
■日時:2012年5月19日(土)、19:00~
■劇場:世田谷パブリックシアター
■演出:栗山民也
■出演:小泉今日子、浦井健治、段田安則
遅くなりましたが、宮沢賢治関連の締めとして、世田谷パブリックシアターで上演されていた「朗読『宮沢賢治が伝えること』」に行ったことを書きます。51歳にして宮沢賢治のよさを発見した私は、有名俳優陣が交代で宮沢賢治の作品を朗読する会をどうしても見たいと思ったのでした。朗読する俳優のユニットを見ていると、あのユニットもこのユニットもと思うのですが、平日は仕事もあってなかなか上演に間に合うことができないので、いろいろ検討したあげく、小泉今日子、浦井健治、段田安則のユニットに行くことにしたのでした(小泉今日子は私の世代のアイドルでもありますから)。
朗読された宮沢賢治の作品は、「注文の多い料理店」「春と修羅」「林と思想」「何と云はれても」「よだかの星」「永訣の朝」「雨ニモマケズ」「稲作物語」「ポラーノの広場」(部分)「報告」などでした。舞台はシンプルで床に宮沢賢治の本が並べられ、机と椅子だけで、後ろには朗読にアクセントを施すマリンバがあるだけです。舞台には宮沢賢治が産まれた年(1896年)に、明治三陸沖地震の津波により2万人超の死者がでたことを、そして同じく賢治が死んだ年(1933年)に昭和三陸沖地震による津波で死傷者・行方不明者が3000人がでたことが映しだされたした。なぜならば、この朗読の会は1年前に起きた東日本大震災への鎮魂と復興協力への新たな誓いをテーマに企画されたものだからです。奇しくも宮沢賢治の産まれ死んだ年に三陸沖の地震が発生し多くの死者を出しているのは、偶然とはいえ何かを感じざる得ませんでした。
当日購入したパンフレットには、演出家の栗山民也のコメントで「自己と他者との間に境界線を引かず、すべてをひとつのサークルのなかに収める。ここでの他者とは、人間に限らない。眼の前に咲く草花から虫たちなど生命を持つすべてのもの、それらを育む自然環境、ひかりや風、夜空の星までが賢治の作品の中では平等に、かつ穏やかに共生している。」とありましたが、まさしく言い得て妙、その通りだと思います。たかだか、明治から昭和初期に生きた当時は全く売れなかった作家の作品の朗読の会にこんなに人が集まるのは、朗読する俳優の著名度もあるのでしょうが、宮沢賢治の提示した世界観に共鳴する人が一杯いるということに他なりません。賢治はすごいのです。そして限りなく優しく宇宙的なのです。
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
※「春と修羅」序の部分から
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「TSOTSI」で検索し、拝見いたしました。
たのしくお勉強させていただきます。
よろしくお願いします。