残酷な殺人事件が発生する。そこで関わる犯罪学者の畔柳博士。テキパキと推理を展開していくが犯人の蜘蛛男の思うがままに事件は進行していく。そこで明智小五郎が登場する。いきなり盲点をついた大胆な推理を展開する。その見事な明智小五郎の観点。
◆明智小五郎の視点
“「我々は怪談を認めることは出来ません。魔詞不思議を信ずる訳には行きません。この世『あり得べかざる事柄』は、存在しないのです。若しその様に見える出来事があったならば、その裏には必ず手品師の巧みな偽瞞が隠されていなければなりません。警察の方々は一寸した偽瞞に慣れていらっしゃる。併し、ズバ抜けて大きな欺瞞になると、却って目に入らぬものです。例えば船室の中で、荷物のゆれるのは見えるけれど、船そのものの動揺は見ることが出来ないものです。
今度の事件の偽瞞は思い切り大胆で、開けっ放し、しかもその技巧は馬鹿馬鹿しい程単純なものでありました。それ故却って物慣れた、犯罪だこの入ったあなた方を欺くことが出来たのです。まさかそんな馬鹿なことと、それについて考えていないからです。若し警視総監が例えばピストル強盗であったとしても、誰がそれを疑いましょうか」”
常識を疑ってかかること、我々は常識というフィルターに毒されてしまっているのだ。
“犯罪探偵学の研鑽は、同時に犯罪そのものの研鑽ではありませんか。名探偵の頭脳で悪事を働けば必ず大犯罪者となることが出来ます。”
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