引越しは大変だった。容量が同程度の住宅なら、こんなに頭を悩ますことも無かったに違いないと確信する。しかし、現実なのだからショウガナイ。洋服の収納スペースは半分、キッチンも半分。収納できないものが入った箱が山積み状態だった。
以前に日本でケーキ作りを習っていた。先生は普通の主婦、どこにでも居るような感じの気さくなご婦人だったが、彼女は実は、家事に関して信念をもった、素敵なおばさまだった。二年間着なかった服は捨てなさい!いいものは何回でも着られるようにいい素材が使ってあるのだから、着るほうがいい。しまっておいて着ない服は、いいものでも自分には合わないと思いなさい。要は好きじゃないのだから、いつまでも着ないわよ。出したり入れたりする時間と労力は取り戻せない貴重なものじゃない?
この間、なんど彼女のことを思い出したかわからない。強制的に与えられた機会こそが、自分を変える、不要なものを処分する唯一貴重なチャンスになるのかもしれない。
悪戦苦闘、頭、手、足、目、なんでも使って、とにかく、箱は片付いた。そして、インターネットも無事開通。やっと、年が越せそうだ。