ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

4月が来ない、という寂しさを見届ける

2010-03-30 22:49:34 | Weblog
 「梅は咲いたか、桜はまだかいな♪」と小唄のひとつも歌いたくなるような今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 気温はまだ肌寒いのですが、陽気が良くなっていくのが判るのは、大地に根付く生命の息吹を感じ取れるようで意味もなく心が躍る、というものです。(大げさ)
 そんな時期、当店から歩いて30秒ほどの所にありますスーパーが今月一杯で閉店する事を知りました。
 不意に切らしてしまった卵や牛乳、日常の賄い食材を買いに行くのに適した近さでありましたスーパーの閉店は軽くショックを覚えましたし、スーパーの店員の方とも仲が良かっただけに残念でありました。
 良く言えば「肩の力が抜けている」、悪く言ってしまえば「ヤル気があまり見られない」そのスーパーは、地域密着型を目指していた、いや、それにしか成れなかった「脱力型スーパーマーケット」という微妙な地位を確立しているようで私的には嫌いではありませんでした、う~ん、今考えると結構好きだったのかも。
 もう既に先週から閉店のカウントダウンが始まっておりますから店内全品「2割引」「4割引」戦略で在庫一掃計画を遂行している模様ですが、先日、買い物している最中ある事に気がつきました。
 その時のスーパー内のBGMが「ネヴァーエンディングストーリーのテーマ」だったのです。
 私は買い物を中止し、足早にその場を離れ、店に帰って失礼ながら大笑いしてしまいました、流石「脱力型スーパーマーケット」、閉店が目の前に迫っているのに「ネヴァーエンディングストーリー(終わりのない物語)」のテーマソングを流すとは。
 それとも、「ここが閉店しても私たちの心は永遠にこの場所に生き続けます。」という意思表示だったのでしょうか?どちらにしても離れ業であります。
 思い起こしてみればそのスーパーのBGMは「USEN(ユーセン)」などのようにランダムに音楽が掛かる、というものではなく、誰かが選曲したカセットテープをラジカセで流す、という古典的な手法でしたから「たまたまその音楽が掛かってしまった」という事故ではなく、「その音楽をかけた」という「ヤル気満々」なBGMであります。
 ある時、グラニュー糖を買おうと探していた時に掛かっていた曲は、久保田利伸の「ミッシング」でありました。(「ミッシング」は、寂しく思う、という意味もありますが、行方不明、という意味も持っています)
 またある時、財布を忘れてきてしまったので買い物籠をレジに預けて財布を取りに行く事を告げた時にかかっていた音楽は佐野元春の「約束の橋」でした、偶然にしてはやりすぎですぜ。
 
 今日も買い物に行くと、もう殆ど品物が無くなった状態の店内で寺尾聡の「ルビーの指輪」が鳴り響いていました。

 レジ店員のおばちゃんに

「何だか寂しくなりますね。」

 と声を掛けると、

「今までありがとうございました、明日も営業しますから来てくださいね。」

 といつもの笑顔で返されましたが、笑っている目が少し潤んでいたように見えたのは錯覚ではなかったようです。

「勿論、最終日、来ますよ。」

 そう言い残し店に帰ってきましたが、その帰り道に大事な事を思い出しました。


「もう品物が無いのに何を買えば良いの?」

 何でも良いや、顔だけ出せば。

 でも、寂しいものですよ、脱力型スーパーマーケットの閉店は。










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

出会いと別れの季節に君は何を思うのか

2010-03-28 17:44:31 | Weblog
 別れの季節から新しい出会いの季節にシフトしようとしている今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 「出会い」があるから「別れ」があるのか、「別れ」があるから「出会い」があるのか、鶏と卵の関係的な季節である、とも取れますが、人生の「陰」と「陽」、つまり、背中合わせである事は間違いないのではないでしょうか。
 今年の大学生の就職内定率は過去最悪だそうですし、高校卒業生の就職率もそれほど高くないらしいのですが、飲食店の、いや、特に料理人の人材不足は慢性的であります、なぜでしょう?少し考えてみますか。
 
・労働時間は長いです(営業時間の他に仕込みや掃除、後片付けがあるから仕方ありません。)

・賃金も良くありません(儲からない商売ですよ。)

・賛否両論を頂きます(「賛」を頂ければ嬉しいものですが「否」を頂くと悩むものですよ。)

・睡眠時間が少なくなります(仕方ありません、一日の時間は限られていますから。)
 
・罵声を浴びせられる時があります(常に真剣ですから。)
 
 こう考えると人材不足の理由が何となく(でもないですが)見えてくるような気がしますな、哀しい事ですが。
 しかし、悪い事ばかりではありません。こう考えてみたらどうでしょう?

・労働時間が長い(仕事があるからお金を使う暇がないし、趣味がなくても大丈夫。)

・賃金も良くない(極端な能力制である、と考えれば自分の仕事次第で何とかなる可能性がある。)

・賛否両論を頂く(「否」を頂かないように努力すれば良いだけ。)

・睡眠時間が少ない(一日という時間を最大限に活用している。)

・罵声を浴びせられる時がある(その方が燃える。)

 このように考えれば何となく悪くありません、いや、「熱い職種」「身体フルスロットル型の仕事」と取れるのではないでしょうか。
 この「熱い」「身体フルスロットル型」という点が現代の若者に敬遠されているから人材不足になるのは判りますが、どうせ人間死ぬのですからこれくらいで行きましょうぜ、というと問題ありでしょうか?
 当店でも何人か働いていたスタッフはおりましたが、最短一日で辞めた人以外は他の会社やお店で元気に頑張っているようであります。
 今でも店に顔を出してくれる元スタッフがおりますし、律儀に手紙に今の心情を書いて出してくれる人もいます、それは「財産」と呼んだ方が良いでしょう。
 因みに、「一日で辞めた」のは、決して「殴った」とか「罵倒した」とかではなく、一日一緒に仕事をした後で、「疲れた、と思ったら、この仕事をこれから続けられるかよく考えた方がいい。」と言ってみたら、次の日、朝一で「シェフ、辞めさせてください。」と嘆願したのでした、人って残酷! 
 
 どの職業も大変な事に変わりはないと思います。他の仕事は良さそうに見えるものです。
 それを踏まえて言わせていただけるならば、

「料理人は食べるものに困らない職業ですから、労働条件に目をつぶれば悪くないですよ。」

 となりますな。
 
 まぁ、「労働条件が第一」と言われてしまえばそれまでですが、労働条件よりも充実度ではないでしょうか、大事なのは。

 
 そんな気持ちを持ちながらも「あ~、俺って今日何時間立ってんのよ?」と呟いているのですよ、料理人は。













コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山形弁、シルヴプレ。

2010-03-26 21:32:36 | Weblog
 昔、東京で仕事をしていた時に住んでいたアパートの隣の住人はバンドマンでした。
 何度か顔を合わせるようになり、徐々に話をするようになった我々は、気がつくとお互いの部屋を行き来する仲になっておりました。
 私も趣味でギターを弾いていましたので「話が合った」というのもあるのですが、どちらも地方出身者、というところに親しみを感じたのかもしれません。
 ある時、「ライブ、見に来て。」と誘われて荻窪のライブハウスまで見に行くと、殆ど観客のいないステージでギターをかき鳴らしている彼がいました。
 その後の打ち上げ(と言ってもメンバーと私、そして私の友人の6人だけ)にも呼んでくれてメンバーと話をすると、全員「鹿児島県出身」の友達だというのが判明しました。
 バンドの名前は「ザ・ジゴンス」。「ジゴンス」とは、鹿児島弁で「お尻の穴」という意味だと告げられた時、笑っていいのか正直、困ってしまったのですが、方言を愛する人たちなのだな、と妙な連帯感が生まれたのでした。
 
 今、山形でバリバリの方言を操る人が少なくなってきておりますが、たまにネイティブな方言を聞くと「あ~!あった、あった!そんな言葉!」という懐かしさと共に笑いとも何とも付かない感情が芽生える事があり、方言はもはや隠語と化しているのではないか、と思ってしまう事すらあります。
 日本で、いや、世界で、一番短い会話ではないか、と思われる「どさ?(どちらへ?)」「ゆさ。(お風呂屋さんへ)」というやり取りは、寒さに晒される東北人の口をどれだけ開けずに会話できるか、という合理性から来ている、と考えられておりますが、ただ単に地域的な合言葉のような気もします。
 そんな東北の言葉の発音に一番似ている外国語は「フランス語」である、と信じて疑わない私は、東北人であるからこそフランス語の発音をマスターできる、と思っております。(思い込んでいる、とも言いますな)
 「あなたと私」を意味するフランス語「トワ・エ・モワ」は、「あなたのですか?」を意味する方言「おまえのが?」に似ているではないですか!
 「お願いします。」を意味するフランス語「シルヴプレ」は、「死ぬところだったじゃないか」を意味する方言「死ぬけどれ」に、「お薦めはどれですか?」を意味するフランス語「ケ・レ・ラ・スュグジェスチオン」は、「こんなのすぐダメになったよ。」を意味する方言「こだな、すぐダメになっけじぇ」に、と発音がかなり似ております。(かなり強引)
 ですから、山形の皆さん、フランス料理は気取っている、などと思わず、その発音の親近感を楽しみ、そして、それを誇りに思おうではありませんか。

 と、まぁ、このような書き出し(書き出しにしては長すぎますが・・・)をしてみたのですが、ようは「方言を使って会話しながらフランス料理を食べるのも悪くありませんよ。」という事を言いたかったのですよ、かなり強引な話の展開ですけど。
 「フランス料理を食べるのに何を話せば良いのか?」「どんな服装で行けば良いのか?」などで悩んでいる、という方がいらっしゃると聞きました。
 「何を話せば・・・」と言われてもこちら側が「この話題にしなさい。」と指示できるはずもありません、当然ながら。
 普通の話題で良いじゃないですか。先にも書きましたように、方言を駆使してフランス料理を食べるのも「雰囲気だよな。」と言い切ってしまえばそれまでなのです。
 「どんな服装で行けば・・・」は、流石に「ジャージ、サンダル履き」というのは困りますからお断りしておりますが、「必ずスーツで」という縛りも特に設けておりませんから、普通に、どちらかと言えばお洒落な普通がよろしいかと存じます。
 因みに、なぜ、ジャージがダメなのか?そのように思われる方のためにご説明させていただきますと、「カップルが雰囲気を楽しんでいる、又は、指輪をプレゼントしようとしている可能性があるカップルがいる」かもしれない、という事をお察しください、という理由であります、判りづらいでしょうか?それ以上書かないのもお察しください。
 
 「気取っている」と思われやすいのがフランス料理店でありますが、気取りたくなった場合、何処に行けば良いというのでしょうか?
  
 「敷居が高い」。これもよく使われる言葉ですが、「敷居が高い」の本来の意味は「先方に不義理な事をしてしまって行きづらい。」という事であります。
 
 さぁ!これを踏まえて行こうではありませんか!フランス料理店へ!

 あっ!うちもフランス料理店でした、スミマセン、よろしくお願いします。









 
 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カロリーや塩分の鎖を引きちぎれ

2010-03-24 13:57:44 | Weblog
 当店の「フォン」つまり「出汁」系は、「フォン・ド・ヴォライユ(鶏のだし汁)」「フォン・ド・ヴォー(子牛のだし汁)」「フォン・ダニョー(子羊のだし汁)」、と3種類ですが、ソース用とスープ用の2種類の「フュメ・ド・ポワソン(魚のだし汁)」を入れると計5種類のだし汁を取っている事になります。
 これらはこのまま使用される事は殆どなく、煮詰めてソースにしたり煮込み料理に入れたり挽肉などを入れクラリフィエ(澄ます)してコンソメにしたりして使用します。
 最近はあまりソースを重要視しないフランス料理が主流になりつつありますが、私は「ソース」にこそフランス料理の面白みがあると思っています。
 だからと言って小麦粉を使用した「ルー」を多用するか、というとまた違ってくるのですが、小麦粉(炭水化物系)を使わずにソースを軽めにしつつ、メインの食材とソースのマッチング、という所を大事にしたいと思っております。
 結構前ですが、塩分3%の漬物は塩辛かった、という話を書いた記事がありましたが、そこにコメントを入れてくれた方が「100グラム当たり3%なのではないか。漬物一切れの塩分濃度を出してから記事にするべきだ。フランス料理のソースの方がよっぽど塩分とカロリーが高いだろう。」と述べておりましたが、残念ながらその漬物をデジタル塩分濃度計を使って測ったところ塩分濃度が3%だったわけでありまして、100グラム当たり3%の塩分濃度であった、という事は一切れでも1トンでも塩分濃度は3%なのであります。
 フランス料理のソースはカロリーが高めなのは否めない事実でしょうが、塩分はさほど高く設定しておりません。
 私は自分の料理や味を数字として把握しておきたい、という思いからデジタル塩分濃度系や計算機を使って算出する事がありますが、計ったソースの塩分濃度は「0,8%」と「お吸い物」よりも若干低い塩分濃度でありました。
 食材にも塩を振りますからソースを絡めて食べた時の塩分濃度は約1%と推測されるわけです。
 人間の体液の塩分濃度は約0.9%でありますから限りなくそれに近い数値が適切な塩分でないか、と思って私は調理しているわけです。
 では、カロリーはどうなのか?フランス料理に限らず洋食全般で言える事は、油脂を使用する料理はどうしてもカロリーが高めになってしまう、という事であります。
 「ポワレ」「ソテー」「ロティ」といったフライパンを使用した調理法には必ず油脂が介在するものです。
 油脂という皮膜を纏った食材にソースを掛ける、というだけでカロリーが高めになってしまうのは仕方のない事だとは思いますが、カロリーを極力抑えるためにフライパンに残る油脂を切り、クッキングペーパーでふき取る、という作業を私はしています。
 未だに残っているだろう「フランス料理=重い」というイメージを払拭したいからであり、時代がそれを求めている、と考えるからであります。
 ですから「フォン」に浮かんでくる油脂もギリギリまで除去しようとするのは、むしろ当然と言えるかもしれません。
 「フォン」の油脂は煮詰めてしまう工程で「エマルジョン(乳化)」する可能性がありますから、仕込みの段階で油脂を除去しなるべくカロリーが発生しないようにしたいわけです。
 
 私も歳と共にカロリーや塩分が気になってくる一人であります。

 なるべく自分の料理には野菜を多用し油脂を除去する努力をしたいものです。
 
 ライトな方向を目指す料理を時代が求めているのは誰もが知る事です。しかし、私は知っています、ガッツリとバターを入れた古典的な料理が美味しいという事も。









 
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

霊界からのメッセージを汲み取れ

2010-03-23 22:05:22 | Weblog
 休み明け、店に来てみたら書類などが並んでいる一角の書類の上に「ポンッ」とさりげなく置かれているフリーペーパーの山形情報誌が目に飛び込んできました。
 その情報誌は1月号であり、私の知り合いの人が載っている「山形内陸ラーメン特集」という内容で、一度その情報誌を読んでしばらく取っておきましたが「先月捨てた。」、と私は記憶しておりました。
 マネージャーが出勤してきた際に確認してみると「知らない、確か捨てたはずではないか。」という回答が来ました。
 私も「捨てた」としか記憶しておりませんでしたし、書類の整理を今月初めにした時はその情報誌はありませんでした、それは確かです。
 では、誰が何のために・・・それは未だに不明です。マネージャーは「霊が置いていったのではないか。」と「あなたの知らない世界」的な発言をしておりましたが、「あなたの知らない世界」を私が知っているはずはありません、謎であります。
 しかし、仮に「霊的現象」の一つである、と断定した時、その情報誌には何かメッセージが込められているのではないか、と勝手に判断し、何回か読み返したのですがメッセージと取れるのであればメイン記事である「山形内陸ラーメン特集」しか考えられません。
 そんな思いでその特集を読みましたが残念ながら掲載されている全てのラーメン屋さんには来訪した事がありません、それどころか初めて知った店が殆どでありました。よく考えると情報誌ですから当然的な事ですな。
 「霊的メッセージ」が「山形ラーメン」であるとするならば「山形ラーメン」をどうすれば良いのでしょうか?
 「食べる」というのが最も先に浮かんでくる事は誰でも判る事なのですが、「霊的メッセージ」でありますからもう少し変化球で来る可能性があります。
 「作る」。これもすぐに浮かんでくる事でありますが、「霊的メッセージ」はもう少しカーブを描いて変化球を投げてくるに違いありません。
 「ラーメン屋をやれ」。このパターンも考えられますが、この場合、誰かに投資してもらわなければなりません、どなたかいませんか?(バカ)
 「ラーメンの事をブログのネタにしろ」。この辺が「霊的メッセージ」かもしれません、いや、そういう事にしましょうぜ、霊さんよ。
 という事で、当店の賄いで作っている「煮込みラーメン」なるものの作り方を載せてみようではありませんか。(強引)

 賄いで作っている「煮込みラーメン」と我々が呼んでいるもの(略して「煮こラー」)のコンセプトは「短時間で作れる」「拘らない」「コッテリさせない」という3原則の下、考えられています。
 「短時間で作れる」というのはどのお店の賄いでも大前提になる事でありますが、「拘らない(こだわらない)」というのは「ラーメン用のスープを取る」「完璧な湯切り」「チャーシューも手作り」のような「賄い」からかけ離れたものを作らない、という意味でありまして、実際、当店の作り方ですと鍋ひとつで完成してしまうものです。
 「コッテリさせない」というのはコッテリしたものを食べてから料理の仕事が出来るかよ、という内臓的理由であります。
 では、作り方(工程)です。

「お湯を沸かす→顆粒状出汁の素を入れる→醤油を色づく程度入れる→塩で味を決める→生麺をそのまま汁に投入→麺の芯が残る程度火を入れたら鶏の油(後で説明します)を入れる→野菜を入れる」

 以上です。全く拘っていない感がタップリでありますが、いいんですよ、賄いですから。
 この作り方を見て「おいおい、麺を茹でないのかよ!」と憤慨なさるラーメン好きな方がいらっしゃるかもしれませんが、スミマセン、賄いなもんですからご勘弁ください。
 手粉が付いたままの生麺を直接スープ(この場合スープと言うよりだし汁ですが)に入れるのは抵抗があるでしょうが、その粉が微妙にトロミをつけてくれて悪くありません、茹でる手間も要りませんしね。
 「顆粒状の出汁の素を入れる」というのも賄いならではでありますが、本格的に鰹出汁を取ったら更に美味しくなるのは言うまでもないでしょう。
 「鶏の油」は「フォン・ド・ヴォライユ」を取る際に鶏ガラから出た脂でありまして、フォンを取る度に「何かに使えないか。」と考えていたもので、野菜のソテーなどに使うとコクが出て美味しい、というのが数年前に判明した為、以来、冷蔵保存しているものです。
 これをこの鰹出汁(正確に言うと「鰹風味出汁」)に入れると「鰹風味で鶏風味」という「仮面ライダーダブル」的なスープになります。(「仮面ライダーダブル」をご存じない方は検索してください。ある意味スゴイ外見の仮面ライダーであります。因みに、私はごく最近このライダーの存在を知りました)
 最後に「野菜を入れる」と書いておりますが野菜なら何でも良いかと思いますが、私は98%の確立で「もやし」です。安価な食材を駆使する、というのも賄いの掟でありますからね。

 とあるフリーペーパー情報誌が見つかった事から端を発した「煮込みラーメン」作りをブログに載せる、という行動。

 目を瞑る(つぶる)と霊の声が聞こえそうであります。

「私の・・・私のメッセージは理解してくれましたか?」

「ハイ、ですからこのように賄いで食べているラーメンを記事にしました。もし、何なら明日にでもラーメン食べましょうか?」

「私の意図を理解していないようですね。」

「と言いますと?」

「ラーメンを食べ過ぎると血中脂質が高くなりますよ、という忠告だったのです。」

「判りづらいだろ!」


 このような結末が待っていそうです。









 
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

突然のブラインドテストに君は耐えられるか

2010-03-18 19:12:19 | Weblog
 知り合いの料理屋さんなどに知人とお邪魔した時、料理を食べた知人が「これって、何ですか?」と食材などの質問をご主人に投げかける事があります。
 そんな時、「藤原さんなら知ってるよね。」とニヤニヤしながら話を振ってくる方が稀にいらっしゃいます。
 私は、その「話の振り方」も気になりますが、なぜ「ニヤニヤ」しているのか?その食材の答えを間違えた方が場が盛り上がるのか?など色々考えるのです。
 「ニヤニヤ」の裏側には「知っているのか?この食材を。」という挑発的なものを感じますし、「フランス料理では使わないから知らないだろう。」という思い込みも含まれているように思うのです。
 間違えた方がその方(料理人)を立てる事となるのも理解しているのですが、そこは私も同業ですから意地でも間違えられないわけです。
 先日もそうでした。とある和食屋さんへマネージャーとお邪魔したのですが、そこの親方は昔からの知り合いです、というより、私が10代の頃(確か16歳くらい)、同じ厨房で仕事をした事のある方であります。
 マネージャーが「親方、これって何ですか?」と質問したのが切っ掛けでした。私はもう一人の方と喋っていたのですが、「藤原君なら答えられるでしょう。」と話を振ってきたのです。
 (おいおい、こっちに来たよ)そう心の中で思ったのですが、「えっ?どれですか?」ととぼけてみました。
 「この小鉢の冷やし汁(*1)のこの不思議な食感のやつですよ。」マネージャーもこちらに話を振ってきます。*1「山形県置賜地方の伝統食。ほうれん草、椎茸、人参、菜の花、などを茹で、色止め(ゆでてから氷水に落として余熱での変色を防ぐ)をして薄口のだし汁に漬けたもの。汁気の多いお浸しのような感じ」
 「判るよね。絶対。」容赦なく逃げ道を塞いでくる親方。頼みますよ、同じ釜の飯を食べた仲ではないですか。
 食べてみると「クニャクニャ」とも「コリコリ」ともつかぬ食感があります、しかも表面はザラザラしているのです。それほど風味らしい風味もありませんから動物系や魚介系には思えません。
 「凍み蒟蒻(*2)・・・ですよね。」そう言うと親方の顔が変わりちょっとムッとしてしまいました、何でよ?やはり間違ったほうが良かったのか?*2「しみこんにゃく。蒟蒻を寒風に晒して脱水したもの。凍み豆腐が有名だが、その蒟蒻版といえるでしょう。その時頂いたのは自家製との事でした。」
 そのような事があるとどう対処した方が良かったのか気になるところではありますが、間違えてしまえば「ほ~ら、お前知らないだろう。」と言われるのは明白でありますし、「答える義務はありません。」と言い放ったりすると関係にひびが入ってしまうというものです、難しいぜ、人付き合いは。
 以前は、白身魚の刺身3種盛りを出されて、知人が「どれがどの魚か教えてもらえます。」と言ったのにもかかわらず、「いえ、どうぞ。」の一点張り。
 挙句の果てには「お隣の方に聞いたらどうでしょう。」と挑発しまくりです。
 
 このような接客はアリなのでしょうか?

 私は料理の話をしに来ている訳ではありませんし、ましてや、「俺が料理をチェックしてやる。」などと考えて来ている訳ではありません。
 仮に食材が判らなかったら「これって、何ですか?」と普通に質問しますよ、普通に。
 
 純粋に料理を食べてお酒を飲んで楽しい会話をしに来ているのです。しかも、お金を払ってるのですから普通のお客さんですよ。

 お願いしますよ、本当に。


 因みに、白身魚の刺身3種類は全て言い当てました、これで、ようござんすね。










 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

寒さが再来する時、生地の話になる

2010-03-17 18:03:04 | Weblog
 寒さの再来に山形に住んでいる事を痛感させられる今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 日曜日に地震が来たと思ったらそれに釣られて寒さもやって来た、といった感じでしょうか?暖かな日曜日のランチが終わり休憩していたところに地震を感じました、それが呼び水になったのでしょう、寒さの。(ウソ)
 先日の少し暖かくなってきた夜の厨房温度は30℃を軽く超えていましたから、これが夏になったら何度になるのよ、と思わずにはいられませんでしたが、それはそれでビールが美味しく飲めるための布石のようなものですから良いのかもしれません、厨房が暑いのも。
 ですから「早く暖かくなれ。」というのでもないですが、寒いよりは暖かいほうが前向きに考えられるではないですか、色んな事を。
 例えば「支払い」。寒いと「あぁ~寒い寒い。店も寒い寒い。支払いも辛い辛い。」となってしまいますが、暖かいと「何か、あったかいし、いいか、支払いは。」などと思ってしまうものです。(それで支払わない、という意味ではありません。今日は考えないでおこう、というだけです)
 例えば「仕込み」。寒いと「あぁ~寒い寒い。仕込みたくない仕込みたくない。」などという気持ちが芽生えてくる可能性があります。(実際はないですよ、例え話ですからね)
 暖かいとそんな気持ちは芽生えてきません。「嗚呼、暖かい!この熱パワーよ!我に力を与えたもう!食材補完計画!発動!」そんな気持ちになるかもしれません。(まだどこかでエヴァンゲリオンを引きずっている)
 しかし、厨房が暖かくなると仕込みをする上で寒い時と異なった仕事をしなければならないものも出てきます。
 バター含有が多い生地は気温に左右されますし、薄く延ばす工程などは厨房温度が上昇しますとダレやすくなりますから作業が大変になるものです。
 手早く作業しなければならないのは当然として冷蔵庫への出し入れも頻繁に行いより良い仕事をキープしなければなりません。
 その他にも「パン生地の発酵が早まる」などという精神的に焦らせるような事態が待っていますから常に冷静でいなければなりません。
 昔、「アスレチックランドゲーム」というゲーム機(タイマーが付いていてその時間内に形が不揃いなものを組み合わせてゲーム機に全て入れる、というゲーム。時間をオーバーした時点でグチャグチャになる、というとんでもないゲーム)のCMで「時間は迫~る、気は焦~るぅ、こんなはずでは、なかったにー。」という歌詞の歌が挿入されておりましたが、まさにそのような現象になってしまいます。(かなり遠回しな説明ですがご理解ください)
 「寒さ」というのをキーワードにこんなに文章を稼いでしまいましたが、「生地」の話が出てきましたので、「生地」の話に変わります。(強引)

 当店では、「キッシュロレーヌ」をアミューズとしてお出ししておりますので「パート・フォンセ」という生地を仕込んでおります。
 しかし、キッシュに使用するパート(生地)は円形の型に合わせてカットしたりしますので端の方が余ったリすものです。
 余った生地を合わせてまた使用するのですが、グルテンが異様に出てしまった生地は使い物になりません。ようは膨らみすぎてしまうし、思うように成形できなるのです。
 そんな生地(2回使った後の生地)を今までは無理やり伸ばして重石をして焼き、粉糖を振って更に焼きカラメリゼしてデセールに使ったり、カラメリゼしないで料理に付け合せたりしておりましたが、それでももっと有効な再利用はないものか、と模索しておりました。
 よく考えれば簡単な答えでしたが、パンを仕込む際に混ぜれば良いだけなのです。
 「おいおい、そんなもの混ぜて大丈夫か?」そのように思われる方もいらっしゃるかもしれません、しかし、製パンには「中種法」という製パン方式があります。これは、全て粉から仕込む「オンプレミス方式」又は「スクラッチ方式」とも呼ばれております「直捏法(じかごねほう)」とは違う考え方で、最初に種となる生地を作り、寝かせてから本生地仕込みの際混ぜ込むことによって風味や食感にパンチ与える、というものです。
 天然酵母のパンやパン・ド・ミーというパンはこの考え方で仕込むものであります。
 バターの風味を持ち、且つグルテンを最大限に引き出している使い古しの生地はもう既に熟成もかねておりますから中種として使うには最高の状態と言えるかもしれません。
 
 こうして最近の当店のパンは判らない程度ですが変わったのです。

 しかし、それに気づいたお客様がいらっしゃいました。

 風味と食感が前と変わった、今の方が良い、そのようなご意見を述べられた方はパンにやたら詳しい方でした。

 「流石ですな。」とその方に思ったとき、「俺もちょっとね。」とほくそ笑んだのでした。










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「地雷を踏んだらさようなら」という映画を思い出すように

2010-03-16 14:02:28 | Weblog
 先日、私がとてもお世話になっている方(飲みのほうで)が「痛風」になられた、という話を聞きました。
 ある一定の年齢を超えたドリンカー(酒飲み)ならその恐怖と隣り合わせであることは認識しているでしょうが、どこかに「自分だけはならない。」という根拠のない自信が存在しているものです。
 勿論、私もその一人だと言えるのでしょうが、身近な人が「痛風」という新たなステージの扉を開けた事は、その根拠のない自信を崩壊させ、そして、「痛風」という恐怖が自分の後ろに立って肩を叩こうとしていることを痛感させるものです。(結構、大げさ)
 痛風になってしまうと「プッチンプリン」にも「プリン体」が入っているのではないか、と思い、「北風小僧の寒太郎」の曲でさえ「痛風(いたかぜ)小僧の患太郎」と聞こえてくるに違いありません、末恐ろしいぜ、痛風よ。
 食べ物や飲み物が原因とされている「痛風」は、なってしまうと意外なものまで制限されるようで「カツオ」や「イワシ」といった何となく体に良さそうなものや「カロリーオフソーダ系ドリンク」といった何となく太らなそうなものもその範囲とされるのだそうです。(先述の方に一覧表を見せていただきました)
 しかも、要注意、つまり、コードレッドな食べ物は「スルメイカ」「レバー」など、酒のアテとしては優等生的なものであります。
 因みに、先述の方は発症する前、「カツオ」「スルメイカ」「カロリーオフソーダ系ドリンク」を好んで摂取していたそうですから、「痛風」にはバッドとされる食べ物を知らず知らずにチョイスしていた事になります、ある意味、天才的チョイス、と言えるのではないでしょうか。
 勿論、「煮干し」「干しシイタケ」「鰹節」などのドライド系食材もプリン体を多く含みますからダメだそうです。
 そう考えると、「スルメイカ」「干しシイタケ」「鰹節」などの乾燥させて旨みを凝縮させる食材はプリン体も凝縮させる事になり、旨さと共に体内で爆発的に飛躍させる事になるのか、と勝手にイメージしてしまいました。
 私も昨年、足が腫れる、という事態に見舞われ「藤原痛風説」が自分の中にも、そして、マネージャーの中にも流れておりました。
 その「足が腫れている」という現実を封殺するかの如くほったらかしにしておりましたら紫色に肥大してきましたので已む無く(やむなく)病院へ行きましたところ、「蜂窩識炎(ほうかしきえん)」というまったく聞いた事のない病気であることが判明しました。
 原因は不明、と先生から言われましたが、最後に「疲れすぎなんじゃない?あと飲みすぎとか。」ともっとも核心に近い事を告げられたのを覚えています、先生!もっとはっきり言ってくださいよ!飲むな!と。
 
 よく考えてみると私の同級生にも「痛風発症人」通称「ツウファー」がいたり、お客様でも「ツウファー」な方がいらっしゃったり、と周りに結構いたりするものです。(因みに「ツウファー」というのは私が考えた「通称」です。ご了承ください)
 そんな中で聞いた「痛風発症時」の話でインパクトが強かったのは、夢と直結した話でありました。
 30代後半の男性であるその方はバレーサークルに所属していました。バレーをして汗を流した後のビールが好きで「運動→ビール大量摂取」というワンセットを繰り返していたある日の夜、自分が戦場で逃げ回る、という夢を見ます。
 戦火を潜り抜けたが地雷を踏んでしまい片足が吹っ飛んだ夢で「ハッ」として起き、自分の足を確認してホッとした瞬間、足に激痛が走りそのまま病院送りとなったのだそうです。診断の結果は「痛風」。

 私はこの話を最初、笑って聞いていたのですが、その日に家に帰って寝ようとベッドに入った時、妙に思い出してしまい寝るのが怖くなってしまいました。

 立ち仕事ですから足には気をつけたいものです。

 「足には」というよりこの場合、身体には気をつけたい、と言った方が良いのでしょうな。

 気をつけよう。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

実写にはないテーゼを探せ

2010-03-15 01:42:23 | Weblog
 今回の内容は、全く料理に関係ありません。(いつもですが)
 しかも、サラッと書くつもりが全編アニメの話になってしまいました。
 アニメに興味のない方はスルーして吉、といったところではないかと思われます。予めご了承ください。





 

 突然ですが、私には7歳と3歳の息子がおります。先日、その子らにせがまれてカラオケに行ったのが始まりでした。
 部屋に入ってすぐに私が選択したのは生ビールでしたが、彼らが選択したのはアニメソングでありました。
 しかも、選択した初っ端の曲は「残酷な天使のテーゼ」という「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング主題歌でしたが、その時、私が思ったのは、「この曲名の意味を理解しているのか?」という事よりも、「エヴァンゲリオン、見た事あるのか?」という初歩的な疑問でありました。
 それでも、「残酷な天使のテーゼ・・・・・・・少年よ神話になれ!」と絶叫している少年にも満たないであろう彼らを見て、「これは、私がエヴァンゲリオンを見て、彼らに説明しなければいけないのか。」と、無駄な使命感が湧き出てしまい、それからしばらくして「新世紀エヴァンゲリオン」のテレビアニメ全26話と劇場版を休日を利用して網羅したのでした。

 私が小学生の頃、世の中は(小学生的な)「第一次ガンダムブーム」、いや、「ガンプラ(ガンダム系プラモデル作成)ブーム」でありました。
 当然、私もその洗礼を受けた一人でありましたが、その頃は、「モビルスーツ」「ジオン公国」「連邦軍」といった単語が飛び交うテレビアニメの内容よりも、プラモデルをどれだけ精密に作るか、といったところに興味があったのは言うまでもないでしょう。
 しかし数年前、当時を懐かしんで「劇場版機動戦士ガンダム」のDVDを購入し、よく鑑賞したところ、ジオン公国の成り立ちなどに深い興味を覚えたり、ジオン軍のユニフォーム(軍服)などはナチスドイツからの引用をイメージさせるものであったり、連邦軍の「オデッサ作戦」などの作戦名の高いマニア度、少年兵である主人公(アムロ・レイ)の内面的な葛藤にシンクロする「ニュータイプ」と呼ばれる人間の覚醒論など、それを考えただけでワイン2本は飲めそうな内容に気が付いてしまったのです。

 勿論、「新世紀エヴァンゲリオン」も、その人型ロボットを思しき物の好感度の低そうな外見や、タイトルから見えそうのない内容、などが気になってしまったのでありましたが、最初に放映された年は1995年くらいだそうですね、残念ながら私はこの近辺、日本におりませんでしたから「エヴァンゲリオン」に関する情報がないのは当然なわけです。
 休日に一気に観てしまった、というのもあるのでしょうが、この「エヴァンゲリオン」、その日一日頭に残って困ってしまいました、色んな意味で考えさせられます。
 まず、このアニメに必ず出てくるキーワードは聖書、とりわけ「旧約聖書」を匂わせるような単語であります。
 後半から「アダム」というのが出てきた時に気がついたのですが、「エヴァンゲリオン」つまり「エヴァ」は、「アダムとエヴァ(イブ)」を意味していたのですな。
 全編、観る者を置いてきぼりにする姿勢はどう考えてもキッズ向きとは言えませんし、最終話に至っては捉え方次第で「ハッピーエンド」とも「絶望」とも取れてしまいます。
 しかも、最終2話(25話と26話)を新しい形で上映した劇場版は、神に近付こうとした人間が淘汰された、という見方しかできませんでした、私は。
 
 その辺も踏まえて出した結論は

「まだ、早いな、子供に説明するのは。」

 というものでした。

 最近、上の子が「大人になったらバイクに乗るとかっこよくなるかも知れない。」や「友達がマンションに住んでいるから自分も住みたい。」などと言い寄ってくる事があります。

 まさに「残酷な天使のテーゼ(人の気も知らずに物事に肯定的な主張をする人)」と言いたくなるものです。

 お願いしますよ。











  
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私生活よりも厨房のシュミレーションをせよ

2010-03-10 22:20:48 | Weblog
 最近、「ブログの更新頻度が落ちたのではないか。」「前よりも文章に力がない。」などと言われてしまう私でありますが、そう言われてしまえばそうなのかもしれません。
 文章に力が無くなってきたのはネタがないからかもしれませんが、更新頻度が落ちてきたのは色々忙しいからであります。
 この文章を読んで「何?!この不景気にお前の店は忙しいのか!」とブチ切れてしまう御仁もいらっしゃるかも知れません。しかし、店はそれほど忙しくはないのですが、それ以外の事で忙しくなっているのであります。
 「愛人が発覚して家庭崩壊に向かっている。」「女性関係のもつれから破傷沙汰に発展してしまった。」などの劇的な忙しさではなく(この場合、忙しいとか言う問題ではない)、勿論、仕事絡みであります。
 まだ詳しい事は載せれませんが、ワタクシ、この度、これから立ち上げる店舗の「料理顧問」に就任いたしまして、定休日ははそちらの仕事に時間を取られているのです。
 新しい厨房設備の選定やレイアウトなど、自店の経験を元に作成し、それを経営者に説明し、ついでに銀行にも説明して早期融資実行のお願いにあがる、などの休日の使い方は立ち止まってしまうと「アレッ?俺って何してんの?」的な疑問が浮かんできますから突き抜けるしかありません。
 新店舗(私が経営するわけではありませんよ)は、ある有名な日本人画家のどデカイ絵画が数点飾ってある小さな美術館を髣髴させる店舗でありまして、バブリーな造りとなっております。(何度も言いますが、私が経営するわけではないですよ)
 その厨房を任されたわけですから有り難いお話なのですが、頻繁に行き来できるほど当店と近いわけではありませんから、電話での打ち合わせが多いのが現状です。
 それでも「グリラー(グリルする機器)欲しいからよろしく!」や「ゴムベラはル・クルーゼ(フランスの鋳物メーカー。ここのシリコンゴムベラは耐久性に優れているため長い目で見るとこれを選んだ方が良い。因みに、当店は全てこれです)で統一、よろしく!」、又は「ガス系統の機器採寸をしたら若干、空きがあるのでそこにシンク(鍋などをなど洗うスペース)入れる事を業者さんに発注したので、よろしく!」と言いたい放題を大目に見てくれているので楽しいですな。(遊ぶな!)
 早ければ来月中にオープン予定ですので、当ブログで紹介したいと思います。(よろしく!)

 さて、今回の店舗オープンに関する、特に厨房内の機器、及び鍋などの備品選定、レイアウト、などは、イメージしながら進めないととんでもない事になってしまう要因になります。
 例えば、イタリアンの場合、パスタを茹でる鍋、又は、パスタボイラーはガス台に向かって右に設置した方が動線としては動きやすいものです。
 なぜなら、料理をする人の殆どが「右利きである」というの軸として考えた時、パスタパン(片手付きのパスタソースを絡める鍋の事)を手にするのは左であります。という事は、右手でパスタのお湯を切って左手のパスタパンに茹で上がったパスタを投入するのが自然でありますからパスタ鍋は「右側に接地」という考えになります。
 そこから考えると、盛り付けが終わり、左手のパスタパンを洗うシンクはガス台から向かって左が良いわけでして、右から左に流れる動線、という構図が浮かんできます。
 当店の厨房も左回りという動線を考えてレイアウトしておりますから、カウンター正面から時計回りに、冷前菜用のコールドテーブル(冷蔵庫付きの盛り付け台)、冷蔵庫、調味料設置場、ヒートトップレンジ、ガスレンジ、シンク、食器洗浄機、と一周し、その真ん中にメインの作業台兼盛り付け台兼食器棚という「アイランド」と呼ばれる厨房の組み方をしております。
 フライパンにしても18センチは1人前用、24センチは2人前用、などの計算を事前にしないで闇雲に買い集めただけでは実際営業してみて「足りない」や「買ったけど使わなかった」という不備や無駄が出る事になります、気をつけたいものですな。

 私は仕事に関しては意外と計算をし、システマティックに出来れば、と考えます。

 それを私生活にも転用できれば良いのですが、そこは、世の中、うまく行かないものです。

 計算外の事ばかりで嫌になっちゃいますな、いや、もとより計算すらしないのか。

 








 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする