MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

一畑電車5000系改装車両「しまねの木」~改装工事は隣県で実施

2016-07-14 | 鉄道[中国]

近年は「ばたでん」と呼ばれる事も多い山陰唯一の電化私鉄・一畑電車、以前は「一畑電気鉄道」が正式社名でしたが、近年では分社化により「一畑電車」という通称と勘違いしそうな名前が正式社名となっています。

日頃首都圏に身を置くMAKIKYUは遠方という事もあり、乗車したのは数度程度ですが、首都圏私鉄からの移籍車両導入事例が幾つも存在する路線ですので、首都圏在住でも親近感を感じるという方は決して少なくないと思います。

首都圏からの移籍車両も全事業者は様々ですが、その一つで現在も活躍している5000系は、元々京王電鉄で使用していた5000系電車の車体と、旧営団地下鉄(現東京メトロ)の廃車発生品(日比谷線3000)を用いた下回りを組み合わせ、1990年代に導入された車両です。


この時期には一畑電車だけでなく、幾つかの地方私鉄で同種車両導入が行われていますが、一畑電車が同時期に導入した京王線の車体+営団の下回りを組み合わせた2100系と異なり、5000系は観光輸送を強く意識した車内設備に改装されているのが大きな特徴です。


この5000系は2編成4両が導入されていますが、その内の1編成(デハ5009+デハ5109)2年前に地元・島根県産の木材をふんだんに使用した内装に大改装されています。

京王線の車体+営団の下回りを組み合わせた観光向け車両で、ドア数の削減(3ドア
2ドア)を行い、内装に木材をふんだんに用いた車両としては、富士急行が運行する「富士登山電車」が非常に際立つ存在で、元々首都圏の大量輸送向けに導入した車両も、改装次第でここまで変わるのか…と感じた程です。
(
以前「MAKIKYUのページ」で公開した「富士登山電車」に関する記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)


一畑電車5000系の改装車両も、内装の激変ぶりは「富士登山電車」と双璧を成す存在と言っても過言ではなく、化粧板や床材をはじめ、荷棚やつり革に至るまで様々な所で「しまねの木」や木目調シートを用いた内装は、他に類を見ない非常に強烈な印象の車両と言っても過言ではないと感じた程です。


主体を占めるボックス席は、ボックス毎に合板の仕切りで半個室上に区分され、木製テーブルも設けられるなど、グループでの行楽利用に適した設備に改められています。

 
各ボックスの間には窓上の荷棚とは別に、荷物置きが設けられているのは、他の車両では余り類を見ないこの改装車両ならではの特色で、高い位置にある荷棚への荷物上げ下ろしが負担に感じる客層にも考慮したのか…とも感じたものです。

特徴的なボックス席は合板の仕切りが存在する事で、通路を挟んだ反対側の車窓を眺め難く、改造車故に座席と窓割が一致しないのも難点ですが、全座席をボックス席とはせずに、ドア付近の一部はロングシートとしたセミクロス配置となっていますので、ボックス席を好まない客層向けにも配慮している辺りも評価できる点と感じたものです。

「富士登山電車」が京王5000系改装車両における「東の横綱」なら、こちらは「西の横綱」と言っても良い程ですが、外観に関しては元々観光電車として他車両と差別化した装いで導入した事から、改装前のデザインや装いを堅持しています。

そのため「しまねの木」と記した木製ヘッドマークが装備されている事を除くと、木質化改装を行っていないもう一編成と大差ない状況ですので、この点は「富士登山電車」に比べるとインパクトがやや薄いと感じる方も少なくないと思います。

また5000系の京王
一畑への譲渡時における改造は、地方私鉄譲渡車両の改造実績が豊富な京王系列の京王重機で実施していますが、一昨年の木質化改造は京王重機ではなく近隣の米子市(鳥取県・安来市等島根県の自治体とも隣接)に位置するJR西日本系列の「後藤工業」で実施しています。


車内には「KEIO」ロゴ付きの京王重機プレートと共に、後藤工業のプレートが並んで掲出されていましたが、後藤工業はJR関連会社という事もあってか、車内はJR西日本で活躍する車両を連想する部分が散見されたのも大きな特徴です。


ちなみに後藤工業は今秋以降、一畑電車では久々に導入される予定の新型車両(単行運転可能なステンレス製車両)の発注先にもなっており、先日概要なども公式発表されています。

この公式発表ではプレスリリースに添付されたイメージ図に問題があり、当該イラストの削除と後藤工業公式HPにおけるお詫び掲載となったのは残念な限りで、同社で同種事案が再発しない事と、新型車両自体の納入や運行予定などに影響が及ばない事を願うばかりです。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。