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土佐電気鉄道100形「ハートラム」~土電では1編成だけの新鋭低床車

2009-05-18 | 鉄道[四国]

   

先日「MAKIKYUのページ」では土佐電気鉄道(土電)の200形電車に関して取り上げ、土電では同形をはじめとした古典的な路面電車形車両が今でも多数活躍していますが、新鋭の低床車も2002年に導入されています。

土電の低床車は100形と呼ばれる形式と共に、「ハートラム」という愛称も付けられており、導入以降の増備はなく1編成のみの活躍ですが、全長17.5m(他の現行稼動車両が単行形ばかりですので、土電では最も車体長が長い車両になります)・狭軌(軌道幅1067mm)三車体連接車(国産では最も初期の部類に入ります)である事をはじめ、車内に掲示された「私の履歴書」(車両に関する概略紹介・土電では各車両の車内に掲示されています)には、ハートラムの名前の由来なども記されています。

ハートラムは三車体全てが客室として用いられている国産低床路面電車としては最も初期の部類に入る上に、狭軌用車両という事もあって、車内に入ると機器配置などに随分苦心している事が感じられます。

中間車や先頭車の車端部などは大きな段差が出来ており、一部座席はこの段差を上下しての利用となる事もあって、「足もと注意」というステッカーが目立つ辺りは、国産の低床電車創成期に造られた車両ならでは…と感じさせられ、狭軌三車体連接車でも最新鋭の部類に入る豊鉄の「ほっトラム」などとの格差を感じされられると共に、僅か数年で低床電車の製造技術も随分進歩したものだと感じさせられます。

ただ「ハートラム」は車内に結構段差が目立つとはいえ、通路部分は前から後ろまでフラットになっており、整理券方式で必然的に車内を後扉→前扉へ移動する土電の使用条件においても、大きな不都合が生じない構造となっています。
(国内他都市の低床電車の中には、通路部分に段差が生じている事が問題となり、増備予定を取り止めた実例もありますので…)

そのため車椅子使用の際には乗車口から段差の無い部分を利用できる様になっているなど、低床故に乗り易い車両であると共に、バリアフリーの面での配慮が行き届いている事などは、低床電車創成期の車両で完成度はまだまだといった感のある車両とは言え、大いに評価出来る点かと思います。

また1本だけの低床新鋭車両、それも土電はおろか高知県で唯一のVVVFインバーター制御車という事もあって、土佐電鉄の看板役的存在にもなっており、1日乗車券のデザインにも用いられている程ですが、1編成だけの存在にも関わらず、現在は広告付き車両になっています。

MAKIKYUは高知を訪問した事自体が今までに2回しかなく、この車両には高知を訪問した2回それぞれで遭遇しているのですが、2月に訪問した際には真っ赤な広告電車となっており、登場当時の白と薄緑の装いが見られないのは惜しい限りです。
(MAKIKYUが最初にハートラムに乗車した際は夜間で、写真を撮影出来ない状況でしたので…)

この「ハートラム」は製造費用が極めて高額である事もあり、試行的導入の域を出ておらず、現段階では更に進化した狭軌用の国産低床電車も製造されているだけに、今後同種の車両が製造される可能性は極めて低いと思いますが、車内に掲示された「私の履歴書」には「これからも当地で走り続け、大いに頑張りますので…」と記されている程ですので、土電のイメージリーダーとして、活躍し続ける事に期待したいものです。

写真は100形「ハートラム」の外観と車内の様子、車内に掲示された「私の履歴書」です。



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