ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

月光の白き林で木の根掘れば

2008-07-21 14:21:31 | Weblog
 早くも今年の梅雨明け宣言が出たそうですが、心なしか蝉の声も聞こえているようになっているのは、気の早い私だけでしょうか。
 子供の頃は、蝉の鳴く声が聞こえると、すぐに蝉取りに行ったりしたものですが、最近の子供は「クワガタ」以外はあまり興味がない、という話も聞こえてきますから寂しい限りです。
 虫を捕まえて観察する、というのは子供の特権ですから、「クワガタ」でなければ嫌だ、などと言わず、何の虫にも興味を持っていただきたいものです。
 「大人でも虫に興味がある人間はいる。」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、大人の場合、金銭的な事が絡むと違った方向に思考が働くわけですから「虫に興味がある」のか「虫に絡む金銭的なものに興味がある」のかで大分変わってくると思われます。
 そんな私も一時期、「オオクワガタ(オス)」を幼虫から育てていた事がありまして、その幼虫を8.5センチの成虫にまで育て上げた、というブリーダーとしての実績も持っているわけでございます。
 しかし、その後が悪かった。「オオクワガタ(オス)8.5センチ(名前はオオクワ君、以下そのように表記)」の子孫を残したい、という気持ちから、「オオクワガタ(メス)」3匹と同棲させたのでした。
 オオクワ君はちょっと「シャイなあんちくしょう」でしたので、1匹ではうまくいかないかもしれない、と余計な事を思ったのも後に後悔する事となったのですが、最初の頃は、

「よっ、オオクワ君、ハーレムだね。憎いよ、この、一夫多妻制男!」

 と、励ましとも何とも付かぬコールを掛けておりました。
 しばらくしてから、愛の巣を開けて見て見たところ、オオクワ君が居ません。あれっ、シャイだから隠れているのか?とも思っていたのですが、よく探してみたら、バラバラに食いちぎられているではないですか!

「オオクワ君!オオクワくーん!何て事すんだよ!このアマゾネスども!」

 そんな事を「オオクワガタ(メス)」に言ったところでどうなるものでもないのですが、メスたちは知らない振りしてプラスティックの容器に入った樹液をすすっておりました。何てヤツらだ。
 それから虫を飼う事からは足を洗ったのです。星になったオオクワ君、成仏してください。君の事は忘れません。

 さて、とんでもない話から始まりましたが、山形では伝統的な食べ物として「イナゴ」という虫を炒り付けて、醤油と砂糖でカラメリゼしたものがあります。
 私も幼い頃から食べておりましたので、私の中の「ヤマガタン・ソウルフード」として認定しておりますが、この事を県外の人に言うと、

「えー?!山形の人って虫なんか食べんの??」

 と、一様に驚きを隠せないようです。
 
 ダメですか?私は好きですよ、「イナゴ」。しかも「甘露煮」は。
 甘辛い中にシャリシャリとした独特の食感があり、時々、口の中の上顎の方に足なんかが突き刺さった時の微妙な痛み、あのガン黒のバッタを思わせる風貌、そして意外にビールに合うほろ苦さ。
 「175R」なるミュージシャンを知った時、本気で山形の人がやっているのか、と思ってしまったくらいです。

 是非、県外の方も味わってみてください。

 価値観が変わるかもしれません。

 変わらないかもしれないけど。その前に食べれるのか、というところをクリアしなければならないか。



コメント (2)
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