過日、タイ芸術局第7支所(在・チェンマイ)のSNS情報を眺めていると、最近北タイで新たな遺跡が発見されたようだが、その場所に関する情報は記載されていない。思うに盗掘を心配しているようだ。記されているのは、出土品とそれを背景とした、雲南からタイ北部、ミャンマーに至る交易ルートの話題である。
第7支所が掲示していた写真を借用し、その写真から紹介する。先ず遺跡の測量写真である。
先にも記したが、残念なのは場所が記載されていない。出土品の保管展示場所が記載されていないことである。是非間近で見てみたい陶磁が存在しているようだ。以下、出土品の写真も掲載されていた。
この皿というか鉢が何物なのか、知識を持たないが多分西方オリエントの焼物であろうと思っている。そうであれば、第7支所が掲げている交易ルート図でいうモッタマ(ミャンマー・マルタバン湾岸)から運ばれてきたものであろう。
明時代の染付磁器は雲南ルートで運ばれてきたものと考えられる。次がハッキリしないが、器面から見てサンカンペーンの灰釉盤であろう。輪花縁と波状文は多くはないものの、サンカンペーン陶磁に見ることができる。但し見込みからカベットへの立ち上がり部の二重圏線内の波状文は初見である。是非見てみたい盤の一つである。何時のことやら次回の訪チェンマイ時、第7支所で尋ねてみたい。
これらの出土品について、以下の交易ルートが存在していたとの記事である。
図中、最上部のチェンルンとは現・西双版納の景洪である。そこから交易品として持ち込まれたのが冬虫夏草である。
冬虫夏草以外に、以下の品々が交易に用いられたと、第7支所は記している。
上から、ジャコウネコ、蘇木(漢方薬)、乳香である。これらは現代でも交易品である。
チェンマイ旧市街中央のチェンマイ民族博物館が掲げる交易ルートは、下写真の通りである。
当然と云えば当然だが、博物館も北は雲南・景洪、西はモッタマを図中に掲げている。それにしてもコロナが収まるのは何時になることやら。
<了>