小田急では17日にダイヤ改正を控え、これに伴って永年活躍してきた通勤型電車5000形と、特急ロマンスカー2車種(10000形Hi-SE・20000形RSE)、更にJR東海から乗り入れる371系電車の4車種が一気に見られなくなります。
100系・300系の2車種が全面引退となる東海道・山陽新幹線(100系は山陽区間のみ)、定期夜行2列車(日本海・きたぐに)が一挙に臨時格下げとなる北陸本線などの日本海縦断線と共に、今年春の列車・車両動向が大きく変動する路線と言え、以前から盛んに告知されている事もあって、ご存知の方も多いかと思います。
小田急所属の退役3車種の中で、Hi-SEは長野電鉄に譲渡された一部が、短編成化された以外は小田急時代に近い姿で、当面特急「ゆけむり」としての活躍が期待できる状況で、譲渡が噂されているRSEも、先月MAKIKYUは乗車機会があり、「MAKIKYUのページ」でも記事で取り上げています。
しかしながら通勤型の5000形は、永年慣れ親しんだ車両とは言え、最後まで残ったのは一編成だけで、それも運用範囲が広く、運用列車も限定されない事から、なかなか捕まえ難い状況で、今年になってからの乗車は…という有様でしたが、数日前にようやく最後の活躍をしている5000形に乗車する事が出来、更に昨日も乗車する事が出来ました。
(写真は全て数日前に乗車した際のものです)
5000形は大きく分けて4両2段窓の編成と、通称5200形と呼ばれる6両1段下降窓(末期は一部編成が4両編成化)の2種類が存在し、後者の方が新しい上に、更新時期も後年なのですが、最後まで残存したのは皮肉にも2段窓の編成で、1段下降窓の車両は最後の編成が今年初頭に退役しています。
最後まで残存したのは5163Fで、2段窓の車両では後期のタイプになる事もあって、つり革の配列が2段窓車の多数派とは異なっており、5200形と折衷した車両と言う印象を受けますが、座席モケットは最後までバケット化されず、一昔前の小田急線では当り前だった紺色無地モケットの座席になっているのも注目点です。
ちなみにMAKIKYUが先日5163Fに乗車した際には、小田原方6両に主力の3000形を従え、関東では今や少数派の抵抗制御・HSCブレーキ車とVVVFインバーター制御・電気指令式ブレーキ車の混成編成(関西の大手私鉄では、一般・優等共にこの様な編成が当り前の会社もありますが…)で、自動放送も入る辺りは非常に現代的でしたが、乗車した列車が準急だった事もあり、車内は比較的空いた状態で最後の乗車ができ、折り返しで数少ない大和行に充当された姿が見られたのも幸いでした。
(それでも途中駅などではかなりの撮影者が居り、永年親しまれた5000形車両が、多くの利用客に愛されていた車両と言う事が、改めて実感できたものでした)
この5163Fは昭和51年製、まだ関西では昭和30年代製の車両が本線でもゴロゴロしている路線があり、更新工事のお陰で内装も比較的綺麗な印象を受ける事を考えると、引退はやや早い気もしますが、5200形や近隣事業者の同世代車が次々と退役し、節電も求められる時勢を考えると、致し方ないのかもしれません。
また車内広告枠には、今度の改正で引退する3車種の写真が2種類ずつ、そして外観も近年導入された小田急グループのブランドマークは外され、少しだけリバイバル車両になった雰囲気を漂わせている上に、THE LAST RUNNINGのステッカーが貼られているのも注目点です。
(装い自体は登場時から変わらず、今日でも全く見劣りしない辺りは、現行塗装の完成度の高さを感じるものです)
この5000形は他社譲渡の話も聞かず、全面退役でMAKIKYUも永年慣れ親しんだ存在で、全盛期には嫌と言うほど見られた「小田急顔」が鉄路から完全に姿を消すのは、一つの時代の節目を感じ、非常に残念な事ですが、今後保存の動きなどが見られるのか否かも気になる所です。
そして実車は惜しまれつつ有終の美を飾って引退しても、MAKIKYUの手元にあるこちら(実車内にて撮影)は、当面活躍させたいと感じています。