♦️47『自然と人間の歴史・世界篇』世界文明の曙(ハムラビ法典)

2018-05-18 08:41:17 | Weblog

47『自然と人間の歴史・世界篇』世界文明の曙(ハムラビ法典)

 この第6代ハンムラビ王の治世(紀元前1792年頃~同1750年頃)において、ハンムラビ法典が編纂された。この法典を刻んだ石碑が発掘されており、これが日本の世田谷美術館の「メソポタミア文明展」にやって来た時、設置の台の外側に立って、上半身を前に乗り出すようにして見させてもらった。しかし、文字の形までは識別がかなわなかったのが残念。閃緑岩のやや円筒を模したような、緩い曲面に刻まれている。この碑の近さはゆうに2メートルはあったろうか。
 文字のさらに上、石碑の一番上部には、この法典の由来が浮き彫りで表現されている。右側に神、左側に王がいるではないか。王は、椅子に鎮座しているところであろうか。王と向かい合っている神の名は「シャマシュ神」といい、髭を蓄え、神の象徴とされる角(つの)を頭の上部に帯びている。長い腕をした上、その方からは何本もの太陽光線を発していて、貫禄は充分。この石碑は、かつてはシャマシュ神の神殿に建てられていたものと推測されている。
 この現存のハムラビ法典だが、1901年、イランのスーサで発見されたという。本文は282条に前文、後文が付けられている。その最大の特徴は、いわゆる「同態復讐法」に貫かれた、その刑罰の厳しさであろう。その中から、幾つか紹介しよう。
 「第196条、もし人が人の目をつぶしたときは、彼の目をつぶす。
第197条、もし人が人の骨を折ったときは、彼の骨を折る。
第198条、もし半自由民の目をつぶし、あるいは、人の奴隷の骨を折ったときは、銀1マナ(約490グラム)を支払う。
第199条、もし奴隷の目をつぶし、あるいは、人の奴隷の骨を折ったときは、その(銀1マナの)半分を支払う。
第200条、もし人が彼と同格の人の歯を折ったときは、彼の歯を折る。」(富村傳(とみむらでん)「文明のあけぼのー新書西洋史①」講談社現代新書、1973)
 珍しいところでは、チグリスとユーフラテスの両河が引き起こす洪水についても、その損害への規定を設けている。
 「第45条、もし人が地代をとって畑を耕作人に貸したあと、畑に洪水が氾濫したり、津波がおそっても、損害は耕作人の負担となる。」(同)
 ほかにも、結婚も契約扱いであったのか、証書を交わさなければ正式に認めれなかったという。

(続く)

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


コメントを投稿