世界の街角

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伽耶展(6)

2023-08-24 08:55:12 | 日本文化の源流

<続き>

前回に続き、弁韓出土遺物の紹介であるが、今回は2世紀中頃から3世紀後半の金官伽耶時代のモノである。

朝鮮半島の鉄素材、つまり始発原料は磁鉄鉱と砂鉄の双方が確認されているが、上掲の素材は砂鉄と思われる。朝鮮半島南部は砂鉄の宝庫であった。

以下、3世紀後半の金官伽耶の出土品である。最後に掲げる銅鍑(どうふく:オルドス型ケットル・出品番号83)を注目願いたい。

金海・大成洞古墳の発掘調査で明らかになったことは、北方系遊牧民族の習俗と文物、すなわち人と馬の殉葬、武器を折り曲げて墳墓に副葬する習俗、蒙古鉢形冑や挂甲といった騎馬民族用甲冑、馬冑、北方式銅鍑(出品No,83)、青銅製帯鉤(たいこう)などの文物をもった北方系木槨墓が3世紀末に金海地方に突然出現し、首長墓をはじめとするそれ以前の墳墓を意図的に破壊して登場する。このような習俗や文物は騎馬民族のモノである。

金海大成洞古墳群は、その出土品から扶余系の騎馬民族王朝”辰王朝”の陵墓と推定される。出土品のオルドス型ケットル(No,83)、これは北方ユーラシアの古代騎馬民族にとって、天神をはじめ神々を祀るときに犠牲をいれて煮て献納するための神聖な祭器で、王権のシンボルでもある。

オルドス型ケットル

<続く>