飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

ドラマ「TAROの搭」(出演者:松尾スズキ/放送:NHK放送)

2011-05-02 | 美術&工芸とその周辺

■放送日:2011年2~4月(全4回)
■脚本:大森寿美男
■出演者:松尾スズキ、常盤貴子、寺島しのぶ、他

岡本太郎の生誕100年にあたるとして今年は大規模な回顧展が開催され、雑誌では特集が組まれ、書店では関連書籍の集積など岡本太郎をめぐるいろいろな企画が実施されているようです。こちらのドラマもその一貫で、岡本太郎太郎の生涯を見せるもの。題名の「TAROの塔」とはあの万博記念公園にそびえ立つ「太陽の塔」のことであります。私が子供のころに開催された万博、その時のシンボル的な存在として「太陽の塔」はしっかりと記憶されています。子供のころ私はあの奇妙な造形が気になり、落書きで「太陽の塔」真似て何度も描いたものでした。特に胴体あたりにある人の顔は一筆書きのような原始的な図像でこれを描くのが楽しかったように覚えています。ただ「太陽の塔」という名前は知っていても岡本太郎という名前はまだ知りませんでした。

 

その名前を記憶の中に刻印したのは「芸術は爆発だ!」で有名なCMです。キャラクターとしての面白さのみが先行し、作品としての馴染みは「太陽の塔」くらいでしたが。今回岡本太郎のドラマを見て彼がいろいろな価値観と闘っていたこと、そして己の意志を貫徹するために岡本太郎という人物を演じていたことを知りました。またあのバタイユに師事していたことも。そして何よりも岡本太郎を影で支えた女性として岡本敏子という存在がいたこともです。このキャラクター先行の奇妙な?人物、岡本太郎を演じたのが松尾スズキで、手を広げるカッと目を見開く独特のポーズをはじめ怪演を見せていました。一つ一つの表情がいい。そして寺嶋しのぶが演じた岡本かの子は思いっきり怪女でこんなユニークな女性がいたのかなと。これじゃあ岡本太郎も母親の影響を受けるなというのが無理というものです。

 

ドラマ自体もエンタテイメント仕立てで楽しく見ることができました。岡本太郎と言われても、最近では通勤時に毎日彼の作品を見ることができるのですが(渋谷駅にある「明日の神話」を毎日のようにその前を通っているからです)、それまでほとんど興味が持てなかったのですが、このドラマを見て一度作品を見てみようかなと思いました。私のように感じた視聴者も多くいたと想像できるので、それだけでもこのドラマの効果は充分あったといえるでしょうね。

 

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岡本 太郎
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岡本太郎 爆発大全
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河出書房新社
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岡本 太郎
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