先日MAKIKYUが房総半島へ出向いた際には、昨年から千葉地区のJR線で活躍を開始し、今月のダイヤ改正以降に運用が大幅に増大した209系2000番台車に、初めて乗車する機会がありました。
この車両は千葉地区では昨年から運用開始したとはいえ、「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称」で呼ばれる事が多く、粗製乱造車の代名詞と言っても過言ではない209系という形式を名乗っているだけあり、当然ながら新造車ではなく、相次ぐ故障の発生などで運用離脱となった京浜東北線車両(209系0番台)の一部を、4両と6両の短編成に組み替えて千葉地区向けに転用したものです。
千葉地区向けの転用改造に伴い、車両番号が2000番台という大きな番号に改められていますが、車体に標記された形式番号は、車両によっては元の番号を剥がした後が見受けられるなど、如何にも転用改造車という雰囲気を漂わせています。
外観はラインカラーを、房総地区で活躍中の211系電車と同じ黄色と青のラインに取り替えた事や、スカート(排障器)が大型のモノに取り替えられた事が目立ち、中間車を見てもトイレ取り付け改造で窓を塞がれた姿は、見るからに改造車を意識させられるものです。
連結器も4・6両の編成を組み合わせて8・10両を構成する事も多い事から、自動開放装置を取り付けている事も特徴で、行先表示器も既に209系の一部番台で用いられているLED式に取り替えられています。
しかしながら行先表示器をLED式に改めながらも、今流行のフルカラーではなく3色表示となっており、路線毎に色分けを行う為に211系を転用した際には、前面種別表示をわざわざLED→字幕に改めた程の千葉地区にしては…と感じてしまいますが、その案内も「路線名」と「路線名・行先」を交互表示(例:「内 房 線」→「内房線 木更津」)する形態となっており、やたらとしつこく路線名を強調する案内が非常に特徴的です。
また千葉地区への転用に際しては、下回りの制御機器などを横須賀・総武快速線で活躍するE217系(現在改造進行中で、改造車と未改造車の混成編成もよく見かけます)などと同様に、最新型と同レベルのモノに取り替えているのも大きな特徴です。
その一方で貧相で薄暗い印象が否めない化粧板などは相変わらずで、車内設備へのテコ入れは最小限に留められていると感じたもので、車両更新に対する考え方は、関西の有名球団を抱える某大手グループ私鉄の車両などとは対照的なものです。
千葉地区への転用に際して変わった点としては、先頭車両だけボックス席を配置したセミクロスシートに改められ、辛うじて近郊型と言い訳出来る設備に改められたほか、先述の通り一部中間車に車椅子対応型のトイレ設備が設置されている事が挙げられます。
先頭車は座席配置を改めると共に、そのモケットも山手線車両を連想させる緑色系となっているのが特徴的ですが、ボックス席は最近のJR東日本車両では一般的な形態の座席ながらも、片持ち式ではなく通路側足元に脚が設置されているのが特徴的です。
車内設備の目玉とも言えるボックス席も、窓割は京浜東北線時代の突貫工事で一部開閉可能とした窓柱とは一致していませんが、これに加えて中間車は座席モケットすら既存のまま存置しているため、編成内での釣り合いが取れていません。
その上車両番号標記は車外に限らず、車内側も後から改番された番号のステッカーを上から貼り付けているだけであるなど、如何にも最低限の転用改造だけを施したと主張している様に感じられ、その醜態は余りに貧相と言わざるを得ないのが現状です。
それでも車両自体は平成に入ってからのステンレス製車両で、国鉄時代から使い続け、潮風に吹かれて長年酷使している車両に比べれば…という見方もあるかと思いますし、既に東京方面直通の快速列車で4ドア車が活躍している区間ではさほどの違和感がないかと思います。
混雑時に威力を発揮する事も考えると、千葉駅を基点に片道1時間程度の運行列車(君津・上総一ノ宮・成東・成田辺り)であれば、まあ許容範囲と言えなくもない気がしますし、MAKIKYUが先日房総半島で乗車した209系はどれも短時間乗車でしたので、ほぼ通勤型の設備もさほど苦にはならなかったものです。
ラッシュ時間帯には6+4両の10両編成で、京葉線東京直通列車に使っても悪くないかと感じたもので、少なくとも乗務員室がやたらと広く、客室空間が狭いJR東日本の最新鋭標準型を6+4両編成で走らせ、デッドスペースが大きくなるよりはずっと良いかと思いますし、踏切事故対策の衝撃吸収構造も、京葉線の路線特性を考えると必然性は乏しいかと思います。
しかしながら元が短時間乗車を前提とした通勤型電車で、その中でも「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称」で呼ばれる事が多く、粗製乱造車の代名詞と言っても過言ではない安物車両の中でも最もタチの悪い車両であるだけに、とりあえず改造で最低限近郊型としての体裁を整えているとはいえ、千葉駅から銚子や安房鴨川まで乗り通すのはとても…と感じたのが実情です。
それでも割増料金を払う事で、特急列車やグリーン車といった異なる選択肢を選べる路線・区間ならまだしも、千葉地区では昼間時間帯に特急列車が全く走らず、普通列車の普通車以外に選択肢が存在しない路線・区間が幾つも存在しています。
そうなると割安な青春18きっぷなどで乗車するのであればまだしも、普通乗車券を購入して長距離移動に利用したいと思える車両ではなく、こんな車両ばかりになってしまった暁には、2時間以上も乗り続ける事を考えると、場合によっては高速バスなど他の交通手段の利用も…と感じてしまったものでした。
ただし、209系は座席が元々硬いだけに、居住性は701系以下であり、これに千葉から安房鴨川まで乗るなら、黒磯以遠青森まで全列車701系のほうがましだと思います。
「209系は座席が元々硬いだけに、居住性は701系以下であり、これに千葉から安房鴨川まで乗るなら、黒磯以遠青森まで全列車701系のほうがまし」というのは同感で、千葉駅から所要1時間程度の列車なら許容できるものの、安房鴨川や銚子まで長時間乗車するのは勘弁願いたいものです。
座席の座り心地だけでなく、内装や歪の目立つ外板など、全体的に水準の低さを実感させられるだけに、もう少しマトモな車両を走らせるか、そうでなければ房総各線区で特急列車をコンスタントに走らせるなど、他の選択肢を容易に選べる状況になる事を願いたいものです。
とはいえ千葉県では超高額運賃で知られる中小私鉄で、大手私鉄からの乗り入れ車両とはいえ逆に座席が柔らか過ぎて不快極まりない車両もあり、こんな車両に都心を跨いで複数者路線を乗り通すと、2時間程度の乗車を余儀なくされますので、これに比べれば209系ロングシートに2時間乗り続ける方がまだマシで、あまり贅沢は言えないかもしれませんが…
そのうち、JR西日本のように醜悪なワンマン運転、日中代行なしの運転休止とか始めるんじゃないですか?
千葉地区のJR線は、普通列車は運賃面で高速バスと大差ないか不利、所要時間や運行本数に関しても区間によっては…というのが現状ですね。
まして車両も安物の通勤型転用車が大半を占め、都内へ向かうとなると大半が千葉乗り換えでは、青春18きっぷでの房総・東総~都内日帰りなど、運賃面で余程優位な理由でもないと、こちらも千葉地区の長距離移動でJRを使うのは…と感じます。
特急はそこそこ快適で定時性は優れているものの、速達性に欠ける上に、運行本数が少なく、運賃面でも対都内では高速バスに比べて不利ですので、何らかの理由がない限りは、こちらも使い難いかと思います。
房総半島では今度の改正以降久留里線でワンマン運転開始、他地区でもワンマン列車大幅増加となりますし、利用者数などを考えると、房総半島末端や鹿島線辺りで、オフピーク時のワンマン列車運行が行われても不思議ではない気がします。
ただ特定日の代行なし運休といった、公共交通としての役目を損ねると言っても過言ではない大幅な利便性低下だけは避けて欲しいものです。
私個人はそうは思いません。
方持ち式のシート、 シート端の大型袖仕切り板、ロングシートの中間に設けた
掴み棒等々、今やJR私鉄を問わず最新の通勤形電車では当たり前のように採用
されているこれらの意匠は、紛れもなく昨年残念な事にお亡くなりになった
工業デザイナーの榮久庵憲司さんデザインの209系が正にパイオニア。
209系の誕生が無かったら、それらの機能的な内装デザインは無かったらでしょう。
209系は既存他車両とは大きく異なるコンセプトで登場、経済性を重視するあまり経年で故障頻発など、やり過ぎと感じる面も多々ありますが、他社を含めた様々な車両へ大きな影響を与えた一面もあり、善悪双方の意味で歴史に残る車両の一つと感じています。
当初導入された京浜東北線からは全車離脱、房総地区転用だけでなく廃車解体された車両も多数存在していますが、今の所は房総で改造車が多数活躍する事もあってか、鉄道博物館に殿堂入りした車両は皆無ですので、今後JR東日本が自社の車両設計に関して多大な功績を残した車両として、鉄道博物館入りさせるのも…と思います。
また安物感が否めないと感じる事も多い反面、低コストで大量新造を実現、老朽車淘汰で輸送の質を高め、エネルギー効率向上にも貢献している事は一つの功績かと思います。
高級な車両が多い反面、老朽車も数多いJR西日本などとは対象的で、利用者側から見れば賛否両論がある事ですが…
ときどきのぞかせていただいております。
房総地区の普通列車・・・
「無煙化でキハ30のステンレス車走らせちゃうよ!」
の時代に比べると、車両も意識もグレードダウンしているかもしれません。
でも、なにより困るのは外房線、内房線に直通するE233系の子たち。
何が困るって・・・トイレがない!
やっつけ仕事だろうと、ドア故障がデフォルトだろうと、
209系の方が、緊急時にはまだマシだったり、と思うのですが・・・。
そういった見方も、あるっちゃあるということで
失礼します。
E233系は内装や座席の座り心地などに関しては、209系に比べると優れていると感じていますが、ピンク帯を纏った京葉線用車両は全席ロングシートでトイレなし、専ら短距離の通勤線区専用車両と言うのが現状かと思います。
それでも東京~蘇我の京葉線内のみを運行するなら許容範囲内かと思いますが、君津や上総一ノ宮などへ直通するとなると乗車時間も結構長く、運行本数も決して多いとは言い難い区間になりますので、そちらのご指摘通り通常時でもトイレなしは考え物と感じています。
輸送障害発生時に駅間で長時間抑止ともなれば尚更、ましてやE233系自体もトイレ設置車両が他線区で多数活躍している事を考慮すると、JR九州の筑肥線で活躍する通勤型車両の様に、改造でトイレ追設となる事が望ましいと感じています。
度々世間を騒がせる「動労千葉」もこの問題に関してはどう考えているのかと思う事がしばしばで、ボコボコの209系でもまだ京葉線直通のE233系よりは…と思う面もあるのは当然かもしれませんが、どちらも高速バスなどに比べて劣勢と言わざるを得ないのが現状で、今後改善の動きが出て来る事を願いたいものです。
内房線や外房線など、千葉以南/以東JR各線で活躍する一般車両に関しては、京葉線から乗り入れて来るE233系はまだ良いとしても、209系とE217系に関してはご指摘の通りだと思います。
車両の淘汰サイクルが早い会社ですので、手を入れて長く使うよりはあと数年だましだまし使い新車代替になる可能性が高いと思います。
ただ如何にも経年劣化した車両と言う印象が否めない、変な音を立てているドアチャイムを聞くと、これはこちらも何とかして欲しいと感じますが…