先月MAKIKYUが九州へ足を運んだ際には、「宮崎・鹿児島のんびりきっぷ」を利用して九州新幹線などに乗車すると共に、この乗車券の片道で途中下車可能な鹿児島中央駅で途中下車したものでしたが、その際には別途「指宿レール&バスきっぷ」と呼ばれる乗車券を購入し、薩摩半島へも足を伸ばしたものでした。
「指宿レール&バスきっぷ」では指宿枕崎線の特急列車指定席も利用可能となっており、九州新幹線全通と共に走り始めた同線唯一の特急列車・「指宿のたまて箱」(通称いぶたま)にも乗車したものでしたが、今日はその前編として車両外観に関して取り上げたいと思います。
JR九州の観光特急では、九州新幹線新八代~鹿児島中央間開業の際に、鹿児島地区の観光利便性向上や、肥薩線人吉方面への移動利便性を図る事を目的に、「はやとの風」と呼ばれる列車が新設され、ご存知の方も多いかと思います。
この列車は黒1色と言う強烈極まりない車体塗装に加え、一般型気動車のキハ40系列を使用し、窓が開くワンマン列車という特急らしからぬ特急として、運行開始当初は随分話題になったものです。
「はやとの風」も運行開始当初は車両数が限られる事もあり、臨時列車扱いだったものの、後に追加改造車も登場して定期列車化されている程で、今日ではすっかり定着しており、いぶたまも種車は「はやとの風」と同様にキハ40系列の気動車が用いられています。
また南九州では宮崎地区でも、台風による甚大な被害が影響して残念ながら廃線となってしまった、第3セクターの高千穂鉄道で活躍していた観光トロッコ気動車を改造し、観光特急「海幸山幸」として日南線で再出発を果たしていますが、こちらは白を基調に合板を貼り付けるなど、こちらも「はやとの風」に劣らぬ個性を見せています。
それ以外にもJR九州では強烈な装いの列車が多数存在しており、もうネタは出尽くしたのでは…と思ってしまう程ですが、まだあっと驚く列車を登場させるのはさすがJR九州、いぶたまでは白も黒も…という凄まじい外観となっており、英文字やロゴなどを多用している辺りは、如何にも某デザイナーが絡んだ列車と言う雰囲気です。
白は厳密に言うとパールホワイトなどの真っ白ではなく、クリームや淡いベージュに近い色と言う感じですが、車両の上下などで白黒を塗り分けるのではなく、左右で対照的な2色を使い分けているのが、いぶたまにおける大きな特徴となっています。
左右で装いの異なる電車としては、伊豆急行が走らせている「リゾート21」と呼ばれる観光列車が有名で、こちらは白を基調に片方が赤系、もう一方が青系の装いとなっていますが、いぶたまでは対照的な2色を車体中央を境に塗り分けています。
そのため海側と山側では装いが対照的で、車両前面は貫通路中央に2色の塗り分けラインが存在するという、一度見たら忘れられない前代未聞の強烈な外観となっています。
2色の塗り分けは天井部分でもしっかりと真ん中で分かれており、跨線橋などから車両天井部を見下ろした際に、その様を確認する事が出来ますが、こんな凄まじい姿の車両が現れると、他地域なら相当奇抜で目立つのでは…と感じてしまう黄色1色の気動車ですら、大人しく見えてしまうのは恐ろしい限りです。
またMAKIKYUが見た時は思った程では…とも感じたのですが、列車名が「指宿のたまて箱」を名乗るだけあって、乗降ドアが開いた際に、たまて箱を開けた時の煙を模した白い煙が演出されるという、これまた奇想天外の仕掛けが施されています。
写真を見ても、ドア付近からうっすらと煙が出ているのが確認できると思いますが、さすがに黒い煙も…とは行かなかった様で、こちらは既に煙が出ているから新たに用意しなくてもと考えたのかもしれません(笑)
それにしてもまた妙な列車を…というのがMAKIKYUの実感ですが、いぶたまは全席指定席制で、座席定員は2両合わせても60名程度しかないはずにも関わらず、車体側面には「定員 81」という標記が見えたのも気になったものでした。
特急指宿のたまて箱大好き~~~~~~
こちらが指宿のたまて箱に乗車した際には、リクライニング機能のない窓側席で、ここは足元もさほど広くありませんので、特急列車としては…と感じる面もありましたが、車内の雰囲気などはさすがJR九州と言えるだけのものがあると思います。
とはいえ2人掛けのリクライニングシートなどは足元も広く確保されていますし、車内のフリースペースなども存分に確保されていますので、窓際の狭さを感じる座席に当たっても、1時間程度の乗車であれば実害はさほどないと感じたものです。
また海幸山幸やはやとの風と異なり、全車指定席で総定員も60名に限定されているため、混雑とは無縁のゆったりとした汽車旅ができる点も大いに評価できる所で、特に自由席が殆どない海幸山幸は、車両増結(必然的に他車種になりますが…)か全車指定席化も検討して欲しいものです。