ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

2月最後の日の記事はまとまりがない

2012-02-29 22:55:34 | Weblog
 4年に1度の閏年(うるうどし)も、もうすぐ終わりを迎えようとし、次の4年後の自分を思い描く事が難しいと思ってしまう今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 「4年後、あなたは何をしていますか?」という質問をされて「何もしていません。」と即答できる人は色んな意味で危機感がないと判断されてしまいそうですが、「何をしているか判りません!教えてください!」と懇願してしまう人は逆に危険な方です。
 4年後の自分を人の意見に委ねようとするのは危険ですが、もっと危険なのは「それを教えましょう。」などと真顔で言ったりする、自称“霊能者”などです。
 なぜ、自称“霊能者”や“スピリチュアル”な方は太っている人が多いのですか?などと質問してしまうと「関係ないでしょ!そんな事!」と怒られてしまいそうですが、霊感が強いと疲れて肉を食べたくなるんですかね。
 「今日の占い」や「今月の占い」などの簡単な占いは笑い話にもなりますが、「どっぷり」なものは笑えません。
 人というのは、占いで良い事を言われるよりも悪い事を言われる方が深く信じる傾向が強いようで、「これから順風満帆な生活が出来ます。」などと断言されると、「本当の事を言ってください!本当はそうじゃないんでしょ!」と思ってしまいがちです。
 怪しい「占い」というのは「観察力」だそうで、その人の表情や手を触った時の感じで体の不調や病気が何となく判るので「あなた、最近、病気などしていませんか?それは先祖の・・・」という話の展開になるのだそうです。それだけ「観察力」「洞察力」があるのならばちゃんとした仕事すればいいのに、と思ってしまいますな。(勿論、ちゃんとした占いの方もいらっしゃる、というのは大前提です)
 私も当店を開店した時、昔から知り合いの、自称“色んな事が判る人”(女性)から、「あなたは今、大殺界です。そんな時に店を開店したなら潰れます。」とハッキリ、宣言されてしまいました。
 合う度に「潰れます」「絶対に不幸になります」と言われ続け、最後には「そろそろ、死にます」と勧告されましたが、残念ながら今年の6月で当店は丸8年になります。これはどういう事なんでしょうか?
 全く当たらなかった、とは言いませんが、その片鱗はあったのかもしれませんな、危険な状態だった時もありますから。
 勿論、私は「霊感」やその類は全く感じませんから何を言われても「そりゃ、大変。」くらいにしか思いませんが、稀に「キテる人」はいらっしゃいます。
 「キテる人」は目が違います。キテるんです、言葉として表現するのが難しいのですが。
 「キテる人」は歴史にやけに詳しかったりします。何か感じるところがあって遡って(さかのぼって)いるのでしょうか、特に「寺」関係が詳しいですな。
 「キテる人」は自分を「キテる」とは思っていません。思っていないからこそキテるんです、そういう人は。「自称」などもってのほかです。
 「キテる人」は他人を思いやる心を持っています。他人を人以上に思いやるからこそキテしまうのかもしれません、いや、そういう「運命(さだめ)」を持ってしまっているのでしょうな。
 「キテる人」は痩せています。本当にキテる人は身体がデリケートなので食が細いのであります、肉好きなどもっての他でしょう。
 という事で、人を巻き込もうとする人は「キテいない」という事になりますから、自称“霊能師”さん、お願いしますよ、キテないんですから。

 さて、話は変わりますが・・・と行きたいところですが、今日はちょっとこれからやらなければならないことがありますので、この辺で切り上げたいと思います。

 ネタも品薄状態ですから短めで、という事で。(それでも長めですがね)

 ん~、今日のネタ、キテないな。

 あっ、いつもですか。








 
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ただグリルすれば良いだけではない、そこにはディティールが必要なのだ

2012-02-28 23:48:59 | Weblog
 3月を目前に控え「卒業」という言葉が脳裏に浮かび、そして、それにちなんだ曲も頭の中で鳴ってしまう今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 「卒業」にちなんだ曲、というと、どうしても「松任谷由美」「尾崎豊」「斉藤由貴」「柏原芳江」などの昭和の曲しか浮かばない私ですが、若い人に聞くと「エール」や「3月9日」などの曲名が出てきて私を困らせます。
 「エール」と聞けば「鰻」を想像し(鰻は英語で「イール」)、「3月9日」と聞けば何かの事件の日なのか、と深読みしてしまいます。(何とか事変、のように、また戦争関係なのかと思ってしまう)
 それだけ最近流行の曲に精通していない、という事なんでしょうが、昔は「そんなオヤジになりたくねーぜ。」と思っていたオヤジになろうとしているわけです。
 あまりにも精通しすぎているオヤジ、というのも怖いものがありますが、「エール」と聞いただけで「あぁ、○○のあの曲ね、良い曲だよね。」とさりげなく言えるオヤジくらいにはなりたいものです。
 
「じゃあ、“3月9日”は?」

「あぁ、知ってるよ、良い曲だよね。」

「誰の曲か知ってるの?」

「卒業関係の事をテーマにした曲なんだよ、な、確か。」

「本当に知ってるの?」

「最初、ジャーン!っていうギターで始まるんだろ。」

「本当に・・・知ってるの?」

「いや・・・アコースティック風だった・・・かな?」

「聞いた事はあるんだ。」

「サビの盛り上がりで泣けてくる、よな。」

「アレッ?知ってるの?」

「その後、畳み掛けるようなオーケストレーションで、な!」

「実は知らないんじゃないの?」

「あっ、いや・・・静かながらに心に染み入る曲だよ・・・な。」

「誰が歌ってるか言ってみてよ!」

「あっ、いや、確か、何とかメンだったような・・・」

「そうそう、近い。」

「レミ、とかも付いたような・・・」

「近いよ!」

「あっ!判った!」

「誰!」

「平野レミ!」

「そりゃ、料理研究家だろ!」

 こんな結末になるのが関の山のように感じます。
 知らない事に手を出すのは危険という事なのでしょう、最近の事は知らないオヤジでいる事も必要なのかもしれません。

 さて、話は変わりますが、最近、「フォワグラのテリーヌ」を切らさなさいで仕込むようにしております。
 勿論、単体でもお出しするから、というのもあるのですが、どちらかと言えば「他の食材と組み合わせて」お出しする為に仕込んでいるから、という方が理由的に大きいかもしれません。
 よく組み合わせるのは「フォワグラのテリーヌと穴子のグリエ」で、そこに「ヴァニラ風味のかぼちゃのピュレ」と「ビーツのピュレ」を少しだけ添え、口飽きしないようにしております。
 穴子も天ぷらにするような小さい、所謂(いわゆる)「メソ」と呼ばれるものではなく、大型の穴子をグリエして使用しております。
 「大型の穴子なんて気持ち悪い。」とお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、大型の穴子は適度に脂が乗っていて身もふっくらして私的には好きな食材であります。
 ただ、グリエ(グリル)する際、火が通りにくい為、グリルパン(脂を落とす溝が付いているフライパン)に直接乗せてグリルすると身に火が入る前に表面が焦げてしまいます。
 しかも、そのやり方では脂を落としきる事が出来ず、生臭みが残る可能性までありますから「大型の穴子」には最適なグリル方とは言えません。
 ですから私は、グリルパンの前後両端に角のステンレスパイプを乗せて一段高くし、即席のグリヤードにして使用します。
 この上に網を乗せて焼くとガス火が直接当たらず、グリルパンの輻射熱で焼く事ができます、が、網で穴子を焼くと穴子の皮が網にくっつきますし、網が接地した穴子の皮が焦げてしまう、という結果になります。
 穴子の皮をパリッと焼き、且つ、身をふっくら焼き上げるにはどう考えても「ブロシェット(串焼き)」しか考えられないのです。
 まず、大型の穴子ですから半分にカットし、二段に組み合わせ、金串を4本、鰻の串打ちのように打っていきます。
 この時、横から見て身の中心に金串を打ってしまうと皮を焼き切る前に、金串の熱で身に早く火が通ってしまいますから、なるべく皮と身の間に串を滑らすように串打ちしなければなりません、適当に串を打てばいい、というものではありません、最終的なところまで考えなければ仕事ではない、という事ですな。
 そして、身の方に塩、ブラックペッパーを振り、皮にはオリーブオイルを薄く塗り、皮目から焼いていきます。
 皮にオリーブオイルを塗るのは、皮を乾燥させず、効率良く穴子の皮の脂を落とす為です。
 皮を徹底的に焼くと丁度身に火が通り、返して30秒ほどで全体が焼き上がります。余熱でも火が入りますからそれも計算して火を入れすぎないこともポイントでありますな。
 
 こうして焼いた穴子は、食べた時のクッションとして、マンドリーヌ(野菜スライサー)で縦に薄くスライスした胡瓜を添えるとフレンチ版「アナキュウ」になるわけですな。

 かぼちゃのピュレ、ビーツのピュレ、シェリーヴィネガーのヴィネグレットなどを添え、端っこに「フォワグラのテリーヌ」を添えてサラダを飾って提供します。

 穴子のジューシーで力強い白身魚的な味と、フォワグラのコク、そして、グリル香のえもいえぬ香り、この冷製と温製を組み合わせた一皿、6000円のコースでお出ししております。

「その下のコースには無いのか!」

 お出ししましょうか、その場合、フォワグラは抜けているかもしれませんが。

「何?だったら、フォワグラと組み合わせなくてもいいんだろ!」

 いやいや、フォワグラと合わせた方が美味しいですよ、ですから、6000円のコースで、ね。

 宣伝ですな、これじゃ。











 
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断片的な証言を元に料理を作れ、そんな依頼が来たら・・・

2012-02-26 22:42:13 | Weblog
 止んだはずの雪がまた振り続けているのを見ると「この時期のシンシンと降る雪は、当時のあの出来事も静かに見守っていたのだろうか・・・」と何となく感慨深くなってしまう今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 本日、2月26日は「226事件」の日であります。日本陸軍青年将校によるクーデター未遂事件は、単なる「軍人の暴走」ではなく、当時の政治腐敗を一喝し、困窮した農村を救うため立ち上がった心ある行動でした。(結局は、上層部に利用されたんですけど)
 そんな「226事件」の前日、当店へふらりとやって来たのは私の友人「マイティーさん」でした。
 日本人でありながらもそんなあだ名を付けられている彼は、白い顔で赤い唇の、どこか、眼鏡をかけていない大阪の「くいだおれ太郎」に似ています。
 まぁ、それはさておき、来店しカウンターに座った彼は「最近好きだ」というシェリー酒をロックで一口飲むと、なぜか遠い目をしたのです。
 「遠い目をする」=「問題を抱えている」という図式を持っている私はさりげなく聞いてみると、「いや、別に・・・」と口ごもり、また遠い目をするのでした。
 「口ごもる」+「遠い目をする」=「結構な問題を抱えている」という図式を持っている私は強引に聞いてみると。「実は・・・」とポツリポツリ話し始めました。
 聞けば、家庭の不協和音的な悩みを抱えてしまった彼。慰める言葉を必至になって捜しましたが、なかなか見つかりません。
 そのうち彼は「心の葛藤を詩に表そうかと思って・・・」と真顔で言うので失礼ながら思いっきり笑ってしまいました、このシチュエーションでその言葉か。
 「ミクシーに俺の詩を載せるからコメントして欲しい。」普通に聞いたらご乱心ですが、そんな状況の彼ですから「判ったよ・・・」と快諾した後、普通に返してもな、との思いが広がり「コメントは俳句で返すよ。」と私も意味不明な返答をしてしました。
 自分の思いを乗せた「詩」へのコメントが「俳句」、しかも友人に対して。私的には笑って流して欲しい、との願いを込めて言ったつもりだったのですが、その話は成立してしまいました、まさに「575事件」!
 今から「季語はどうしよう?」などと考えております。

 さて、話は変わりますが、最近、「サンフランシスコで食べた、“ダンジネスクラブ”が美味しかった。それ作って!」というお話を頂きました。
 そのお話を頂いた時、不勉強ながら「ダンジネスクラブ」なるものを知らなかったのですが、調べてみると和名は「アメリカイチョウガニ」という大型の蟹である事が判明しました。
 「イチョウガニ」は食べた事がありますが、「アメリカイチョウガニ」は食べた事がありませんでしたし、その「ダンジネスクラブ」のどんな料理なのか詳細が判りません。
 その方が断片的に教えてくれる情報は、

・蟹である。(それは「クラブ」という名で理解できるでしょう)

・凄くうまい!(いや、それだけじゃどんな料理か判らないでしょう)

・サンフランシスコでは有名な店だった。(有名な店、と言う割には店名を覚えていないのでどんな料理か判らない)

・手がベタベタするけど凄くうまい!(いや、だから、それだけじゃ判らないって)

・ビールが合う。(それは関係ない)

 これらの情報で「ダンジネスクラブ」の料理を作ってくれ、と言われても雲を掴む様な話であります。
 来店するたびに「ダンジネスクラブ、作って。」というその方の心意気を汲んで私も色々調べてみました。(ネットで)
 サンフランシスコでは有名な店、というのは、「ダンジネスクラブ」の料理で有名な「クラスタシアン」というお店でありました。元体操選手が出てくる水周り関係修理会社「暮らし安心」の「クラシアン」と名前が似てますな。
 そして、その有名な料理というのが「ダンジネスクラブのガーリックロースト」なんだそうです。
 しかし、調べても作り方までは載っておりません。食べた人の感想と、こうなのではないか、とチャレンジした人のルセットを見て考えると、どうやらエシャロットとニンニクのみじん切りを炒め、室温に戻したバターに混ぜ込み、それを茹でた「ダンジネスクラブ」に塗ってオーブンで焼き上げる、というもののようでありました。
 実際に作ってみるとパセリの入らない「ブール・デスカルゴ(エスカルゴバター)」に似ていることから、「おぉ、ブール・コンポゼ(混ぜバター)を作って蟹に乗せてオーブンでローストすれば良いのね。」と解決の糸口が見えてきました。
 ところが、その方に出してみると「ん~、近いけどソースがもうちょっと茶色っぽい感じだったなぁ。」とビミョーにダメ出しです。
 「だったら!サンフランシスコへ連れて行け!」と叫びたいところではありましたが、まぁ、何が茶色だったのか聞いてみようではないですか。
 すると、「醤油っぽい味がしたような・・・」というヒントが出てくるではありませんか!「もっと早く言え!」そんな言葉が出そうになるのを抑えて考えてみると、その店「クラスタシアン」はどちらかと言いますと「チャイニーズテイスト」が入っているアメリカンレストランだった事を思い出したのです。
 という事は・・・ここに醤油が入っているかも知れない、しかも醤油は向こうの人が好きな「キッコーマン」ではないか、と推測。という事は、クセのある中国醤油ではなく、日本醤油を入れれば近づくのかも知れません。
 次の来店時、そのブール・コンポゼ(混ぜバター)に醤油を入れて出してみたところ、「かなり近い!でも、もっと茶色で、もっとベタベタしていた。」という感想を頂きました。
 「明日連れてけ!サンフランシスコへ!」と叫びたいところではありましたが、まぁ、何が「ベタベタ」だったのか考えてみようではないですか。
 私が推測するには「ベタベタ」=「甘さ」なのではないか、と考えます。という事は「甘味料」的な「調味料」が入っていて「ベタベタ」スルのではないでしょうか。
 甘くて濃度のある調味料と言えば、アレか!チャイニーズテイスト繋がりで十分考えられます。
 そこで私なりに作り方を総括してみると

・エシャロットとニンニクは入る

・バターも使用するだろう

・醤油も入るだろう

 そして、ここからが本題

・オイスターソースで全体を纏めているのではないか

 という事です。

 という事は、作り方として

「エシャロット(みじん)をオリーブオイルで炒める→ニンニク(みじん)を入れる→焦げないように炒め酒を加える→オイスターソースと醤油を入れ味を調える→大量にバターを加え蟹に塗る→オーブンでローストする」

 このようなルセットと工程を踏んでいるのではないか、と推測されます。

 現に「汁がダラダラで、その汁をご飯に掛けて食べたかった。」という新証言が出たくらいですからその通りでしょう。

 しかし、あえて言わせて頂ければ、最後は「ご飯」ではなく「麺」を絡めるのではないか、と推測します、麺物もメニューにあったと記憶しておりますからね。

 まぁ、その方の為にまたチャレンジしてみますが・・・

 私を現地へ連れて行くのが一番早いでしょう。

 その時は気兼ねなくゴチになります。














   
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地元スーパーに眠るビミョーな財宝(商品)を探せ

2012-02-24 23:30:08 | Weblog
 先日、よく店の買出しで行くスーパーで以前から気になっていたものを購入しました。
 日本語表記が無いところから完全輸入商品である事は理解していたのですが、どうしても気になっていたのです。
 商品名は「ティラミスチョコレート」。パッケージにはとろけそうなティラミスの写真がさりげなく写っており、その横にメイン商品である「ティラミスチョコレート」が鎮座しておりました。
 しかし、「ティラミスチョコレート」は「板チョコ」であります。その「板チョコ」にどのようにして「ティラミス感」を持たせたのか、そこが一番の疑問であり、興味でした。
 マスカルポーネ(イタリアのクリームチーズ)に比重を置いての板チョコ作りだったのか、それともカカオプードル(ココアパウダー)の風味を重視したのか、それともサプライズで板チョコの中からトロリとティラミスムースのようなものが出てくるのか、見掛ける度に気になっていた商品なのですが、最初に見かけてから実際、購入するまで1年近く掛かってしまっているところが山形男らしいではないですか。シャイなんですよ、基本的に。
 円高を象徴するかのように国産のものより大き目の輸入板チョコは105円でしたが、原産国は「マレーシア」。あんなに暖かい国でチョコレートを・・・大丈夫なのか?まさか、チョコレートが溶けないように何か仕掛けているのではないか、との予想を見事に裏切る事無く「植物性なにがし」と思える原料名が「英語」「スペイン語」「中国語」そして「アラビア語」で羅列しておりました・・・「アラビア語」、読めないな。
 早速、食べてみると「パキッ!」プラスチックを割るような音が響き渡ります。ふた昔前であれば「渡辺徹」の名曲「約束」の「さ・よ・な・ら・さ~♪・・・」のフレーズをバックに凍りついたような笑顔で「パキッ!」と行きたいところであります。
 やはり原料の項目で不安を感じたように溶けない工夫をしているようであります。
 しかし、その「工夫」がバッドな功を奏して口解けも悪く、口の中に風味が広がるまでのタイムラグが結構大きい。噛み砕くには硬いし、口の中で転がして溶かすには時間が掛かる、帯に短し襷(たすき)にも短し、と言ったところか。(本来の使い方は「帯に短し襷に長し」であります。帯にするには短いが襷にするには長すぎる「布」などを指す言葉。転じて、微妙に使えない、という意)
 時間的に余裕が無い私は「カリガリ」と噛み砕き、強制的に風味と味を感じたのですが、ん~、確かにクリーミーなカカオ(ココア)の風味はしますが、これが「ティラミス」かと言われるとビミョーであります。
 昔、「チーズ蒸しパン」にココアパウダー振り掛けて「ティラミス蒸しパン」と称して販売していた所がありましたが、それに近い強引さを感じました。
 しかし、なぜか「ケミカル配合な硬さ」「パッケージと乖離する内容」を理解しても許せる味のまとまりがあるのは驚きです。
 「こんなものはイカン!」とブチ切れるほどのものではありません、むしろ「これで105円だったら安いかも・・・」と感心すらしてしまうところが海外企業の努力なんでしょうか。
 だからと言って諸手を挙げて「うまい!」とも言えないビミョーさが東南アジアっぽくて逆に良いのか?
 
 そのよく行くスーパーも、その「気になる心理」を知ってか知らずか、妙にビミョーなものを仕入れる傾向にあります。

 例えば「韓国花嫁が作ったキムチ」も「気になる」のですが、「気になるポイント」が他と違います。
 上記の「韓国花嫁」は「いつの時代の韓国花嫁」なのか、という事です。
 もしかすると20年前の「韓国花嫁」かもしれません。そうなると、一般的な「若くて綺麗な花嫁」を弄ぶ(もてあそぶ)事になるではないですか、そのイメージで購入しますからある意味「詐欺」であります。
 
 その他にも「料亭菊の井 濃厚抹茶プリン」も気になりますが、

 それは「推して知るべし」といった所でしょう。

 ん~、他にもあるかもしれないからまた探さねば。










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春を予感させる野菜の入った煮込み料理、その名は・・・

2012-02-23 22:55:33 | Weblog
 時折、青空が垣間見れ、風の冷たさも和らいできたような気がしてきた今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 今月初めのように、積もる事を大前提とした雪も降らなくなり、口が回らなくなるほどの寒さも軽減してきたような昨今ですが、ここで安心してはいけません、必ずやまたスノーアタックが待っている筈であります。
 しかし、寒さがひと段落した事は事実でありますから、その分、気分的に楽にはなりますな。
 例えば「賄い(まかない)」。これまでならば、熱い、汁物の、麺物の、食べ物ですか、とキーワードだけで作る方向が決まってしまい「かけそば」「煮込みラーメン」などに陥りがちでしたが、最近では「パスタ」や「ご飯もの」にも手を出す事ができます。
 当店のマネージャー佐藤は「麺物好き」で、食欲を製麺器にかけたような人ですから通常でも「汁麺物」のリクエストが多いのですが、寒さが続くと「かけそば」「ラーメン」を強く熱望され、そのメニューに強制決定されます。
 まぁ、賄いで「食べたい」と言われれば作りますが、正直に言いますと、私は2日続けて似たようなものを食べたくありません。
 「かけそば」の次の日が「ラーメン」で、その次の日が「かけうどん」のように名前は違えど根本的に一緒、のような食べ物が連日続くのは好みません。
 「かけそば」の次の日は「野菜炒め定食」のように全く違うジャンルに舵を切りたいタイプなんです、日本酒を飲みすぎた次の日は紹興酒を飲む、そんな感じが好きです。(関係ないですけどね)
 しかし、いくら好みではないからといって唯一の従業員であり当店の顔とも言えるマネージャーの食べたい要望を却下するような事はありません。それで彼が喜ぶのであればそれを作るのが、本当にささやかですが「福利厚生」の一環ではないか、と考えるからです。従業員に対してのささやかな感謝、と言えるかもしれません。
 そんな中、稀に、本当に稀にですが、その賄いにありつこうと画策する方がいらっしゃいます。
 付き合いも長いですし、私よりも年上の方ですからお出ししますが、日曜日のランチにいらっしゃり、ランチ終了後、さりげなく「今日の賄いは何?」などと呼ばれてもいない食卓の事を気にする時、手元のワイングラスはクルクルと回っています。
 「今日は、パスタですかねぇ。」と何となく言ってみると、「どうせまた大量に作るんでしょ。」と事情通チックに返してきますが、もしかすると「大量に作るなら俺の分も・・・」と考えての高等戦術に聞こえてしまいます。
 なぜなら、日曜日限定の「ランチ」時のカウンターに座りながら「ランチメニュー」を注文していない辺りが「ヤル気十分」でありましょう。
 「ランチメニューを注文しないのはワインを飲む為だ。だからつまみ程度しか注文しないし、それで十分。」という反論も考えられますが、つまみだけで十分な方がその日の賄い「パスタ大盛り」を平らげて、食べ終わると共にすぐ帰るでしょうか。
 私とマネージャー、2人の中では「優しくしておかないとね・・・」と半分諦め気味ですが、他所でも同様の行為をしていないか心配であります。
 もし、そんな方がいらっしゃいましたら優しくしてあげてくださいね、他店の皆さん。(仮にその方が当店の名前を出しても当店は一切関係ありません)

 さて、話は変わりますが、当店に来店くださるお客様はコース料理の注文が多いのですが、中には「アラカルト」注文の方もいらっしゃいます。
 しかし、「アラカルト」といってもメニューから選ぶわけではなく、在庫食材を聞き、その中から食材をチョイスし調理は「おまかせ」という「半おまかせ」オーダーをなさるのです。
 勿論、そのやり取りはカウンターで行い、時間が掛かる事も承知なされている方なのですが、なかなかプレッシャーであります。
 
「じゃあ、豚を・・・」

「豚を、どうします?」

「そうねぇ、どこの部位?」

「肩ロースですけど、焼きますか?」

「そうねぇ、焼き、ねぇ・・・」

「ローストかグリエか、ありますけど・・・」

「ふ~ん、焼き、ねぇ・・・」

 こんな会話が続くのですが、私の経験則で、この「焼き、ねぇ・・・」という言葉が出た時は「焼くな」と判断した方が良いようであります。

「豚肉、ブレゼにします?」

「ブレゼってなんだっけ?」

「所謂(いわゆる)“蒸し煮”ですね。」

「“蒸し煮”かぁ・・・」

 私の経験則では「語尾」が「~ねぇ・・・」から「~かぁ・・・」に変わるとそちらの方に気持ちが動いている、又は、動いてもいいかも知れない、という暗示であります。

「えぇ、少しお時間は頂きますが“ストウブ”(*)の鍋でブレゼすると美味しく仕上がりますよ。」

「“ストウブ”!?」

 私の経験則ですが、こういった注文をなさる方は意外に調理道具に詳しかったりするのです。((*)のストウブはフランス鉄鍋のメーカー名。小型のダッチオーブンのような形状で使いやすく調理も短時間で仕上がる)

「えぇ、ストウブの鍋です。」

「ストウブの鍋でね。いいかも、トマト風味でハーブが効いていたりすると美味しいですよね。」

 私の経験則では、この言葉が重要と考えます。「トマト風味」「ハーブ」「豚肩ロース肉」というキーワードの料理であれば、普通に「豚肉のトマト煮込み」なのですが、こういったお客様の場合、料理、特にフランス料理にマニアックな方が多いため、その言葉で真意を汲まなければなりません。
 この場合、「トマト+ハーブ+豚肩ロース肉」の「煮込み」と来たら「蕪」を入れるべきでしょう。
 なぜなら、会話の中でこの方は「子羊肩ロース肉のトマト煮込み」つまり「ナヴァラン・ダニョー」をイメージしたに違いないからです。
 「ナヴァラン・ダニョー(子羊肩ロース肉のトマト煮込み)」の「ナヴァラン」には「ナヴェ」つまり「蕪」の意味も含まれております。
 そうなると話は早い。用意するものは「豚肩ロース肉」「小玉葱」「人参」「蕪」「フレッシュトマト」「ホールトマト」「ローリエ」「ローズマリー」「白ワイン」です。
 ストウブの鍋にオリーブオイルを入れ加熱し、一口大にカットし、塩、コショー、小麦粉を塗した豚肩ロース肉を入れ表面を色ずく程度に炒めます。
 潰したにんにくを加えて肉と一緒に軽く炒め、皮を向いた小玉葱、シャトー(フットボール型)に剥いた人参を加えて白ワインを注ぎ入れ、軽く煮詰めてトマト類と乾燥ハーブ類を加えて蓋をしてオーブンで1時間加熱します。
 オーブンから出して全体をザックリと混ぜ、皮を剥いた蕪を加えて蓋をし、プラック(ヒートトップレンジ。鉄板を熱するガス台)の端でゆっくり10ほど加熱して鍋のままお出しします。
 
「おぉ!」

 カウンターに出され、蓋を開けた瞬間、その言葉は自然と出るのです。
 そして、

「この料理、子羊でも作りますよねぇ!あっ!やっぱり、蕪が入ってる!」

「えぇ、そうです、春も近いですから。」

 ニヤリとしてシンクに溜まった鍋を洗う時、「これでOKでしょう。」とひとり、ほくそ笑むのでした。

 補足させていただくならば、「ナヴァラン・ダニョー」は別名「ナヴァラン・プランタニエ」とも言い、フランスでは「春の料理」とされています。

 まだ雪が残るとはいえ、3月も近く、春がやって来そうな、いや、そうなって欲しいとの願いも込めました。

 合掌。
















 
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第1回オヤジ料理スペッナズ養成機関報告レポート

2012-02-21 22:11:04 | Weblog
 先日の日曜日の夕刻、世の中的には一家団欒が始まろうとしているそんな時間に「ソレ」は開催されました。
 「緊張する」や「よく考えたら怖いような気が・・・」という声をよそにその日はやって来たのであります。
 夕方の6時、静まり返る当店内に、ひとり、ふたり、と集まり、4人全員が集合して火蓋は切って落とされたのであります、そう、第1回「オヤジ料理スペッナズ養成機関」が。
 因みに、「オヤジ料理・スペナッズ養成機関」で区切ってはいけません。「オヤジ・料理スペッナズ・養成機関」であります。
 前者では「オヤジ料理」と「スペッナズ養成機関」というそれぞれに意味を持つ、あまりにもかけ離れたものが合わさっただけになりますが、後者は「素人料理のスペシャリストになろうとしているいい年をした男を鍛え上げる所」となります。
 今回、訓練生(参加者の事をこう呼びます)から「“スペッナズ”ではなく“スペツナズ”なのではないか?」という話を投げ掛けられましたが、どっちだっていいから、ちゃんと料理しなさい!と私は言いたいですよ。私が読んだ本には「スペッナズ」と表記してあったので「スペッナズ」で決定します。
 
 さて、満を持して始まりました「オヤジ料理スペッナズ養成機関(略して“料理教室”)」は、「家で料理しているのだが、もっとうまくなりたい」「料理は結構やるほうだがもっと深いところを知りたい」など、「男の家庭料理」の現状に満足しない「オヤジ」の為に企画された、普通の料理教室より、ちょっとだけハードルが高く、ちょっとだけ厳しい、料理指導の会であります。
 当養成機関は、シェフが料理するところを見てメモし、和気藹々(わきあいあい)と試食する、そんな形だけのレストラン企画の料理教室ではありません。
 魚を卸すところから始まり、調理をして盛り付け、一皿の料理に仕上げる過程を体験する事によって基本を身に付け、自宅で復習して次回の訓練に備える、「確実な調理の上達」という明確な目的がある会でありますから人数が限られてくるわけです。(2人1組の調理で4人限定)
 今回のメニューは、「鯵のタルタル」と「鶏肉のロースト」がメイン調理でありました。
 そして、今回の様子と料理の写真を載せますが、いや~、厨房の中がオヤジだらけ、というのも殺風景な写真であります、お覚悟ください。
 まず、当厨房にオヤジ4人が入るとこうなる、という写真から見てみましょうか。



 私もオヤジ度を上げる為、Tシャツにエプロン姿で調理しておりますからみんな同じに見えるところが一体感を出していますな。
 最初に、鯵はぜいごと鱗を落として三枚に卸し、腹の骨をすき、中骨を骨抜きで骨を抜き「フィレ」の状態にします。


(鯵の鱗と頭を落とす作業をデモンストレーション中)

 バットに薄く塩を振り卸した鯵のフィレを乗せ軽く塩を振りしばらく置きます。




(鯵卸しを実践中)

 しばらく置き水分が出たらキッチンペーパーで水分をふき取り薄皮を剥きます。
 玉葱はみじん切りにして水に晒しながら揉んで強制的に辛味を取ります、この方が水道代が節約できるのです。(こういった実践向きの指導もしております)
 鯵のフィレは8ミリ角にカットしてボールに入れ、布巾で固く絞った玉葱のみじん切り、塩、コショー(ホワイトペッパーのパウダー)、EXVオリーブオイル、レモン汁で調味します。
 皿にセルクルを乗せ、中に鯵のタルタルを詰めて型抜きをし、ヴィネグレットで和えたサラダを飾って完成です。



 三枚卸の練習用の鯵が余ったので急遽、ポワレも作る事に。鯵の皮面に小麦粉をはたきヒマワリ油(オリーブオイルでも可)で皮目から焼いていきます。途中、余分な油を捨て、鯵から出た脂をキッチンペーパーでふき取り生臭みを除去します。
 8割がた焼いたら裏返して余熱で火を通しバットに上げて休ませ、その間にソースを作ります。
 同じフライパンの油をふき取り、新しい油を引き玉葱のみじん切りを炒めます。
 白ワインを注ぎ、強火で煮詰め、煮詰めたらバターを加えてモンテ(バターを混ぜ込む)し、塩、コショーで調味してパセリのみじん切りを加えてソースとします。



 メインは「鶏肉のロースト」。
 鶏もも肉は、腿(もも)とスネに切り分けて腿のみ使用します。(今回は、です。スネをローストしても美味しいですよ)
 鶏もも肉の皮を張らせ、塩、コショー(ブラックペッパーを挽いたもの)をして熱したフライパンにラードを溶かしたもので皮面を焼きます。
 キツネ色手前まで焼いたら脂を捨てず、裏返さずそのままオーブンに入れてローストします。
 裏返さずにオーブンに入れるのは、皮下脂肪を焼き切る、のと、身にじっくりと火を入れるのが目的です。
 よく、皮面をサッと焼き、裏返してガッチリ火を入れるやり方をされるかたがおりますが、そのやり方では鶏もも肉の焼き上がりがふっくらしません、ジュ(肉汁)が出まくりでパサついてしまいます、気をつけたいものです。
 肉を焼いている間、鍋にバターを入れて加熱し玉葱のみじん切りを入れ塩を一つまみ加えてスュエ(汗をかかせる様に炒める事)し、フォン・ド・ヴォライユ(ご家庭では「素」を使用するのが現実的でしょう)を加えて少し煮詰め、グリーンピース(冷凍)を加えて火を入れ、塩、コショー(ホワイト、パウダー)で調味し、生クリーム、レモン汁少々を加えて「プティ・ポワ(グリーンピース)のフリカッセ(軽い煮込み)」を作り、ソース兼ガルニチュール(付け合せ)とします。
 オーブンの肉の火の入りを確かめここでやっと裏返して余熱で軽く加熱し、引き上げてカットし、盛り付けて完成です。
 


 そして、試食ですが、魚を卸すところから始まり、全て調理した時間は約3時間。お疲れ様でした。
 訓練生全員にワインが注がれたら試食開始です。(ワイン代は料金に含まれておりません、オーダー制です。因みに、訓練料金は1回3000円です)



 調理に関する質問などが飛び交いながらの試食でしたが、ワインの量が進むと話は横道に。

 因みに、訓練生の殆どが楽器が出来る、という事が判明。私もギターを弾きますから、今度みんなで、などの話になりました。

 しかし、ギター2人、ベース1人、トランペット1人では何の音楽をしたらいいのでしょうか?

 せっかくトランペットが入るのでドラムを探して「スカ」なんかどうでしょう。

 バンド名は、皆、山形出身、という思いを込めて・・・

 「同郷スカパラダイスオーケストラ」

 というのはどうッスかね。

 ダメっスか・・・













 

  
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料理仕事のストレスは外へ持っていかなければならない

2012-02-18 23:47:48 | Weblog
 連続降雪はなくなったもの、身に沁みるような寒さが続き「せめて心だけは温かく・・・」と思いたくなる今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 寒いのはしょうがない、寒いのはしょうがないのですが、自分の不注意で手を怪我してビニールの手袋での調理作業は何か調子が狂います。
 手を怪我したのは3日前でしたが、そのままほったらかしにしていたら手が腫れ上がりまん丸になってしまいました、ボク、ドラえもんです。
 「えんしょう」というと「古今亭」を思い浮かべてしまう私ですが、流石にドクターから「炎症を起こしていますね・・・」と言われた時、事態が飲み込めました、どうりで・・・手が熱いッス。
 昨晩の営業で夜遅くにいらっしゃったお客様の流れでワインを飲んだのが功を奏したのかは疑問ですが、今日は大分腫れが引きました。
 腫れが引いたと言えども手袋をして仕事上の衛生面でも気をつけなければなりませんから最初の言葉となったのです、怪我には気をつけたいものですぜ。
 「怪我」繋がりですが、某厨房でシェフが蹴ったものがスタッフの額に当たり怪我をし、その流れでそのスタッフは辞めた、という未確認な話を某業者さんから聞きました。
 「シェフが」何を蹴ったのか、なぜに蹴ったのか、は判りませんが、まぁ、この場合、大体、イライラして物にあたったのではないか、と推測されます。
 物にあたったらスタッフの額に当たった、というのは笑えるものではありませんが、バイオレンスな厨房ですな。
 私の場合、基本一人ですから、仕事でイライラしてもあたり所が無いだけでなく、カウンターもありお客様から見えますので心のモヤモヤはワインを飲む事で解消するしかないんです、ないんですよ、それしか!(そこにこじつけか)
 物や人にあたるのはバッドスパイラルを誘発しますから(現に、そのスタッフは辞めたらしい)気をつけたいものです。
 料理仕事的バッドスパイラルの流れは

「仕事が失敗する→イライラする→スタッフにあたる→手応え無し→更にイライラ→更にあたる→スタッフが辞める→現有勢力(他のスタッフ)に協力要請→現有勢力で回す→現有勢力、不慣れな為、失敗→仕事が失敗する→イライラする→スタッフにあたる→続く・・・」

 となります。
 シェフがいてその他少人数(1~2人)のスタッフで回す、という街場のレストラン厨房の図は、かなり細長い二等辺三角形のヒエラルキーのようであります。つまり、シェフの仕事が大部分を占める、となるからです。
 それを補助するスタッフがいて成り立っている状態だと思われるので、失敗すればイライラするのは判りますが、よく考えれば「失敗」そのものがシェフの責任であります、だって厨房主なんですからね。
 完璧に仕事をこなせる若い人、というのはなかなかおりませんし、仮にいても自分で店を出しているでしょう、それだけ要領がよければ。
 今は一人仕事をしている私ですが、昔は大人数の厨房で働いた事もありましたし、大人数の厨房のシェフをした事もあります。
 ですから、「イライラして人にあたった」というのは判らなくもありませんが、私としては、その行為で欠員が出て他のスタッフの仕事量が増える方が心配でありました。
 だからといって「失敗しても怒らない」というわけではありません、失敗したら反省してもらわなければなりません。それがなければ厨房に秩序がなくなりますからね。
 反省してもらう為には怒らなければならないのですが、要は「怒り方」です。
 がむしゃらに怒っても本人に伝わらなければ「怒る意味」がないわけです。なぜ「失敗して欲しくないか」というところを説かなくては理解できないでしょう。
 実際、当店であった失敗談ですが、某バイトの子が伝票にコース料理の金額を付け忘れ、しかも、本人がレジを打ったため実際の金額より1万円以上安くお客様に請求し、帰られてから気が付いた、という事がありました。
 まぁ、多く請求するよりはマシなのですが、それでも大変な失敗であります、実は私に恨みがあって実行したのではないか、と疑ったほどでしたよ。
 この時、彼女は「差額を私が払います」と言った事でイライラは頂点に達し、ブチ切れてしまったのであります。
 「私が払います」という事は、「私が払ってこの場を収めたい」という思考の表れですから「反省」にはならないのです。
 「お金を払えばすむ」という問題では有りません。金銭的ダメージもありますが、この場合、払ったお客様は「や、安すぎる・・・間違ってるな」と思いながらも払ったでしょうから、何処か後ろめたい気持ちになるものです。という事は、もしかすると、もう来店しない可能性もあります、金銭的ダメージより、顧客ダメージの方が大きいでしょう、普通。
 それを「自分がお金を払ってプラマイ・ゼロ」のような気持ちであるならば全く間違いである、という事です。
 しかし、伝票を確認しなかった私にも責任があるわけで、彼女とは痛み分けをしなければなりません、それが、彼女へは「反省促す事」で私には「金銭的、顧客的ダメージを抱える事」であります。
 彼女の「反省」が仕事の向上と売り上げへ繋がれば、店としてはプラスになるのではないでしょうかね。(もう辞めたので何とも言えませんが、プラスになった、と思っておりますよ)

 「もう辞めたので、という事は、結局、辞めてるんだろ!」そのように細かくツッコんで下さる方がいらっしゃると大変盛り上がるのですが、確かに辞めました。

 しかも「寿」で。

 スタッフが辞める時、笑って送れるのが一番でしょ。

 物にあたるのは一瞬の事ですよ、それで手放してしまったら・・・もったいないでしょ。

 まぁ、でも「未確認情報」ですから、真実はどうなのか判りませんがね。

















 
 
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1000文字を超えるとノッてくるから文章が長くなる

2012-02-16 23:55:08 | Weblog
 よく頂くご質問で「何処でブログを打っているのですか?」というのがございます。
 以前も書いたように記憶しておりますが、厨房の端っこの、食事が済んだ皿やグラスを下げる作業台の隅を間借りするかの如く、ノートパソコンを鎮座させ、私は立ちながらキーボードを打っているのであります。
 作業台の上ですから皿やグラスが溜まっている時はノートパソコンを開く事ができませんから、洗い物がある程度済んでからの夜10時過ぎ、ブログ記事制作開始になるわけです。
 もう4年以上、立ちながらキーボードを打っていますから、自宅で座って、となると逆に文章が浮かんで来ないくらいになってしまいました、スタンディングブロガー、とでも呼んで頂きましょうか、の。
 ご承知の通り、文章が長いのが当ブログのひとつの特徴ですから(というか、それしかないんですけどね)、どれだけキーボードを早く叩けるか、というのがカギになってくるわけです。
 ブログ開始当初は、1本の記事に下手すると2時間くらい掛かったものですが、人間、慣れると慣れるもんですな、今はブラインドでキーボードを叩けるくらいになってしまいました、必要に駆られて、というやつでしょうね。
 「だったら、文章、短くすればいいだろ!」そのようにおっしゃりたい方の気持ちは良く判ります、長すぎる文章に辟易(へきえき)としている方もいるでしょう、いるでしょうとも。でもね、止まらないんですよ、昔から何度も書きますが。
 記事作成の画面の左上には現在の文字数のカウンターがあるのですが、それが4桁、つまり、1000文字を過ぎた辺りから急加速してしまいます。
 よく文中に出てくる会話形式の文章は、今までの流れで行くと1000文字過ぎた辺りから登場してくるはずです。
 「妄想家、ですよね。」そのようなお言葉も時として頂きますが、くだらない事でも空想しないと文字数は稼げません、いや、稼ごうとしているのではなくそういう流れになってしまうと止めれなくなるだけなのかもしれません、恐ろしいですぜ、妄想って。
 「妄想もいいけど、ちゃんと料理しろ!」そのようなお言葉も聞こえてきそうでありますが、料理自体、多少なりとも妄想が入っていなければ1本、突き抜けられないでしょう。
 例えば、料理雑誌などでフランスの三ツ星店の特集などを読んでしまうと

「おぉ、もっと厳密でなければいけないのか・・・いや、でも山形だしな・・・いやいや、そんなことではイカン!山形の小さな店だからと言って、なぁなぁでやってどうするよ!いや、でも・・・イカン!でも・・・イカン!やっぱりもっと努力しなければ、ですか?」

 のように、グルグル回っているわけですよ、色んな事が。(因みに、上記の文章の書き始めは、1024字です)
 まぁ、そのような人間が書いているブログだとご了承していただき、これからもお読み頂ければ幸いであります。

 さて、話は変わりますが、本日は今年初めての、山形ローカリー・クッキングTVショー(大げさ)「酒の肴 つくってみーよ」の収録でありました。
 先日、記事にしたように、某深夜系寿司屋さんでも「見ました。」と言われましたから、私の回はともかく、番組自体、屋根の雨漏りのように徐々に浸透してきたのではないでしょうか。(例えが悪いだろ)
 意外に(と言ったら失礼ですが)見ている人が多い、と思われる番組で、「酒の肴」という冠が付いているのにも関らず「酒関係のスポンサー」が付いていない事が今ひとつ腑に落ちない所ではありますが、これからどうですか?酒関係企業の方!
 最低、○回は企業名を読む、密かに料理酒にも企業名入り、小池さんのエプロンにデカく企業名が入る、など、いやらしいほど営業活動が出来るはずです、なんなら、特番2時間でもいいじゃないですか!(無謀)
 その2時間特番の暁には、「小池の再現してみーよ」と題して、サイコロを投げて出た面に書かれている料理を再現する、という「サイコロトーク」ならぬ「サイコロ料理」でお願いしたいものです。
 
 その際、再現して欲しい料理を視聴者から募る、というのはどうでしょう。

 どうせなら、作る人もご指名、となると盛り上がるかもしれません。

 縦にしたルーレットに出演料理人の名前を書き、ダーツで決めると一層、盛り上がるでしょう。

 その時は、私の枠は小さくお願いしますね。







 
 
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料理教室、という名の布教活動は始まったばかりである

2012-02-15 23:48:56 | Weblog
 2月も15日になると「チョコレート」という言葉を発するのも憚って(はばかって)しまいたくなる今日この頃、皆様、如何お過ごしでしょうか。
 14日までは「チョコレート!」と大騒ぎしていたのに15日になると一転、意識的にその話題から遠ざかろうとする感があります。
 昨日までは、「チョコを貰った分だけ腕に撃墜マークを彫ってやる!」と意気込んでいた人も結局、何マークも彫れずに終わったのではないでしょうか。因みに、私は1機も撃墜できず、逆に精神的に撃墜されてしまいました、残念。
 同じく撃墜されたであろう男性は「ロマンスの神様なんて・・・いるんですかね。」と寂しげな表情で漏らしておりました。
 若い彼の恋愛に対する一筋の光を消してしまうようでなんですが、そんな神様は存在しておりません。仮に存在していても女性と出会ってから降臨して来るのが「ロマンスの神様」なのではないか、と考えられます。
 女性との出会いまでも「ロマンスの神様」に頼ろうとする姿勢に「ロマンスの神様」はお怒りになっているのかもしれません。
 私には「ロマンスの神様」はもう降臨して来ないと思われるのですが、先日の休みの日、布教活動している方はやって来ました。
 もう初老を迎えているであろうその方は、私の休みが月曜日というのを知っていて訪問しているくらい何度も足を運んでくださいます。
 
「藤原さん、聖書のこの部分、一緒に読みせんか?」

 いつもなら玄関先で一緒に聖書を読むのですが、この季節の玄関先を見ていると寒そうで、先日は家に招き入れてしまいました。
 
「では一緒に読みましょう。」

 言われたとおり読むといつものように大変喜んでいましたが、そのうち

「藤原さん、家に上げていただいてこうして一緒に聖書を読んでくれた方はあなただけです。なぜそんなにお優しいのですか?もしかして、ご興味がある、とか。」

 と質問をしてきました。私は

「いや~、まぁ、ねぇ・・・」

 などと口を濁していましたが、

「ご興味があるのなら聖書をお渡しいたしますので、どうですか!私達と!」

といつも以上に熱心な口調で語りかけてくれました。
 あまり曖昧な返事も相手を傷つける場合があるな、と判断した私は

「聖書はサラッとですが読んだ事があります。仏教の本も読んだ事があります。しかし、それらの宗教は少しの違いはあれど言いたい事は一緒なのではないですか?」

 と言ってみました。すると

「言いたい事、とは何ですか?」

 と興味を示してきました。布教活動をしている者が私の話に興味を持つか、とも思ったのですが

「“死”ですよ。個々が自分らしく死ぬ為に何をやるべきか、というのを考えましょう、という事でしょ。簡単に言ってしまえば。」

「は~、深くお考えですね。」

「別に深くは無いですけどね、死んでからの永遠の命の事を考えるより、死ぬまでの事なんじゃないですかね、考えなくちゃならないのは。」

「ほ~、色んな事をお考えですね。」

 一連の話を聞いたその男性は「では、この辺で帰ります・・・」と退席してしまいましたが、布教男性よ!もっとガンガン来なさい!あなたの言葉では私の心は動きません!それでは他の家で門前払いですよ。気合を入れて布教活動しなさい!そんな風に思ってしまった次第でした。
 そんなやり取りがあった週の頭でしたから、私には「ロマンスの神様」どころか、何の神様も降臨しないわけですな。

 さて、話は変わりますが、今度の日曜日はランチもございますが「オヤジ料理教室」も開催されます。(正式名称は「オヤジ料理スペッナズ養成機関」ですが、めんどうなので略します)
 教える者も、訓練生(参加者)も、外野(マネージャー)も全て「オヤジ」という異様な雰囲気の中で開催される当教室は、微妙な緊張感に支配されております。(訓練生(参加者)のみ判る緊張感)
 前回は「説明会」でしたが、その時点でも「出席するかどうか迷った」という訓練生(参加者)もおりましから結構なものであります。
 さて、業務連絡も兼ねて第1回目のメニュー説明になりますが(訓練生は当ブログを見ているはず)、前回、説明したように第1回目から魚の三枚卸しが実施されますのでそれなりの覚悟を持って望んでください。
 メニューは以下の通り

・前菜

「鯵のタルタル サラダ仕立て マスタードのソース」


・メイン

「鶏もも肉のロースト ベーコンとグリーンピースの軽いフリカッセ添え」

 以上になります。

 今回は、第1班が調理担当ですから第1班の方は心の準備をお願いします。
 第2班の方は今回の調理を見ながら勉強し、次回、同じメニューですから失敗する事のないよう予習に励んでください。
 因みに、第2班の方も鯵を三枚に卸す練習を致しますので包丁とエプロンを忘れずに持参してください。

 魚卸し講習→訓練生全員魚卸し→デモンストレーション調理→試食→第1班調理→試食→反省会

 という流れになります。

 実際に調理してみてその感覚を掴み、理論と照らし合わせてみる、というのを繰り返し確実に実力をつける、というのが当店式の料理教室プログラムです。

 2次募集はないのか、という問い合わせもございましたが、いろんな面で折り合いが付けば考えてみます、が、それは神のみぞ知る、という事で。

 あっ、それだと布教男性に怒られるかな。












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ソイビーンソースの変化球とはどういうものか

2012-02-14 23:30:53 | Weblog
 当店では、当然ですが営業内で「醤油」という調味料を使用する事はございません。別に「反醤油運動をしている」というものではなく、「使用する場がない」というシンプルな理由であります。
 しかし、賄いでは一転、「醤油」系の料理を作りますから必要となってくるわけです、日本人の血がそうさせるのでしょうな。
 どんなものに使用するかと言いますと、例えば「肉の煮込み」。普通に営業していれば肉の端切れは必ず出るものです。
 冷凍しておいて「ジュ・ド・ヴィアンド(肉のジュースの意。煮詰めてソースにする)」などに活用する事もできるのですが、肉の端切れ自体、熟成を通り越して「ヤバイ」状態になったものは例外なく賄いです。
 熟成を通り越しておりますから香り的には「発酵」に近いものすら感じてしまいますが、この時、「醤油」の香りを染み込ませますと何となく誤魔化せるのですな、色んな事を。
 例えば、「ラーメン」。マネージャーは麺物が好きなのでその頻度は高いのですが、その時、使用してしまいます、「醤油」を。(因みに、私はご飯とおかず、という組み合わせが好きなのですが、やんわり却下される場合が多々ございます)
 私の賄いで作る「ラーメン」は、時間がないのと面倒くさい、というのがありましてスープを作ってその中に茹でていない生麺をそのまま投入し一気に仕上げていくもので、どちらかと言いますと「煮込みラーメン」にカテゴライズされるものです。
 スープは「拘って(こだわって)」というものではなく、お湯を沸かし、出汁の素を加え、醤油と塩で味をつけてから生麺を投入し、最後にフォワグラを焼いた際、出る脂ともやしを加え更に加熱したものです、ねっ、簡単でしょ。
 と、まぁ、いろんな場面で(と言っても賄いだけですが)「醤油」を使用するのです。
 使用する「醤油」は、スーパーで売っている「ヤマサ」だったり「キッコーマン」だったりの普通の醤油なのですが、先日、ワインの業者さんから、ちょっと変わった、いや、結構変わっている「醤油」を頂きました。
 「どうぞ、賄いで。」という枕詞が付いての引渡しでしたから、業者さんも何処と無く「キワモノ」感があったのでしょう。
 「醤油」なのになぜワイン業者さんが・・・という疑念はすぐに消え去る事となるのですが、どういったシーンで使用するのか、そちらの方が気になってしまいました、「ワインだし醤油」。
 写真を載せますので細かい説明は割愛させていただきますが、パッケージを見て「またこの人が暗躍しているのか・・・」と思わずにはいられない1本であります。



 味わってみると確かに赤ワインの風味を感じる事が出来ますし、ダシの香りもそこはかとなく纏って(まとって)おります。
 しかし、半量に煮詰めた赤ワインをめんつゆに足しても「こんな感じになるのでは・・・」という感も否めません、というか、煮詰めた赤ワイン+めんつゆ+生醤油で近い味になると判断しました。(スミマセン!世界的ソムリエさん!)
 これの使い道ですが・・・引き出しが少ないからか「牛煮込み」しか浮かびませんでした。
 ん~、確かに美味しいような気がする、様な気がしたのでそれはそれで満足でしたが、量が少ない為、すぐに使い切ってしまいました。
 
 再度確認の為、購入しようと思い立ったのですが、山形で販売している様子が伺えません、もしかして、山形で需要がないため在庫無しか。

 という事は・・・使い切らなければ良かったのでしょうか。

 一応、写真は撮っていたので記事にすることが出来たのでOKとしておきましょう。

 どちらかで売っている情報がございましたらお教えください、気になるのでもう一度味わいたいと思います。










 
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