○○464『自然と人間の歴史・日本篇』1990年代前半の証券不詳事

2016-09-16 11:43:15 | Weblog

464『自然と人間の歴史・日本篇』1990年代前半の証券不詳事

 おりしも、1991年6月20日に野村証券の160億円の損失補填が発覚しました。いわば「損して得取れ」の故事にも重なる悪知恵で、これは次のような展開をたどりました。
 6月21日、野村の水内、日興の幸の両副社長が会見して、補填と暴力団の癒着関係をほぼ認める。
 6月22日、補てん、新たに大和、山一も発覚。野村、暴力団の東急電鉄株株買い占めと株価操縦への関与発覚。
 6月23日、野村、年金福祉事業団に約50億円の補てん発覚。
 6月24日、野村・田淵、日興・岩崎両社長辞任会見し、岩崎氏は「宴の裏に悪魔」と形容。橋本蔵相がG7から帰国。不祥事に「情けない」と発言。
 6月25日、海部首相、蔵相に「厳重対処」を指示。田淵・野村会長が日証協会長への就任辞退の表明。
 6月26日、野村・野村会長、日興・岩崎会長ら蔵相に陳謝。
 6月27日、野村の株主総会にて田淵社長が「大蔵省が補てん承認」発言。酒巻新社長が田淵発言の釈明会見。
 6月28日、警察庁、経団連に暴力団排除を要請。
 7月1日、経団連、正副会長会議で田淵副会長を解任。
 7月5日、東京国税局が証券大手4社に更正処分。神戸市、4社と取引中止表明。
 7月8日、大蔵省、4社に行政指導と処分。10-15日の4営業日、法人営業自粛など。4社が社内処分を発表。補てん額は1264億円。
 日証協会長に渡辺・日興前相談役が就任。東証。大手4社を処分。野村、日興は各500万円、大和と山一は各300万円の過怠金。
 7月9日、並木弁護士逮捕。加商株買い占めで田淵会長がたれ竹井・元地産会長に並木への紹介状を書いたことが発覚。
 7月10日、大蔵省、蔵相、次官ら3か月の減給、訓告処分。日証協、野村、日興に各1000万円、大和と山一は各500万円の過怠金。
 7月11日、自治体の4社離れ相次ぎ、51自治体に。
 7月12日、野村・田淵会長が「国会では補てん先を証言する」と発言。
 7月18日、大蔵省、4社を特別検査。衆議院大蔵委員会が承認喚問を見送り。
 7月21日、準大手も補てん発覚。
 7月22日、田淵・野村会長が辞任、相談役に。
 7月23日、4社、有価証券報告書の訂正報告。補てん先は231社(人)で、総額で1283億円に。
 7月24日、蔵相ら、補てん公表容認発言に転じ、「証券が自主的に」を強調。
 7月25日、住議員大蔵委員会で集中審議。4社の補てん先は実数200社。金融機関を含み、「政治家はない」。準大手は6社で補てん額は約350億円。
 7月26日、東商会議所が補てん関連企業ドップの引責辞任を盛り込んだ緊急提言を発表。
 7月28日、首相も証券界に補てん先の自主公表を要求。
 7月29日、大手4社が補てん先リストを公表。のべ228法人と3個人。総額1283億円。松下、昭和シェル、年金福祉事業団などの大企業、公的機関多数。多くは「補てん先の認識ない」。
 7月30日、第三次行革審議会、日本版SECなど再発防止策の検討を緊急会議で決定。
 7月31日、準大手・中堅13社が補てん先リストを公表、のべ380法人、6個人。総額437億円。新日本製鐵、三菱商事、日本郵船、創価学会も。
 8月2日、衆議院大蔵委員会で集中審議。中小証券でも総額10億円未満の補てん。東急電鉄株で集中売買禁止通達違反の疑い。東証が準大手・中堅13社を一律過怠金300億円の処分。
 8月3日、橋本蔵相秘書の冨士銀行不正融資にからむ無担保融資仲介が発覚。
 8月6日、日証協、準大手・中堅13社を処分。補てん額10億円以上の7社を500万円、同10億円未満の6社に300万円の過怠金を課した。
 8月7日、国会代表質問。野党各党による行政責任の追及があった。
 特定投資家への補てんの手口は、3つに分かれていました。ひとつは、新規公開株・転換社債(CB)の優先供与。これは、証券会社が特定投資家に対して、値上がり確実な株や転換社債(CB)を売って、それが値上がりしたところで売り戻すやり方です。

 二つ目は、国債・公社債の日計(ひばか)り商い。こちらは、まず1日の市場価格の最安値で特定投資家に対して売り伝票を切る。次いで、同じ日の最高値で買い伝票を切る。そして生産で差額を与えるというものです。3つは、ワラント債(WB)・外債を使った売買です。これらの市場価格は不明確で、まず証券会社が特定投資家に対して、類似債券に比べて安値で売り、今度は逆に高値で買い戻してその差額を補てんする。いずれのケースも中間に投資顧問会社をはさむケースもありました。

(続く)

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