R.シュトラウス「サロメ」(新国立劇場)
■日時:2008年2月9日(土)
■劇場:新国立劇場
■作曲:リヒャルト・シュトラウス
■原作オスカー・ワイルド
■芸術監督:若杉 弘
■指 揮:トーマス・レスナー
■演 出:アウグスト・エファーディング
■キャスト:(サロメ)ナターリア・ウシャコワ、(ヘロデ)ヴォルフガング・シュミット、(ヘロディアス)小山 由美、(ヨハナーン)ジョン・ヴェーグナー、他
■管弦楽:東京交響楽団
不思議なものです。どこかで手にした新国立劇場で上演されるオペラ「サロメ」のチラシ。それまで取り立てて興味がなかったサロメ、あるいはオペラ・・・。どういゆうわけかインスピレーションが、ボクの頭に急に落ちてきました。そのまま急いでチケットを購入し、新国立劇場へと足を運ぶこととなりました。
初台にある新国立劇場のオペラハウスは1800人を収容できるプロセニアム形式、オーケスラ・ピットではそれぞれの楽器が調律で音を鳴らし、これから始まる一幕もののドラマに胸が高まります。正直、入場料が高い分だけこちらの期待も大きいというものです。ボクの方としてみればクラシック音楽の素養は全くなく、聞き分ける耳もどうしょうもなく悪いんですが、生の迫力、それを十分感じ取りたい。そんな気持ちで幕が上がるのを待っていました。
舞台の幕が上がると、手前にはヨハナーンを幽閉している地下へと続いている円形の鉄製の大きな檻で閉じられた古井戸があります。その奥ではモスクのような形をしたテント形式の王宮?があります。時折テントの幕が上がると、常時宴が催されているかのような華美で豪奢な世界が隙間見えてきます。外の世界は寒々としたなにもない無機的な世界。それはお互いを、サロメが住んできた世界とヨハナーンが住んできた世界を、引き立て対比させているかのようです。ちなみに、この新国立劇場で上演されるサロメは解説によるとバイエルン州立歌劇場バージョンであるそうで、演出のアウグスト・エファーディングは故人。死して尚その演出残すといったところ。
サロメといえば物語を支配しあるいは場面の空気を表わす象徴的な存在として“月の魔力”のことがよく取り上げられますが、この舞台では、装置としての月はなく、照明的もそれを表現した大きな展開もなく、そんなに月を目立たせてはいなかったように思います。(もしかして見落としていたのかもしれませんが)それもあって、ボクの印象ではこのプロダクションはサロメの倒錯的な行動のベースにあるのは、月の魔力=ルナティックな狂気ではないと主張しているように見えました。
むしろサロメとヨハナーンのやりとりや、その後にサロメがヨハナーンの首を要求しそれが叶って、高らかに片手でその首を持ち上げヨハナーンの唇に接吻したと歌うその怪しげで妖艶なエクスタシーの極致とも見えるその見せ場、見方を変えるとまるで格闘技の選手が相手の首を刈り勝利の雄たけびをあげているかのようにも見えるのです。そうなるとサロメにおいては、ヨハナーンに邪険にされたことに対する報復的な措置の目的達成といったところに重きが置かれているように感じてしまったのです。
銀の皿にのせられたヨハナーンの生首は作り物とはいえ、皿には血飛沫が付ついており生々しくそこにありました。その痛々しいヨハナーンの首を、サロメにしてみれば愛する男の首、片手で持ち上げるようなことができるであろうか?とてもサロメのヨハナーンの首の扱い方は、愛するものの遺体の扱い方には見えなかったのです。むしろ戦利品かのような・・・。しかし、それは日本と欧米の感性の違いなのかもしれません。あるいはサロメはヨハナーンの首を手にしてかつてないほどの異常なトランス状態にあるわけなので、そういった所作もありえるのかもしれませんが。
そんな印象を持ったこの「サロメ」でありますが、七つのヴェールの踊りの場面では、やはり出ずっぱり、歌いっぱなし、もともとオペラ歌手ということもあり、そこに期待をしてしまうのは難しいのでしょうか、ダンスの前半はテントの向こう側で踊りシルエットが映るのみ、出し惜しみをしそのあとの展開を期待させますが、特に目を見張るようなパフォーマンスはありませんでした。ただただ、ナターリア・ウシャコワの力強い二の腕と零れ落ちそうな豊満な胸が気になってしまうのみです。
ラストは一気にたたみ込むように終わるのですが、兵士の楯で押しつぶされるのではなくナラボートに想いを寄せていた小姓に刺されてしまいます。ここにも報復のテーマが見て取れました。
今回のオペラの印象、男と女は戦いである。
戦士としてのサロメでありました。
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■作曲:リヒャルト・シュトラウス
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■芸術監督:若杉 弘
■指 揮:トーマス・レスナー
■演 出:アウグスト・エファーディング
■キャスト:(サロメ)ナターリア・ウシャコワ、(ヘロデ)ヴォルフガング・シュミット、(ヘロディアス)小山 由美、(ヨハナーン)ジョン・ヴェーグナー、他
■管弦楽:東京交響楽団
不思議なものです。どこかで手にした新国立劇場で上演されるオペラ「サロメ」のチラシ。それまで取り立てて興味がなかったサロメ、あるいはオペラ・・・。どういゆうわけかインスピレーションが、ボクの頭に急に落ちてきました。そのまま急いでチケットを購入し、新国立劇場へと足を運ぶこととなりました。
初台にある新国立劇場のオペラハウスは1800人を収容できるプロセニアム形式、オーケスラ・ピットではそれぞれの楽器が調律で音を鳴らし、これから始まる一幕もののドラマに胸が高まります。正直、入場料が高い分だけこちらの期待も大きいというものです。ボクの方としてみればクラシック音楽の素養は全くなく、聞き分ける耳もどうしょうもなく悪いんですが、生の迫力、それを十分感じ取りたい。そんな気持ちで幕が上がるのを待っていました。
舞台の幕が上がると、手前にはヨハナーンを幽閉している地下へと続いている円形の鉄製の大きな檻で閉じられた古井戸があります。その奥ではモスクのような形をしたテント形式の王宮?があります。時折テントの幕が上がると、常時宴が催されているかのような華美で豪奢な世界が隙間見えてきます。外の世界は寒々としたなにもない無機的な世界。それはお互いを、サロメが住んできた世界とヨハナーンが住んできた世界を、引き立て対比させているかのようです。ちなみに、この新国立劇場で上演されるサロメは解説によるとバイエルン州立歌劇場バージョンであるそうで、演出のアウグスト・エファーディングは故人。死して尚その演出残すといったところ。
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銀の皿にのせられたヨハナーンの生首は作り物とはいえ、皿には血飛沫が付ついており生々しくそこにありました。その痛々しいヨハナーンの首を、サロメにしてみれば愛する男の首、片手で持ち上げるようなことができるであろうか?とてもサロメのヨハナーンの首の扱い方は、愛するものの遺体の扱い方には見えなかったのです。むしろ戦利品かのような・・・。しかし、それは日本と欧米の感性の違いなのかもしれません。あるいはサロメはヨハナーンの首を手にしてかつてないほどの異常なトランス状態にあるわけなので、そういった所作もありえるのかもしれませんが。
そんな印象を持ったこの「サロメ」でありますが、七つのヴェールの踊りの場面では、やはり出ずっぱり、歌いっぱなし、もともとオペラ歌手ということもあり、そこに期待をしてしまうのは難しいのでしょうか、ダンスの前半はテントの向こう側で踊りシルエットが映るのみ、出し惜しみをしそのあとの展開を期待させますが、特に目を見張るようなパフォーマンスはありませんでした。ただただ、ナターリア・ウシャコワの力強い二の腕と零れ落ちそうな豊満な胸が気になってしまうのみです。
ラストは一気にたたみ込むように終わるのですが、兵士の楯で押しつぶされるのではなくナラボートに想いを寄せていた小姓に刺されてしまいます。ここにも報復のテーマが見て取れました。
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オペラ初心者の私としては歌の出来や音楽などを聞き分ける耳は恥ずかしいばかりです。見ようによってはハチャメチャな話なのですが、100年の時を超えて今尚オスカー・ワイルドの戯曲が上演されるサロメの魅力とは何か?その謎に惹かれてしまいます。
またよろしければ小生のブログを見てやってください。
初めまして。
私のブログにTBいただきありがとうございました。
R・シュトラウスの「サロメ」というオペラは、演奏家にも演出家にも、かなり自由に料理できる素材なんですが、それだけの怖さも秘めていて、わがままにやろうとした瞬間に手痛いしっぺ返しを食らいます。
その点、エファーディングの演出は私的には非常に満足できるものでした。
>そんなに月を目立たせてはいなかったように思います。
まさに仰るとおりですね。エファーディングの演出では、かなりの部分を台本に忠実に再現していたのですが、「月」だけは視覚的に展開するのではなく、聴衆の心のなかに投影できるように考えたのではないでしょうか。
エントリーされている文章を拝読させていただいて、とても感心いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。