549の20『自然と人間の歴史・日本篇』消費税の特例としての輸出免税
これらのうち輸出事業者への特例については、以後も続くことになっている。消費税法の規定には、こうある。
「第七条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除する。
一 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
二 外国貨物の譲渡又は貸付け(前号に掲げる資産の譲渡又は貸付けに該当するもの及び輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三十年法律第三十七号)第八条第一項第三号(公売又は売却等の場合における内国消費税の徴収)に掲げる場合に該当することとなつた外国貨物の譲渡を除く。)
三 国内及び国内以外の地域にわたつて行われる旅客若しくは貨物の輸送又は通信
四 専ら前号に規定する輸送の用に供される船舶又は航空機の譲渡若しくは貸付け又は修理で政令で定めるもの
五 前各号に掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの
2 前項の規定は、その課税資産の譲渡等が同項各号に掲げる資産の譲渡等に該当するものであることにつき、財務省令で定めるところにより証明がされたものでない場合には、適用しない。
(輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税)」
この場合の税の算出式とは、製品の売上げで顧客から受け取った消費税ー(引く、マイナス)経費で支払った消費税=(は、イコール)納税する消費税なので、次のようになるだろう。まずは、輸出品に「内国税」であるところの消費税はかからないので、消費税はゼロとなろう。
一方、この会社が経費として支払った消費税分は、原価の1億円+その他経費の5000万円との合計1億5000万円に、消費税率の税率8%を乗じて1200万円が導かれる。したがって、収めるべき消費税額は、ゼロから1200万円をひくことになるので、マイナスの1200万円ということになって、この額はこの会社が税務当局に支払うのではなく国庫から受け取ることになるだろう。
とはいえ、国内の売上げがあっても、輸出分が還付されるのは変わらない。いま年間売上高が5億円の会社があって、うち輸出によるものが2億5000万円、国内売り上げも同額と仮定。すると、前者には2億5000万円×0%=0、後者には2億5000万円×5%=1250万円がかかることから、合計で1250万円となるだろう。
次に、年間の事業にかかる仕入れを見ると、これを4億円として4億円×5%=2000万円が仕入税額控除としよう。したがって、この会社として支払うべき消費税額は、1250万円-2000万円=-(マイナス)750万円となって、差し引き750万円の差引還付金が得られよう。ただし、現行法で「簡易課税」となっている事業者や「免税事業者」については、かかる税還付の恩恵を受けられる対象から基本的に外されていることに留意されたい。
今、上記と同じ売上・仕入構成で消費税が5%から10%に引き上げられたとしよう。それと合わせて、輸出は3億円に、国内売上げの方は2億5千万円の据え置きとになるかたわら、仕入れ額の4億円には変化がないとしよう。
すると、輸出には3億円×0%=0、国内販売には2億5000万円×10%=2500万円の消費税がかかることから、合計で2500万円となるだろう。
次に、年間の事業にかかる仕入れを見ると、これを4億円として4億円×10%=4000万円が仕入税額控除となろう。したがって、この会社として支払うべき消費税額は、2500万円-4000万円=-(マイナス)1500万円となって、差し引き1500万円の還付金が得られよう。
およそこのような次第が予想されることから、この還付金は、消費税率が上がるほど、また輸出割合が高ければ高いほど多くなる仕組みに他ならない。
(続く)☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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