MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

ベトナム-中国を結ぶ国際列車~利便性は難ありですが…

2018-02-21 | 鉄道[中華人民共和国]

昨夏MAKIKYUが東南アジア方面へ足を延ばした際、ベトナムでは国内の鉄道を利用しただけでなく、ベトナム~中国を運行する国際列車にも乗車機会がありました。


この国際列車はHa Noi郊外のGia Lam~中国国境のDong Dang間でベトナム国鉄の路線を走行、国境を超えた後は凭祥(Pingxiang)~南寧(Nanning)間で中国鉄路を走行します。

 
Gia Lam駅は基幹駅のHa Noi駅に比べると遥かに小規模、市内中心部からも少々離れており、駅前の通りは車通りも少ない路地ですので、国際列車発着駅という雰囲気とは程遠く、日本の亜幹線駅レベルと言っても過言ではないと思います。


Gia Lam
駅から南へ78分程度歩いた所にバスターミナルがあり、このターミナルと市内各地を結ぶバスは頻発していますので、市内バスを乗りこなせるなら少々不便という程度ですが、バス乗車が苦手な方にとってはかなり使い難いと感じるかもしれません。
(Gia Lam
Ha Noi間はメーターゲージ(軌道幅1000)車両しか走行できませんので、Ha Noi発着は物理的に不可能ですが、シャトル列車でも設定できれば外国人向け利便性は大きく向上する気もします)

この国際列車の運行距離は両国合わせても400㎞程度、4桁㎞を走る列車も当たり前の中国はおろか、ベトナムの2大都市間を結ぶ統一鉄道と比べても、運行距離や所要時間は遥かに短いものです。

しかしながらベトナム・中国両国の出入国手続などがある関係で、出入国手続き実施駅での長停車時間を含めた所要時間は12時間以上を要しており、移動手段としては余り使い勝手が良いとは言えないのが実情です。

 
充当車両は中国鉄路の軟臥車4両、他に中国国内のみ硬座車を連結しての運行となっており、一応中国国内では「特快」として運行する列車ながらも、専ら快速以下の列車で用いられる最高速度120/h25G形客車(以前は朱色とグレーの装いで「紅皮車」とも呼ばれていましたが、近年は緑色と黄帯の装いに塗替えが進み、他形式との識別がし難くなっています)が用いられているのも大きな特徴です。


中国鉄路車両での運行に加え、客室乗務員も中国(南寧鉄路局)担当となっており、発車直後の車内改札で乗車券と引き換えに換車票を交付(到着直前に回収:乗車券を返還)されるなど、列車に乗ってしまえばベトナム国内運行時でも中国内にいる様な錯覚に陥る状況でした。

南寧行の列車だと2時台にベトナム出国手続、5時頃に中国入国手続を実施するために列車から下車しイミグレに出向く事になりますので、寝台車での運行ながらも一夜をゆっくりと過ごせる状況ではなく、結構疲れると感じたものです。

   
ちなみにMAKIKYUHa Noi駅で国際列車乗車券を購入しましたが、この乗車券もレシートの様な味気ないベトナム国鉄が運行する国内列車の乗車券とは大違い、手書きの複写式で漢字(中国語)とアルファベット(ベトナム語)に加え、キリル文字(ロシア語)の記載もある独特なもので、この点でも注目と感じたものでした。

移動手段としての有用性という点で見れば、Ha Noi~南寧間は昼行都市間バス利用の方が至便とも感じ、深夜早朝に出入国手続時間を行わなければならない現状の改善に期待したいと感じたものです。

ただ汽車マーク入りのスタンプ(ベトナムは出入国スタンプに、出入国で用いた乗物を示すイラストが入ります)が押印される事をはじめ、ベトナム国内ではメーターゲージと標準軌双方の列車が走行可能な3線区間を運行するなど、趣味的には非常に注目点の多い列車です。

またHa Noi~昆明間の国際列車が休止となり、他にベトナムと国境を接するラオス・カンボジア両国との間は鉄路がない状況ですので、現在のベトナムでは唯一の国際列車として、他国と鉄路がつながっている事を示すシンボルとしても重要な存在になっています。

高速鉄道開業が相次ぐ中国国内の鉄道事情と対比すると、まだまだ改善余地は大いにあると感じ、今後どの様な動きが出て来るのかも気になる所ですが、運行形態や充当車両などが変更されるとしても、中越2国間で国際列車が走り続ける事に期待したいと感じたものでした。


(
お断り)この国際列車は中華人民共和国と東南アジア(ベトナム)に跨って運行していますが、中国車両による運行である事も考慮し、鉄道[中華人民共和国]カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。