豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

虎に翼(NHKテレビ朝の連ドラ)

2024年04月06日 | テレビ&ポップス
 
 NHKの朝の連続ドラマは、ぼくの大学時代の先生のお気に入りの番組だった。
 先生の先生である我妻栄さんは、毎朝5時に起きて勉強をはじめ、午前8時15分(確か当時は8時15分始まりだったと思う)に朝の勉強を中断してこの番組を見るのが習慣だったそうで、ぼくの先生も、我妻先生も今ごろ勉強しておられるかなと思いつつ早朝に勉強し、そしてこの番組を見るのを楽しみにしておられた。
 ぼくは、NHKの朝の連ドラをほとんど見たことがない。わずかに「おしん」を祖父母が見ていた頃に、傍から見るともなしに眺めていたくらいである。NHKのテレビ・ドラマでも、中井貴一主演の「歳月」や、岡崎由紀の「姉妹(あねいもうと)」、ジュディ・オングが出ていた正月の単発ドラマなどはかなりはっきりと記憶にあるのだが。

 現在やっている朝の連ドラ「虎に翼」は、法律を勉強するものには名を知られた三淵嘉子判事をモデルにした昭和の女性法律家の物語である。
 彼女は、穂積重遠のすすめで(実話だろうか)、女性を対象に法律学を講じていた当時としては唯一の学校である明治女子短期大学(明短と呼ばれていた)の前身に入学した。
 ドラマでは「明律大学」となっているが、黄緑色のドームが屋上にある駿河台の大学である。ぼくが勤務していた大学にも、毎年のように明短卒の女子学生が3年生に編入してきた。
 この学校(明短)は、明治大学を右折して山の上ホテルに向かう路地の奥にあった。編集者時代に山の上ホテルに泊まった際に、朝食をとっていると窓の外に明短の女子学生たちが坂道を登って登校する姿が見られた。

   

 昨日、この番組を見ていたら、法律を学ぶ決心をした三淵さんを母親が法律書専門店に連れて行って「六法全書」を買うシーンがあった。
 店は神保町の古本屋のような雰囲気で、書籍の宣伝の貼り紙が並んでいたが、その中に「日本親族法論 牧野菊之助」という文字と、「憲法提要」という書名が見てとれた(冒頭の写真)。
 牧野菊之助の同書は、大正から昭和戦前期の定番の家族法教科書だったようだ。ぼくも古本屋で購入して、今でも持っている。初版は明治41年で、手元にあるのは大正12年刊の17版である(上の写真)。牧野は裁判官で、大審院長も務めた人だったらしい。

 「憲法提要」は誰の著書かわからないが、ネットで調べると穂積八束と野村淳治に「憲法提要」という書名の著書があった。いくらなんでも女性法律家の卵が穂積八束はないだろうから、野村淳治の「憲法提要」だろう。
 「憲法提要」によく似た書名で、美濃部達吉「憲法撮要」という本があった。戦前の高文試験受験生に必携の憲法教科書として定評があったという。「撮要」(さつよう)というのは妙な書名だと思ったが、写真に撮るように憲法の要点を表現しているといった意味だろうか。
 番組の中の書店には、他にも、末弘厳太郎や穂積重遠の名前も並んでいたような気がした。ドラマの中では穂積は「穂高」教授となっているが。

 朝ドラにはあまり興味がなかったのだが、穂積重遠らしき人物が出てくるとあっては見ないわけにはいかない。すでに亡くなられたぼくの先生、我妻先生もご覧になったらなんと仰るだろう。

 2024年4月6日 記 

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