1/6(土)~19(金)アジア映画の輝きVol. 2
映画を通してアジアを見る/池袋・新文芸座
2007/1/6

『亀も空を飛ぶ』

左端がサテライト

何とも美しいアグリン。
2004サンセバスチャン国際映画祭グランプリ/第5回東京フィルメックス審査員特別賞、アニエスベー観客賞ダブル受賞/2004シカゴ国際映画祭審査員特別賞/2004サンパウロ国際映画祭特別観客賞/2005 ロッテルダム国際映画祭観客賞/2005 ベルリン国際映画祭平和映画賞/2005年度キネマ旬報外国映画ベストテン3位/2005年度スクリーン誌ベストテン9位/シネマ夢倶楽部2005年度ベストシネマ賞
監督は、イランのクルド人バフマン・ゴバディ。評判に違わず秀作だ。
登場人物はほとんど子どもだ。
主人公の少年サテライトは孤児、ヘンゴウは難民でサリドマイド障害のように両腕がない・アグリンはヘンゴウの妹でイラク兵にレイプされ盲目のリガーの幼い母、パショーはサテライトの子分、地雷で右足がない、同じく子分のシルクーは泣き虫だが何ともかわいい。
サテライトは孤児だが、難民の子・村の孤児達を束ている。腕力・暴力で子ども達を従えているのではなく、大人以上の賢さ・知恵と何より子ども達の面倒見の良さ・人柄で、子ども達の信頼を得ている。
サテライトは大人社会からもその知恵のおかげで信頼を受けている。
このキャラが映画全体をほのぼのと温かくしている。
そしてこのキャラを作り上げた想像力がこの映画を何より魅力あるものにしている、と私は思う。
子ども達は地雷を掘り当てそれを国連に売っている。
戦争開始のニュースを知るために衛星放送を見られるパラボラアンテナを買うように長老に勧め、それを買い求め、設置し、CNNのニュースの翻訳さえを頼まれる[できないのだが]。
映画は、アグリンが崖から飛び降りるシーンから始まる。
そして、イラクに侵攻したアメリカ兵が画面左に走り去って行く、
その姿に背を向けるサテライトがその後、松葉杖をついて右に消えていくシーンで終わる。
戦闘シーン、大人・子ども間のケンカも暴力もいじめも、飢えの姿も、戦争映画につき物のこうしたシーンはほとんど描写されない。
説教じみる場面は全くない、けったくない子ども達に微笑みさえでる、
でもそれでいて子ども達の健気さ・明るさに涙する。
最近見た映画では一番。
『わが故郷の歌』

後ろの男二人が息子。
監督は同じくバフマン・ゴバディの第2作。
2002年カンヌ国際映画祭フランソワ・シャレ賞、サンパウロ国際映画祭最優秀作品賞、他、多数の賞を受賞。
ストーリーは、かつての音楽仲間と逃げた妻の噂を聞いた年老いた有名な音楽家が息子二人とともに、その妻を捜し求めて、イラン・イラク国境地帯・難民キャンプを旅する。
息子二人は嫌々で、この三人の掛け合い漫才のような道中記が何ともドタバタ的でおかしいのではあるが、かなりの老人が冬山の装備もないのに山越えをしてその妻を捜し当ててしまうのは無理がある。
『亀も空を飛ぶ』と比べると出来は落ちる。佳作とは言い難い。
三回分の前売り券を買った、3000円、一回二本立てで千円。
おにぎりを食べたら、前の席のおばさん、二度も振り返ってにらんだ。イヤイヤ。
雨で11時30分の回から見たが、観客は100強か。
しばらく忙しいが楽しみだ。
映画を通してアジアを見る/池袋・新文芸座
2007/1/6

『亀も空を飛ぶ』

左端がサテライト

何とも美しいアグリン。
2004サンセバスチャン国際映画祭グランプリ/第5回東京フィルメックス審査員特別賞、アニエスベー観客賞ダブル受賞/2004シカゴ国際映画祭審査員特別賞/2004サンパウロ国際映画祭特別観客賞/2005 ロッテルダム国際映画祭観客賞/2005 ベルリン国際映画祭平和映画賞/2005年度キネマ旬報外国映画ベストテン3位/2005年度スクリーン誌ベストテン9位/シネマ夢倶楽部2005年度ベストシネマ賞
監督は、イランのクルド人バフマン・ゴバディ。評判に違わず秀作だ。
登場人物はほとんど子どもだ。
主人公の少年サテライトは孤児、ヘンゴウは難民でサリドマイド障害のように両腕がない・アグリンはヘンゴウの妹でイラク兵にレイプされ盲目のリガーの幼い母、パショーはサテライトの子分、地雷で右足がない、同じく子分のシルクーは泣き虫だが何ともかわいい。
サテライトは孤児だが、難民の子・村の孤児達を束ている。腕力・暴力で子ども達を従えているのではなく、大人以上の賢さ・知恵と何より子ども達の面倒見の良さ・人柄で、子ども達の信頼を得ている。
サテライトは大人社会からもその知恵のおかげで信頼を受けている。
このキャラが映画全体をほのぼのと温かくしている。
そしてこのキャラを作り上げた想像力がこの映画を何より魅力あるものにしている、と私は思う。
子ども達は地雷を掘り当てそれを国連に売っている。
戦争開始のニュースを知るために衛星放送を見られるパラボラアンテナを買うように長老に勧め、それを買い求め、設置し、CNNのニュースの翻訳さえを頼まれる[できないのだが]。
映画は、アグリンが崖から飛び降りるシーンから始まる。
そして、イラクに侵攻したアメリカ兵が画面左に走り去って行く、
その姿に背を向けるサテライトがその後、松葉杖をついて右に消えていくシーンで終わる。
戦闘シーン、大人・子ども間のケンカも暴力もいじめも、飢えの姿も、戦争映画につき物のこうしたシーンはほとんど描写されない。
説教じみる場面は全くない、けったくない子ども達に微笑みさえでる、
でもそれでいて子ども達の健気さ・明るさに涙する。
最近見た映画では一番。
『わが故郷の歌』

後ろの男二人が息子。
監督は同じくバフマン・ゴバディの第2作。
2002年カンヌ国際映画祭フランソワ・シャレ賞、サンパウロ国際映画祭最優秀作品賞、他、多数の賞を受賞。
ストーリーは、かつての音楽仲間と逃げた妻の噂を聞いた年老いた有名な音楽家が息子二人とともに、その妻を捜し求めて、イラン・イラク国境地帯・難民キャンプを旅する。
息子二人は嫌々で、この三人の掛け合い漫才のような道中記が何ともドタバタ的でおかしいのではあるが、かなりの老人が冬山の装備もないのに山越えをしてその妻を捜し当ててしまうのは無理がある。
『亀も空を飛ぶ』と比べると出来は落ちる。佳作とは言い難い。
三回分の前売り券を買った、3000円、一回二本立てで千円。
おにぎりを食べたら、前の席のおばさん、二度も振り返ってにらんだ。イヤイヤ。
雨で11時30分の回から見たが、観客は100強か。
しばらく忙しいが楽しみだ。