先月下旬、MAKIKYUは久々に東急池上線に乗車する機会があったのですが、その際には先月走り始めたばかりのリニューアル車両・1000系1500番台車に初めて乗車したものでした。
(MAKIKYUは横浜市内某所在住と言う事もあり、都内へ足を運ぶ際などに東急線を利用する事は多いのですが、池上線は比較的近場ながらも利用機会は年に数度あれば…という状況です)
池上線と多摩川線の2路線は、現在3両編成のワンマン運転対応車両が共通運用されており、東急他路線よりも車体長が短い車両が用いられているのも特徴ですが、近年では新形式7000系が導入される一方で、初期ステンレス車の大改造車が次々と退くなど、車両入替が進んでおり、趣味的には今が旬といった印象があります。
1000系は中堅格的存在で、古い車両では製造から50年以上にもなり、大改造を経ているとは言えども、都内を走る鉄道車両では際立って古いと言っても過言ではない初期ステンレス車や、優美な前面形状にクロスシート装備など、専ら地域内輸送に徹した短距離路線を走る車両らしからぬ雰囲気の新鋭車両・7000系に比べると、余り注目されないありふれた存在と感じる方も多いかと思います。
この1000系は池上線と多摩川線の2路線だけでなく、少し前までは東横線~日比谷線直通運転でも用いられており、この直通運転中止で大量の余剰車発生→一部は廃車解体になっていますが、まだまだ使える車両だけに地方私鉄へ移籍した車両も存在し、今後も更に増えそうな状況です。
また東急線内でも古参の初期ステンレス車などに比べれば、経年が浅くまだまだ使えるとは言えども、日比谷線直通用車両は元々長編成での運用を前提とした車両で、導入当初から他路線への転用を考慮した設計とは言い難く、同一形式でも機器構成などが一部異なっています。
使い続けるのであれば時期的にそろそろ更新も…という状況ですので、幾ら池上線などの車両規格に合致する車両とは言えども、単純に編成短縮して転用するのは厳しいのが現状です。
そのため下回りの換装を含む車両更新を施すと同時に、短編成化した車両として再登場させたのが、1500番台へ改番された車両で、外観も1000系標準の赤帯ではなく、新鋭7000系と同系統の緑系統のラインへ改められていますので、遠くから見ても一目で識別できます。
この1500番台車は下回り換装に伴い省エネルギー化が図られると共に、走行音が随分と静粛化され、フルカラーLEDの行先表示や車内LED蛍光灯など、近年の新型車では標準的になっている装備が続々と…という状況で、内装も木目の化粧板に緑系統の座席モケットなど、新鋭7000系に近いイメージに改められています。
しかしながら客ドアは金属地剥き出しなだけでなく、リニューアル前と同様にガラス部分に段差があり、ドア上の案内表示装置もLED文字案内、座席脇の袖仕切りも近年流行の大型への換装は行われていないなど、随分なイメージチェンジを行った車両の割には、元の姿を留めている部分も結構多いと感じたものでした。
新鋭7000系の大きな特徴と言えるクロスシート設置もなく、今流行のLCDモニターによる情報案内装置も設置されていないなど、リニューアルで7000系に近い雰囲気にはなったものの、7000系に比べるとやや見劣りが…と感じる部分が幾つもあると感じたものでした。
座席は3名分毎にポールが設置されて定員着席促進を行っているものの、首都圏では古参車を除くと比較的少数派と言える、非バケット座席となっており、乗務員室に目を向けると、更新車両である事を明確にするためなのか、壁面が随分と鮮やかな色になっているのも特徴的と感じたものでした。
ただ非バケットタイプの座席はやや硬めの感触ながら、そこそこの厚みがあって座り心地は悪くない印象を受けたもので、池上線と比較的近いエリアを走り、池上線よりも線路幅は広いものの、車両サイズやドア数などは類似している某大手私鉄も、最近導入している好みが大きく分かれる座席(ブカブカした座面の不安定感が凄まじく、落ち着いて座り続けていられないと感じ個人的には非常に苦手です)はそろそろ止めにして、座席に関しては近隣他社を見習って…と感じたものでした。
今後も1000系は続々とリニューアルが進み、今はまだ物珍しさを感じる1500番台車も、あと数年すればありふれた存在になると思いますが、今回乗車した1504Fと同仕様でのリニューアルが続くのか、それとも今後リニューアル内容の更なる深度化が図られるのかも気になる所で、個人的には後者に期待したいと感じたものでした。
その分東急7700系、7600系の廃車も増え、GTOインバータ1C4M制御搭載車(9000系を除く)は徐々に減ります。
東急1000系など、比較的初期のVVVF車に用いられているGTOインバーターは、特徴的な走行音だけならまだしも、半導体劣化や保守部品確保なども考慮すると、使い続けるなら換装は当然の流れで、現段階でも各地で初期VVVF車の下回り換装が行われていますが、今後も換装事例は増大するのは必須かと思います。
東急1000系に関しては、日比谷線直通用の転用改造を兼ねた更新を終えた後には、池上線用に導入された車両も更新対象になる可能性が高いと思いますが、東急側は7000系導入数を当初計画より削減し、既存車両の更新延命で廃車数を減らす方向になるのかも気になる所です。
また7700系などはかなり大規模な更新が施され、ステンレス車体故にその気になればまだまだ更新して使えとは言えども、現段階でも相当な経年車で陳腐さが否めない部分も多く、よく今日まで生き永らえたと感じる程です。
さすがにこちらの再更新は考え難く、廃車は必然かと思いますが、あとどれだけの活躍が見られるのかも気になる所ですね。
首都圏の通勤車両は、某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車や、これに準ずる車両など、内装の貧相さが否めない車両が多く、化粧板が無地で素気ない事も、その印象を更に強めている様に感じます。
その一方で最近の東急は、標準仕様車のパーツを多用しつつも、化粧板などは車種によって柄を変えており、それも最近の首都圏にしては結構凝った印象がありますので、1500系や7000系に限らず、この点は評価できると感じています。
また一般車で木目となると、好みが分かれるかと思いますし、寒色系でも好感を持てる車両も多数ありますが、個人的には7000系などの木目内装は悪くないと感じています。
ただ日本の地下鉄線内運行車両では最悪と言われる車両(首都圏地下鉄線内運行車両の中では最古参)の如く、暖色系というだけで、無地のクリーム色ともなれば、逆に暑苦しさを感じ、これならまだ某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車の地下鉄線内運行中の方がまだマシとも感じるのですが…