風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

エイゼンシュテインの映画二本

2007年10月06日 | 映画
池袋・文芸座2007/10/5

戦艦ポチョムキン


1925年/1976年完全復元サウンド版(音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィッチ)/35mm/モノクロ/スタンダード/75分
監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン 脚本:ニーナ・アガジャーノワーシュトコ+セルゲイ・エイゼンシュテイン 製作:ゴスキノ第一工場+プロレトクリト

初めて見たのは何年前だったろうか。
映画はサイレント、バックにショスタコーヴィッチの音楽が流れる。
映像はかなりきれいだ。
所々セリフが字幕で示されるが、それはとても少ない。
1905年ロシア革命。
腐った肉のスープを水兵たちは拒否した。
将校は水兵達を銃殺しようとする。
水平は反乱を起こし、一人のリーダが殺される。
人匙のスープのために殺された」その亡骸は桟橋で市民に迎えられる。
水兵に呼応して民衆のデモが起きる。
権力は市民に無差別銃撃する。
ミャンマーの悲劇を目の当たりにしているようだ。
その“オデッサの階段”のシーンは、あまりにも有名だ。
片目をえぐられる女教師、女の手を離れ階段を転げ落ちる乳母車。
兵士による市民へ加えられた暴虐に対して戦艦の大砲が火を吹く。
エイゼンシュテインは、ロングショットの中にそれらのクローズアップされた民衆の顔・表情をフラッシュのように組み入れる。

僕には、水兵の将校への反乱シーンなど、くどいように感じるシーンもたくさんあった。
この映画は以降の映画に大きな影響を与えたと聞くが詳しくは知らない。
サイレントだが、登場する人々は何か大声でしゃべっている。
シナリオは残っているのだろうか、僕としてはトーキーでも見てみたい。

十月

1928年/1967年サウンド版(音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィッチ)/35mm/モノクロ/スタンダード/103分
監督・脚本:セルゲイ・エイゼンシュテイン+グレゴリー・アレクサンドロフ 撮影:エドゥアルド・ティッセ 製作:ソフキノ

10月革命十周年記念のプロパガンダとして作られたもの。
1917年の労働者の武装蜂起から冬宮襲撃までを描く。
ドキュメンタリー的アプローチは当時としては新しい試みなのかもしれないが、
ちょっと中途半端な感じだ。
メンシュウビキや社会革命党の扱いなどはあまりにも一面的過ぎるし薄っぺらい。
また、支配階級側の空っぽの会議、ケレンスキーなどはリアリティがまったく無く、かなり戯画化され過ぎている。
それらはスターリンの影響なのだろうが、映画の出来をすこぶる低級化してしまっている。
挿入される仮面や偶像のイメージの意味も僕にはわからなかった。
サイレントなのだが、今回の復元版というので所々で効果音の演出が入るのだが、
でも、ほんの一部で中途半端だ。
『世界を揺るがした十日間』とは比較できないが、軍配は断然、十日間。

10時5分開始で120~130人とかなりの入り。

文芸座も、シニアは60歳からで1000円。
千円で二本は安いのだが、チョット疲れる。
文芸座は、席での飲食はかまわないのだが、
以前食べてにらまれたので、今回は我慢したが、
映画はやはり娯楽なのだから、かなりシリアスで静かな場面でない時は、
少しぐらい音がしたって良いのにね。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。