江戸川乱歩の研究？４６⇒「影男」

いわゆる影男と名乗る主人公が、社会的地位のある男の秘密の情事を覗見する。それはＳＭ的遊戯であった。人間、表の顔を裏の顔を持っていることを暴露していくのだが、乱歩は猟奇的、エロティックな内容が多いが、直接的な表現は少ないような気がする。この「影男」では、情事の相手の女性の体をめずらしく細部まで描いている。


◆情事の相手は

“すべての曲線をあらわにした彼女のからだは、ギリシア彫刻のように均整がとれていた。脚は長くて、お尻は見事にふくらんでいて、腹は蜂のようにくびれ、もり上がった胸が烈しい身動きをするたびに、ゼリーのように震えた。その胸の上に、恰好のよい長い頸と、プロテアの顔がついていた。といっても、彼女は西洋人ではない。西洋人のようなからだをした日本人なのだ。歳は二十五六歳であろうか。”

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