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インドでも「新幹線」が実現?~簡単に足を運べる所ではありませんが…

2013-03-10 | ニュース記事講評

今日ネット上のニュース記事を見ていたら、以下の記事を見つけて気になったものでした。

[以下記事抜粋]


インド、日本の新幹線採用…首脳会談で合意へ

日本とインド両政府が、インド国内の高速鉄道整備事業に日本の新幹線技術を採用することで合意する見通しとなった。

インドのシン首相が5月下旬に来日を予定しており、両国政府は首脳会談で合意の確認を目指している。

政府関係者によると、新幹線が導入される見通しとなったのは、インド西部のムンバイ―アーメダバード間(約500キロ・メートル)。新幹線の導入で、移動時間が現在の約10時間から約2時間に短縮される。事業は9000億~1兆円規模で、JR東日本や川崎重工業などが参加する。着工時期は未定だが、用地買収などに数年かかるため、2015年度以降となる見通しだ。

日本側は車両や運行システムなどの技術を一括して提供する「パッケージ型インフラ輸出」としたい考えで、実現すれば新幹線では初のケースとなる。


[記事抜粋は以上]


世界各国の高速鉄道、日本の東海道新幹線が開業してからもうまもなく50年、その後日本国内をはじめ、今日では海外でも様々なタイプの高速鉄道が営業運行を行っています。

新幹線と並ぶ存在としては、フランスのTGV、その後にドイツのICEやイタリアのペンドリーノなどが続き、そのどれもが営業開始後もバージョンアップした新形式車両を導入、運行路線・区間も拡大の傾向にあります。

また自国での運行や、欧州系高速列車の自国~隣接国間直通運転だけでなく、運用車両や技術の海外輸出も行われており、特に今世紀に入ってからは、開発国の需要が頭打ちになりつつある事もあってか、次々と海外輸出が行われています。

MAKIKYUは日本と並ぶ高速鉄道の先進地域でもある、フランス・ドイツ・イタリアなどの欧州各国へは、シベリア鉄道「ロシア」号などを利用して海路と陸路を乗り継いで行くとなれば、気が遠くなる程の遠方だけあり、まだ足を運んだ事がありません。
(空を飛ぶのが苦手な身としては、不要不急の観光旅行などで航空機に搭乗する気にはなれませんので…)

 
とはいえ近年では欧州で走っている車両とほぼ同等の高速鉄道車両のいくつかは、日本からさほど遠くない国・地域でも運行しており、MAKIKYUもTGV→KTX[大韓民国・韓国鉄道]・ICE(ICE3)→CRH3[中華人民共和国・中国鉄路]・ペンドリーノ→CRH5[中華人民共和国・中国鉄路]といった高速鉄道車両には乗車した事があります。


お馴染みの新幹線も既に中華人民共和国への輸出実績があり、大陸本土(中国鉄路・CRH)ではJR東日本・E2系(川崎重工製)をベースにした車両が活躍する一方、離島の台湾省(台湾高鉄)ではJR東海・700系(日本車輌製)をベースにした車両が活躍しています。

両者はベース車両や製造メーカーが異なるだけでなく、車両導入方式(大半は技術移転による現地生産/日本で製造して輸出)や列車運行形態(高速線だけでなく在来線区にも乗り入れ/在来線とは完全に分離された高速鉄道専用線のみを運行)、複数編成を併結しての運行有無など、「新幹線」ベースながらも状況は対象的で、様々な違いが見受けられるのは興味深いものです。

MAKIKYUは離島の台湾省へは足を運んだ事がなく、日中間を直結する国際定期旅客航路(新鑑真号など)が存在し、韓国からのフェリーも多数出ていて、船で足を運ぶのが比較的容易な大陸本土とはアクセス状況も大きく異なりますので、当面台湾高鉄への乗車機会もなさそうです。
(数年前までは有村産業による名古屋・大阪~[沖縄経由]~台湾省基隆or高雄間の国際定期旅客航路もありましたが、有村産業の廃業と共に航路消滅・以降は定期旅客航路を引き継ぐ事業者も存在せず、MAKIKYUはそれどころか沖縄県にすらまだ足を運んだ事がない有様です)

一方中国鉄路のE2系ベース車両(CRH2)や、デザインなどは異なり独自開発を謳っているものの、その改良版とも言えるCRH380Aなどには、大陸本土へ足を運んだ際に乗車機会があり、機会があればまた乗車したいと思っています。

今度新幹線を導入見込みのインドは、台湾省などよりも更に足を運び難い遠方だけあり、MAKIKYUが乗車する機会はまずなさそうな気もしますが、JR東日本や川崎重工が参加するという点では、中国大陸本土と共通しています。

中国大陸本土への新幹線輸出は、輸出開始段階で既に開発・製造開始から結構な年数を経ていたE2系がベースになっていますが、現段階ではそれより新しいE5系が運行中です。

既に導入が発表されている北陸方面新幹線用E7系の登場も、さほど遠くないと思いますので、さすがにE2系ベースの可能性は低いと思いますが、どのタイプがベースになるのか気になる所です。

またインドの鉄道(在来線)は中国大陸本土の標準軌(軌道幅1435mm)や、台湾省の狭軌(軌道幅1067mm)とは異なり、大半の区間が軌道幅1600mmを超える広軌となっています。

既に在来線が広軌であるにも関わらず、他国への直通運転を想定し、大半の区間を標準軌で高速鉄道建設したスペインと同等の形態になるのか、それとも広軌での高速鉄道運行(スペインでは、一部でTGVベースの広軌用車両も存在している様です)になるのか気になる所です。

車両や運行システムなどの技術を一括して輸出する「パッケージ型インフラ輸出」にしたい』となると、台湾高鉄の様な在来線区とは独立した高速鉄道で、尚且つ軌道・信号システムも含めて日本流となる可能性が高い気がします。

ただJR東日本や川崎重工は既存事例とも言える中国大陸本土におけるCRH2輸出事例で、既に他国の高速鉄道をベースにしたシステムと組み合わせての運行や、改軌なしでのフル規格車両による新在直通列車運行など、中国鉄路独自の運行方法もある程度容認している前例があります。
(さすがにE2系ベースのCRH2で、今月のダイヤ改正以降E5系一部列車で開始される320km/hをも越える速度での営業運転を行った際には、設計最高速度を越えている事で安全上の保障ができないとして中国鉄路側に抗議し、最高速度の低い他路線への車両転属と言った事もありましたが…)

インドは中国と並ぶ人口大国、尚且つ凄まじい勢いでの経済成長に対し、交通手段などのインフラが発展途上で、需要に対して供給が追いついていないという事でも、中国大陸本土と似た様な状況かと思います。

現地事情なども踏まえ、完全な日本流高速鉄道とはならない可能性も考えられますが、どの様な形での高速鉄道が実現するのか注目したいものです。

この様な地域では輸送の質的向上だけでなく、量的確保も大きな課題かと思いますので、客室設備の快適性や高速性能などは若干劣るとは言えども、輸送力確保と言う点では他の追随を許さないJR東日本E4系MAXの様な車両も…と感じます。

中国大陸本土ではこの手の高速鉄道車両が導入されないのが不思議に感じる程(機関車牽引の客車列車では、2階建て客車も結構な数が走っているのですが…)ですが、こんな事を考えるのはMAKIKYUだけでしょうか?