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土佐電気鉄道590形電車~車齢50年を超える古豪ながらも…

2009-05-13 | 鉄道[四国]

 

先日豊橋鉄道の路面電車で活躍する3200形電車(親会社での形式はモ580形)に関して取り上げましたが、この車両とほぼ同時期に製造され、豊鉄の親会社が運行する路線で共に活躍していた車両の一つに、モ590形と呼ばれる車両があります。

この車両も一部は昭和末期に廃車となっており、こちらはその少し前に豊鉄に移籍した形式の様な譲渡も実現していないものの、この時に廃車を免れた車両は近年まで活躍を続けており、その一部は冷房化改造も施されていました。

ただ2005年に活躍していた路線自体が廃線となり、小型車による軌道線という特殊性もあって、VVVFインバーター制御車を含む比較的新しい車両ですら、自社内に転用路線がなく書類上は一旦廃車の扱いとなる程(とはいえ経年の浅い車両は豊鉄をはじめ、グループ会社で第2の活躍の場を得ている事は幸いですが…)でしたので、この時点で車齢50年近くになる590形は路線と運命を共に…と思っていたものです。

しかし590形の中でも冷房化改造を施された車両は、書類上は一旦廃車扱いになっているものの、冷房車であった事も幸いして、車齢50年近くにもなる車両にも関わらず譲渡先が見つかり、今も非冷房車を多数抱えている土佐電気鉄道(土電)に引き取られて、中京圏から遠く離れた四国の地で第2の活躍をしています。
(余談ながら590形は非冷房のまま路線廃止まで活躍した車両も解体は免れ、他の用途不要となった一部の旧型車と共に保存されています)

MAKIKYUも2月に四国を訪問した際には、高知駅~桟橋通五丁目間を走る桟橋線でこの車両に遭遇し、行先表示がLEDとなっている点などは少々印象が異なると感じたもので、他に使用しない一部扉の埋め込みも行われているなど、土電への転用にあたっては多少の改造が施されています。

とはいえ真っ赤な装いをはじめ、内装も概ね原型を留めており、ドアステッカーまでそのまま使われていた程ですので、中京圏で活躍していた頃(この頃にもMAKIKYUは一度だけ乗車した事があるのですが…)の雰囲気を強く留めており、往時の雰囲気のまま走らせる辺りは、一時期外国の電車を幾つも買い集めた会社ならではと感じたものです。

また土電では今年に入ってから同社バスや、県内に幅広く路線を持つ高知県交通の路線バスと共にICカード乗車券「ですか」を導入し、これに伴って異彩ぶりが際立つ外国電車はICカードシステム対応から除外された事もあって、営業運転から遠のいている程(一部は今でも稼動可能な状態になっており、イベント時や貸切での運転には対応できる模様です)ですが、590形は土電従来車とは趣の異なる少数派の異端車ながらも、ICカードシステムにも対応して第一線で活躍しており、外国電車の定期的な活躍が見られず、やや単調な印象になりがちな今日の土電にあって、異彩を放つ存在にもなっています。

590形は土電に移籍してから数年の活躍年数も含めると、活躍年数は既に50年を超えた古豪ですが、非冷房車もまだ結構な数が走っている中で冷房車である上に、内装が綺麗と言う乗客の声も聞こえた程ですので、土佐の地での評判は悪くない様です。

第2の地での活躍は暫く続きそうですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も土佐の地を訪問される機会がありましたら、是非一度590形に乗車してみてはいかがでしょうか?



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7 コメント

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本当に高知? (きよぴ)
2009-05-14 00:07:56
外見の写真は細かく見なければ、名鉄時代そのものな雰囲気ですね。
背景としても探せばこんな場所ありそうな。というか逆に高知らしさを感じないですね。
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590形の思い出 (6994)
2009-05-15 18:50:05
 かつて親戚が岐阜に住んでいたこともあり、名鉄時代に何度となく乗っています。美濃町線の99年に廃止された区間に封じ込めた運用についており、田舎道を路面電車が走るのどかな光景でした。ただ、朝晩には送り込みのため市ノ坪や徹明町からの列車もありました。昭和時代、越美南線から美濃で乗り継いでこれが来たことがあります。
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コメントありがとうございます (MAKIKYU)
2009-05-16 14:21:15
皆様こんにちは、コメントありがとうございます。

>きよぴ様
塗装が赤一色そのままという事もあり、行先表示のLED化や一部ドアの埋め込みなどが行われているとはいえ、岐阜の地を去った譲渡車の中でも、この車両は往時の姿を最もよく留めている部類に入るかと思います。
また背景に関しても、写真の桟橋通5丁目(高知駅からの電車の終点)はコンクリート製外壁の向こう側が海と言う状況で、海なし県の岐阜を走っていた電車には…という印象があるのですが、ノーガード電停の多さ(これは概ね郊外で、都心部でこの様な電停ばかりだった岐阜の惨状よりは全然マシですが)などは、岐阜と共通するものがあります。
それにいの方面の単線区間では、並行する道路との間に策等が設けられていない箇所も多く、この区間は古巣の美濃町線を彷彿させるものがあります。
そのためこの区間を走る590形の姿も是非一度…と思いますが、土佐電鉄は路線網が比較的大きい上に、590形自体も2両しか走っておらず、いの方面は運行本数も限られていますので、この区間で同車の活躍を目撃するのは至難の業です。
(ちなみにこちらが高知を訪問した際には、1両が高知駅~桟橋通5丁目間での運用、もう一両は桟橋の工場入りと言う状況でした)

>6994様
こちらは新関~美濃間は乗車機会がないまま廃止になってしまいましたので、同区間に乗車されたとは羨ましい限りですが、美濃では長良川鉄道ではなく、国鉄時代の越美南線というのも凄い話ですね。
またこちらが岐阜の地で590形に乗車したのは、晩年の徹明町~日野橋折り返し列車でしたが、美濃町線の奥の方は如何にもローカル線と言った雰囲気がなかなか良かったもので、他の岐阜600V線区も含め、全面廃止となったのは非常に惜しいものです。
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780型豊橋入りもいいけど (岩青龍)
2017-06-20 00:35:01
590型が土佐電入りしてよかったですが、インバータ制御最新機器搭載した780型3両辺りも土佐電入りして欲しかったのが、私の本音です。
路線規模の大きさから高性能をフル活用すべく。古豪の楽園の土佐電に豊鉄とは色違いのホットラムの導入も検討してもらいたいですね。
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少なくとも非冷房車は… (MAKIKYU)
2017-06-28 14:20:29
岩青龍様はじめまして。

土佐電鉄では今日でも非冷房車が残存する位ですので、古参車ながらも冷房車導入でサービス向上にもなり、590形導入は趣味的な面だけに留まらず様々な面で評価できるものと感じます。

また岐阜で活躍していたVVVF車も、780形に関しては全て系列(豊橋鉄道)で第2の活躍舞台を見出し、主力として活躍する状況ですので、これは土電入りを望むのは少々厳しい気もします。

ただ780形導入で冷房車でも古参車の一部淘汰を行った位ですので、今後も低床車導入などで既存車両代替を行うのであれば、この代替車両を譲受してサービス向上と車両バラエティの増大に取り組んでも…と感じます。

土電は全車冷房化すら…という状況で、ましてや会社再編となる位ですので、高価な低床新型車を導入するのは行政の後押しなどがない限りかなり厳しいと思います。

名鉄岐阜600V線区廃線後に豊橋鉄道・福井鉄道に譲渡された単車の部分低床車(モ800形)は、2社共に運用制約があり使い難い車両になっているのが現状ですので、もし元名鉄岐阜600V線区のVVVF車導入を行うとするなら、こちらの方が有力な気もします。
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800型を土佐電入りしかし (岩青龍)
2017-07-02 15:24:47
豊橋鉄道と福井鉄道にモ800型使い難いなら590型と一緒に土佐電って考えても。
使いみちかなり見込めたかもしれません。
しかし割高な新古には間違いないですね。
590型奇跡的に査定あったものです。
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冷房車だった事が… (MAKIKYU)
2017-07-06 10:07:43
岩青龍様こんにちは。

古参モ590の譲渡劇ですが、同系でも非冷房車のまま残存していた車両は引退(→保存)となっている事も踏まえると、冷房改造車だった事が幸いして新たな地での活躍が出来たと言っても過言ではないと思います。

またモ800に関しては車齢が比較的新しい事もあり、余剰車発生とでもならない限りは系列外への移籍はまずないと思いますが、特に豊橋では運行区間制約もありますので、今後何らかの動きが出ても不思議ではない気もします。

ただ新型故にメカ的には在来車とは大きく異なり、この点モ590は冷房車である事に加え、見た目は既存車両と異なる雰囲気ながらも、取扱上は既存車両と大差ない車両である事も買われたのかもしれませんが…
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