♦️905『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカと中国の通商摩擦の激化(2018~19年)

2019-09-01 21:27:05 | Weblog

905『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカと中国の通商摩擦の激化(2018~19年)

 2018年は、アメリカと中国という、世界の2大国の動向に振り回されたことで、永人々の記憶にとどめられるであろう。振り返れば、ざっとこんな調子だ。

 その第一弾は7月6日、アメリカがロボットなど818品目につき25%、金額だと340億ドル。これに対し、中国は大豆など545品目につき、同額の340億ドル。第二弾は8月23日、アメリカが半導体など270品目につき25%、金額だと160億ドル。これに対し、中国は鉄鋼製品など333品目につき、同額の160億ドル。そして第三弾は、9月24日、アメリカが家電、家具など5745品目につき10%(2019年1月以降25%)、金額だと2000億ドル。これに対し、中国は液化天然ガスなど2700品目につき5%または10%、金額だと600億ドルというもの。

 そればかりではない。年末近くに差し掛かっては、主に中国の産業育成政策やサイバー攻撃によるアメリカの技術の盗用などを言いがかりに、厳しいやり取りが展開しだす。アメリカとしては、世界第一の経済大国としての自負があるのか、その座に肉薄している中国の経済上の動きに神経をとがらせているみたいだ。

 いったい、どちらの国が経済力で上かということでは、すでに甲乙つけがたいことになっている。現行の経済統計でいうと、為替相場をベースにするとアメリカだが、購買力をベースにした比較でいうと中国の方が上回っている。そして、後者の指標が追って前者に反映されようから、今後の両国の動静に特段のことがなければ、向こう20年から30年の先には中国の経済力がアメリカをはっきり上回る展開となるのであろう。

 だが、歴史というものは、なかなかなにむずかしい。というのも、この両国は互いに大きいだけに世界経済に対する影響力も大きい。したがって、他の国々は、彼らの争いにマイナスの意味で巻き込まれ、不利益を被る恐れが大きい。また、両国ともいずれ「戦略的妥協」を強いられるであろうが、それまでの間に他の国々はどちらにつくかを迫られたり、あらぬ疑いをかけられたりすることも否定できない。古典的なことでは、これまでの歴史上、帝国主義というのがあったのだが、今度はどうなるのだろうか。同時に、この間の人類史の積み重ねが、真の発展の道筋に乗ったものであるのかどうなのかが問われることになりそうだ。

 そしてゆめゆめ、世界が2陣営に傾き、第三次世界大戦に近づいていかないように、私たちは諸力を傾けないといけないと思う。

(続く)

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