飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「肉体の門」(1988年/監督:五社英雄)

2013-12-24 | Weblog

■製作年:1988年
■監督:五社英雄 
■出演:かたせ梨乃、西川峰子、名取裕子、渡瀬恒彦

女の意地と度胸を描いてその名を知らしめた五社英雄監督による映画「肉体の門」は、一層、華やかで艶やかにそして意地と度胸の女の世界を見せてくれるのでした。この映画における主演は、廃墟と化したビルに巣くう娼婦らのボスである関東小政、演じるのはかたせ梨乃。このかたせ梨乃が何と言ってもサイコーなのです。超カッコイイのです。意地と度胸を乗せたタンカを切るような台詞回しが絶妙で、片意地張って生きている女ボスの有様が、しかしトップとしての孤高感も漂わせながらその存在感が抜群なのです。痺れるようないい女とはいろいろあるのですが、かたせ梨乃が演じたこのような女性もその一つであることは間違いありません。この時期の彼女はまさに花盛りの絶頂期なんじゃないでしょうか?美しいです。ビルの廃墟に巣くう娼婦らの御本尊というのがあるのですが、それは東京大空襲で空から落ちてきた爆弾で、途中で止まった不発弾です。街のやくざはその不発弾を見て爆発の恐怖から腰を抜かして逃げ去っていくことになります。それが外敵からの守り神として鎮座しているわけです。女の意地と度胸の象徴というわけです。それと彼女らがその後の生活のために売春をして稼いだ金の1割を持ち合ってプールしているというのも、自分の体を差し出し痛め、斬った張ったの世界で生きていながらいつかここを脱出してみせるという希望がそこに込められているのです。彼女らはプールしたお金でパラダイスを作るというのです。関東小政の次の捨て台詞がすべてを語っています。「誰が狂わせた?勝手に戦争したのは誰だ?勝手に負けたのは誰だ?誰がすき好んでパンパンやってやってるんじゃねえよ!私たちがまともな女になるのは、ここにパラダイスができた時だよ!」そういい放つかたせ梨乃がやっぱりカッコイイのでした。

 

映画では敵対するグループがありそのボスを名取裕子が演じています。彼女もカッコイイ。双璧をなしています。飛び切りの美人とはいえないものの、存在感と醸し出すオーラは超一級で、かたせ梨乃と並ぶともしかしたらその存在感は彼女を上回っているかもしれません。いかにも女優、個性がとても美しく見せるタイプとあらためて感じました。ということで、主演の女優に目を奪われた華やかさを持った「肉体の門」でした。リアリズムを排した任侠重視の叙情主義の五社監督です。

 

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