昭和の黒い霧・松本清張NO.５６・・・ドラマ「事故」（出演：山本陽子／NHK）

■放送：１９７５年、ＮＨＫ放送
■演出：松本美彦
■出演：山本陽子、田村高廣、野際陽子、火野正平、他

ＮＨＫで松本清張の小説「事故」を１９７５年にドラマ化した作品をみました。主演は田村高広、山本陽子、野際陽子のビックスターの競演であります。山本陽子は久しぶりに見たって感じです。ボクが中高校生の頃は妖艶な大人のお姉さんという感じで憧れの女優さんであったことを思い出しました。あれから何年たったんだろう？なんて…。画面の当時の山本陽子は相変わらずボクの目には綺麗に映りました。同じく野際陽子は若い！って感じでその若さのエキスが顔から滲み出でいます。野際陽子は現在まですっとテレビに出ていますから相当お金も稼いでいるんだろうと変に邪推してしまいます。

ドラマについては、当時のＮＨＫ好みなのかドキュメンタリー調を意識しながら、実験的な演出も挟んでいます。深刻さを出したいんでしょうか。出だしを見ているとこれはいけるのかなと思っていたら、だんだん展開が苦しくなってきます。その一つとしてはあまりに会話による説明的展開が多いことです。演出家は深刻な映像を作り出そうとしているのですが、あまりに俳優の会話に説明要素が多く、それに頼りすぎていました。それでは男女の情感も中途半端にしか表現されず、原作の持っている男と女の心の中の闇部分が、表現しきれていませんでした。この小説はその闇の部分からすべてが発生しているともいえるからです。社会に潜む問題性を炙り出そうと意識しすぎたため、迷走してしまった作品と感じました。

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