ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

鰻を腹から裂いてはいけない、切腹を意味するから

2008-07-24 17:45:50 | Weblog
 今日は、「土用の丑の日」ですが皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 今、正に「鰻」を食べてらっしゃる方もいるかもしれませんが、「偽装」という言葉がチラつく嫌な世の中になりました。
 しかし、「どこどこ産(日本国内の産地)」と言われても結局は養殖なわけですから中国産以外の国産ならば、とりあえず大丈夫、と考えたいところですが、その国産でさえ偽装していた、という事実がありましたから、消費者としましては何を信じればいいのか、といったところでしょう。
 「偽装」の問題からは離れ、「鰻」の話になります。今の世の中、もはや「鰻丼」と「鰻重」の違いが判らない、などという御乱心な御仁はいらっしゃらないとは思いますが、一応、説明いたしますと「鰻」が「丼」に入っているか、「お重」に入っているかの違いです。
 見た目的には「鰻重」の方が高級感溢れる仕上がりになっている、と思われますが、私個人の意見を言わせていただきますと「丼」の方が食べやすい。
 「お重」は角のところのご飯が取り難いのですよ、「重箱の隅をつつく」という諺があるように。
 やはり「丼」で、ザッパザッパと口の中にかっ込みたいではないですか、あのタレまみれのご飯を。日本人ならではでしょう、こういう行為は。

 さて、話は変わりますが、「フランスでは鰻を食べないのか?」といったご質問を受ける事がたまにあります。
 この場をお借りいたしまして答えさせていただきますが、

「鰻を使ったフランス料理はありますよ。」

 当然、日本の鰻のように「裂いて」「蒸して」「焼く」という工程は踏みませんが、存在します。
 代表的な料理は「アンギーユ・アン・マトロート」という料理で、「ウナギの赤ワイン煮込みマトロート風」となります。
 その他にも10種類くらい存在しますが、何種類か挙げてみましょう。

・「アンギーユ・ア・ラ・ボーケール」(ウナギ煮込みボーケール風。詰め物をしてぶどう酒で煮る。付け合わせとしては小玉葱、シャンピニョンが付く)

・「アンギーユ・ベノイトン」(ウナギのフライ。赤ぶどう酒のソースが添えられ、パセリのフライが付く)

・「パテ・ショー・ダンギーユ」(ウナギパイ。ぶどう酒に漬けて焼き、パイ皮で包んで焼く)

・「アンギーユ・ポンパドール」(ウナギのポンパドール風。ウナギをぶどう酒で蒸し、冷ましてからソースをかけて固め、パン粉をつけて揚げる)

・「アンギーユ・ア・ラ・ルーアネーズ」(ウナギのルーアン風。赤ぶどう酒で煮、シャンピニョン、ワカサギを添える)

・「クーリビヤック・ダンギーユ」(ウナギのロシア料理。パンのような種で包んで焼くロシア料理)

(ル・プティ・ギッド・キュリネール 田中徳三郎著 より抜粋)

 ロシア料理が載っているのは、ロシア料理から影響を受けたフランス料理が結構あるからで、他にも「キエフ風」などが目に付く事があります。(キエフはウクライナの首都)

 先ほど、某デパート地価食品売り場に行きましたところ、国産鰻が一尾2500円以上の値が付いて売られておりました。
 また、別のスーパーでは堂々と「中国産」と表記した鰻の蒲焼が一尾330円で売られておりました。(大きさ的には国産鰻の方が中国産鰻の倍くらいあります)

 中国産鰻の約8倍の値がする国産鰻を食べるか、国産鰻の約8分の1の値で食べられる中国産ウナギにするか、迷うところではあるでしょうが、国産鰻の方が売れているようにお見受けしました。

 当店の今日の賄いは・・・カレーにしました。

 すみません!オチがなくて!



コメント (2)
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