119の2『自然と人間の歴史・世界篇』世界宗教(メッカ占領からのイスラム教)
630年、ムハンマドは条約違反を理由にかれらを攻め、メッカを占領する。その時、彼は「カーバ」と呼ばれる立法形の囲いの周りに置かれていた偶像の目を弓の先で打った後に、撤去させ破壊させた逸話が残っている。いまでも、メッカへの信者の巡礼の最終局面では、そのカーバが人々の渦の中心にあることになっている。その教義によると、アッラーの他に神はなく、アッラーは神そのものなのだと。
ムハンマドはアッラーの使徒であること、また他のものを神と同等に崇拝してはならないと偶像崇拝を禁じていて、「神の唯一性」が全面に押し出されている。その神の啓示は、かれが632年に死ぬまでの二十数年間続いたことになっている。
ムハンマドの教えは、その後、『コーラン』にまとめられていった。その内容は、次にあるように、生活の細部にわたりきめ細かく、平易な文章となっている。
「33【29】これ、信徒の者よ、お互い同士でくだらぬことに財産を浪費してはならぬぞ。協定の上で商売する場合は別として、またお互いに殺し合ってはならぬ。アッラーもこれほど汝らに対し慈悲深くおわすではないか。」(上巻)
「34【30】万一、悪意をもって不当にもそのようなことをする者があれば、必ず我ら(アッラーの自称)が地獄の劫火で火あぶりの刑に処す。アッラーにとってはいとやすいこと。」(上巻)
「35【31】汝ら、禁じられた大罪さえ避けるなら、些細な悪事はみんな赦して、(天国)に晴れがましく入れてやろうぞ。」(上巻)
「36【32】アッラーが汝らの誰かに、ほかの人より沢山(財産)を授け給うたとて、それを羨んではならぬ。男も自分の稼ぎ高の中から分け前を戴き、女もやはり自分の稼ぎ高の中から分け前を戴くだけのこと。なにはともあれアッラーのお恵みをお願い申すことが第一。アッラーはどんなことでも全部御存知であるぞ。」(上巻)(以上、井筒俊彦訳「コーラン」(上・中・下)岩波文庫、1957、114~115ページより引用)
(続く)
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