♦️32の2『自然と人間の歴史・世界篇』現生人類へ(5万年前~、ホモサピエンスの2回目の出アフリカ、壁画など)

2018-11-14 09:18:09 | Weblog

32の2『自然と人間の歴史・世界篇』現生人類へ(5万年前~、ホモサピエンスの2回目の出アフリカ、壁画など)

 これら人体骨格の発掘に関連して、旧石器時代のクロマニョン人が活動していた範囲で広く洞穴絵画が残されている。ところで興味深いのは、かれらの骨の発見には、洞窟の壁画の発見が絡んでいたことだ。というのは、1879年、スペインのアルタミラ洞窟で、この地の領主であり法律家でありアマチュアの考古学者でもあるマルセリーノ・デ・サウトゥオラ侯爵の12歳の娘マリアによって発見された。

 同侯爵による発表の当時は世間に見向きもされなかった。後にこの壁画は、先史ヨーロッパ時代の区分でソリュトレ期に属する約1万8500年前頃のものと、同マドレーヌ期前期頃の約1万6500年前~1万4000年前頃のものだと分かった。壁画が描かれた後に落盤があったらしく、外界と遮蔽され、そのことが幸いして画が失われずに残ったのだという。その洞窟には、旧石器時代末期に描かれた野牛、イノシシ、馬、トナカイなどの動物が、狩りの対象として描かれていた。
 続いて1940年、今度はフランスの西南部ドルドーニュ県、ヴェゼール渓谷のモンティニャック村にあるラスコー洞窟近くで遊んでいた子供たちによって、これまた偶然に発見された。アルタミラ洞窟に勝るとも劣らない、すばらしい彩色のものであった。こちらの狩りを描いた壁画は、光がほとんど届かない洞窟の奥深くにあったことから、保存状態が極めて良かったとされる。これらの壁画がなぜ描かれたかについて、どんな思いを込めて描いていたのかについては、古代の呪供師(きょうじゅつし)が洞窟にこもって儀式を行っていたのではないかとか(クリストファー・ロイド著・野中香方子訳「137億年の物語ー宇宙が始まってから今日までの全歴史」文藝春秋、2012)、どのような状況の下でそれらの獲物を捕らえたかを記憶にとどめようとしたとか、さまざまに推測されているようだ。

 さらにもう一つ、人類のその後の拡散を知らせる壁画の中から紹介しておこう。セラ・ダ・カピバラ国立公園はブラジル北東部ピアウイ州にある公園だ。アメリカ大陸の人類史を書き換えた、南米最古の人類遺跡があり、1991年世界遺産に認定された。園内には約2億5千年前に形成された渓谷があり、岩場や洞窟が豊富だ。ここで、6万年前にさかのぼるざっと3万点の線刻岩絵群と洞窟壁画が見つかったという。

 ここでの壁面の内容は、儀礼、舞踊、狩猟など当時の人々の生活、そしてグリプトドンや巨大アルマジロのような氷河期以前に絶滅したとされる動物などが、赤、白、黄それに黒といった顔料で描かれている。他にも、陶器製の道具もが発掘されており、旧石器時代に南アメリカにいた先住民の存在を物語っている。


(続く)

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