豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

映画『東京物語』を見た

2021年08月30日 | 映画
 
 小津安二郎監督『東京物語』を見た。
 着想を得たというアメリカ映画『明日は来らず』を見たので、『東京物語』も再見したくなった。
 「あの頃映画50’s 松竹DVDコレクション」と銘打ったニュー・デジタル・リマスター版である(松竹、2011年。公開は1953年、昭和28年)。

 前に見たのはキープ社版の古いものだったので、見苦しいとか音が聞き取りにくいというほどではなかったが、本来の1953年に公開された映画がどんな色調だったのかはわからなかった。
 今回はじめて公開時に近い状態に復元された画像、音声で見ることができた。
 やはり『明日は来らず』とは出来が違っていた。ただし、前回見たときは、妻に先立たれた笠の面倒を末娘の香川京子が見つづけてくれそうな気配を感じたが、今回見ると、香川は原節子のように自立しそうな感じがした。

       
 ※ 上の写真は、付録についていた特典の家族集合写真。このような場面は映画にはなかった。
 
 キープ社のものに比べると、ずいぶん画面が明るくなっている。とくに尾道でのロケ部分の画面が明るい。しかし、夏の尾道の暑さが表現されているかというと、あまり暑さは感じられなかった。
 酷暑といわれる夏のさなかに見たせいか、『12人の怒れる男』もそうだったが、映像から夏の暑さが伝わってこなかった。杉村春子や山村聡らがせっせと団扇を煽いでいるのだが、みんな涼しげで、かえってわざとらしく見えてしまった。
 ぼくの祖父は学校の教師だったが、暑い夏の授業の時でも背抜きの夏服の上着を決して脱がなかったという。帰宅すると、明るいグレーのスーツの背中が汗でダークスーツのように黒く濡れていたと祖母が言っていた。昭和28年のニッポンの夏はそれくらい暑かったはずである。
 『東京物語』の撮影時期はいつだったのだろうか。小津は年に1本しか撮らなかったから、いい時候に撮影したのかもしれない。

 ちなみに杉村春子だったかが使っている団扇に高峰秀子の顔写真が見て取れた。松竹の宣伝用の団扇で済ませたのか、小道具にこだわる小津らしくない。あるいは、当時のパーマ屋では松竹女優の団扇が定番だったのかも。   

 1950年生れのぼくは、笠智衆、東山千栄子、杉村春子はもちろん、山村聡、三宅邦子、中村伸郎、水戸光子など出演者はみんなテレビドラマやテレビのCMなどで知っている。ところが1954年生れの妻は、三宅邦子までは知っているが中村伸郎、水戸光子はまったく知らないという。4年違うとそんなものか。
 健在なのは(子役を除くと)香川京子だけになってしまった。
 香川京子は、数十年前の週刊誌のグラビアで、山手線、目黒駅の恵比寿寄りの跨線橋の橋の上でポーズをとった写真を見た覚えがある。親戚の家に行くときに渡る跨線橋だったので、印象に残っている。 
 橋のこちら側には「メイ牛山美容室」があり、橋の向う側にはライオン座という映画館があった。三越よりは小ぶりのライオン像が入口の脇に鎮座していた。

 2021年8月30日 記


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