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JR九州 817系2000番台電車~賛否両論の混雑対策車

2012-07-31 | 鉄道[九州・JR]

今月MAKIKYUが韓国~中国へ足を運ぶ際には、お馴染みのJR九州高速船「BEETLE」と共同運航を行っている未来高速「KOBEE」を利用した事もあり、福岡(博多港)からの出国となったものでした。

出航時間が午後だった事もあり、福岡近郊を動き回る時間も確保できましたので、福北ゆたか線(篠栗線~筑豊本線)にも足を運んだものでした。

その際には今年春から同線で走り始めた新型車・817系2000番台にも乗車できましたので、取り上げたいと思います。

この車両は福北ゆたか線で活躍中の既存817系と外観は類似しており、勿論既存817系や813系電車との連結運転も行っていますが、単線でホーム長さも限られ、ラッシュ時間帯における輸送力増強も限界状態の同線におけるラッシュ対策として、収容力確保の為に座席をオールロングシートとしているのが最大の特徴です。

JR九州では既にオールロングシートの一般型車両として、熊本地区や大分地区で活躍している815系が存在しており、既存817系もデザインと客室設備を除くと、ほぼ815系と同様の車両と言えますので、今回オールロングシート車を敢えて817系として導入したのかは、少々不思議に感じます。


外観は既存817系と大差なく、やたらと大きい単色LEDによる種別・行先表示なども、最近のJR九州らしい雰囲気ですが、既存817系はアルミ地無塗装であるのに対し、2000番台では白塗りとなっているのが特徴で、両者が併結して運行している際などは、見比べると違いが明確です。
(写真も2000番台2両の前に、既存817系が連結された4両編成です)


また2000番台の車内はオールロングシートだけあって、革張りの転換式クロスシートが並ぶ既存817系とは大違いで、客室照明で今流行のLEDを採用している事も大きな特徴ですが、このLEDによる照明はデザインに拘るJR九州にしては、あまりデザイン面で意識していない様にも感じられたものです。

そして輸送力対策でオールロングシートなった座席は、木材を多用した某デザイナーの最近の流行が存分に感じられ、JR他社や大手私鉄の通勤型車両であればまず考えられない、JR九州らしい雰囲気に満ち溢れており、座席モケットの柄が幾つも存在する辺りも、デザイナーの遊び心が感じられます。


この座席はロングシートでありながらも背もたれが大きく、関西の某大手私鉄が混雑対策で特急車(特別料金不要)の一部座席をロングシート化した際に、クロスシートに負けない座席を…という事でハイバックタイプとして、「スーパーロングシート」と謳っている座席を連想させる造りとなっているのも大きな特徴です。

しかしながら木製ベンチの座面と枕部分にだけクッションを取り付けた格好の座席は、腰掛けた際に背もたれの腰に当たる部分にクッションがなく、しかも湾曲してせり出す形状になっており、個人的には木製の背もたれが腰に当たり、着座している際に少々違和感がありましたので、混雑対策でオールロングシートにしている事と合わせ、この新車は賛否両論が大きく分かれる様です。

個人的にも乗車した博多~篠栗間位ならまだしも、筑豊方面からの通勤で博多まで1時間程度この座席に座り続けるとなると、やや厳しい「痛勤」になってしまうのでは…と感じ、関西の某大手私鉄が導入している「スーパーロングシート」と比べると、見栄えはともかく、実際に乗車した際の座り心地は、随分見劣りが否めないと感じたものでした。
(それでも首都圏の標準軌某大手私鉄が最近導入している「ブカブカ」した座席などに比べれば、個人的には程度はずっと良いと感じていますが…)

無理にハイバックタイプに拘るよりは、これならローバックタイプでも腰部分にクッションが付いた座席の方が…と感じ、他車種と併結編成で運行している列車で双方に空席がある場合、MAKIKYUは転換式クロスシートか813系中間車(ロングシート)の方を選びたいと感じてしまったものです。

今後も福北ゆたか線の混雑対策でロングシート車が導入される場合、この座席の車両が増殖するのか否かも気になる所で、福北ゆたか線は特急バスなどとの競合もありますので、JR側がこの点もどれだけ意識しているのか気になります。

この他に3両編成の同種車両も、少数ながら鹿児島本線などで活躍しており、乗車機会こそなかったものの、活躍する姿を目撃したものでしたが、既存813系と共通運用で快速などに充当し、たまたまロングシート車だけで構成される編成が組みあがった場合、個人的には長時間乗車は少々厳しいのでは…と感じたものです。



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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
国内最悪水準 (6994)
2012-08-06 21:11:41
 この車両のベンチのように硬い座席には、閉口しました。一時期硬さが批判されたE231系などに比べても劣ります。デザインを意識し過ぎるあまり、快適な居住性の提供というサービスの基本を、JR九州は忘れてしまったのでしょうか。
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817系の乗り心地は最悪 (開運Skyliner)
2012-08-06 21:25:32
九州に限らず、最近のJRの新車はどれも安っぽい車両が殆んどですよね!817系は私の場合は鹿児島で乗る事が多く、確かに自慢の大きな窓から桜島を眺めるには最高でありますが、いかんせん木製に皮貼りシートでは長時間乗るとお尻が痛くなり、つい最近まで活躍した元急行列車用の475系の方が乗り心地としては優しさがありました。確かに475系は山陽・関西等の長距離を走る事に特化されているのに対して717系は短区間だけ運べばいい…ってな感じである。
それにしても中古車に劣っている新車が蔓延っているのは何とかならないものかと思い、「さすがは新車だ!乗り心地抜群」と思えるのは関西の新快速ぐらいにしかありませんね!地方都市だからこそ乗り心地良くしないと鉄道離れに拍車がかかってマイカーにシフトされる事もありうるのにといつも思います。
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コメントありがとうございます (MAKIKYU)
2012-08-09 11:27:02
皆様こんにちは、コメントありがとうございます。

>開運Skyliner様
817系は比較的簡素な印象を受ける車両で、乗車時の走行音も比較的響く上に、ワンマン運転での運行が主体であるなど、ご指摘の通り低コストで製造・運行を行うための車両と言う印象も受けます。

ただ基本番台車や1000番台車は転換式クロスシートを採用しており、簡素ながらも都市圏の一般型車両としてはそこそこの水準を確保していると共に、デザイン面での工夫などは評価しています。
(この記事で取り上げている車両の場合は、座席がかなり物議を醸し出す代物になっており、個人的には到底そこそこの水準を満たしているとは感じられないのですが…)

座席の好みなどは別れるかと思いますが、鹿児島都市圏での主たる運行区間である鹿児島中央~川内or国分程度であれば、競合するいわさきグループの路線バスや自家用車と比べても、混雑時間帯に短編成で運行する事例がある事を除けば、個人的には充分なサービスレベルに達していると感じています。

鹿児島~宮崎間をJRで乗り通す場合でも、古参車の部類に入りつつあり、座席の足元が伸ばせない783系に乗車する位ならば、817系の当たり席を選びたい位で、決して悪くないのでは…と感じていますが、元国鉄急行型と比べると、好みが分かれる所かと思います。

JR九州が自家用車やバスとの激しい競争に晒され、節電も必須の世相では、安物感に溢れ、長距離移動には不適な車両で長時間移動を強いられる事もしばしばの北東北などに比べると、817系が増える状況は遥かに良好な気がします。

また「中古車に劣っている新車が蔓延」というのは、北東北や首都圏の列車を運行するJR某社や、この会社の影響を受けた首都圏大手私鉄などでよく見られる事で、最近近場では古参車を選んで乗る事が多い位です。

それでも東京メトロなどの様にコストダウンに配慮しつつも、良質な車両を走らせている事業者もありますので、JR某社や首都圏大手私鉄もコテコテの関西レベルまでは求めないにしても、もう少し健闘して欲しいものです。


>6994様
JR九州や両備グループのデザインを手がける某デザイナーは、他では考えられない奇抜な代物を次々と世の中に送り出し、当り外れが極端な印象がありますが、この車両の座席はその中でも個人的には大ハズレの部類に入るかと感じています。

木を用いた硬い座席は、既にこのデザイナーが手がけた岡山電気軌道の「MOMO」などの前例があり、海外に目を転じれば、プラスチックやステンレス製座席の鉄道車両も多数存在しますので、硬さだけなら同レベルかそれ以上の座席は幾らでもあるかと思います。

ただこの車両の座席は、背もたれが湾曲しているお陰で、記事中にも記した通り、硬い板が腰に当たる違和感があり、妙に凝った形の座席を付ける位ならば、まだ木製の合板を直角に設置したローバックタイプの方が…という程です。

個人的には、座り心地の悪さは国内で五本の指に入るのでは…というワーストレベルで、逆に「ブカブカ」した軟らか過ぎる座席を最近大増殖させている首都圏某大手私鉄と共に、極端過ぎる傾向があり、不特定多数が利用する大都市圏の公共交通機関として、もう少し配慮が欲しい所です。

ラッシュ対策車として導入しているにも関わらず、混雑時間帯の最混雑区間だけでなく、昼間に比較的長距離で運用する事もしばしばの車両運用形態も、不快度を増す要因となっており、主たる運用線区の福北ゆたか線はバスとの競合も激しい路線ですので、JR側が今後何らかの対策を講じるのか否かも気になる所です。
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この座席の問題は…。 (くろくま)
2017-10-12 21:31:33
はじめまして。

実は通勤でこの車両に乗ることがあるのですが、ベニヤ板にクッション(というか雑巾)を敷いたような座席は非常に苦痛です。

それより問題なのは優先座席が全く同じ構造なんですね。
一度、小柄な腰の曲がった年配女性が手すり(これもデザインなのか湾曲していて床に垂直でないため非常につかまりにくい)に必死でしがみついていたので、空いていた優先座席を勧めたところ、「腰が当たってかえって痛くなるから…」と申し訳なさそうに辞退された経験があります。

標準的な体型の方ならまだしも、障害や妊婦の方が座られることを考えるとあり得ないですね。

この車両がてきてから、いっぺんにあのデザイナーが大嫌いになりました。
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デザイナー本人が着座した事があるのか… (MAKIKYU)
2017-10-16 17:14:56
くろくま様はじめまして、管理人MAKIKYUです。

この車両は日頃の生活圏とは随分離れた所を走っており、また他車両と併結して運用されている際は真っ先に敬遠する程ですので、こちらが乗車したのは数回程度ですが、毎日この車両で通勤通学となると大変だろうな…と感じます。

この車両の中でも最初に導入された車両は特に座面が薄く、ベニヤ板に雑巾という表現も的を得ていると思いますが、硬い座面だけならまだしも湾曲した合板剥き出しの背ずりは壁面に固定されておらず走行時に震動するなど、よくここまで酷い座席を造ったな…と感心する程です。

この車両が余りに酷過ぎる事もあってか、後に登場した305系(筑肥線新型車両)やBEC819系(DENCHA)などでは、座面のクッション性強化や背ずりと壁面の固定など設計変更が行われており、見た目は似た様なモノながらも随分マシになったのでは…とも感じています。

設計に関与した某デザイナーは、実際に走行中のこの車両の座席に座り続けた事があるのか否かも気になる所です。

もし自身がデザインした座席の乗り心地を経験した事がないというのであれば、是非一度門司港~荒尾間を通して乗車して状況を確認し、問題があると感じるなら早急な改善をお願いしたい所ですね。

デザイナ-が関与する最近のJR九州グループにおける車両では、デザインに手を加える改造は勝手に出来ず現場も苦慮している様ですので…
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Unknown (けんちゃん)
2022-08-24 22:07:49
どうもです。私は現在、九州南部の宮崎県宮崎市に在住していますが、5年程前までこの817系2000番台及び、3両編成の3000番台に乗った記憶があります。見た目が、通常の817系がシルバー色に対し、白色で明らかに違いが分かります。そして、例のロングシートですが、折尾~東水巻間のように、短距離ならまだしも、東水巻~博多間でおよそ90分間も座っていると、ケツが痛くなります‼️ただ単に、板張り座席に薄っぺら座布団を乗せただけですからね😅この2000及び、3000番台の乗車はオススメ出来ません‼️
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