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日本中央バス奥多野線「かんながわ号」~ミニバスで運行する長大路線

2010-12-01 | バス[北関東]

先日「MAKIKYUのページ」では、富岡~下仁田~上野村間を運行する上野村営バスに関して取り上げましたが、群馬県の中でも奥地として知られる上野村へ向かう公共交通機関は、この村営バスの他に奥多野線と呼ばれる路線バスが存在しています。

奥多野線はかつて上信電鉄が運行していたものの、同社が運行から撤退し、現在は多野藤岡広域組合が日本中央バスに委託して運行を行っており、同線は「かんながわ号」と呼ばれる名称が付けられています。

この「かんながわ号」はJR高崎線新町駅を基点に、JR八高線群馬藤岡駅・鬼石(Onishi)・万場(Manba)などを経て上野村ふれあい館までの間を走る長大路線で、全線を乗り通すと片道約2時間を要します。

長大路線だけあって、運賃も片道1890円と結構な金額になりますが、土休日などには「かんながわ号」全区間が1日乗り放題で1500円の割安な1日乗車券が設定され、片道乗り通すだけでも元が取れ、往復で利用する場合はかなり割安感がありますが、こちらは車内でも購入可能となっていますので、路線長や土地柄の割には比較的割安感があります。

上野村ふれあい館では本数こそ少ないものの、上野村営バスと乗り継ぐ事も出来ますので、両者をうまく乗り継げば新町・藤岡~下仁田間をバスのみで移動する事も可能です。

そのため路線図を見ると盲腸線的な雰囲気が漂う上信電鉄に乗車する際も、このバス乗り継ぎルートと組み合わせる事で、高崎からの単純往復ではなく往復別ルートによる周遊コースを辿る事が出来、MAKIKYUが先月中頃に群馬県内へ足を運んだ際にも、この周遊コースを辿ったものでした。

この様な路線ですので、以前は急行便も運行されており、こちらにはトイレ付きの観光バスタイプの車両が充当され、長時間乗車にも配慮していた様ですが、この急行便は数年前に廃止されており、現在の奥多野線は全便が普通便での運行となっています。

路線の半分以上を占める鬼石地区以遠の山間部では、停留所以外でも乗り降り可能な自由乗降区間となっている事や、路線の終端に当たる上野村へは、湯ノ沢トンネル開通によって下仁田方面からのアクセスが飛躍的に改善された事などを考えると、全て普通便で運行する事で各停留所での乗車機会を増やす事自体は妥当な施策かもしれません。

  
ちなみに現在の使用車両は三菱AEROMIDI MEが主力を占めており、自治体絡みのバスながらもラッピング車が混在するのも特徴ですが、この車両はノンステップ車でバリアフリー対応などは万全とはいえ、元々都市部のコミュニティバスなどで使用する事を前提とした車両です。

AEROMIDI MEの定員や座席数が少ない事は、「かんながわ号」ではさほど問題にならないとはいえ、横向きの優先席を除く各座席は足元が狭く、所要20~30分程度の路線では充分な車両とはいえ、トイレ休憩などもなく約2時間もずっとこの車両に乗り続ける(ネット上の情報では、途中でトイレ休憩があったケースもある様ですが…)のは、この手のバスに長時間乗り続ける貴重な機会といえばそれまでですが、バス好きなMAKIKYUでも少々酷に感じた程ですので、バスに乗り慣れていない乗客が乗った場合は相当大変だろうと感じたものでした。


また「かんながわ号」は急行便の廃止後に、新車で近年コミュニティバスなどで数を増やしている日野製小型ノンステップバス「ポンチョ」も導入されていますが、こちらもAEROMIDI MEと同様の問題点が存在する車種です。

MAKIKYUはこちらには乗車する機会がなかったものの、横浜市内に居る知人の中にはこのバスを大絶賛している者も居り、横浜市内からでも湘南新宿ラインを使えば、「かんながわ号」始発の新町駅へは電車1本でアクセスできるアリアですので、ポンチョへの長時間乗車を堪能できる路線としても、この知人には是非勧めてあげたい路線と感じたものでした。

とはいえ上信電鉄の路線バスが撤退したあと、広域組合が路線の運行を担って辛うじて地域の公共交通を維持している事を考えると、車両に関しては余り贅沢な事は言えず、上野村内では幹線道路から外れて狭い旧道を走る区間も存在し、余り大きな車両を使えない事などを踏まえると、使用車両に関しては現状で止むを得ない面もあるかと思います。


ただせっかく土休日などに割安な1日乗車券を設定し、遠方からの観光客誘致などに努めても、現状では「安かろう悪かろう」という印象が否めないと感じる乗客も少なくないだろうと感じたものです。

路線維持自体が困難を極める現状では、使用車両の変更や改修といったハード面での対策は難しいかと思いますが、途中停留所でトイレ休憩などの時間を予め設定し、長大路線を乗り通す乗客の利便性をもう少し考慮してくれれば…と感じたものでした。



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2 コメント

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閑散路線ならばともかく (6994)
2010-12-02 22:29:11
 自宅近くのバスは、車道幅の関係で大型が運用できず近年リエッセをポンチョが置き換えています。しかし、鉄道駅や病院への利用が多く、ポンチョによる座席定員の減少は関心しません。仕事帰りに疲れてポンチョの椅子で着席した知人が眠ってしまい、途中で近くに高齢者が立ち、別の乗客に「眠ったふりをするな。」と罵声を浴びせられたトラブルもありました。ご紹介のような閑散路線ならばポンチョでも難は少ないでしょうが、大都市近郊路線ともなると、この車両は歓迎できません。
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居住性にも難ありですので… (MAKIKYU)
2010-12-03 16:41:20
6994様こんにちは。

ポンチョは小柄ながらも、低床部分を最大限に確保している事は評価すべき点ですが、座席定員が少ない上に、シートピッチなども充分とは言いがたい車両です。

そのため都市圏におけるコミュニティ路線に特化した車両と言っても過言ではなく、2時間も走り続ける長大路線への充当は場違いな印象が否めません。

また都市部の狭路を走行する短距離の混雑路線への充当も、増便で着席需要に応えられるのであればまだ良いかと思いますが、そうでない場合は車椅子用リフト付きリエッセなどの方が良いのでは…と思います。

ミニバス路線では乗車時の段差解消や、車椅子乗車の容易化などの理想を追い求めればポンチョが妥当という事になり、行政主導のコミュニティバスなどでは主流になりつつありますが、導入費用も決して安くない車種ですし、こちらとしてはリフト付きリエッセがもっと評価されても…と感じるものです。
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