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JR東日本・仙石線の代行バス~専ら宮交グループが運行

2011-08-08 | バス[東北]

先月MAKIKYUが石巻を訪問した際には、JR仙石線が一部区間(高城町~矢本)で今もなお不通となっており、復旧見込みが立たない事から、代行バスによる運行となっており、MAKIKYUもこの代行バスを利用したものでした。

代行バスは道路事情の関係で、高城町(Takagimachi)駅と代行バス乗り場の位置が離れる事から、高城町よりも一つ仙台方の松島海岸駅から出発しており、仙台方面から仙石線で矢本・石巻方面へ向かう場合は、松島海岸駅で乗換となります。

代行バスは一時期途中駅通過の便も存在した様ですが、現在は松島海岸~矢本間の途中各駅に停車する便のみの運行となっており、先月4ヶ月ぶりに運転再開となった矢本~石巻間の仙石線列車が概ね1時間毎程度での運転となっている事から、これに合わせた本数での運転になっています。
(ダイヤ上は大抵の便で代行バスと列車の接続が確保されていますが、大幅な遅延が発生した時などは乗継できない事もある様です)

松島町内~矢本方面はやや内陸を走る国道45号線を通るのが最短ルートとなっており、松島海岸・高城町~矢本間を直行運行するのであれば、このルートでの運行が妥当な所ですが、現在は仙石線各駅近くに停車する路線設定となっています。

国道から離れた海岸近くで、甚大な津波被害を受けた野蒜(Nobiru)周辺も経由するため、松島海岸駅~矢本駅間の代行バスだけでも約50分程を要します。
(仙石線石巻方面への代行バス運行当初は、野蒜周辺の道路事情が影響してか、野蒜周辺を経由しないルートで運行していました)

 
野蒜周辺で甚大な被害を受けた地域を走行する際には、車内の乗客から驚きの声が上がると共に、野蒜~陸前小野間では運行途中に地震に遭遇し、津波被害こそ免れたものの現場に置き去りにされている仙石線石巻行電車の姿(この電車のすぐ手前まで津波が押し寄せた様です)も目撃できたものでした。
(野蒜は駅構内や周辺の被害状況が凄まじく、地震発生直後の時間で止まったままの駅舎にある時計や、1階部分が津波で流失して躯体だけ残ったコンビニなどが残り、時が止まった廃墟の様な印象を受けたものでした)

そのため仙台駅周辺から石巻駅まで仙石線を利用するとなると、現在は電車~代行バス~気動車列車と乗り継ぎ、乗り換え時間を含めると片道約2時間を要する状況になっています。

仙台駅~石巻駅間を三陸道経由で直通運行するミヤコーバスの高速バスに比べると、所要時間の面では大幅に見劣りし、現在仙台~石巻間を公共交通機関で移動するならば、高速バスが運行していない早朝・深夜帯などを除くと、余程の事がない限りは高速バスに軍配が上がるのが現状です。
(震災前であれば高速バスと仙石線快速の所要時間や運賃はほぼ互角で、定時性や運行時間帯なども考慮すると、仙石線の方が優位だったのですが…)

代行バスは主にバス代行区間や気動車列車運行区間の地域内輸送や、この区間の途中駅と仙台市内を結ぶ役割が主体になっている事も、各駅停車便のみとなっている大きな要因かと思われます。

ちなみにJRの代行バスは、3月の東日本大震災における被災規模が余りに大きく広範囲に及び、本来であれば真っ先に代行輸送を手がけるJRバスだけでは手に負えない状況になっています。

その事もあってか、MAKIKYUが見た限りでは、仙石線代行バスは宮城交通グループのバスのみでの運行となっていました。
(以前は他社バスも走っていた様ですが…)


MAKIKYUが松島海岸駅→矢本駅間で乗車したバスは、宮城交通仙台北営業所所属の日野製観光車(SELEGA)で、運賃箱や運賃表示器、整理券発行機などのワンマン装備や降車ボタンなどを装備していない純粋な貸切専用車でした。

1台のみの運行だった事もあり、正座席は全て埋まり補助席まで用いる程の状況でしたが、通勤通学時間帯などは複数台での運行となる便もある様です。


代行バス終点の矢本駅では、松島海岸駅に向かう便で宮城交通の分離子会社・ミヤコーバスに所属する高速路線車を用いた便を目撃しており、代行バス輸送の規模が比較的大きい事もあってか、宮交グループでも複数の営業所で分担しての運行となっています。

こちらは「路線バス」と書かれたステッカーも貼り付けた路線車だけあって、各種ワンマン機器も装備しており、観光・高速バス車両は三菱ふそう製車両がお気に入りのMAKIKYUとしては、こちらに当たった方が…とも感じたものでした。
(割安な青春18きっぷを利用している事も考えると、代行輸送を利用できるだけでも充分過ぎるのですが…)


この他にMAKIKYUが代行バス乗車後に訪問したミヤコーバス石巻営業所では、震災後に名鉄グループ各社からミヤコーバスに応援で捻出された車両の中にも、「JR東日本列車代行バス」のステッカーを付けた車両が見受けられたもので、宮交グループ自体も震災によって大きな影響を受けている事から、動員できる車両を何でも充当している様にも感じられたものでした。
(ミヤコーバスでは石巻で冠水による使用不能車両が数台発生しており、気仙沼では営業所が津波被害に遭った上に火災で焼失し、過半数の車両が使えなくなるなど、莫大な被害が発生しています)


列車との乗換駅となる松島海岸・矢本両駅では、旅客案内やバス運行整理を行うJR係員の姿を見かけたものでしたが、代行バス自体にはJR係員は乗車せず、途中駅でもJR係員による改集札を行わない事から、車内には代行バス途中駅で下車する旅客用の乗車券・運賃回収箱も設置されているのが特徴です。

 
また仙石線代行バスは運行こそ宮交グループが行っているとはいえ、運営自体はJR東日本が行っている事から、JRの代行輸送である事と共に行き先を示す案内がバス正面窓に掲げられており、同種の表示は常磐線代行バスでも見かけたもので、各駅バス停もJR代行バス様式となっており、こちらも常磐線や石巻線代行バスで同様式のものが用いられていました。

JR代行輸送に関しては、先月仙石線代行バスだけでなく石巻線・常磐線の代行バスも利用していますので、こちらに関しても近日中に取り上げたいと思います。