか」「普通のコースでクリスマスに食事が出来ない風潮とは何なのか」「その時だけ忙しいのが自慢になるのか」という事に対しての疑問がフツフツと湧き上がり、昨年から通常営業としたのです。
 勿論、「クリスマスだから」と言う理由で高額のコースもご予約いただきますが、そういうお客様は常にいらっしゃる方で「その時だけのお客様」ではありません。
 正直に言いますと、「クリスマスコースありますか」という電話予約時の問いに「クリスマス特別コースというのはございませんが、通常のコースもその上のコースも常にご用意いたしております。」という対応はどうなのか、とも思いましたが、皆様、快くご理解してくださるようでこちらとしても頭の下がる思いであります。
 そして、勿論、通常営業でありますから、クリスマスに寂しい想いをしているおひとり様も大歓迎です。
 「クリスマスは一人で食事に行けない。」と嘆いている「あなた」!そんな「想い」は直ち(ただち)にお捨てなさい!(この場合の「あなた」は上記の文言に当てはまる「あなた」です)
 元々「クリスマス」はキリストの誕生(降誕)を祝う、西洋的には家族で祝うそんな日であります。そんな大事な日に「ひとり」という事はどう考えても「迷える子羊」であります。
 「世界名作シリーズ」の金字塔アニメであります「フランダースの犬」最終回で主人公「ネロ」は、12月25日、つまり、バリバリのクリスマスの日に、頼りのおじいさんも亡くなり街に放り出されます。住む所も、金もなく雪降る中、マッチを擦ると小さな炎の中に美味しそうな料理(七面鳥のローストなど)や楽しそうにプレゼントをもらう映像が映し出されますが、長続きするはずもなくトボトボと歩き出します。
 寒さや空腹で力も尽きてきた「ネロ」は愛犬「パトラッシュ」と共にどうしても見たかった「ルーベンス」の絵が掛けられてある教会へ向かいその絵に感動します、と同時に「パトラッシュ、僕、なんだか疲れちゃったよ、すごく眠いんだ・・・」と言って絶命してしまうのです・・・そんな・・・そんな思いを、クリスマスにさせられますか!山形市の「おひとり様」に!(かなり大げさですが、当ブログの性質上、ご理解ください)
 
 そんなわけで通常営業でありますから色んなジャンルでの「おひとり様」・・・えぇと、「色んなジャンル」というのは、「仕事等でそれを余儀なくされた」や「その日、突然、そうなってしまった」又は「常にそういう状態だ」はたまた「そういう生き方を敢えて選んでいる」という事でありますから、どのようなジャンルの方でもお入りいただけます。

「実はそうやって、おひとり様女性を狙っているんじゃないの?」

 そのように深読みされる方がいらっしゃると思われますが、私の経験則で言わせていただけますと、女性のおひとり様はおひとり様同士同盟を組んで慰め合う可能性が高いものです。

 私といたしましては、12月24日の深夜、つまり、25日なった頃、当店カウンターで男女のおひとり様同士が意気投合してそこから何かが芽生える、というドラマティックな展開があればいいな、と思っております。

 その時のおひとり様女性は「浅野温子」風、そして、男性は「柴田恭平」風であるとよりドラマティックでしょう。

 意気投合してうまくいきかけたその時、突然、男性がこう叫びます。

「オイラのクリスマスは終わんね~ぜ!タカ!」

 ん~、どうしても刑事ドラマから抜け出せないな・・・













 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

男には観なければならない刑事ドラマが3つある。太陽にほえろ、あぶない刑事、そして・・・

2013-12-18 22:56:54 | Weblog
 降り積もったはずの雪が解けた後には身に沁みるような寒さだけが残り、口から吐き出す息が煙のように白く、そして、その煙の余韻は長く続くのです。それが雪国に於ける朝の出勤風景だと知りながらも「何とかならんですかねぇ」とぼやいてしまう今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 このところ午前中からの「料理教室」が続き、その後、ケータリング、テレビ撮影と朝早くから仕事をすると冒頭のような事を思ってしまうわけですが、「朝早い」からといって当店の営業時間を早く切り上げる、という事ではありませんので普段通りの営業時間を順守いたします。
 そうするとお客様が帰られて掃除をして自宅に着くと深夜2時半くらいになるのですが、先日、何気にその時間にテレビ(光回線系テレビ)
を点けたところ、丁度、「西部警察」をやっていたのです。
 番組も途中でしたし、新聞を読みながら画像を流す程度、という気持ちで観ておりましたらあるシーンに釘付けになり、そして、そのまま観入ってしまう事となったのです。
 テレビを点けた時にはもうすでに銃撃戦になりそうな雰囲気でしたが、実際そのシーンになってみると銃をぶっ放しているテロリスト集団の的(まと)になっていたのは10台くらいはあると思われるパトカーで、しかも、パトカーの車体側面には「山形県」としっかり印字してあったのです。
 その時、私は初めて事態を飲み込めました、「西部警察・・・山形ロケだ!」と。芝俊夫が出演していたので比較的新しい「西部警察」だとすぐに判断できましたが、「パート3」である事が判明したのは最後でした・・・出来れば最初から観たかった、というのがその時の本音であります。(早く寝ろよ)
 「西部警察」・・・その強引な捜査手腕と日本の警察でありながらショットガンや44マグナムを惜しみなく使い、日本中の火器、爆発物事件に必ず登場する卓越した越権行為は、男の子を魅了し、そして、大人になってからその矛盾点で酒が飲めてしまう、という素晴らしいテレビドラマです。
 今回の「山形ロケ」でもそれら(矛盾点)を堪能する事が出来、すぐに寝るはずだった私に缶ビールまで開けさせてくれました。お、恐ろしいドラマですぜ、「西部警察」ってやつは・・・
 「西部警察の山形ロケ」というだけでも必見なのですが、山形県警刑事の役と思われた男性は「水漏れ甲介」にも出演していた山形県山形市出身の俳優「谷村昌彦」さんでありました!(誰も判らないと思いますが)谷村さんの勇姿を観れただけでも儲けもんですよ。
 「西部警察の山形ロケ」というのは大決定だったのですが、詳しいロケ地が判らないまま観進める事となり、自分なりに「上山(かみのやま)ロケ、ではなさそうだな・・・という事はあとどこで・・・」と推測しながら観る楽しみもありました。(だから、早く寝ろよ)
 途中からの参加となりましたが(気分は勝手に参加状態です)、ロケットをテロリスト集団に奪取されたのではないか、それを列車に積んでどこかに売ろうとしているのか、それともそのロケットで脅迫しているのか、はたまた、その両方なのか、というのはすぐに理解でき、途中参加でも状況が飲み込めたのです。
 舘ひろしと芝俊夫がロケットを積んだ列車に高架橋から飛び乗り、テロリスト集団と銃撃戦になるのですが、ミサイルは大丈夫なのか?そして、それを空から援護する団長(渡哲也)は山形県警ヘリコプターを使いガンガン、ショットガンを撃っておりましたが、ショットガンは普通、散弾銃であります。空から散弾銃を撃って援護になるのか?いや、それ以前に空から散弾銃での攻撃って・・・無差別攻撃なのではないでしょうか・・・団長・・・
 列車からテロリストの銃撃、空から散弾銃の危うい援護、という中で舘ひろしはプラスティック爆弾をミサイルに仕掛けます。大爆発じゃないですか・・・映像を観ると列車は街中を走っているようにお見受けできますが・・・
 最後はその列車は埠頭と思われる場所へ行って大爆発を起こして犯人逮捕で終了だったのですが、本来ならばミサイルは爆発させてはいけないと考えられます、次はもう少し冷静な捜査が必要ですな。(次はいつだ?)
 ここまで来て「埠頭と思しき場所がある山形県下は・・・」となると庄内地方しかありません。しかし、その疑問は次のシーンで吹っ飛びます。
 何やらゴルフショップへ呼ばれた大門軍団。そのゴルフショップの社長と思しき人から団長は感謝と共に1番ウッド(ドライバー)を手渡されます。

「これはパーシモンを使ってうちで作ったクラブです、どうぞ。」

 社長がそう言い、団長に手渡すと

「素晴らしい光沢だ・・・柿の木、ですか・・・」

 と、あの団長節「自分は自分ですから」的にコメントしそのゴルフクラブを頂く事となるのです。そのゴルフショップの名は「本間ゴルフ」。その瞬間理解できました、「酒田ロケだ!」と。

 その後、調べてみるとやはりそうでした。「西部警察パート3 走る炎!!酒田大捜査線!」というタイトルである事が判明。

 最初から観れなかった悔しさが再度込み上げてきたのです。

 次の日は勿論、寝不足でしたが、眠くなると頭の中に残った団長が叱咤してくれます。

「寝るな!フジ!仕事を全うするんだ!」

「ありがとうございます!団長!挫けそう(くじけそう)になっていました・・・」

「フジ!眠くなる事は誰にでもある!しかし、仕事が優先だろう!」

「了解しました!頑張ります!団長!ところで、パーシモンって何でしたっけ?」

「柿の木・・・だ。」

 あぁ、「柿の木ですか・・・」のセリフが頭から離れない・・・















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時代の変化で調理法の意味が変わる事もある、それは必然だ

2013-12-11 21:57:31 | Weblog
 12月に入り所用も含めて忙しいためブログをアップする事が出来ませんでしたが、なぜか閲覧数が伸びている事に驚きながらも感謝してしまう今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 ブログ記事の更新を念頭に置きながらも結局は更新できずにいた私ですが、フェイスブックは普通に更新していたわけで、当ブログを毎日チェックなされた方には大変ご迷惑をおかけしました、心よりお詫び申し上げます、どうもすみませんでした!パシャパシャパシャ!(フラッシュの点滅にご注意ください)
 そんな謝罪会見を開きたくなるくらいですが、別に当ブログを放置していたわけではありません。手に付かなかった、という表現の方が的確かと思われます。
 その更新できずにいた時期に「12月は何について書くべきか」という事を考えていたわけですが(ちょっと大げさ)、皆様方はこれからクリスマスイベント目白押しでしょうから、そこで役立つ話でも、と思ったわけです。
 クリスマスイベント最大の目玉と言えば「お祈り」でありますが・・・アレ?まさか、クリスマスイベント最大の目玉は「ディナー」だと思ったのではないでしょうな。
 クリスマスはキリストの誕生日でありますから形だけでも「お祈り」して「その日だけキリシタン」になろうではありませんか、その後でしょう、クリスマスディナーは。
 まぁ、じゃあ、一応「お祈り」はした事にして、クリスマスイベント第二の目玉「クリスマスディナー」に関する話に移りましょうか。(だったら書くなよ)いや、その前に告知ですが、当店は特別にクリスマスディナーを開催は致しておりません。
 それは、クリスマス特別ディナーのお客様以外入れない、という特異な雰囲気に疑問を持ったからであります。その日だけ高価格な設定にしてお客様を迎える、というのもどうかと思います。当店ではクリスマスでもいつも通りの落ち着いた雰囲気とサービス、そして、料理で楽しんでいただくために通常営業です。ただ、クリスマスをふたりで祝いたい、という方はお申し付けください。クリスマスを彩る料理でお迎えいたします。こんな感じで








 まずはご予約を。(結局、宣伝か・・・)
 では本題に入りましょうか。(今からか・・・)
 クリスマスディナーに行き、料理が出てきました、そして、その料理の説明をされたとしましょう。サービスの人が席を離れた後、彼女からその料理の事に対して質問をされたら「あなた」はどうしますか?その料理は例えばこれです。

「金目鯛のポワレ シェリーヴィネガーのソース」

 「ねぇ、ポワレって何?」聖夜の食事に暗い影を落とす事になりそうな、そんな純真無垢な質問。勿論、彼女には悪気などありません、むしろ「あなた」を頼っているのです。
 「え~っと、焼いた、って事なんじゃないかな・・・」その場しのぎの答えはかえって疑問を増幅させるものです。
 
「なんで、ポワレ、なんだろうね?」

「・・・ポワッと、焼いたからじゃない、かな・・・」

 そうなるともうシャレにもなりません、5000万円の献金疑惑レベルです。
 そうならない為にもいま一度、判りづらい調理法「ポワレ」について考えてみましょう。
 フランス料理の父と呼ばれる「オーギュスト・エスコフィエ」大先生は、「ポワレ」は「特殊なロティである」と解説していたそうです。では、「ロティ」とは何か?「ロティ」とは判りやすく言えば「ロースト」の事でありますが、この調理法は、薪などの熾火(おきび)の前で塊肉などを炙り焼いていた事を指すのです「焚火の前でグルグル回しながら豚の丸焼きをしている」と言うとイメージしやすいのではないでしょうか。
 では「特殊なロティ」とはどういう事なのか。「特殊なロティ」とは「薪の火などを使わずオーブンなどの密閉された空間で加熱する」事を意味します。
 つまり、薪火などで焼いていた塊肉をオーブンという調理機器を使って焼き上げる事が「ポワレ」の最初の意味だったのではないか、と私は思うのです。
 しかし、時代は変わります。時を経ていく中で調理機器や道具、そして、料理自体の提供方法も変化をしていくわけです。そうなると自ずと調理法の捉え方も変わってくるとは考えらられないでしょうか。
 現在では「塊肉をオーブンなどの密閉空間型加熱機器を使って焼く調理法」を「ロティ」と呼びます。つまり、かつて「ポワレ」と呼んでいた調理法が「ロティ」と私は捉えています。
 そして、現在の「ポワレ」は、「塊肉や魚1匹まんまではなく人数分に切り分けた食材をフライパンなどを使い焼き、補助としてオーブンを使用して調理する」と解釈しております。
 昔のように大きな塊肉を焼いて銀盆などで提供する事のなくなった現在、最初から人数分に切り分けて調理する、という事が主流になった結果、調理名とその意味がそのように変化したのだとは考えられないでしょうか。
 クリスマスに突入しようとしている今だから「ポワレ」と言うものを考え、そして、その言葉の持つ意味の変化なども考えながら食事をするとさらに楽しくなる、と考えられます。

「結局、ポワレ、って何て説明すればいいの?」

 だから!塊肉や魚1匹まんまではなく、人数分に切り分けてですねぇ、それらをフライパンなどを使い・・・ポワッと焼いたもの!そう言っとけばとりあえず大丈夫!

 って事にしておきましょうね。















 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする