飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

永遠の妖女#60・・・「サロメ」(英国ロイヤル・オペラ/指揮エドワード・ダウンズ)

2008-05-02 | サロメ
■指揮:エドワード・ダウンズ
■演出:ピーター・ホール
■コヴェント・ガーデン王立歌劇劇場管弦楽団
■キャスト:マリア・ユーイング(サロメ)、マイケル・デヴリン(ヨカナーン)、ケネス・リーゲル(ヘロデ王)、ジリアン・ナイト(ヘロディアス)他
■収録:1992年

サロメを演じるマリア・ユーイングは大きな口と真っ赤な唇が印象的な個性的な顔立ちです。様相からしてどこか内に狂気を秘めているそんな歌手でした。一方ヨカナーンを演じるマイケル・デヴリンは青白く(白塗りのため?)ホラー映画にでも出てくるようなちょっと不気味な感じ。堀の深い顔が一層それを際立てているようでした。

舞台の創りは簡素で、サロメの物語を支配する“月”がどーんとあります。その月には模様があって、意志を持っているかのようでもあります。といった風にどうしてもヴィジュアル面からのアプローチがメインになってしまうのですが、見せ場のひとつである七つのヴェールの踊りも最後にインパクトが用意されていました。

やっぱり踊りの部分は一枚一枚ヴェールを脱ぎ捨てて盛り上げていこうとしていくのですが、そしてマリア・ユーイングは相当頑張ってはいるものの、いまいちな感じがしてしいます。観る側の、つまりボクの期待が高すぎるんでしょうね。ダンスの部分はサロメを上演するに当たっては永遠の課題でしょう。でも締めは、マリア・ユーイングやってくれます。全裸になり、ボディービルダーばりのポーズをとります。スタイルも太ってはいなく、今まで見てきたサロメではおなかの肉が気になった方が多かったのですが、マリア・ユーイングは一番均整のとれたスタイルの美しいサロメでした。

また、ヴェール含めた意匠の部分においては、クリムトの絵を想起させるような柄を使用しており、世紀末的な危うさを醸し出しています。そのサロメ、全裸になった後は、紅いガウンを羽織るのですが、その赤がくっきりと舞台に浮き上がり、これから起こるヨカナーンの惨事を暗示しているかのようです。

ボクの印象ではサロメを演じたマリア・ユーイングがこ、ダンス以降どんどんとよくなっていくように思えました。ヨカナーンの首を求めるサロメは、別の世界にいってしまっている物狂いの女そのもの。いよいよヨカナーン斬首に当たっては、その首を古井戸から掲げて出てきます。この場面は強烈でした。ホラー映画と言ってもいいくらいの生々しさと残酷さが表現されています。

ヨカナーンに口づけしたサロメ、その首の横に臥しその姿は何事かを成就した満足感、達成感に溢れています。マラソンを完走しゴールで倒れこんだかのよな・・・。後半になってどんどん魅力的なサロメであります。

スリムな体に宿った女の狂気を見事に見せてくれたサロメでありました。



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